studio Odyssey



それは終わりなき即興曲。


突如現れたもう一組のspitとappi


spit:「ゴジラとか言うな。
spit:「メカゴジラとも言うな。

 ここはカピトーリナ修道院。

 スピットとアピの結婚式が、とどこおりなく(?)終了したかと思いきや、突如立ち上った光の柱の中から姿を現したのは、もう一組のスピットとアピ。


appi:「スピさんは…

 と、アピが言います。

appi:「そちらの方と、結婚してしまうのですね…


spit:どちらの方を指しているのかが、まったくわかりません。


spit:「そこのWiz!!



spit:何者だー!?



spit:「そのまま返すぜ、このWizがぁ!!



Linecell:「DOPだ…*1
rekusureime:「え、え…あれ!?
mayumi:「かるーくスワッピングからかな
"hayate":「これが本当の合同結婚式だな。
Harusame「ど、どっちが本物だ!(;´Д`)


spit:「この、ニセモノがー!?
spit:「お前こそ、ニセモノがー!?

appi:「まぁまぁ、スピさん。
appi:「喧嘩はよくありませんよ。


 なんだかもう、収集がつかない状態です。


spit:「だったらテメェ、本物だっていう証明、見せてみろよ!!
spit:「あぁぁ!? TS10*2ぶっ放すぞ!! 偽なら、持ってねぇだろ!!




spit:ムキー!!


 今にもとっくみあいを始めそうなスピットふたりに、アピは軽く笑うと、

appi:「では、本物の証明ということで…

 左手の薬指に光る指輪に振れました。


これが結婚したふたりだけが使えるスキルその1、「あなたに尽くします」だ!!


 指輪が輝き、スピットの身体をその光が包みました。


spit:「なにぃ!?
spit:「なにぃ!?

 っていうか、ふたりとも同じ事を言うな。


"hayate":「本物の証明きたー!*3
rekusureime:「愛したー!?
brid:「証明されてしまった。
Linecell:「ナイスだ。
Zeruk:「そして、スピ様は何もしない!?


appi:「博士!これ以上は、無理のようです!!
spit:「おのれ!!



spit:博士!?



博士キター!?




 なんか、懐かしい姿だな。*4


コラマテ、本家



spit:自分で言うなぁぁぁぁぁあぁ!?


spit:「鏡見た方がいいぜ?
spit:「うるせぇよ。



appi:「博士、それよりも早く!
spit:「おっと、そうだった。

 博士スピットは帽子をちょいと直すと、「ふっふっふ…」と含み笑い。
 そして、高らかに叫びました。

な、なんだってー!?




spit:まさかぁぁぁぁあぁ!?



 振り向くスピット。
 その先には…


怪人なのに、変身なの!?


変身したー!?



Ridgel:キシャー!!



spit:「参列者の中に紛れているとは!?
putiLeona:「パパが、鳥男に!?*5


spit:「これぞ、博士の科学の力!!

appi:「サングラスは、あったかなぁ…
spit:「何で、ひとり冷静なんだよ…

前よりちょっと強そうだ!!



spit:「行け!怪人!! 本物から、指輪を奪え!!


Ridgel:「キシャー!!









spit:これ、渡せないんじゃないの?*6

Ridgel:よい子が楽しみにして、この日を待っていたんですよ?








spit:








spit:「ああぁっ!! アピとの結婚指輪がッ!?


Ridgel:奪いました!博士!!


spit:「よくやった、鳥男!!
appi:「博士!


ゲートだと!?



spit:「ゲート!?


Ridgel:「ふっふっふ…

な…あ、足下だとー!?



花嫁強奪!?


spit:「馬鹿な!? 足下ポタは不可能なはず!?


spit:「我々の力を甘く見たな!

Ridgel:「返して欲しくば、追ってくるがEー!!*7


"hayate":「なぬ!?
Linecell:「おおおお。
maki:「拉致った!?
luvas:「えーと、今さらわれたのは、本物?
hako:「Σ


spit:てめぇ!!


Ridgel:「…ちなみに、結婚スキルはなしでお願いします。
spit:「OKOK。指輪取られたしな。
Ridgel:「ほら、お約束とか…

ribbean:「素だ!?
karyo:「ナイス注意事項!
hako:「気弱だー!?
KENNY:「なんかやさしい。
"hayate":「む、ちょっと弱気だ、強奪側。






 高らかに叫び、博士と助手と怪人は、光の柱の中へ…







オイコラ、マテェェ!?







