studio Odyssey




『終電よ、サヨウナラ』(2000/12/23)

『桜坂』(2000/4/9)

 何故昨日、なんの予告もナシに日誌をお休みしたのかの話をしよう。

 すでに日誌でもふれているように、昨日(22日)はstudio Odysseyの忘年会であった。って訳で、飲んできた。ちなみに、場所は新宿。

 僕の自宅は新宿から1時間ほど離れた場所にあるので、一応、終電というものがあって、はい。
 乗れませんでした。

 いや、乗ったんですよ。乗りました。乗ったんですが、1時間かかる訳で、乗った電車は、30分くらいまでしか行かないところで、止まったんですねー。相武台という駅なんですが。

 で、その時は方向が一緒の室長と僕の二人。
 ぽつーん。
 終電よ、サヨウナラ。

「どうしようか」
 行くも戻るも不可能。こんなところに投げ出されて…

「歩いて帰ろう」

 ええ、歩きました。
 3時間、50分。

 大冒険でしたよ。道?そんなのは、知りません。適当です。適当。「たぶん、こっち」そんなモンです。
 で、歩いていると、ウチのスタッフが、「そういや、ここに勤めていなかったっけ?」っていう、住み込みの仕事場の前を通ってみたり、「電話して起こして、車の鍵かせー!って、いう?」
 でも時間も時間だし、確信もなくて、やめてみたり。

 取り合えず、国道をてくてく歩いて、深夜の国道っていうのは、大型がびゅーびゅーと風切り音を立てて走り抜けていく訳で、すごく怖かったり、結構、風が強くて、大きな橋がぐらぐらとゆれていて、お酒飲んでいるし、疲れているし(ちなみに僕はスーツの革靴だった)、「橋から転落したら、死ぬよね?」

 って訳で、室長と馬鹿話をしながら、小冒険をしていたのです。

 歩いていて、いろんな事を思いました。
 僕はファンタジーの小説とかを書くわけだけど、ファンタジー小説では当たり前のように冒険といえば草原だの山だの森だのを歩くわけですが、無理。絶対、無理。
 毎日毎日こんな事していたら、死ぬって。
 僕は煙草を吸う人なのだけれど、歩きながら、「そういや、○○○(あるファンタジー小説のキャラクター)って、煙草吸うっていう設定だったよね」「そうだね」「奴は、絶対にパーティーとかでこうして歩きながら、吸うタイプだね」
 なんて、今までとは違った、よりリアルな経験をしてみたり。
 僕らはトラックが横を走っていくだけで結構怖かったけど、モンスターのいる世界をてくてく歩く奴らは、もっとすげぇなとか思ったり思わなかったり。

 途中、さすがにもうつらくなって、ロイヤルホストで休憩して、タクシー呼んで帰ろうかって話になって、だけども、「ここまできてタクシーっていうのもね」(あと40分くらいだった)
 結局、「タクシーが来たら、のる。来るまであるく」って事にして、「神様に任せる」
 なんていう、おきまりのパターンをやってみて、お約束通り、結局、室長の家まで歩ききってみたり。

 でも、いい経験でした。
 昨日はそれほど寒くなくて、歩いている間に、いろんな経験をして、馬鹿話をして、唯一僕が悔しかったことと言えば、最近、「動画が面白そうでさ。ハンディカム欲しいんだよね」と言っておきながら、その前日、買おうかなーと思って、やめていた事でしたね。

 深夜。
 行き先別最終に無理矢理途中駅で降ろされたしゃちょと室長。
 さて、どうする?

「歩いて帰ろう」
「そうすっか」

 それから、約4時間。

 それはドキュメンタリーとして、絶対に面白い。
 そう、わかっていたのに。

 その時の僕の鞄の中に、ハンディカムは、まだなく。

 おしいことをしました…
 僕は、こういうものを撮ってみたかったのに。

 って訳で、昨日の日誌のころ。
 僕らはてくてく、夜道を歩いていました。