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とある寒い日の夜だった。
あたり一面が真っ暗闇だったので、とりあえずペンライトをつける。細く弱い光だが、無いよりはましだろう。
スイッチスイッチ、と探してみるも、ここにはそういうのが無いことを言われたのを思い出し、諦める。
「何で私がこんな事をしなければいけないの…」と思いつつも、先へ進む。
先に進むにつれて、段々埃っぽい空気が流れてくる。
「ここにはあんまり長居したくはないな」口をハンカチで押さえながら思う。
「早く終わらせなきゃ」と思って、走った。
ごとん
足に何かが当たった。そして、その何かは右の方へと飛んでいく気配がした。
ごとごとごとごろごろごろ
その何かに何かがぶつかり、雪崩のように落ちた音がした。
びっくりして、ペンライト先の光を音のした方にあててみる。
光が弱くてあまり視認できなかったが、どうやら人の頭のようだ。
首から下の部分には何もない。
怖くなって左に走ろうとして、ペンライト先の光を左にあてた。
赤い鋏(はさみ)と、赤い服の人影がそこにあった。
逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて――
光が見えた。
私はその光に向かって走った。
「――なんなのよ、あれは!怖くてツリーを探す所じゃなかったわよ!」私は姉に向かって私は怒鳴った。
「あぁー、まだ捨てないで取ってあったのか、あれ。」と姉は言った。
「返事になっていない!きちんと答えなさい!」と私はまた怒鳴った。
「ええとね、あれは私が中学生の時に、家庭部で作ったサンタの衣装なのよ。」と姉は答えた。
「――ったく、紛らわしい!疲れた!私はもう探さないからね!」と私は姉に背を向けた。
「ふーむ、今考えると中学生の時の私の体型にぴったりなのよね、あなたは。――あれ、着てみる?」
「じょ、冗談じゃない!あんな所はもう行きたくない!」
そんなこんなで夜は更けるのでした。