studio Odyssey



200xオリジナル追加ルールについて。

 SW 200xで利用される、追加ルールの説明です。基本のルールはソードワールドRPGと変わりません。

200xまでの、フォーセリアの歴史

 SW 200xの世界、新王国歴200xまでの主なフォーセリアの歴史を説明します。
 この設定は、ソードワールドRPGの公式設定に基づくため、公式設定の変更によってゆらぎを受ける可能性があります。

 公式設定の引用に関しては明記しておりませんが、著作権はすべて原作者にあります。

世界の誕生

 私たちの住むこの世界を、私たちはフォーセリアと呼びます。
 フォーセリアの歴史の始まりは、ただ一人の巨人から始まりました。「偉大なるひとつ」、もしくは「万物の始祖」と呼ばれるその存在がいかなるものであったのか、それは未だに定かではありません。その巨人について研究を続ける者も多く存在しますが、それが解き明かされるのは、もっとずっと、未来の話でしょう。

 しかし、ただひとつ、その巨人についてわかっている事があります。それは──この世界が、この永遠の時間を生きた巨人の死によって始まったと言うことです。

 巨人の死により、その肉体は大地となり、最後に吐いた息は風となり、そして全身からあふれ出た血が海になり、巨人が孤独を悲しみ、憤る心は、炎となって世界に熱と生命をもたらしました。
 炎の中から初めに生まれたのが、神々と呼ばれるものたちです。
 巨人の右足からは戦の神マイリーが、左の足からは商売の神チャ・ザが、頭からは知識の神ラーダが、胴体からは大地母神マーファが、邪悪なる右腕から暗黒神ファラリスが、善なる左腕から至高神ファリスが──そして、巨人の身体の至る所から様々な神々が生まれ、同時に、体毛から世界樹を始めとする植物が、鱗からはドラゴンたちが生まれました。
 創世の時代以前、世界は巨人の死によって生まれたさまざまな要素──私たちが呼ぶ、「原初のマナ」に包まれていました。それは力にも物質にも分化せず、自身を制御する法則も持たず、ただ、競い合うように世界を広げていったとされています。

 神々は、その原初のマナに法則を与え、フォーセリアを「世界」として構築させて行きます。
 神々は、まずは世界を三つに分けました。
 ひとつは純エネルギーのための世界、精霊界。
 ひとつは肉体を持つものたちのための世界、物質界。
 ひとつはこの二つを繋ぐための世界、妖精界。
 そして神々はそれぞれの世界に、古代種族と呼ばれる種族を作り、世界を広げて行きました。

神々の戦いと、暗黒の時代

 やがて、創造の時代は終わりを告げ、後に訪れたのは、争いの時代です。これは、神々の間に生じた些細な相違が端を発したと言われていますが、一説には世界の完成こそが、世界の崩壊(終末の巨人)を招くと考えたファラリスが、それを嫌ったからだとも言われています。

 真実はともかく、その争いは、神々の作り出した三つの世界を巻き込み、ついには光と闇の勢力に別れて、古代種族のすべてを巻き込む最終戦争となりました。
 最終的に、この戦いは、一部の中立神を除くすべての神々が、竜王たちによって身体を滅ぼされ、その竜王たちもまた互いを食らい合うという、勝者のない結果に終わりました。

 そして、フォーセリアには、暗黒の時代が訪れます。

 勝者なき戦争に生き残ったのは、神々や竜族とは比較にならないほど弱い、人間や妖魔、妖精といった種族でした。それは単に数が多かったからということに他なりません。
 暗黒の時代を生き抜くため、人間や妖魔、妖精たちは、それぞれの種族で、それぞれの国家を作り出しました。
 そしてその暗黒の時代の中、物質界にうまく適用していった人間という種族は、神の言葉を魔法という技術に昇華した、上位古代語を生み出しました。そしてこの発明によって、古代カストゥール王国の時代が到来します。

古代カストゥール王国の繁栄と滅亡

 魔法の力を手に入れた人間たちは、カストゥールという魔法王国を建国しました。
 魔法語に通じた偉大なる魔法使いたちによって治められていたというこの王国は、魔力により発展し、都市を宙に浮かべ、成長したドラゴンさえも下僕としてあつかったと伝えられています。