 入る前に消えたよ!?


流石だ!


 お茶目すぎるぞ、お前等。*8


Ridgel:「まぁ、そんな事もあるよね。

appi:「ワープポータル!!

spit:「使えるの!?
spit:「ふっふっふ。うちのあっぴくんは、『ポタルありま〜す』なのだよ!!
Ridgel:「さらばだ、本物ー!!


spit:「捨て台詞っぽくないが、おのれぇぇ!!



 そして光の柱の中に、博士と助手(?)と、怪人は消えていったのでした。


それは終わりなき即興曲。


 一陣の風が、カピトーリナ修道院を駆け抜けていきました。


spit:「おのれ…

 スピットはその風の中で、ぽつりとつぶやきました。









spit:追いかける先のヒントもなしじゃ、追えない!?



 強奪チーム、お茶目過ぎるぞ!?


Furiae:「どういう流れかはともかく…
heriosu:「助けにいかないと!

 やる気マンマンの皆の中から、プリーストの夢さんが立ち上がって言いました。


なんと!?



MilliaDream:「私は知っています!!




spit:おおっ!?







spit:「なんで?

MilliaDream:「あんまり深く突っ込むのはナシな方向で。*10











spit:ワープポータルが繋いだ次元のひずみを、またつなぎ直す!?









MilliaDream:そんな感じで。


spit:「頼むぞ、夢ちゃん!!
MilliaDream:「スナイパーの意地にかけて!!


とりあえず、そんな感じで、花嫁奪還作戦スタートだっ!!



 しゅんっと立ち上る光の柱。

 そしてその中へ、皆は飛び込んでいきます。

30人がなだれ込む!!



 そして一行がたどり着いた先は…





きたぜぇぇ!!



 ジュノー。


 エルメスプレートです。




Ridgel:「HAHAHA!!
appi:「スピさーん。


 崖の下には、怪人の姿。
 怪人はアピを連れて、ノーグロードの中に消えていきます。



Ridgel:「ここで、悲鳴をお願いします。
appi:「きゃ〜。


Zeruk:「スピ様、悲鳴はいりましたー。
spit:「おのれ!今行くぞ!!










spit:「パーティ組んで。





 早く行ってやれよ!?


"hayate":「これで、強奪組が全滅とかしたら、笑うトコ?
luvas:「さーて、オチに向かって、突撃かー。



 そんなこんなで…



今行くぞ、アピ!!


 ノーグロードに突撃。



 ここは火山地帯、エルメスプレートにある、溶岩煮えたぎるダンジョンです。

 その余りの熱さに、溶けたゴーレムや、火の玉そのものといったようなモンスターがひしめく、なかなかの高レベルダンジョン。




 しかし…


 追跡組の人数は、30人以上!!


spit:「今行くぞー!!

Ridgel:「ふふふ…危機感を煽ってやろう。

spit:「むむっ、鳥男の電波!?

Ridgel:「そーれ。口ではいえないようなことをするぞー
appi:「きゃ〜。


spit:「おのれぇぇ。

heriosu:「突撃ー!!
aoiruka:「真っ先に死んでやるぜ!!
"hayate":「おくれないようにいこうー。

Zeruk:「ところでスピ様。
spit:「ん?
Zeruk:「わりかし前から、死んでいたりするんですけど…
spit:「あっ、ゼルクいねぇ!?

ribbean:「シルさんは守るから、安心して。
Sylphienne:「頼もしいです。
Nill Gram:「逝ってくるかぁ。
MilliaDream:「鳥男は、2Fに逃げ込んだ模様。
"hayate":「2Fか…遠いなぁ…












 そんなこんなで…



Ridgel:「遅いなぁ…追跡組…
appi:「ですねぇ…

 こちら2Fの強奪組。

spit:「また、悲鳴でもあげてみる?
appi:「ですかねぇ…
Ridgel:「うわ!? 敵来た!?
spit:「おおぅ!?
appi:「博士!何げにピンチですか!?
appi:「きゃ〜。
Ridgel:「いや、今は本気の悲鳴な雰囲気ですけど…
spit:「ぎゃぁぁぁぁぁあぁぁ!?*11









spit:「つまり、アレだ。



 ぽつり。
 スピットはつぶやきました。


spit:「30人でノーグロードは、ちょっと狭すぎたか…




ちょっとちょっと!





 何死んでますか!?





hulltours:「スピットさん!?
mayumi:「なむちん。
luvas:「ザコ。
KENNY:「そんなことで、これからアピさんを守っていけるのですか!!


