studio Odyssey



緑vs赤!!





「いよう」

 現れた、同じ色の髪の剣士に、スピットは口を曲げました。

「呼び出して置いて遅れるたぁ、いい度胸だ」
「バカ野郎。時間通りに来るテメーが悪いんだ」

 と、剣士。
 スピットは帽子をちょいと直して言いました。

「で?」
「おお、オメーも魔導師の端くれなら、すでに知ってるだろうが」

 そう前置きして、剣士はいいました。

「闇から聞こえる声が、ついに動き出した」

 闇から聞こえる声。
 それは魔導師たちの間で、ここ数週間の間に、話題になっていた事でした。スピットもその声を、聞いてはいましたが…

「で?」
「オメーには何も期待してねぇから、安心しろ」

 剣士は笑います。

「ゲフェンの、インデストラとフェルミナードという魔導師が、闇の声の正体を突き止めるべく、動き出した。なんでも、こいつらが一番に闇の声に気づいたそうだが…まぁ、どうでもいいな」
「インデストラと、フェルミナードか…」
「知ってるのか?」
「まったく知らん」
「お前は、死ね」
「そう言うお前はどうなんだよ」
「何が?」
「その、闇の声の正体とやら、突き止めに行かなくていいのかよ」
「おお、それだそれだ」

 剣士はぽんと手を打って言いました。

「トリスタンが、また、冒険者たちに今回の件、保証を出すらしいぜ?」
「闇の声討伐?」
「そう」

 そして剣士はにやりと笑って、言いました。

「カーニバル、再びって奴だ*1




「んで…」
 スピットは言いました。
「お前はどーすんだと」
「あ、俺?俺はあれ」

 剣士は言いました。

「俺、討伐メンバーじゃねぇし、せっかくだから、遊ぶ予定」

「ああ、別に猫の手も借りたいというような状況でもねーと言う事か」
「俺は猫かッ!?」
「猫のが、足手まといにならないか。猫に失礼だったかも知らない」
「よし、死ね」


緑vs赤!!


heppoko:「そんなわーけでー。

 と、ベンチにやってきたへっぽこは、みんなに向かって言いました。

heppoko:「ギルドを通して、今回の闇の声討伐に関してのお金、及びアイテムその他はすべて保証されるのでー、みなさん、存分に楽しんでくださいませよ。

 そして、ざらざらざらと青、赤、黄色のジェムストーンをばらまきます。

ばらまき祭り

heppoko:「む。赤が少し少ないかな。
MilliaDream:「買いにいっとく?
heppoko:「むい。

 夢さんのワープポータルに乗ってゲフェンへ向かうへっぽこ。
 と、ベンチにあおさんがやってきて、それを見た影さんが、


Kagetsuki:「うわ、緑だ!?

 と、言っていました。

 光の中、へっぽこはそう言えばと思い出しました。
 髪染め職人のヨボビチさんは、今回の保証を利用して、「冒険者のみなさんが髪を染めたとしても、それを戻すのも経費ですよね」と言い切って、無料髪染めをしているという話でした。*2

heppoko:「はっ!?

 そして気づきました。



heppoko:「あおいるか、名に偽りあり!?



 はてさて、それから数分後のベンチ。
 へっぽこは買い出しを終えて戻ってきて、びっくりしました。

増えてる!?


heppoko:「何コレ、緑祭り!?
makie:「ベンチ緑化キャンペーン。

 と、そこへえぶがやってきて、ぽつり。


ebu:「なんというか…

せつないの!?




 なにそれ、どういう意味!?


heppoko:「ときに…

 ぽつり。へっぽこ。

heppoko:「突っ込みはしないでいようと思ったのですが、読者のみなさまが誤解しそうなので、突っ込みますね。
makie:「?


ああぁぁ、騙された!?


mimihime:「黙ってろよ!!黙ってれば、バレないじゃない!!

heppoko:「へっぽこは、突っ込まずにはいられません。*3




 ともあれ。
 なんだかんだで、緑化キャンペーンは続き…




間違い探し?



 こええぇぇぇ!?


makie:「さぁ!へっぽこも緑に!!
mimihime:「みんなで緑で!

heppoko:「へっぽこが緑になったら、ポポリンになってしまいます。

brid:「どっかのいるかは、緑になっていたような…

heppoko:「まー、へっぽこは緑にはなれませんが…

 にやり、へっぽこは笑い、「いでよー!!」と卵をカートの中から取り出しました。


って、もう緑なのか!?