 この時代、人間は魔法を三つに分けました。
 ひとつは神々の言葉を魔法という技術に置き換えた、古代語魔法(ハイエンシェント)。
 ひとつは神々の作り出した純エネルギーである精霊の力を借りる、精霊魔法(サイレントスピリット)。
 ひとつは力としての存在だけになった神々の奇跡と呼ばれる力を借りる、神聖魔法(ホーリープレイ)。
 生み出されたこの三つの魔法形態を元に、カストゥール王国は発展を続けました。そしてついには、無限の魔力を供給すると言われる、魔力の塔を完成させました。カストゥールはこれにより、魔法の可能性を無限に広げる事が可能となり、対立する多種族の王国を攻め立て、版図を広げていきました。

 古代カストゥール王国時代には、さまざまな魔法器、魔法装置が創られ、アレクラスト大陸のみならず、海を越えた世界の各地に都市が建設されました。空中都市レックス、湖上都市、幻覚都市、そしてカストゥール王国最後の王都、精霊の力を借りて地中に建設された精霊都市、フリーオン。
 その繁栄は永遠に続くかと思われたのですが──カストゥールは、その自らを繁栄させた魔力の暴走によって、滅びることとなります。
 それはカストゥールの最後の王都、フリーオンで起こりました。

 カストゥールの最後の王都、フリーオンは、地下都市の機能を維持するため、四大の上位精霊たちが呪縛されていました。その精霊たちは魔力によって確かに制御されていたはずでしたが、何らかの理由により、その四大の上位精霊のうちひとつ、大地の魔獣ベヒモスが突如変異し、残る三体の上位精霊と融合し、複合精霊アトンとなったのです。
 複合精霊アトンがいかなるものであったのかは、定かではありませんが、それは自然や生物から精霊力を吸収し、成長し、人の形を成したと言われています。それは万物の始祖である、巨人と同一視する見方も今日ではありますが、定かではありません。ともかく、複合精霊アトンによって精霊力を吸収された場所は、風も吹かず、水も流れず、植物も宿らず、太陽の恵みも届かない不毛の場所となったとされています。それは今では多くの者に知られている、無の砂漠に相違ありません。

 カストゥールは、アレクラスト大陸最高の魔術師である魔法王ファーラムの肉体を素材として、アトンを倒すべく、一本の剣を作り出しました。そしてカストゥール最高の戦士によってその剣はフリーオンで振るわれ、アトンを消滅させます。

 しかし、カストゥールはその代償として、その剣が必要とした魔力の膨大な力に、自らの発展の礎となった魔力の塔を破壊されてしまいます。
 そして、古代魔法王国カストゥールは、魔法の力をほとんど持たない、彼らが蛮族と呼んでいた者たちの反乱によって、滅びたのでした。

新王国期・剣と魔法の時代

 そして、フォーセリアには、新王国期と呼ばれる時代が訪れます。

 神々の時代に栄えた神の力は、一部を残して、存在することはなく。
 古代カストゥール王国に栄えた魔法の力もまた、一部を残して、存在することはなく。
 代わりに生まれた、新しい力、剣の時代が、幕を開けました。

 新王国期は、人間を中心として、光の眷属であったエルフ、ドワーフ、グラスランナーといった種族と共に、緩やかに発展していきます。多少のいざこざや国家間の戦争はあったものの、古代魔法王国期の負の遺産とも言える、世界を滅ぼすような出来事の多くは、英雄と呼ばれる者たちの手によって、ことごとく打ち砕かれてきました。
 よって、ある者はこの時代を、英雄の時代と呼ぶ者もいます。