 とは言っても、すでに戦力は分断。

 前を行く組は2Fにさしかかろうかと言うところ。
 後ろの組は、まだ洞窟に入って来ていません。



 ちなみにスピが死んでいるのは、真ん中あたりですが。




spit:「みんな…あとは任せた…

 スピットは言います。




spit:「俺の屍を越えて…



ノーグの中心で、ネタを叫ぶバカ





 自分の嫁くらいは、助けようよ。



Eleison:「リザレクション!!

 少し先に進んでいた一団が戻ってきて、スピットにリザレクションをかけました。

とりあえず復活


spit:「お、復活。

Eleison:「踏むの忘れた…
spit:「俺は、ノーグロードで天使を見た。
Eleison:「?



spit:お嬢さん、一緒にお茶など…


Furiae:「石投げ!
spit:「いってえぇぇぇぇぇえ!?



"hayate":「とりあえず、戦力を集結させないと…
spit:「んだな…

 スピットの頭の中に、パーティにだけ届く声で、ゼルクを拾いに行ったメンバーが、洞窟に戻ると言っています。

spit:「いったん入り口に戻って、戦力を集結させよう。


後続を待つ


 そして洞窟入り口。


 ゼルクを拾いに行った後続組と合流し、最終組は、洞窟2Fを目指します。


luvas:「行くぞ、バカスピ。

 進み出したラバに向かって、

spit:「ああ、とりあえず、アレだ…

 スピットはちょいと帽子を直して、言いました。

spit:「あんまり気が向かねぇが…
"hayate":「自分の花嫁を助けるのに、気が向かない!?
spit:「ああ、それではなくて…

 スピットはぽりぽりと鼻の頭を掻きながら言います。

spit:「さくっと、アピを連れ戻すためということで…

 進む道の先から、溶けたゴーレム、ラーヴァゴーレムが迫ります。


spit:「アピ、使うぜ?


 それは、誰にも内緒だったのでした。
 スピットとアピが、一緒に狩りに行っている間に、いつの間にか、出来るようになったのでした。

 だから本当は、誰にも内緒なのでした。

 迫るラーヴァゴーレムに向かい、スピットはスタッフオブソウルをかざします。

heriosu:「まさか、結婚スキル!?
spit:「指輪がねぇよ。

 にやり、スピット。

spit:「でも、ある意味、それよりも驚くぜぇ。
luvas:「来るぞ!?

 そしてスピットは、高らかに呪文を唱えました。


spit:「永久の時にも姿を変える事なき氷の力よ!我が前の敵を今、その力をもって撃ち滅ぼしたまえ!












な、なんだってー!?



spit:ストームガスト!!


"hayate":「な、なんだってー!?
Zeruk:「スピ様が、氷の大魔法を!?

luvas:「お前が、偽か!?
heriosu:「ありえねぇぇぇぇぇぇぇええぇ!?*12



 舞う氷片を背に、スピットは帽子をちょいと直して言いました。


spit:「さて…行こうか。







 そして、2F。

やっと合流




 こうして見ると、たくさんいるなー。



spit:「アピ!!
appi:「スピさん!!

spit:「遅かったなぁ。偽。
spit:「お前が偽だろがぁぁぁぁあぁ!?


appi:「スピさん、人数も多いので、少し移動しましょう。
spit:「そうだな。

追いついたんだ、観念しろや


spit:「マテ、コラァ!!

 スピットは素早く、ソウルストライクを唱えます。

 しかし、相手も同じスピットです。

 ソウルストライクにソウルストライクで応え、その精霊球をうち消します。




spit:「なにぃぃ!?
spit:「フ…


凄い手の込みようだ!?


spit:「杖まで一緒なのかよ!?

spit:「当たり前だ。本人だぞ?
spit:「マジで!?



spit:「じゃ、もう一人増やして、その杖売らない?


 腹黒っ!?*13


凄いぞ、偽!


spit:「なんだよ、雑魚が。
spit:「自分に言われたくないな。

 ふんっと笑って博士は言いました。

spit:「行くぞ、あっぴくん!
appi:「はい。


spit:「待て!!
spit:「HAHAHA、追ってくるがよいー!!

