studio Odyssey




そんなこんなで、エッセイ?

『雨が好き』(2001/8/11)

 雨に降られた。

 傘をもってはいたのだけれど、あまりの大雨に、傘の意味もなく、濡れて歩いていた。

 面倒くさくなったので、傘を閉じた。
 閉じて、雨に濡れて歩いた。久しぶりに。

 雨が好きだ。

 という話は何度かしているけれど、こうして、雨に濡れて歩くのが結構、好きだ。
 土砂降りならなおのこと。
 あきらめもつくということもあるけれど、普段は忘れていることを、思いだせる。

 夏の雨は冷たくない。
 むしろ、気持ちがいい。

 ばたばたと降る雨はシャツを濡らして、ジーンズの色を変えて、そしてなんとなくその雨に濡れて歩いている自分を、笑わせる。
 雨に濡れて歩いていると、傘をさして歩く人が妙におかしく思えてくる。

 もしかしなくても、おかしいのは自分かもしれなくても、そんな気分になれる。僕は、そういう自分が好きだし、そういう時間が好きだ。

 ぬれねずみになって、玄関をあがって、笑う。
「濡れたー」

 手に、傘はあるけれど。

 そういう時間と、そういう自分が、まぁ、意外と、好きだ。
 だから、雨は好きだ。

 今日は久しぶりに、雨に濡れて歩いた。