新王国期・剣と魔法の時代の終わり

 しかし、新王国期・剣と魔法の時代の最後もまた、歴史として存在する事は揺るぎない事実です。

 しかもそれが、古代王国を滅ぼした、複合精霊アトンに由来するものであるというのもまた、フォーセリアの運命なのでしょう。

 新王国歴520年、アレクラストでもっとも高名な冒険者パーティー”見つけるもの(ファウンダーズ)”が、いっさいの精霊力が働かない『無の砂漠』の調査に向かい、そこで伝説の地下都市、フリーオンを見つけ出しました。彼らはその地下都市の探索を行い、さらに二つものを発見をします。ひとつはすでに語られた、カストゥール滅亡の真相が記された歴史書であり、そしてもうひとつの発見が、街の中で働く、ごく微小な精霊力の存在でした。

 ファウンダーズの精霊使いは、精霊力が働かない無の砂漠で唯一感じる精霊力に興味を持ち、その精霊力を活性化させ、精霊を召還しようと試みました。彼はそうすることで無の砂漠に精霊力が復活するだろうと考えたようですが、その期待はかないませんでした。
 その微弱な精霊力から召還されたのは、なんと、ファーラムの剣の魔力で滅びたと思われていた、魔精霊アトンだったのです。

 こうしてアトンは復活し、戦いを挑んだファウンダーズは全滅、魔術師バレンただ1人が、テレポートの呪文でオランへと帰還しました。
 逃げ帰ったバレンは、オランの賢者、マナ・ライの元を訪ね、古代王国滅亡の真相と、アトンの復活を伝えました。

 マナ・ライは、複合精霊アトンが、精霊力のない無の砂漠を横断するのは、遅くとも十年のうちだと予測しました。もしもその期間を過ぎれば、アトンは精霊力のある場所にたどり着き、再び力を取り戻し、世界を滅ぼすだろうと考えました。そしてそれと同時に、マナ・ライはカストゥール王国の魔術師たちがあらゆる手段を講じても滅ぼすことのできなかったアトンを倒すため、アトンを倒した魔法の剣、ファーラムの剣を探し出すようにと、世界中の魔術師ギルドへと、伝令を飛ばしたのです。
 それは、マナ・ライのひとつの賭けであったことは言うまでもありません。ファーラムの剣が実在するという証拠はなく、ただ、マナ・ライの「もし剣が壊れていれば、魔力の塔は暴走していないはず。アトンを倒したあとも剣が魔力を発揮しつづけたからこそ、塔は崩壊したのではないか」という推論に基づくものでした。

 結果として、複合精霊アトンは、再び滅ぼされることとなります。

 しかしこの出来事により、新王国期はやがて混乱を極め、国家間の戦争が激化していくのでした。さらに人々はアトンの存在を恐れ、魔法を少しずつ手放していくことになります。

新王国期・現代

 魔法を少しずつ手放し始めた人間は、その代替手段として、科学という力を身につけます。

 科学とは、新王国期に考えられていた、世界を構成する要素が精霊であるという考えをさらに細かく分析、解析した過程で生まれたものであり、今では原初のマナを118個の要素(エレメント)として定義し、元素と呼んでいます。

 素質を要する魔法を捨て、科学に傾倒していった人間は、今では精霊という概念は自分たちが世界に存在するものを元素の集合体として考えているのと同じように、神々が自らの扱いやすい単位として要素を構成し、人間には不可能である、命を与えるという行為をおこったものだと考えるまでになっています。

 やがて、人々は科学と魔法を使い分け、または融合させ、再び発展し始めました。
 そして今では、新王国時代を遥かに凌駕する世界が、我々の目の前には広がっているのです。


世界観

 歴史に基づく、SW 200xの現在の世界観を説明します。
 大前提として、ソードワールドRPGの公式の舞台である、新王国歴520年前後のフォーセリアが、そのまま1500年ほど経過した世界であるという事実だけは、忘れずにいてください。

概略

 SW 200xの舞台となる世界は、基本的には現実世界の現代と変わりません。科学は存在し、車も走り、電気も付きます。ただ違う点は、魔法や魔物が、今も少なからず存在するという事です。