 駆け出すと、博士は「アイスウォール!!」と氷の柱を立て、スピットたちの行く手をふさいで走っていきます。


アイスウォールなんか使えるのか!?


spit:「やるな!博士型!?

heriosu:「でも、こっちのスピさんだって、SGが使えるんだ!!
"hayate":「見せてやれ、スピさん!!


spit:「ん?







spit:アイスウォールは使えねぇ。



Furiae:「すごく中途半端だ!?
luvas:「さすが雑魚!?*14


 博士は一行の前を様々な魔法を駆使して走っていきます。
 一行はもう、本来の目的も忘れて、博士と、その隣を行くアピを追います。


FWとかも当然ですよ?


spit:「高性能だなぁ、博士型…



 ぽつりとつぶやいたスピットの隣に来たアピが言います。

appi:「スピさん。そういうこと言っていいのですか?
spit:「ん?

 あれ?とスピットは首を傾げます。


spit:「つか、博士型と一緒にいるアピが助手なら、ここにいるアピが本物で、そもそも、何をしにここに来たんだったっけ…

 スピットの隣のアピは、彼のつぶやきが聞こえなかったのか、いつものように言いました。

そうと言われちゃ、男の子!



 「うむ」といつものように返して…


spit:あれ?




"hayate":「あれ?こっちが本物?
ribbean:「スピさん…

















appi:ヾ(゚∀゚)ノシ



 こっちが偽!?




ちくしょう!この時ばかりは、本気で騙されたぞ!!





 博士を追って、スピットは走り出しました。


spit:「アピィィィィ!?





appi:「はい?



spit:悪ノリすんなぁぁぁぁぁぁああぁ!?


おのれ、偽!




spit:「何かな?本物くん?


spit:「てっめぇぇぇぇぇぇ…




偽のくせに生意気なー!?




 僻み!?


 と、その時、スピットの後ろから火の玉のモンスター、ブレイザーが襲いかかってきました。

spit:「セイフティウォール!!

 光の壁を打ち出し、スピットは返す力でユピテルサンダーを打ち込みます。

spit:「どうだ、偽!!

 ふんっと鼻を鳴らすスピット。

spit:「テメーにこれが、出来るか!!*15

 物理攻撃の絶対防御魔法、セイフティーウォールは、前提となる必要魔法の条件が厳しく、そしてその前提を多くの魔導師は必要としません。
 そのため、この魔法を使いこなす魔導師は、ごく少数しか、存在しないのでした。

"hayate":「なるほど、これは偽も年貢のおさめ時か…
spit:「ふ…



ばっ、ばかな!? そんな死にスキ…げふんげふん





 できんの!?


spit:「もうダメだ…もうダメだ…

Ridgel:「あれ?本物が諦めてしまいました、博士。
spit:「なんだ、だらしがないな…

 博士型はふんっと鼻を鳴らしました。

spit:「よし、スピットくん。君に、最後のチャンスを与えよう。

 と言って、博士型は右手にスピットの婚約指輪をちらつかせました。

spit:「これを返して欲しければ…




spit:「?




spit:当ててみるがよい!!


椅子取りゲームか何かのノリ?


Ridgel:「アピさん、シャッフルスタート!!


appi:「シャッフルです〜。
appi:「くるくる回ります〜。


spit:「ええぇぇぇぇぇえええええええ!?




そしてついに…



spit:「さあ、本物を当ててみたまえ!


spit:「うわー…



spit:「その、愛の力で!!











うぉぉおおぃ!?




 すごく、ダメっぽい!?












 そして…


spit:「…








spit:「見てるだけでわかるのか?本物?
spit:「うるせぇなぁ…


Ridgel:「よい子のみんなも、今までのSSから、本物と偽の違いを、見つけてみよう!!
Zeruk:「愛があれば見つけられますね!!
spit:「大ヒントだな。


沈黙の時…




spit:「…マジでわかんねぇ。どうしよう。




 愛がねぇ!?


 困り果てたスピットは、ぽんっと手を打ちました。

spit:「そうだ。こうしよう。

appi:「はい?
appi:「なんでしょう?



spit:「俺に、フル支援をかけてくれ。

appi:「支援ですか?
spit:「うん。ブレスと速度とキリエでいいか。まずは、右。

 ぴっとスピットが指さすと、向かって右のアピがスピットに向かってブレス、速度増加、キリエをかけました。

appi:「こうですか?
spit:「ふむ…さんきゅー。

spit:「…それでわかるのか。本物…?