 現れたのはいぬこと、すていぬです。


 つーか、もう緑!?


Ridgel:「うわ!?

 居眠りをしていたリジェルさんが、ふと目を覚まして、眼前のみんなを見て言いました。*4


ある意味、壮観だな…



makie:「さあ、リジェルさんも緑に!!
suteinu:「緑に!!


Ridgel:えー。


suteinu:「ぜんたーい、整・列!!


新興宗教か何か?





 威圧。


Ridgel:「わ、私はその程度では、屈服しないぞー!!

makie:「取り囲めー!!

儀式か何かか!?


Ridgel:「緑が、緑が!

suteinu:「Koeeeeeeeeeeeeee!!
keigo:「どんな集団だ。
Kagetsuki:「侵食する緑!!

Ridgel:「いやああぁぁ、たすけてー!!

何故、マクドナルド!?

Ridgel:「むしろ、自分がどこにいるのかすらもわからないという、どなるどマジック。



 と、そこへ…

Liede:「ふっふっふ…

 ちょっと姿を消して、いつの間にか戻って来たリーデ。

suteinu:「なにぃぃー!!


元々緑のくせに!?




 赤になって。*5


suteinu:「元々、緑のくせに!!
Liede:「ふ…


Liede:「転職の回を飛ばされたので、やさぐれ同盟で。*6

suteinu:「HAHAHA。私も危うく攻城戦飛ばされそうになったぜい。
Ridgel:「やさぐれ、赤軍団!!
suteinu:「おのれ、やさぐれ赤軍団め!


何処に出撃しますか、あなた達は





 何がしたいんだ、お前らは。



Favnir:「ふむ。

 と、ファブが唸りました。

Favnir:「そう言えば、下水に金ゴキが2匹同時に沸いているらしい。
suteinu:「あー、闇の声の影響?
Favnir:「さー?
aoiruka:「金ゴキ狩りですか?
suteinu:「よし、じゃー、それで勝負だ!赤軍団!!
Ridgel:「待ってください、先生!!

suteinu:「うい?



Ridgel:数の暴力で、赤軍団が勝てる気がしません。


suteinu:「HAHAHA。




 そんなわけで。


プロンテラ、地下水道



suteinu:「わたくしすていぬ、ただいまより、赤軍団に、誠心誠意の支援をしつくしまする!

Ridgel:「赤軍団、ふえたー!!


 リジェルさんは言いました。

Ridgel:「これであとは、ストームガストが使えるウィザードがいれば、緑軍団に勝てるかも知れないっ!

「ふっふっふ…

 その言葉を受けて、一緒にいたウィザードさんが言いました。

KENNY:「私が、焼豚師匠の代わりに、お力を貸しましょう!!

 どーんと、ウィザード、ケニーさんが言いました。

suteinu:「そー言えば、豚さんも赤だったなぁ。
Ridgel:「ですねぇ。
KENNY:「ああっ、せっかくの初登場シーンなのに!!

 がーんと、ケニーさん。
 すていぬはケニーさんに聞きました。

suteinu:「豚さんのお友達?
KENNY:「はい。ベンチの事を聞いて、遊びに来たのですが…




KENNY:いつの間にか、ここにいます。



 さすがベンチ。

suteinu:「いよーし、ともあれ、打倒、緑軍団!!

 「おー!」と、赤軍団は拳を突き上げました。



「やあ、リダ」

 と、スピットに声をかけたのは、焼豚こと、グリル=ポークでした。

「んあ?」
 帽子屋のカウンター。スピットは珍しい来客に、振り向きます。
「お?グリか」
「ちょっと話があるんだけども」

 グリは言いました。


keigo:「迷子になったぽ。

 と、赤軍団の前に、ケイゴが現れました。

keigo:「最下層に行こうとしたら、入り口がないぽ。

ebu:「あー、そうらしいですよ。

 と、えぶ。
ダンジョン最下層は完全閉鎖


ebu:「なんでも、闇の声の影響だとかで、ダンジョンの最下層には、普通にはいけないのだそうです。


keigo:「な、ナンダッテー!?