 例えるなら、街は区画整備され、道も広く、車や電車が走ってはいますが、病院では神聖魔法による治療が存在します。もっとも、医療技術も現実に我々が住む世界と同じレベルにまで発達していますので、特に必要でないのであれば、神聖魔法による治療が行われる事はありません。
 というのも、神聖魔法を使うことのできるプリーストは、神の声が聞ける人間でなければならず、その数は決して多くはないためです。付け加えれば、ちょっとした切り傷などにそのような貴重な人材の貴重な力を使うよりも、工場で生産された絆創膏はった方が、遥かにローコストで、万人へのケアを行うことができるためです。
 しかしながら、リザレクション等の高度な魔法を使える人間は、極少数ですが、存在します。しかし、その力が行使されることは、まずありません。というのも、それを行うという事は、現代の国家思想に共通して見られる、万人に与えられる基本的な平等の権利というものを侵害するためです。リザレクション等の(平等でなければならない人権の侵害が起こりうる、すべての)魔法は強く制限されていますし、ほぼ例外なく、その力の行使は、神殿の最高権力者(または国家のトップ)によって決定されなければならないとされています。

 いくつかの魔法には制限が(もちろんそれは倫理や法律によってですが)されてはいますが、この世界では、魔法が便利な場合は魔法を、文明の利器が便利な場合はそちらを、と、人々は使い分けて暮らしていると考えてください。

主要国家の現在

アノス
現実世界で言う、ローマとバチカンを融合させたような国家となっています。
法王は新王国期と同様に存在していますが、それは現実世界でいうバチカンに近い状態です。アノス、という国そのものはローマと同じような国家となっています。
エレミア
もっとも科学が発展している、技術大国となっています。基本的には民主主義国家となっています。
アメリカをイメージするとよいでしょう。貧富の差は多少なりともあります。
オーファン・ファンドリア
オーファンとファンドリアは現在2つの国として存在していますが、一時期、ファンというひとつの国になりました。
しかし、第二次世界大戦(世界大戦については後述)の際に敗戦国となり、連合国によって分割統治された際に、再びオーファンとファンドリアに分かれました。その際、首都ファンは東西に分割統治されます。そしてその後の歴史は現実世界の東西ドイツとベルリンのような歴史をたどります。
現実世界との唯一の違いは、壁がまだ存在しており、分割されたままだと言うことです。
蛇足ですが、ファンドリアではファラリス信仰が相変わらずに残っています。(もっとも、宗教の自由は多くの国で認められつつあるため、ファラリスは現実世界でいうところのカルトと同じようなもので、嫌がられこそすれ、完全なる悪ではありません。ファリスもファラリスを断罪するような事はありませんし、そのような権力も、現在のファリスにはありません)
オラン
王室は未だに存在していますが、近代的な民主主義国家となっています。現実世界でいうならば、イギリスの政治形態に近いものです。プレイヤーにもっとも簡単に遊んでもらうのであれば、オランを現実世界の日本と全く同じに考えてかまいません。(その際は、皇室がオランにおける王室と同等のものと考えてください)
オランから少し離れたところには、世界遺産でもある有名な観光名所、パダがあります。なお、パダにある落ちた都市レックスの発掘調査は現在も進行中で、古代魔法王国期の魔力の塔を再建するような技術は、まだ発掘されていません。(ただし、ルール上は存在しない10レベルを超える魔法が存在しないわけではありません)
ザイン
未定です。
テンチルドレン
テンチルドレンの都市国家たちは連合国となっています。それぞれ、独自の政治形態を持っていますが、最高決議はテンチルドレン全体で行います。
基本的にはテンチルドレンの各国は現在では観光収入を国家の財源としている国が多いようです。特にガルガイラスなどは世界でも有数のリゾート地となっています。
バイカル
未定です。
プリシス
ロードリルに併合されています。
ミラルゴ
未定です。
ムティール
商業国家として成立しています。
ラムリアース
古き良き魔法文化を今も根強く残している国家です。王政は存続していますが、政治は議会によって決定されます。
首都ラムリアースのほとんどが世界遺産として登録されているため、改修や都市計画を行うことができない国ですが、古代魔法王国期の魔法建築は今もその姿を変えることなく、残っています。
ロードリル
魔法が禁止されていたため、アレクラストの初期の近代化を牽引してきた国です。現在では、アレクラスト大陸唯一の社会主義国家となっています。
なお、王政は国家としての必要性レベルにおいて残っており、今も女王がいますが、ジューネIVのような女王が支配しているわけではありません。
ロマール
交易の要として発展してきたロマールですが、現在では陸路、空路、海路が一般的になってきたため、交易の要としての発展は見る影もありません。
ただし、近代化の波の中で、その組織化された盗賊ギルドが暗躍し、世界の情報はすべてロマールを経由すると言われるほどの情報大国になり、そしてその影響を表向きにも反映し、表向きはアメリカのラスベガスがそのまま国になったような雰囲気となっています。
なお、闇市は地下に潜ってしまいましたが、今もなお存在しており、世界一のブラックマーケットが存在し続けています。