 博士型の台詞に、にやりとスピットは笑います。

spit:「まぁ、もう大体わかってんだけどな。
Zeruk:「すげぇ!?

spit:「んじゃ、次、左さん。

 続いて、左のアピがスピットに向かってブレス、速度増加、キリエをかけました。

spit:「…







spit:「で、わかったのか?本物よ。








spit:


Ridgel:「わからないようです、博士!!
spit:「…だろうな。






spit:「なんで…










spit:「なんでふたりとも、速度が7レベルなんだよおぉぉぉぉぉお!?



appi:「7だからです。
appi:「です。

spit:「まって!?だって、フツー、最近の支援型って、速度10が普通でしょ!?偽も10だと思うでしょ!?なんでふたりとも7なのよ!?

Zeruk:「っていうか、アピ様、速度7だったのですね…
luvas:「それは知らなかった…

appi:「7ですよ?
appi:「7なのです。*16


spit:「どうした、本物?


spit:「おのれ、偽…








spit:謀ったな!!


 最初から謀ってるんだろ。



 はてさて、スピットは困り果ててしまいました。
 じーっと見ても、どっちもまったく同じにしか見えません。

spit:「…いっそのこと、どっちでもいいや…とか。

appi:「スピさん?

 睨まれます。

spit:「ジョークだ。


 うむむむむと、スピットは首をひねりました。
 いくら見ていても、違いがスピットには、まったくわかりません。

 というより、違いなんてありません。

 まったく同じふたりです。

spit:「わからねぇ…

 つぶやきに、博士型が言います。

spit:「なら、結局、どっちでもいいと言う事だね?
spit:「む…
spit:「外見がまったく同じなら、どっちであっても、君はかまわないと、そういう事だね?
spit:「むむ…





spit:「それを言われると、身も蓋も…

appi:「スピさん?


 日本語正しく使えよ、お前。



spit:「わかった!わかったよ。わかったって。

 ふーうとため息を吐いて、スピットは言いました。

spit:「質問する。答えてくれればいい。

 そしてスピットは言いました。








spit:「結婚式の日取り決めた時、何日か候補があって、結局この日に決めたわけだけど…

 そしてスピットはちょいと帽子を直したのでした。

spit:「この日の理由と、そして、その直近の冒険の舞台でも言って貰おうか。


"hayate":「ふたりの思い出の場所か!?
brid:「(ニセモノ、ガンガレー。


 そしてスピットは言いました。

spit:「んじゃ、左さん。どうぞ。*17

appi:「えっと…

 少し、考えるような間があって…

appi:「思い出の場所と言うと…
spit:「ん。

appi:「船…だったような気がします…
spit:「ああ、そうそう。式場の候補にもあげたんだけど、結局、マストが邪魔でなぁ…
appi:「ですね。マストが邪魔で、やめたのです。

luvas:「ほう、そんな話があったのか。
"hayate":「なんと。
Ridgel:「これはニセモノにはわからない!?


 だから、スピットは確信を持って、言ったのでした。

 ちょいと帽子を直しながら、笑って。









spit:「正解は、右だ。


 えっと皆が言葉を失う中、スピットが続けます。

spit:「正解は、どこだっけ?

 尋ねるスピットに、アピは言いました。


それは2年も前のお話です


spit:「四つ葉がでなくてな。
appi:「はい。何のために四つ葉を探しに行ったのかは、もう覚えていないのですが…
spit:「俺も忘れた。

appi:「でも、スピさんが、ついでにアコさんをナンパだと言っていたのは覚えています。
spit:「それは忘れろ。


maki:「すげぇ。
KENNY:「かっくいい。


appi:「そして…

 アピは言いました。

appi:「今日は、一つ目の冒険の終わりの日です。


 スピットは笑います。

 二年前の今日は、この世界が一度終わったその日でした。
 それは、ベータと呼ばれた時代の終わり。

 スピットたちもまた、それを境に、冒険者をやめようかと、ちょっと話し合ったりもした日だったのでした。*18


 もっとも…

spit:「さて。

 スピットたちは今もこうして、冒険を続けているのですが。

spit:「これで文句ねぇな。
spit:「やるな、スピットくん。

 博士が笑います。

spit:「まぁ、これが当てられたら、次、なんも考えてなかったけど…
appi:「そうしたら、どうするつもりだったのですか?

 アピがスピットの横に来て聞きます。

spit:「とりあえず、そうしたら…
appi:「そうしたら…










spit:逃げるかな。



 言って、笑って、スピットは偽の手から、指輪を奪い取りました。

spit:「あっ!?
spit:「ベンチポタ!

