studio Odyssey



Session 00

 2004.12.17/22:30〜

キャラクター作成でてんやわんや。

 2004年12月17日。

 IRC上に集まった今回のプレイヤー6名中の5名が、今まさにこの物語の登場人物となるキャラクターを作り上げようとしていた。

 プレイヤー6名の内、2人がTRPG未経験者。
 オンラインセッションという形態に関しては、GMも含め、未経験者5名という、はたしてどうなるのか…という滑り出しは…

 予想通りに混乱した。

「じゃあ、キャラクター作りに入りますか。
「まず希望種族でも言いますかね?
「んだね。
「俺、レッサーバンパイアw
「 Σ
「 (;´Д`)
「あれー!?
「OKOK、ジョークだ。
「じゃあぼく、のーぶるりざーどまn
「しまった、フェザーフォルクとか言うべきだったかw

 すべて、プレイヤーキャラクターとして使えない種族である。(というか、モンスター)

「まぁ、お遊びは置いといて、ぶっちゃけなんでもいいです。一応経験者ですからw

 そんなこんなで、キャラクター作成が開始されましたが…

 本来ならば、種族を決めて能力値を決定していくという段取りで作成されるべきものが、種族を決めたあと、何故か生まれに面々はこだわり始める。「ある程度生まれがばらけている方が、バランスいいんじゃない?」という理由によるものだったが…

 人間生まれを選んだ4人のプレイヤーがサイコロを振るう。

 が、ばらけはしたものの、誰一人として望んだ生まれになることはなく…

「生まれは貴族以外なら、自由に選んでよいよ。
「じゃあ、貴族で…
「マテ。

 GMの粋な計らいにより、「商人」、「魔法使い」、「盗賊」の生まれを3名が選択。1名は貴族を目指し、果敢にサイコロを振るも「狩人」になる。しかも彼は、普通に振った時も「狩人」であった。「狩人か…しゃーない…」

 生まれを決めた面々は、ついで所持金を決めるべくサイコロを振るが…

「うわ。
「Σ
「安っ!?

 商人生まれのプレイヤーが、所持金で1ゾロを振るという驚異を見せつけた。
 所持金、400G(ガメル)。

 快調な滑り出しである。

「ウゾダドンドコドーンorz

 続いて振った魔法使いの生まれのプレイヤーは600G。「何故!?」それを後目に、盗賊の生まれのプレイヤーは2000Gをたたき出す。

 さて、残された一人はエルフを選択。ころころと所持金を振ると、ダイスボットが2行を振るう。この時の出目は3と9。ただし、2行出た時は上の行という決まりを作っていたので、所持金は600G。「下の行ならなぁ…」「600G仲間が出来た。君とは友達になれそうだw」

 そしてころころと能力値決定タイム。

 GMが1度だけ、1カ所の振り直しを「エルフ以外」に認め、人間のプレイヤーたちはころころと低い能力値を振り直す。「エルフは不許可」「何故だー!?」

 十分に能力値が高かったためである。

 みんなが振り直し、能力が上がる中、魔法使いのプレイヤーが「元7」の値を振り直すと宣言。「じゃあ、皆。僕が1ゾロ振ったら愛してくれる?」「世界を敵に回しても愛してあげる」「冷たい視線で愛してあげる」「それは愛してるのか」

 皆が見守る中、ころころっとすると、その値はなんと10
 普通に強くなる。

 続いて狩人のプレイヤーも振り直し。「5」の値を変更すると…なんとその結果は6ゾロ
 一気に2つの能力値が跳ね上がる。

 ここでGMぽつりと。

敵を軒並み1ランクUPさせるか…
「まって、強いキャラでバランス取らないで。

 さて、そして技能を取り、お買い物タイム。
 ここでシーフの初心者プレイヤーに「必要筋力の半分以下の武器でないと、シーフ技能で戦えない」という話をすると、「端数は?」という素朴なギモンが変える。

「切り捨て。
「切り捨てじゃない?
「切り捨てだったと思う。
「切り上げ。

「民主主義に乗っ取り、切り捨てになりました。
「民主主義とは大多数の意見を効率よく通すシステムでなく、少数の意見を効率よくつぶすシステムです。

 素敵な自由民権システムである。が…

「あああああああああああああ、まて。
「どしました?
「切り上げって、書いてあるぞ。
「まじすか。
「Σ( ̄□ ̄;)
「ウソダドンドコドーン!!
「切捨てだと思ってた…
「ここはうろおぼえなインターネットですね。
「完全版、P48。

 正解は、切り上げでした。

 わいわいお買い物タイムが続く中、商人生まれのファイター/プリーストがとんでもないことを呟き…

「クロースアーマー(必要筋力3)とスモールシールドを購入。所持金確認:300。
「クロースの3って、マジか!?
「Σ( ̄□ ̄;)
「お金が無いんだ!?

 商人生まれの彼は、ピンゾロを振って、所持金がわずか400Gであったのである…
 そして600Gをたたき出した、魔法使いのプレイヤーもまた、

「で、色々そろえたら僕の所持金5ガメルになったんですが。
「赤貧パーティ?
「はっはっは。私も目前に飢え死にって結末が見えてるが、同じ600G同盟が何か?
「おおおおおおおおおおお、確かに、買えない。
「マスター、仕事ください。
「じゃあ、とりあえずブロードソードの筋力8、ハードレザーの筋力8で合計470G、残金1530。
「この、金持ちめ!!

 さてさて、楽しいお買い物タイムは続きます。
 所持金をやりくりしながら、魔法使いのプレイヤー。

「5Gはきっついなぁ。誰かお金あるひと、ランタンかって。そうすれば俺50G浮く。
「ランタン二個持たなきゃ!!
「どこのヒースクリフ様ですか。
「たいまつでいいじゃない。
「たいまつ持ってないと、ファイアボルトつかったらランタンぶっ壊れるな。
「ああああああああああああ。

 叫ぶエルフのプレイヤー。

(らんたんを消しゴムで消す僕
「600Gの盟友が私のランタン壊すのか。

 エルフが初めから持っている技能、精霊魔法の中にあるファイヤボルトという攻撃魔法は、炎の発生源から炎のつぶてを飛ばす魔法です。(つまり、ランタンから出すとランタンが壊れます)

「最初から食事を持つことは可能ですか?

 と、商人生まれのプレイヤー。

…ッ!?

 顔色を変える魔法使いのプレイヤー。

保存食の事を失念してたッ!!
「盟友が餓死の危機です!!

 お買い物タイムが終了し、さて、とうとうキャラクターの公開です。
 「じゃあ、私から」と、キャラクター紹介が始まります。「人間の男、騎士のリジェル…」「マテ」「じゃあ、アリス斬り、と…」「両手剣を好み(鯖缶」

 名前をうんうんみんなが唸っている所に狩人のプレイヤーがAFK(アウェイ・フロム・キーボードの略。パソコンの前から離れていること)から戻ってきます。「おかえりなさい、アイテム購入とか名前とか性別を決める段階です」「ん。じゃあ…ゼルク=アルカナで」「みんなその路線なのかYO!!」

「ところで、性別はみなさんどうするのですか?

 ふと、魔法使いのプレイヤー。

「私は、パーティバランスを見て決めようかと思っているのですが…
「?

 エルフのプレイヤーは言いました。

エルフに男がいるのですか?

「 Σ( ̄口 ̄)
「 Σ( ̄□ ̄;)

 快調な滑り出しの、オンラインセッションが、今まさに始まろうとしていました。