主要国家が現在に至るまでの歴史の流れ

 主要国家が現在に至るまでの主な歴史の流れは、現実世界の産業革命以降の歴史の流れと関連づけて考えてかまいません。押さえるべきポイントは、アレクラスト大陸の国家は、二度の大戦を経験していると言うことです。(これを世界大戦とし、ファーランドやケイオスランドを巻き込んだものとしてもかまいません)

 この戦争により、いくつかの国家は合併や、分割統治がなされています。(アレクラスト大陸の国家があまり統廃合されていない点に関しては、二次大戦時の戦勝側となった連合軍が、アレクラスト大陸側の国家であったと考えてください。オーファンとファンドリアの関係はここから生まれています)

 さらには、この二度目の大戦時に、科学を元にした武器の多く(銃やミサイルなど)は、魔法的な処理が施され、使用が制限されています。(国連に相当するものの使用許可が必要であるとか、銃であれば所有者本人にしか使えないといった具合です)
 なお、現在も科学の多くは人間によって発見されますが、銃器等の制作にはドワーフの職人たちが多く関わっている事も追加しておきます。


冒険者

 プレイヤーはこの世界を舞台に活躍する冒険者となり、シナリオをプレイします。

 しかし、すでに世界観からもわかるように、それはソードワールドRPGの冒険者と、全く同じものではありません。
 ただし、根本的な前提として、どれだけ文明が発達しようとも、フォーセリアには魔法が存在しますし、妖魔などの危険なモンスターが存在し続けています。
 故に、彼(彼女)らは、未だに残る世界遺産の解明されていない遺跡を探索するだとか、未だ地方に時折現れるモンスターの退治だとか、トラブルの仲介などを頼まれ、それを解決する事を生業としています。
 もっとも、現在ではその数は著しく減り、かつ、素質の必要な魔法を使うものが冒険者となることが多いこともあり、冒険者と呼ばれる者たちは、ひとつの世界規模のコミュニティを形成しているのが実情です。

冒険者のコミュニティ・冒険者学校

 フォーセリアの冒険者たちには、いくつかの特徴があります。もっともわかりやすいのは、魔法が使える者が多いと言うことです。それ以外にも、ソードワールドRPGの特徴として、「冒険者になる者は、英雄の素質がある」となっています。ここではそれらをまとめて「素質」と定義します。

 冒険者たちはすべからく、素質を持っています。
 素質がいかにして芽生えるかは、ここでは触れませんが、この時代では、素質のあるものは、その者が冒険者を志すのであれば、冒険者学校への入学を許可されます。(なお、魔法の素質に目覚めたものは、その素質を持つ者の少なさや、力の管理の意味からも、冒険者学校への入学をほぼ強制に近いかたちで勧められます)

 冒険者学校では、一定の期間、冒険者として必要な知識を学び、実践経験を積まれさます。
 これによってライセンスを取得したものは、冒険者として一定の武装を許可され、モンスターが現れる地方都市の警備だとか、魔法の研究だとか、世界遺産の探索等が許可されます。