 そして叫びます。

spit:「撤収!!

迅速に、撤収!!



 立ち上る光の柱の中に、皆が飛び込んで行きます。

 それを見送りながら、スピットは言います。

spit:「おい、偽。
spit:「ん?


spit:「結局、お前、誰だ?

 偽スピットはにやりと笑います。

spit:「誰でもよかろうに。

 そして、ちょいと帽子を直して言いました。

spit:「アピを大事にしなけりゃ、俺が殺す。
spit:「お前に言われたくねぇ。

spit:「影でこっそりでもいいから、たまにゃー『愛してる』の一言でも言ってやれ。
spit:「…
spit:「恥ずかしがるな、若いの。
spit:「いや…別に…そういうわけじゃぁ…

appi:「恥ずかしがってますねぇ。
appi:「ですねぇ。
appi:「でも、それがスピさんのいいところなのですが。
appi:「ですねぇ…
appi:「にやにや、です。
appi:「あ…


spit:「お熱いですなぁ。
appi:「ノーグだからでしょうか。

 にやにや笑いながら、もう一組のスピットとアピが言っていました。
 あらかたの皆がワープポータルで飛んだ後、洞窟の奥からナイトメアテラーがスピットたちに迫っていました。

spit:「…さて、と。

 偽は近づくナイトメアテラーに向かってアイスウォールを唱えます。きんっと立ち上った氷の柱に、ナイトメアテラーが立ち止まります。
spit:「よし、ここは…

偽のがポテンシャル高いしな


spit:「任された、本物。



spit:俺は逃げる。


 言って、スピットはアピをポタに乗らせます。


逃げ足は流石だ!


spit:「んじゃー、あとよろしく。

 そしてスピットもまた、光の中に飛び込んだのでした。


spit:「アバヨ、俺。
spit:「二度と会いたくねぇな。


spit:「俺の台詞だ、バーカ。
















 そしてベンチ。

 いつもの位置にスピット。
 その隣に、ちょこんとアピが座ります。

spit:「お?
appi:「えへへへ…



 にやにやと、そのふたりを見守るベンチメンバー。













spit:「って…










タダでは終わらない!?




spit:偽えぇぇぇぇぇぇぇえ!!



appi:「す、スピさん!?

spit:「ん?誰、お前?
spit:「なじむなぁぁぁぁぁあ!!


"hayate":「なじむ!実になじむ!!
brid:「(;´Д`)
Linecell:「偽、グッジョブ。
Eleison:「偽だったのか!
Harusame「あれ?またスピさんが二人に…
heriosu:「です。
Ridgel:「不思議不思議。


spit:「うちの嫁を返せー!!


spit:「ん?この隣のアピ?
spit:「え?
spit:「いいの?

spit:「えーっと…

appi:「スピさん…
spit:「ああ、あってるあってる!!本物っ!!




spit:へぇー。



spit:「なんだ、どうした?
spit:「いや、あいつがさー。


金太郎飴か何かのたぐいか…



spit:「何人いるんだ、偽ー!?




ちなみに、このアピは本物のほう


appi:「あはは。
appi:「実は三つ子ですか?旦那さまは。*19


spit:「あーもう、頭痛くなってきた…
Ridgel:「じゃあ、次はアピさんに選んで貰うところですかね。


appi:「えっ!?

spit:「あー、もう、なんとでもしてくれ…
spit:「ほら、並べよ、偽。
spit:「お前だろ…


実は、spitの方が判断が簡単


spit:「こえぇな…
spit:「だな…


appi:「えーっと…



頭が悪くなる会話ですが、中の人はもっと頭が悪くなりそうになりました…

spit:「なぁなぁ、スピ。
spit:「ん?
spit:「お前、金もってねぇ?
spit:「お前、持ってねぇ?
spit:「いや、なくてよ。貸してくれよ。
spit:「俺もねぇよ。おまい、いくらもってる?
spit:「あれ?お前偽だっけ?
spit:「違う違う、俺が本物だって。

spit:「違うだろ、お前、偽だろ!?
spit:「いや、俺が本物だって!!
spit:「俺だって!!


