studio Odyssey




なんというか、エッセイ?

『左腕に彼女への想い』(99/6/10日誌より)

 6月10日は時の記念日。
 「あなたがおいしいと言ったから」はサラダ記念日。

 意味はない。ちょっとはずかしめの話を書くから、くだらない冗談を入れてみただけ。

 1年前の今日、腕時計を買った。

 僕がしているこの時計は、なんか、色々な場所で諸説ぷんぷんという事になっているようだが、別に、大した理由があってこの時計をしているわけではない。
 ちなみに、今僕がしている時計は、Baby-Gだ。はっきり言って、僕のスタイルからすると、ちょっとこの時計は浮いて見えるらしい。ちなみに、7thのイルクジ。BG-370-KT-2BTというタイプ。半透明の、青。

 昔、僕は腕時計を全然しなかった。

 それでも、試験やなんかでは時間がわからないといけないっていうんで、腕時計をして出かけたりもしていたんだが、すぐにそれをなくしてしまうのだった。
 ひどいのは、もらったswatchをなくしたり…本当に、すぐに、時計をなくすのだった。
 だから、僕は腕時計というものをほとんど、しなかった。

 それが今は、この時計とどこへ行くのにも一緒だ。
 大した変わり様である。

 僕が腕時計をするようになった理由は、ちょっと、阿呆臭い理由があったりする。先にも触れたけれど、ちょっとはずかしめな話だ。

「腕時計の扱いは、恋人の扱いと同じなんですよ」
 なんて、ある人に笑いながら言われてしまったからだ。

 当時の僕は、腕時計をしてもすぐになくした。なくして、それでも別に、探そうともしかなかった。ひどい時なんて、「なんか落とした」と思っても別に探さずに、後で、「あ、時計ないや。落とした」なんて気づいて頭を掻いていたりしたものだった。

 さすがに、その台詞には「痛いことを言うなぁ」と顔をしかめさせた。
 その人は、小さい頃からずっと、ひとつの時計を腕に巻いていたんだった。

 別に、その言葉が真実を言い当てているとは思わない。
 けれど、僕は阿呆臭いと自分で思いながらも、「次に買う時計とは、ずっとつき合っていこう」と、彼女の言葉に馬鹿くさいことを考えたのだった。

 それで買ったのが、この時計だった。
 初めて雑誌でこの時計を見たとき、欲しいなと思った。で、探した。発売は3月だったし、限定ものだったので、そう簡単には、見つからなかった。だけれど、一年前の今日。

 ちょっと、嘘臭いくらいだけれど、現実に、時の記念日の今日、僕はこの腕時計と出会ったんだった。
 プレミア価格になっていて、2万弱だったけれど、僕は迷わずにこいつを買っていた。

 それから1年。

 少しは、笑いながらでも言えるようになっただろうか。
「腕時計の扱いは、恋人の扱いと一緒なんだって」