 プレイヤーはこの冒険者学校の生徒としてプレイに参加し、卒業までの実習をシナリオとしてプレイします。
 このときの適正レベルは1〜5レベルまでです。それ以上のシナリオをプレイする際は、この世界を利用せずに、従来のソードワールドRPGの世界を利用した方がよいでしょう。これ以上のレベルでのゲームをこの世界で行うには、あまりにも科学と魔法のバランスが悪くなるためです。
 実際、卒業後の冒険者たちの進路は、魔法の研究、神官であれば教義を広め、神の声を聞くことのできるものを増やすための布教活動、地方都市警備などにつくことになるでしょうから、心躍る冒険からは離れていくでしょう。もちろん、世界遺産の探索シナリオをしてはいけないというわけではありませんが、それをこの世界で行うことにどれほどの意味があるかを考えると、オススメはしません。

冒険者学校の概要

 冒険者学校は学校ごとにその内容に多少の違いはあれど、おおむね同じ体系をしています。
 これは冒険者を管理する母体が、世界共通であるためです。

1.就学者年齢
13歳からの入学が認められ、最低4年間の就学が義務付けられています。
入学年齢の上限はありません。
ただあまり高齢になってから冒険者を志す者は少ないでしょうが、素質が高年齢になってから発現するという事がないわけではありません。
2.カリキュラム
最初の1年は一般常識と基本事項の学習に当てられます。故に、実践的な技能が使えるのは2年からです。ゲーム的には、1レベルの技能の取得は開始時にすでに取得していますが、実際には入学後、1年かけて学んだ事とされます。すなわち、すべての冒険者は14歳以上の年齢となります。(例外がないわけではありません)
2年目からは、レベル1以上の技能等を学ぶと共に、冒険者仮免許が配布され、複数人数でパーティー(以下PT)を組んでのフィールドワークが義務付けられます。シナリオとしてプレイするのは、ここからの3年がメインとなります。
必要座学単位とフィールドワーク単位を必要数修得し、必要就学年数を修めた者が卒業という形になります。もちろん、成績が悪い生徒は留年することもあります。
なお、成長速度としては、1年で1レベル上昇するという程度の成長速度を基準としてください。すなわち、卒業時に3レベルか4レベルです。もっとも基準ですので、そうでなければならないというわけではありません。
3.専門学科
通常の一般常識の座学は学年のクラスごとに行われますが、専門技能の基本授業に関しては各学科に分かれて行います。
冒険者候補生は入学時に自分の適性にあった学科を選択し、その学科で技能を学びます。専門学科の選択数は限られてはいませんが、あまり多くの学科を取るのは無理でしょう。
これはルール的な問題もあることを付け加えておきます。
主な学科は、ソードワールドRPGに存在する技能と対応し、以下のものがあります。
  • ファイター学科
  • ソーサラー学科*1
  • プリースト学科*1
  • シーフ学科*3
  • シャーマン学科
  • レンジャー学科
  • セージ学科*2
  • バード学科
*1:ハイエンシェント、およびホーリープレイは、先天的な素質がないと入ることができません。よって、生徒の数は多くないようです。また、ホーリープレイに関しては、複数の神がいるため、学科内でさらに宗派ごとに分かれています。
*2:ソーサラー学科と重複するところがあるため、ソーサラ学科の生徒は免除になる授業があります。ルール的には、経験点の軽減処置です。
*3:セージ技能の取得を軽減するルールを追加してもよいかも知れません。シーフにも、知識が必要である可能性があるからです。
4.フィールドワーク
カリキュラムの項で述べたフィールドワークについて詳しく説明します。
フィールドワーク(以下依頼)はパーティ(以下PT)単位で受け解決します。この時に組むPTは同学年である必要はなく、学年をまたいで組むことができます。同じ学年に都合よく適切な技能をもっている者がいない場合の救済処置だったのですが、神聖魔法にいたっては神の声が聞こえるという限定条件のため、人数が少なく、また活動の幅を広げる意味でも、今では学年をまたいで自由にPTを組むことのほうが主流になっています。(すなわち、プレイヤーは自分のキャラクターの年齢および学年を、PTメンバーのそれと同じにする必要はありません)
フィールドワークのためにPTを組んだ生徒は、PT内で代表者を決め、その代表者名義で依頼を受ることができます。
依頼は学校内の依頼事務局に集められ、そこで生徒に公開提示されます。依頼を受けたPTは依頼事務局に活動予定を提出、その後に依頼をこなします。また、受けた依頼を途中で辞退する時、依頼を完遂したときには報告書の提出が義務付けられています。報酬は依頼を完遂した場合に依頼事務局に治められ、手数料を引かれた後、完遂したPTに支払われます。前金が発生している場合は、依頼を完遂できなかった場合にのみ、依頼事務局への返済が義務付けられています。
このように、間に依頼事務局がいる関係で、ある程度の前情報は事務局のほうで用意してあるかもしれません。
すでにこの説明からわかるように、公式ソードワールドRPGでの冒険者の店に相当するものが、依頼事務局となります。
5.装備などの購入
武器や防具、道具などの購入は、街にある専門店、学校の購買などで行えます。
購入の際にはライセンス(又は仮免許)の提示を求められます。また、銃器などの強力な武装は専門のライセンスが必要ですし、使用目的を聞かれることもあるでしょう。冒険者候補生には、それらの購入は非常に困難です。(銃器等、装備の詳細については、科学と剣と魔法のバランスのルールを参照してください)

