studio Odyssey




これもまた、エッセイ?

『知らない兄弟』(99/11/10日誌より)

 明日は平成11年11月11日だ。
 11/11/11。

 なんて話をしていて、思い出した。

 僕には会ったこともない兄がいる。いや、正確には、いた。
 11月11日は、その兄貴の命日だ。

 暗い話じゃない。
 僕は、その兄貴に会ったことすらないのだから、暗くもなれない。兄貴は、生まれてすぐに死んでしまったんだった。よくあることだ。もともと、身体が弱かったんだろう。

 それから、何年かして姉が生まれて、それから、僕が生まれた。母もだが、父も、男の子が生まれたのを、きっと喜んだろう。兄貴の分も、だ。

 今思うのは、ホント、兄貴がいなくてよかったということだ。
 ひどい言いようかも知れないが、もしも僕と同じような奴がこの家にもうひとりいたかと思うと…うわっ。想像するだに、恐ろしい…

 こんな事を書くと、やっぱ兄貴には悪いかも知れないが、
 ま、どこかで聞いていたら、苦笑いでもしていてくれ。

 僕の兄貴なら、それくらいの器は持っているだろう。だいたい、それくらいの器がなきゃ、僕の兄なんかやってられない。気分屋で、何よりも面白いことが好きで、目に付くものには何でも手を出すような僕の兄なんて。

 兄貴孝行なんかしてやろうとは思わないけれど、兄貴は煙草、吸うのかな?酒は、飲むのかな?

 どう?

 一緒に、冬の夜空にシリウスよりも赤い星をふたつ、付け足してみない?
 僕の兄貴なら、気分屋の提案にもつき合ってくれるだろう?