studio Odyssey




これもまた、エッセイ?

『全てはドラマに』(00/1/8日誌より)

 物書きをしていて、時々聞かれる質問に、「書いているいろんなああいうことは、経験からですか?」という質問がありますが、僕はその「おはなしのつくりかた」の中でも触れているように、基本的に、僕くらいのレベルの人では、自分の経験したこと以外は書けないと思っています。
 からと言って、僕が、決して今まで書いてきたおはなしにある事、全てを経験してきたわけではないですよ。単純に、経験から感じ取ったことをフィクションに書き換えているわけです。

 たとえば、僕は10月末に左手の薬指を怪我とき、これで1本は書けるなと思いましたね。実際、すでに日誌的にはネタになってますし、そうでなくとも、左手の小指と薬指。
 いくらでも書くことができるでしょう?

 たとえば、左手の薬指を怪我した僕。
 その直後、好きだった女の子がふと、消えてしまった…なんて事になったら?十分にドラマとして成立しますよね。

 それは行き過ぎとしても、たとえば、好きだった女の子が結婚しちゃうとか、左手の薬指にリングをもうしていたとか、そういうのは?

 十分、ドラマとしてこれは成立しますよね。そして、あれから2ヶ月を過ぎようとして、この左手の薬指の怪我も、もう少しで癒えるという訳です。
 そして、何もなかったように、全てが元に戻るわけです。
 僕の、この指も。

 書き出した言葉の全てが、果たして真実かどうかはともかくとして、こんな風にして、僕は経験をお話に変えていくのです。

 すべての経験は、いつかドラマに。