科学と剣と魔法のバランスのルール

 SW 200xの世界でもっとも問題となるのは、科学と剣と魔法のバランスです。
 この決して無視できない事柄について、以下に記述します。

銃などの、強すぎる武器

 この世界には、銃などの強すぎる武器が存在します。ただし、そのような強すぎる武器は「主要国家が現在に至るまでの歴史の流れ」で触れたように、魔法的な処理を施され、一般には手に入れることも、使うことも困難となっています。

 もちろん、違法なものがないわけではありませんが、プレイヤーはそれらを手に入れる事はできません。敵キャラクターにそのような武器を持たせる時は、銃であれば、その形状から、打撃力30-50の間で設定すべきです。これはかなり強力な武器ですので、バランスには十分注意してください。(それこそ、クライマックスで一回使えるかとうかというレベルです)
 ミサイルや戦車のような科学兵器は使うべきではありませんが、どうしても使いたい場合は、それらは魔法と同等にデザインするとよいでしょう。

プレイヤーが持つことが可能な銃

 プレイヤーが唯一持つことのできる銃があります。
 これは冒険者学校を卒業する際に渡される銃です。これはすべての冒険者学校で、同じものが渡されます。それらは魔法的な処理が施され、ライセンスと共に卒業生の行動を知るために利用されます。もちろん、その銃は武器として利用する事もできますが、基本的には装飾の施された銃ですので、あまり利用する者はいません。このとき、この銃を使うことができるのは、受け渡された者のみで、必要筋力は10、打撃力は30です。ファイター、レンジャー、またはシーフ技能で補正を受けることができます。それ以外の技能では、攻撃力は常に0です。クリティカルは10となります。金属鎧では、クリティカル値が変化します。

武器と防具

 冒険者が装備する事のできる武器と防具は、ソードワールドRPGにある武器と防具を基本とします。オリジナルの武器をくわえてもかまいませんが、基本は剣やメイス等の、ファンタジー世界で一般的に使われている武器を、防具もまた、それに準ずるものを利用し、その数値を利用してください。

 これはゲームを簡略化するだけでなく、フィールドワークとして冒険に出る生徒たちに課せられている試練であるとも言えます。もちろん、高品質や銀の武器などがないわけではありませんが、それらはある程度冒険が進んでから、学校側から与えられることが望ましいでしょう。

 銃などの武器が使えない理由は上にありますが、そこで剣やメイス、弓などを利用しなければならないという理由のひとつとしては、フィールドワークで世界遺産の遺跡を探索することになったとき等に、その被害を少なくするためという理由もあります。命をかけてのゴブリン退治に、強すぎる武器を使えないのはなぜだという疑問もあるかと思いますが、この世界では必要以上に強すぎる武器は管理されているのだと考えてください。冒険者学校か専門店を通さずにプレイヤーたちが入手できる武器は、現実世界の日本で手に入れることのできる武器と、ほとんど差異はないと言うことです。