Ridgel:「これぞまさに、どなるどまじっく。




「ギルド、抜けようと思うんだけど」
 と、グリ。
「なんでまた?」
 と、スピット。

 グリはちょっと難しそうな顔をして、言いました。

「闇の声の影響か、諸説ぷんぷんだけど、平行世界に行く事が出来るかも知れないっていう話は、聞いた事がある?*7
「あー、なんか、そんな噂は聞いた」

 帽子を直し、スピットは返しました。グリが言いたい事は、なんとなくわかりました。

「平行世界に行ってみんの?」
 だから、聞きました。

 「うん」とうなずき、グリは返しました。

「別に、ベンチが嫌って事じゃないんだけど、俺っちは俺っちで、別の世界に行くっていう、冒険をしてみたいって思ってネ」
「ああ」

 だから、ちょいと帽子を直して、スピットは言いました。

「悪くねぇ」



「おや?

 と、テレポートアウトしてきたウィザードが言いました。

ぴよっと現れたのはCleverse


suteinu:「誰の事だー!?

Cleverse:「しかも、赤い!?
suteinu:「通常の3倍だ!!絶賛セール中。



Cleverse:通常の3倍で死なす?


 それはそれでスゲーな。


Cleverse:「で、みんなはこんな所で何をしてるの?

 クレバースの問いに、リジェルさんが答えました。

Ridgel:「緑vs赤です。
Cleverse:「なるほど、よくわかった気がする。

suteinu:「金ゴキを数多く倒した方が勝ちとゆー、簡単なゲーム。
reira:「そんなわけで、金ゴキ探し中。

Cleverse:「金ゴキ?



Cleverse:「すぐ隣の通路にいたけど?

suteinu:「それを早く言えー!!



 だっと駆け出す赤軍団。
 しかし、たどり着いた時には、

瞬殺


aoiruka:「MVPー。


Ridgel:「おのれ、いるかさんめ!!


 すでにあおさんがMVPを取得した後だったのでした。

Ridgel:「槍騎士に、勝てるかー!!
aoiruka:「ふっふっふ…





aoiruka:3匹目。



suteinu:「何ィ!?
Ridgel:「すでに3!?

Cleverse:「赤軍は何匹?








suteinu:0匹…


brid:「さーて、次を探すかー。



黄文字メッセージ


suteinu:「お?

 聞こえてきた声に、みんなが顔を上げました。

「ただいま入りました情報によりますと、二人の魔法使いが、冒険者たちを率いて、謎のダンジョンに突入したようです。


Ridgel:「魔法使い?二人?

「ダンジョン内では、非常に激しい戦闘が繰り広げられているようです。

KENNY:「ぬぬ。
Liede:「パパ?
suteinu:「まさかー。
Cleverse:「だとしたら、もう一人は誰?


Ridgel:「…


Liede:新しい隠し子。


Ridgel:「ああっ、思っても言わなかったのに!!
KENNY:「せめて、ルキノさんだとは思ってあげないのですか…
Liede:「ちょうどいないから。

brid:「金ゴキ、はっけーん。
suteinu:「うおおぉぉ!そんな事より、勝負だー!!
Ridgel:「え!?何処!?
suteinu:「っていうか、リジェさん、どこー!?


すでに跡形もなし

aoiruka:「ふっふっふ…

suteinu:「おのれぇぇぇぇぇぇぇえええ!!


aoiruka:「やらせはせんよ!!

 びゅんっと、あおいるかあらため、みどりいるかはハエの羽根でしゅんっと消えました。


suteinu:「うおおぉぉ!なんとしても、勝つ!!
Ridgel:「金ゴキ、どこじゃあああああああああ!!


またも、跡形もなし

aoiruka:「ふっふっふ…


Ridgel:「だああぁぁぁあ!!こんちくしょー!!
KENNY:「強いですねぇ…
brid:「ピアース強すぎ!!修正しる!!


suteinu:「おのれ、あおいるか改め、みどりいるかめ…

緑化でパワーアップ!?



 何その、「ありえない」みたいな言い方!?


suteinu:「よし、赤軍団は、各自散開して、金ゴキを見つけたら、連絡するんだ!
KENNY:「らじゃ!!

ebu:「と、そんなわけで…

 しばらくして、えぶの声が散開したみんなの頭の中に響きました。

ebu:「さっそく見つけたのですが。
suteinu:「どこだー!?


道間違えたー!?



reira:「決定的な欠点が!!

Liede:「見つけても、倒せない!!


