spit:「あー、てすてす。
スピットは電波を飛ばします。
appi:「はい?
と、アピが答えました。
spit:「おお、繋がった。
appi:「スピさん、どうしました?
spit:「うむ、単刀直入に聞こう。
スピットはベンチ前にいる魔法士の女の子を見ながら言います。
spit:「身に覚えのない女の子にパパ呼ばわりされているわけだが…
appi:「
よくあることでは?
そいつはいっちゃあならねぇよ、お嬢さん…
spit:「
…
spit:「言われてみれば、どうして俺はそれでアピに電波を飛ばすのだ?
納得する男。*1
spit:「あー…違う違う。
スピットはぶんぶんと頭を振って、電波で言いました。
spit:「この子、アピを『まま』だと言っているんだ。そうそう。
appi:「私ですか?
spit:「知ってる?
appi:「さぁ? でも、スピさんを『ぱぱ』だと言っているのですよね?
spit:「うん。
appi:「スピさんは、知らないのですか?
spit:「うーん…記憶にないなぁ…
『ぱぱ』と『まま』の
どこかおかしい会話。
appi:「その子のお名前は、なんというのでしょう?
spit:「しらん。
聞け。
spit:「時に、娘。名を名乗れ。
と、スピットは眼前の魔法士の女の子に聞きます。
Liede:「リーデ。
ぽつりと返す彼女の名前を、スピットはそのまま電波で飛ばします。
spit:「リーデだって。
appi:「あー、リーデちゃんなら知ってます。
spit:「
まてまてまて!! 俺は知らないッ!?
heriosu:「何やら、スピさんがステキな慌てっぷり。
Liede:「ぱぱ?
appi:「リーデちゃん、どこかに行ってしまったと思ったら、ベンチに行っていたのですね。安心しました。
spit:「お前、いつの間にこんなおっきな子が…
appi:「2、3日前くらいでしょうか?
spit:「
…思いっきり、自然法則無視だな、ベンチ。
appi:「拾った卵の中から…
spit:「わかった。もういい。慣れた。そしてそれは、インプリンティングと言う。覚えておけ。
*2
appi:「よくわかりませんが、わかりました。
会話を終えて、スピットはリーデを見ます。
spit:「リーデは、なんの魔法が使える?
Liede:「かみなりのまほう。
spit:「…真似スンナ。
Liede:「ままのぱぱだから、同じにした。
spit:「
ままのぱぱとか言うな。
聞き手によっては、誤解される発言です。
*3
ともあれ、スピットはちょいと帽子を直しながら、言いました。
Liede:「うーん…もうすぐ転職出来るし…もう一人前。
spit:「一人前とは、片腹痛いわ。
Liede:「でも、サンダーストームも10だよ。
spit:「どうしてお前は、そう、使えない魔法をとるのだ…
Liede:「雷魔導師だから。
spit:「いやいやいや…まだまだだろ。よし、ヘリ。レベル上げだ。行くぞ、つきあえ。
heriosu:「俺!?
spit:「無論。
spit:「一人前かどうかはともかく、さくっと独り立ちさせる事に関しては、速い方がよい!!
heriosu:「…デートに差し支えが?
spit:「むろ…いや、なんでもない。
Liede:「?
そんなこんなで、一行がやってきたのは…
コモド。
spit:「風魔法ならば、ここで、ワニを一気にぶちのめし、レベルアップだ!!
heriosu:「…ワニに誰が堪えるんだろう。
spit:「…
heriosu:「指さされたッ!?
ともあれ、一行はココモビーチへ。
早速と、弱ワニを見つけたスピット。
ぺちっと殴ってみます。
spit:「おおぉぉ!? いてえいてぇ!?
弱ワニと言えども、後衛のスピットにはなかなかの攻撃力です。
spit:「ヒールしないと死ぬ!?
heriosu:「生暖かく見守る…
Liede:「見守る。
spit:「お前はライトニングボルトを撃て。っていうか、ヘリ、代わってくれ。死ぬ。
heriosu:「痛そうだなぁ…
入れ替わり、リーデが弱ワニに魔法を撃ちます。
spit:「…弱すぎるぞ。
Liede:「Dex上げたから。
spit:「…さーて、帰るか。
heriosu:「早ッ!?
とは言っても、せっかく来たので、一行は弱ワニをちまちまと狩ります。
ふと、リーデが、
Liede:「そういえば…
spit:「ん?
