studio Odyssey




明日もまた、エッセイ?

『いつも心にヒーローを』(2000/8/8)

「ヒーローが、ヒーローが必要なんだよ」

 という台詞が強烈に印象に残っているのは、『ウルトラマンティガ』の第49話。

 1965年の世界へと行ったダイゴ隊員が、そこで初代ウルトラマンの撮影に至るまでの円谷プロを…というエピソードだが、その最後、ウルトラマンティガとウルトラマンの二人の雄姿を見た円谷英二が呟く台詞。
「ヒーローが、ヒーローが必要なんだよ」

 そして初代の脚本家、金城哲夫がウルトラマンを書くというお話。

 さて。
 何でいきなりこんな話をというところだけれど、今日見た読売ウィークリーの中吊りに、「21世紀のヒーローは癒し系」という一文があったから。

 僕はそうは思わないけど。
 と言う話。

 まず、僕は普通の人に比べるとものすごく変なタイプなので、これからの話はそれを前提に読んでもらいたい。はっきりいって、変だろうから。

 ここ数年、十代の犯罪が増えた。
 悩める十代が、増えた。

 何故だろうと考える。

 何故でしょう?
 えらい学者さんとか、教授、先生方は「時代とともにどうとか」と言うかも知れない。けど、僕はそんなふうには思わない。

 僕の考える理由。それは、「ヒーローがいなかったから」

 たとえば『ウルトラマン』。1996年9月に『ウルトラマンティガ』が放映されるまでの間、実に16年間もの間、TVシリーズの放映はなかった。仮面ライダーのことも考えてみよう。仮面ライダーですら、BLACK以降は、あまりぱっとしなかった。(今はクウガが結構人気のようだけど)
 戦隊もの。
 戦隊物も1時間から30分になった。時間も、いろいろな時間に動いたりした。

 今の十代の幼い時代、ヒーローは果たしてどこにいたか?

 答え。
 それはたぶん、今の十代に聞いてみるのが一番だと思う。
「自分の中の、小さい頃のヒーローって、何?」

 100人聞いて、何十人が「自分の中のヒーロー」に答えられるだろう。
 きっとたぶん、十代よりも二十代、三十代、もっと上だな、四十代の方が、「自分の中のヒーロー」をはっきりと答えられるだろう。

「21世紀のヒーローは癒し系」

 違う。それはたぶん、今の時代を見て、そう言っているのに違いない。今の社会、悩める人たち、そういう、きっと「心の中にヒーローのいない世代」を見て、言っているんだと思う。

「ヒーローが、ヒーローが必要なんだよ」

 いつの時代も、たぶんきっと。
 どんなに時代が進んで、世の中がかわって、いいこと、わるいこと、たくさんが世界中に満ちても、それでも、「ヒーローが必要なんだよ」

 世界中の子ども達に、そして、僕らに。
 それは癒されるためなんかじゃなくて、僕らが思う、「格好いいもん」っていうものに、近づくために。
 だから、ヒーローが必要なんだよ。