三人寄っても、文殊にはなれない、漏電たち



 ベンチは、今日もなんだかいつもと変わらない様子です。



spit:「ところで、アピ…
appi:「はい?


spit:「お前、何げにちゃんとわかってんのな…

 アピはにっこりと笑って、スピットに向かって言ったのでした。

appi:「はい。二年も一緒にいれば、わかります。



spit:「…そっか。
appi:「はい。












spit:「でも、俺が戻ってくるまでは気づかなかった。
appi:「う…

spit:「ジョークだ。

 スピットはわいわいと結婚式の話、突貫の話、偽の話で盛り上がる皆を見ながら、帽子に手をかけて笑いました。
 そしてその帽子のつばで目元を隠して、言いました。

spit:「まぁ…これからも、よろしくな。
appi:「はい。

 笑って、アピも返しました。

appi:「よろしくお願いします。旦那さま。







spit:「…それ、ちょっとかゆい感じがするな。
appi:「そうですかねぇ…




























suteinu:「あぅあぅ…

 ベンチの壁向こう、プリーストのいぬこと、すていぬがいじけています。
 「よしよし」と頭をなでるのはへっぽこです。

suteinu:「ベンチに帰るポタを準備したまま、カピトーリナ修道院に、4時間も放置されてしまいました…*20
heppoko:「よしよし。
rukino:「途中で帰ってくればよかったものを…

 ルキノはふぅとため息を吐き出しました。「うぅー…だって、みんな、カピトーリナに帰ってくるのかと思ったんですよぅ…」と、すていぬはぐじぐじと泣きながら言います。

 その頭を、よしよしとへっぽこがなでながら言いました。

heppoko:「ご主人さま、アピさんと結婚されて、冒険者はおやめになるのですかねぇ…
rukino:「んー?あー…そりゃあ、ないっしょ。

 壁の向こうでわいわいとやっている皆の声を聞きながら、ルキノは目を伏せて笑いました。

rukino:「あの人の冒険の終着点は、Ragnarokにあるんだろうからねぇ…
heppoko:「世界の終わりですか?
rukino:「そそ。

 壁に寄りかかり、ルキノ。

rukino:「でも、結局そんなものないって、あの人自身、本当は知ってるんだろうけど…
heppoko:「世界の終わりですか?

rukino:「『何かの終わりは、何かの始まり』



rukino:「『たとえばそれが、世界の終わりだったとしても、それはきっと、次の世界の始まりなのだろう』と、誰かが言ってた。



 見上げれば、そこはミドカルドを包む青。

 プロンテラの宮前広場、通称ポタ広場の北西にあるベンチ。



 プロンテラベンチの上に広がる空は、今日も快晴です。


*1 DOP。ドッペルゲンガー。見たら死んでしまうという、ドイツの幽霊。Ragnarok Onlineにはボスモンスターとして登場する。
*2 TS。サンダーストーム。魔法士の使える範囲魔法。Lv10マスター。あんまり強くないので、10も持ってる人はいない。
*3 結婚すると、結婚指輪を貰う事が出来るが、結婚指輪には男女ともに2つのスキルが付いている。ひとつはこのスキル、「あなたに尽くします」で、女性から男性へSPを渡す事が出来る。逆に男性から女性にはHPを渡す事の出来る、「君だけは護るよ」がある。あと、男女共に使えるスキルに「あなたに逢いたい」があり、これは相手を呼び出す事が出来る。結婚した者同志でなければ使えない。
*4 詳しくはEP3.0「忘れた頃にやってくる?」とか「はかせ、がんがる!」あたりを参照。
*5 詳しくはEP3.0「はかせ、がんがる!」「はかせよ、永久に!!」あたりを。
*6 結婚指輪は「渡せない」、「落とせない」、「倉庫に入れられない」、そして「売れない」。
*7 結婚式の始まる前から準備しておいて、発動させないでいる分には可能。まさにスナイプ!!
*8 普通に笑ったぞ!!
*9 TRPGリプレイ本の名著、その第3巻のタイトルからのパクリ。RPGって、そう言うものだと思う。っていうか、実はRO日記の各話のタイトルはパクリものが多い。
*10 このイベントこそ、今回のこの8.7 spit、appi結婚式の本イベント、『悪巧み』なのです!一ヶ月前から、spit、appiを除く他のみんなにこの結婚式でのイベントを考えていただき、実行していただきました。今まさに、悪巧みの時!!
*11 強奪組、全滅したとかしないとか…
*12 別名、隠しコマンド。spitが使える、唯一の雷念以外の魔法。氷の大魔法だが、spitのそれはLv1。純雷系一本でやってきたスピは、結局Jobレベルが余ってしまったので「風のLv10魔法でも追加されればなぁ」とか思って余らせていたが、無さそうなので取っちゃった魔法。でも対価として、念魔法を極める事になる。
*13 spitの持っている杖はご存じ、SoSこと、スタッフオブソウル。レアアイテム。詳しくはEP3.0「ベンチは今日も…」を参照。
*14 がんばってもね、やっぱり、出来る事と出来ない事はあるの…SG1だって、奇跡的にはまったので、取れただけよ?
*15 しかも10だ、このヤロー!!
*16 ベータの頃からずっと変わらないので、spitもappiも(Abdもかなり…)スキルが今風ではない。なお、まったくの余談だが、Abdは真の2極で、IntとDex以外はすべて1だったりする。そんなベータ生き残り世代たち。
 あと、装備品で判断しようとも思ったのですが、「何故か」ふたりとも水属性の本、「荒れ狂う波の書」を持っていました…謀ったな!アピ!!
*17 ちなみに、ゼルクに言われるまでまったく気が付かなかったのだが、右を「右」と呼び、左を「左さん」と呼んでいたらしいです。なんで?
*18 ベータ終了が2002年の8月7日。迷いの森に行ったのは8月4日。たぶんこれが、アピと行ったベータ最後の冒険。Abdとitaもいた。ついでに言うと、修道院帰りのノビを一人、プロまで送っていった記憶がある。ナンパじゃないぞ!?
 それから、一応、RO日記はベータで終わるかなぁという予定があって、ベータのラストは終わりっぽく作ってあった。結局、ベータ2もやって、それで終わるかと思いきや、今だに続いていたりする…
*19 今のところ、3人まで確認されてるかな…
*20 実話。