Liede:「ぱぱは、
何人子どもいるの?
heriosu:「スピさん、やり手だから…
spit:「人聞きの悪い事を…
Liede:「ルキノおねーちゃんに、わたしに…
spit:「何故、そこでルキノが出る!?
heriosu:「ルキノの母親、誰ー?
spit:「奴は、
俺を陥れようとしているに違いないッ!!
rukino:「へっくし!!
suteinu:「ルキノっち、風邪ですかー?
rukino:「いや…誰か噂してるのかな…
heppoko:「言われた材料、とってきましたー。
rukino:「あー、そこ置いておいて。
heppoko:「ルキノさん、『でんたく』の新しいの作ってください。桁が足りなくて、計算できないのです。
rukino:「あー、そうだねぇ…へっくし!!
suteinu:「ルキノっち、風邪ですかー?
rukino:「誰かが、私の悪い噂してる…まぁ、想像つくけど。
suteinu:「いぬには、心当たりが多すぎて、わかりません。
rukino:「ご飯抜き。
suteinu:「すていぬ、全力でお手伝いさせて頂きます!!
spit:「我が財政が、奴のせいで、どれだけ切迫しているか!!
heriosu:「あー…いぬも増えましたしね…
Liede:「ぱぱー、お腹すいたー。
spit:「おおおぉぉ!? 貴様、魔法士のくせに、Int1か!? 殴るぞ!?殴るぞ!?
そんなこんなで、ちまちま狩りを続けます。
ヘリオスがタゲをとって、リーデが魔法を撃ち、スピットがたまにヒール。
そんな感じで移動狩りを続けて行くと…
spit:「あれ?こっちに行くと、海岸線の方か…
Liede:「海だー。
spit:「海に行くと、ラッコが…
つぶやいたスピットの声は聞こえなかったのか、てくてくと歩いていくリーデ。
スピットは「ちっ」と舌打ちをして、そのリーデの前に出ました。
spit:「いてぇ!?
即座にヘリオスがスピットと位置を入れ替わります。
heriosu:「いやと言いながら、何故行きますか。
spit:「リーデでてくてく行くから。
Liede:「らっこ、こいやー。
heriosu:「ラッコなら、娘さん、消し飛びますよ?
spit:「うむ。
spit:「なでられただけで、リーデなら死ぬな。
さっと、迫るラッコとリーデの間にスピットは滑り込みます。
spit:「いてぇ!? 今、すっげー痛かったぞ!?
heriosu:「プロボックー。
spit:「やめろおぉぉぉ!?
自分も消し飛びそうです。
Liede:「いつの間にか、らっこ狩り。
になった一行は、砂浜へ続く階段を降りていきます。
と、そこにはラッコこと、シーオッターが数匹、待ちかまえていたのでした。
spit:「おおぅ!?
heriosu:「複数は、死ぬ!?
ヘリオスが前に出て、らっこのタゲを集めますが、その高い攻撃力にヘリオスのHPがどんどん削られていきます。スピットはセイフティーウォールを出してヘリオスを守ろうとしますが…
heriosu:「お先〜。
spit:「うお!? マジか!?
タゲのはずれたらっこが次に狙うのはリーデ。
スピットは素早くセイフティーウォールを唱えます。
自分に。
Liede:「見捨てられた!?
spit:「いや、だって、一撃で死ぬじゃんよ…
案の定、リーデは一撃でぱたり。
spit:「やれやれ…
スピットは小さくため息を吐いて、ちょいと帽子を直しました。
spit:「娘さん、よーく聞けよ。
そして杖を振るいます。
spit:「これくらいが出来て、一人前の雷魔導師と言うのだッ!!
言うまでもなく、らっここと、シーオッターの属性は水。
風魔導師のスピットにとっては、恐れるような敵ではありません。
素早く雷魔法、ユピテルサンダーを連続で唱え、シーオッターを自分を守るセイフティーウォールに接近させないようにして、個別に撃破して行きます。
spit:「とまぁ…こんなモンだ。
帽子を直して、スピットはにやり。
本音。
heriosu:「本音を言わなければ、かっこよく終わったのに…
Liede:「よーし、雷魔法を極めるぞー。
spit:「やめとけ…
苦笑しながら、スピットは道具袋に手を突っ込みました。
spit:「とりあえず、弱ワニでレベルアップして、転職してから…
spit:「あ…
イグドラシルの葉は、戦闘不能になった仲間を蘇らせる事ができる、大樹、イグドラシルの葉です。
いつもはスピット、これを必ず5枚は持っているはずなのですが、今日に限って、道具袋の中に入っていませんでした。
heriosu:「俺も持ってきてないですよ?
Liede:「わたしも持ってるわけがない。
spit:「うむ。
spit:「んじゃ、仕方がないから、帰るか…
スピットは道具袋の中に手を突っ込んで、蝶の羽を探します。
と、ちょうどセイフティーウォールが切れました。
spit:「…あ。
一撃。
spit:「何故だ!? 何故人が別の事をしている時に、隣に突然湧く!?
heriosu:「仕様です。
Liede:「前言撤回。
落としどころを知っていると言ってあげなさい。