 気づけよ。




suteinu:「思うに…

 金ゴキを探してかけずりまわり、やっとの事でみつけたーとなっても、しゅっんと現れたあおいるか改め、みどりいるかに持って行かれたり、何故か見つけても、すでにあおいるか改めみどりいるかと戦闘中だったりで、まったくいいトコのない赤軍。

suteinu:「あおいるか改め、みどりいるかは、金ゴキを寄せ付ける何かを出しているのではないかと思うのだけれど、どうか。
Ridgel:「ちなみに、誰か金ゴキ倒しましたか?
KENNY:「まだですー。
Ridgel:「HAHAHA、私も0だ。
suteinu:「つまり、まだ0だ。
ebu:「あおいるかさん改め、みどりいるかさんは、金ゴキさんを惹きつけるフェロモンでも出しているのでしょうか?
KENNY:「フェロモンですか…
Ridgel:「わかったッ!!あおさん改め、みどりさんは、『オラオラ』を持っているに違いない!!

嫌な名前だな




 そんな二つ名はいらない。



aoiruka:「ふっふっふ…


Ridgel:「思うに、あおさん改め、みどりさん*8の隣にいるのが、一番金ゴキとの遭遇率が高いのでは?
suteinu:「おお、そいつは盲点。

灯台下暗しってやつだな!


aoiruka:「倒しちゃいますよ?


suteinu:「おおっ、そいつは盲点!?


ebu:「あ。

 と、通路の向こうを見て、えぶが言いました。



ebu:「本当に出た。

suteinu:「なにいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!?
aoiruka:「やらせはせんよー!!
suteinu:「負けるものかああぁぁ!!





ヲイ




 MVPとか、それ以前の問題。








「ニュースをお伝えします。

 聞こえた声に、皆は顔を上げました。

「謎のダンジョンに突入した二人の魔法使いと冒険者たちは、ダンジョン奥地に計り知れない数のモンスターを確認したため、やむなく全員撤退したようです。


Ridgel:「謎のダンジョンって、何処だよ!!
suteinu:「謎は謎ですよ。
brid:「それよりも我々は…


brid:「あおいるか改め、みどりいるかの金ゴキ遭遇率の方が、重要かつ、重大な謎だ。

aoiruka:「ふっふっふ…
Ridgel:「勝てる気がしねぇぇぇぇえ!!

suteinu:「それも永遠の謎です。
Ridgel:「謎って、なんだYO!!


そしてその謎が明かされた時、世界は…とか、引いたりはしない、


 結局、緑軍が倒した金ゴキの数は、数えるまでもなく、赤軍の負けだったのでした。


 なぜなら、赤軍が倒した金ゴキの数は…







suteinu:触れてくれるな。





Ridgel:「なぜだぁぁぁぁぁあ!?
KENNY:「おっかしーなー?






 憎い…
 憎い…許せぬ…

 恩が仇となる…
 友の裏切り…愛するものからも…
 信用できるものは何もない…
 すべて…憎い…!

「く…切りがねぇ…どうなってやがる!
「ちょっと…多すぎかもしれません。
「正直やべぇな。
「一旦、出直すべきかもしれないですね。
「…そうだな。おい、みんな!とりあえず、撤退だ!*9







spit:「ふああぁぁぁぁあ…

 帽子屋のカウンター。

 スピットは大あくび。

spit:「平和だ…


 プロンテラは、今日もいつもと同じように見えました。*10


*1 カーニバルこと、マイグレーションイベント。ゲームサーバーの追加に伴い、移住のためにデータ移行処理の間、ゲームデータがロールバックされる事を前提としたお祭り。前回のカーニバルについては、EP1.5、「トリスタンの悪夢」からの5話を参照。今回は期間も短かったので、前回ほど盛り上がってませんが。
*2 他にも闇空間転送員などがいたそうだが…今回のロールバックイベントは、どっちかというと、こういう散発的なイベントが多かった。
*3 SSを見ていて、一瞬、へっぽこの発言の意味がわからなかったのは内緒。
*4 AFKしていた。
*5 しかも、ゴブリンマスク。
*6 あと、亀島突貫とかも飛ばされていたりする。何故飛ばされたかって?意外とSSの枚数が少なかった、というのもあるけれど、ぶっちゃけ、実時間と日記時間が離れすぎなので…飛ばされた回については、いずれなんとかしたいなぁとは、思う。
*7 ゲーム的に言えば、移住イベントなので、別段、「移住」と言えばそれまでだが、RO日記的には、そんな事は許されないッ。
*8 毎度毎度、「あおいるか改め、みどりいるか」と書くのは、意外と大変なんだぞ!!
*9 今回のマイグレーションイベントのメインストーリー。
*10 メインイベントストーリーを、まったく追っかける気がない男…