**おまけ
どっぺる!!

 今回の悪巧みをとりまとめて貰った槇恵さんのDOPまで登場。
 首謀者も担ぐベンチ。

makie:「なんで私までー!?


ブーケトス


 ブーケトスは今回はまゆみ嬢ではなく、真祈さんが速度増加でげっつ!
 男も走ったりしてましたが、気にしない方向で。


ブーケトス


 ベンチのみんなから、フェンクリップとか貰っちゃいました。
 詠唱中断されないぞ!
 でも普段はアピが持ってるけどね!!
 偽が「三等分しようぜ」「だな」とか言ってたけど、聞こえない。


**おまけ2

appiからのメッセージ RO-BBSより

 8/7は、私たちのためにステキな結婚式を企画していただき、どうもありがとうございました。

 司会進行兼悪巧みリーダーをしてくださった槇恵さん。
 スピーチをしてくださったラバさん、みみ姫さん、Jさん、迦陵さん、はこさん、まゆみさん。Jさんには悪巧み副リーダーとしても働いていただきました。
 神父役のためにわざわざいらしていただいたレオナさん。
 ニセモノ一味と怪人のリジェルさん、ラインセルさん。
 ポタルを出してくれた夢さん。
 バフォメット退治にギルドの方々を動員してくださったリビアンさん。
 当日の、参列者の方々。
 ギルドメンバーのいるかさん、シルさん、ゼルクさん、フリアイさん、ネルフさん、ヘリオスさん、bridさん、KENNY'さん。
 ベンチの常連さんの影月さん、ハルさん、kenonさん、春雨さん、レクスレイムさん、真祈さん、ケイゴさん、ちゅらむさん、霧沢さん。
 わざわざ他のサーバーから駆けつけてくださったハヤテさん、ニルさん、神無さん、Frayさん、斬火氷さん。
 初めていらしてくださったEleisonさん、他、お名前出し切れませんが、関係してくださったすべての皆様。(お名前の書き忘れがあったらスミマセン)
 およそ一ヶ月間の企画期間に骨折りいただいたすべての皆様。
 参加は出来なかったけれど悪巧みには参加してくださった方もいらっしゃったかと思います。

 おかげさまをもちまして、私たちのRO生活の中でも忘れられない大きな出来事として、楽しく、思い出深く、嬉しいステキな時間をすごさせていただきました。
 本当に、ありがとうございました。良い皆さんと巡りあえたことをとても倖せに思うと共に、誇りにも感じています。

 最後に、昨日の私たちの式が、皆様方の中で有意義なものとして心に留めていただけたのであれば、皆様方の物語の一人のゲストとしてこれ以上ない倖せと思っております。

 私たちは、末永く仲良くしていきたいと思います。
 三度目となりますが、関係したすべての皆様に、
 どうもありがとうございました。


**おまけ3

appiメッセージ掲載したら、spitメッセージも必要?

 なあなあ、次は何やる?