studio Odyssey




なんというか、エッセイ?

『女医の歯科医考』(99/2/26日誌より)

 冷たい水を飲んだら、歯がしくしくと痛み出した。
 虫歯か!?
 考えてみれば、歯医者になんて、もうずいぶん行っていない。これはまずい。虫歯に違いない。

 と言うわけで、歯医者に行った。

 小さい頃から親がまめに歯医者に連れていったせいか、いい歯科医にしか当たったことがないせいか、歯でいたい思いはしたことがない。だから、別に歯医者は嫌いじゃない。

 予約を入れて、検診に行ったのは、歯がちょっといたいなぁと思い始めてから、1週間ほど経ってからだった。

 しかし、ずいぶんと歯医者にも来てなかったから、虫歯の一本くらいあるかもなぁと思いながら診察台へあがる。で、居心地悪く待っていると、
「こんにちはー。どうしましたー?」
 と、歯科衛生士のお姉さん登場。

 お。だ。

 昔からかかりつけの歯医者だったのだけれど、いつの間に歯科衛生士のお姉さんが。別の意味で居心地悪くなってしまい、むにゃむにゃと、歯を検診してもらう。

 と。

「あ、歯槽膿漏になりかけですね。もっとちゃんと歯磨きしてください」

 なんて、歯科衛生士のお姉さまに、きっぱりはっきり、にっこりと言われてしまった。

「煙草も吸いますね?」
「はぁ…」
「ヤニのついたプラーク(歯垢)が、たくさんつきっぱなしになってますよ」
「はぁ…(ちなみに、口を開いている状態なので、これ以外の返事は出来ない)」
「C0がありますね。ここと、ここ」
「はぁ…」
「じゃ、ついでに歯磨きもしましょう」
「はぁ!?」

 僕がなんだかよくわからずに目を丸くしていると、歯科衛生士のお姉さまはすっと歯ブラシを取りだして(しかも、普通に市販されている奴)、それで、診察台に仰向けになって口を開けている僕の歯を、ごしゅごしゅと歯磨きし始めたじゃないですか。
「はい、顔こっちに向けてください」
「…はぁ」

 自分とたいして歳もかわらなそうな女性に歯磨きしてもらうなんて…あぁぁ…なんか、すっごく、おこちゃまな気分…

「はーい、綺麗になりました」
「はぁ…」

 ねっころがって口を開けて女の人に歯磨きしてもらったのなんて、幼稚園以来でしたさ…

 なんというか…女医の歯科医について、ちょっと目を細めて考えてしまった一日だった。