studio Odyssey



no title

Written by : kenon

今でもふと思い出す。

あの人の事を。少し前、中学生の頃。
何もかも不器用だった時にただ唯一周りにあった大切なことを教えてくれた人。
名前はよく思い出せないけど。
クラス長。ただみんな親しみを込めてそう言っていた。
俺が、初めて好きになった人。そして、かなわなかった人。

いってきまーす。

いつもの通りに扉を開け、学校に行く。
俺にとってはいやな事、楽しいこといっぱい詰め込んで、他人とかそんなの気にせずに生きている時期。
見慣れた道。たまに工事や立替で風景が変わったりするけど、それも思い出。

そして、いつもの通りに俺は幼馴染を迎えに行く。

おはようございます、おばさん。あいつ、もう準備できてますか?

あら、おはよう。あの子ならもう出てくるはずよ。

そんないつもの会話の後、俺は眠たそうな幼馴染を連れていつもの道を行く。

周りは殆ど小学校からの連れなのであまり気にしてないんだろうと思う。
けれど、幼馴染の彼女と俺は結構大人の人たちから期待の目で見られている。

学校に程近くなってくると、登校する生徒の数もだんだん増えていく。

よ、おはよっ!

突然、後ろから声が聞こえる。と同時に、俺と彼女の両方に寄りかかるように飛び乗ってくる人がいた。

おはよう、クラス長。

おはようございます、いつも通りですね。

俺や彼女のクラスのクラス委員長。略してクラス長なんだけれど、幼馴染の彼女とどうしてだか特別仲がいいのだ。

ん、あれ?元気ない?

ぽんぽんと、背中をたたいてくる。

いや、そんなことないよ。な?

そ?じゃあ今日も3人でわいわいいこー

朝から元気なクラス長と。いつもの一日が始まった。

一時間目から声の大きいひげ先生の授業。クラス長も負けじと大きな声で読んだりしてたので
朝から気分が沈んだ人もいるかも知れない。俺は大笑いしてたけど。

二、三時間目は家庭科。実習だったからみんなそれなりに真剣だった。
クラス長は相変わらず上手で、彼女も今度教えて欲しいとか何とか言っていた。

四時間目は英語で、僕と彼女が当てられている時にクラス長はグーグー寝ていて、
いくら余裕だといっても、寝るとは何事だと先生に注意されていた。

午後からの五時間目でも数学の先生を何気なく脱線した会話に誘導して、クラスみんなで和やかになっていった。

そんなであっという間にいつもの放課後。俺は日直だったので黒板消しの掃除やらで残っていた。

彼女は何か用があるといって一人で帰ってしまった。どこかいつもと違う、そんな感じだった。

クラス長はというと特に用事がないといって俺の仕事を手伝っている。

はー。今日もいい一日だった。やっぱこうでないとだめだわ。

雑巾を絞って窓を拭きながら、クラス長は言う。

やっぱって・・・・いつも同じだろ?クラス長。

ふふ。それを言われると困るなぁ。

何気ない会話で時間は過ぎていく。
時間。改めて考えるとこんな当たり前の流れにも、時間という者があって、終わりがあるんだなぁと思う。
クラス長がいて、彼女がいて。クラスのみんながいて。

こんな場所でも、時間がたったら終わって、みんなと別れて。思い出に。全部思い出にして・・・
何が残るんだろう?何を残せるんだろう。

よし・・・と。後はここだけかな?

そういってクラス長は最後の窓を拭き始める。
仕事が終わればさよならで。繰り返していつしか――――――――――――――――――

・・・いやだ。

?なに?なんか言った?

クラス長がこっちに向いた。

・・・・・なんでもない。

そっぽを向く。クラス長も、暫くは見ていたけどまた窓を拭き始めた。

なくしたくないもの。それは今この瞬間なのだろうか。だとしたらやっぱり自分自身のなくしたいものは・・・
クラス長なのかな。この人と会えなくなるのがいやだから。終わりたくないのかな。

・・・・・クラス長。俺

黒板を拭きながらクラス長に言う。クラス長も、窓を拭きながら聞き返す。

何?なんかおかしくない?熱でもあるんじゃないでしょーね。

・・・・おかしくなんてないよ。でも、なったのかもしれない。



このままみんな成長して、みんな分かれて。それっていいことだと思う。それぞれ、やりたいことあると思うし。

そりゃそうだよね。今のまま永遠なんてまずないし。やりたいこと見つかっていくと思うよ。

・・・・けど、俺は。クラス長とずっと一緒にいたい。

クラス長の手が止まる。
お互い、何もいわないまま時間が過ぎていく。
やがて、窓を少しあけて、また閉める音がした。

・・・・それって私じゃないと思うよ。



思わず振り向く。

クラス長は窓の外を眺めながら話す。照れ隠しなのか、顔はよく見えなかった。

あなたにとって大切な人って、きっと私じゃないから。いつも3人でいて良く分かるんだ。
あの子も。同じ事考えてるから、あそこにいるんだと思う。

ぴっと指を指した方向。幼馴染の顔が、目に入った。
下駄箱の辺りで、ずっと何かを待っているような。

いってあげなよ。たぶん、私はいちゃまずいだろうから。

いつも通りの笑顔で、クラス長は俺を送った。



・・・・・あれから7年。幼馴染の彼女は、今俺の隣に。
下駄箱での一言で幼馴染ではなくなってから、時間は過ぎて全ては変わって行った。
今年正式に結婚して、一緒に歩いていく決心はついている。

クラス長はあの少し後、一人の先生によって学校から追い出されて、数年後、俺たちの前からいなくなってしまったけれど。
クラス長は永遠にクラス長だし、今も大切な。人。

またいつか、思い出の中でも夢の中でも。出会える時を願って。


author:
kenon
URI
http://www.studio-odyssey.net/thcarnival/x04/x0403.htm
website:
http://mastiu.blog.ocn.ne.jp/blog/
author's comment:
 ごめんなさい。
 ごめんな;pぉきうjyhtgrふぇdwsq
member's comment:
<yuni> まず何といっても、誰が喋ってるのか分かりません。改行の頻度が多い上に鉤括弧で括られていないので。
<pochiko> ん、私は好きだけど…
<yuni> や、括らないのも技法なのでアリと言えばアリだけど。あとは全体として唐突で分かり辛かったかなあ。「・・・・・あれから」以下は特に。
<Tia> 場面変わるときに改行増やすとかすれば分かりやすくなるかも。
<pochiko> 文としてメリハリは弱いですけどね。ただ、私から言えるのは…足りないのは技法でも話の構成でもないのです。キャラクターへの愛が足りない!
<u-1> 突っ込んだ話をしてしまうと、これは、時代のデファクトスタンダート的なものに寄りかかりすぎたかな。
<yuni> デファクトって何だろう、教えてgoogle先生
<u-1> 幼なじみとクラス長との間で揺れる主人公がまったくないのに、幼なじみの方に流れてしまうので、あれー?と。
<Tia> ちとキャラクター薄い気がするねぇ。
<u-1> うむ、もっとずっと長い話としてはいいのかも知れぬ。