 なお、防具はプレートアーマーやハードレザー等と表記しますが、それがどのようなデザインであるかは、完全に任意です。ケプラー素材のインナーがプレートメイルと同等の防御力を持っているとセッション内で設定してもかまいません。

帯剣などの制限

 国によってまちまちですが、たとえ冒険者であっても、帯剣や町中での魔法の使用は厳しく罰せられます。フィールドワーク中であれば特例で認められるかもしれませんが、基本的には、町中では帯剣はできないものと思ってください。魔法の使用も同じです。

一般的なアイテム

 一般的なアイテムは実在するアイテムに相当するものに置き換えて考えてください。ランタンやたいまつは懐中電灯としてかまいません。

 実在するアイテムのほぼすべては、何かしらのルートで購入可能です。それらは完全にGMの都合によって決められます。現実世界にあるアイテムで欲しいものがあれば、GMに相談してください。たとえば携帯電話やパソコン等が欲しいというプレイヤーがいれば、持たせてもかまいません。バイクや車等を欲しいというプレイヤーがいれば、年齢を理由に却下してもかまいませんし、それをシナリオとして組み込んで取得させてもかまいません。特に一般技能が必要であるとはしません。それらの多くは、現在では普通に使われているからです。(とは言え、パソコンを使ってハッキングを行うだとかは、技能で判定されるべきです)


テストプレイによって追加されたルール

 テストプレイ中に、追加すべきだ、追加した方がよいとされ、追加されたルールを記述します。

共通の追加ルール

言語に関すること
すべての冒険者は共通語の会話と読文、および母国語の読文と会話ができます。
これは基礎的な教養として、教えられるためです。

テストプレイでわかったこと

 テストプレイの舞台はオランです。
 そのため、ここであげられる事は、オランでの話と限定してもかまいません。

冒険者学校のこと
冒険者学校では、4月にパーティを組み、それを事務局に申請するそうです。
そのパーティは1年間組むことになり、少なくとも1年間は同じメンバーで活動するようです。
次年度同じメンバーでパーティを組むかどうかは任意のようです。仲がよければ、また同じパーティを組むのでしょう。
何かしらの理由があって、パーティを離れるものもいるかも知れません。上級生が下級生のパーティに入るのは、そのような可能性が高いのかも知れません。
学校には制服があるようです。(オランのそれは、ブレザーだそうです)
学校には寮があるようです。全寮制ではないと思われます。
実習用のダンジョン等が施設内にはあるようです。簡単な罠や、致命的でないトラップが仕掛けられているようです。
4年生で卒業できなかった場合は、4年生扱いのまま留年するようです。そこまでは、普通に学年があがっていくそうです。
オランについて
オランは現在の日本とほとんど変わらない文化のようです。
携帯電話は、GMの任意で持っている事にしてもよい程には、文化レベルが進んでいるようです。
冒険者学校でも、特には規制はないようですが、実習室等は魔法的な処理が施されている事でしょう。
精霊魔法
サラマンダーを使う、ファイヤ・ボルトは、ダンジョン等でランタン、たいまつを利用しないことから、ライターなどから撃てるようにすべきかもしれません。ただし、取り出すのに1ラウンドかかるなどの制限を付けるべきです。

さいごに

 SW 2000xは、ソードワールドRPGのルールで現代をプレイする事ができるかどうかという、お遊びです。
 多くの問題点をはらんでいますので、GMはさまざまな状況に対して、現実世界の常識を基本に判断してください。唯一の現実世界との違いは、たしかに魔法が存在し、神が存在し、モンスターがいると言うことです。

 それ以外は現実世界と全く変わらないと考えてかまいません。一般的な学校はありますし、デパートもCDショップもあります。電車も飛行機も車もありますし、各国間には外交があり、パスポートを手に渡航でき、戦争もあります。
 古代遺跡は世界遺産として保護されていて、観光名所にもなっていますし、新王国期の英雄たちは歴史の教科書に載っていて、漫画やアニメ、映画化もされていたりします。

 現実の世界と、このSW 200xの世界は、何ら変わりません。
 ただ、剣と魔法が存在し、モンスターたちが、今もいると言うだけです。