studio Odyssey



いぬも歩けば冒険をする!?





 それはへっぽこがてくてくとベンチに遊びに行ったときだったのでした。

heppoko:「およ?

 誰もいないベンチの裏に、ちいさな箱がひとつ。
 「なんだろう」と覗き込むと、そこには一匹のすていぬがいたのでした。

heppoko:「…およ。

 「くーんくーん」となくそのすていぬが可愛そうで、へっぽこは、そのすていぬを拾って帰りました。
 ご主人さまこと、スピットに言えば、飼ってくれるかなぁと思ったのです。

spit:「…元いたところに、戻してこい。


heppoko:えええええええええ!?



spit:「うちに、ペットを増やす余裕があると思ってるのか!? この、荷物運び以外には浪費しかしない、元ポリンがー!!*1


heppoko:「ご主人さまには、血も涙もないですねッ!!


 しくしくと、へっぽこは仕方がなく、すていぬを抱えてベンチへと戻りました。でも、もしかしてベンチに戻しておけば、みんなの内の誰かが拾って、飼ってくれるかもしれません。

 と、ベンチに向かうと…

rukino:「およ?ぺっぽこ、その子犬は?
heppoko:「ああ、ルキノっち。

 かくかくしかじか、へっぽこはルキノに説明しました。

rukino:「ほー。

 にやり、ルキノはそのすていぬを見て、口許を曲げます。

rukino:「つまり…



rukino:「その子が、『すていぬ』の元になるわけだ。



heppoko:「はい?

 小首を傾げるへっぽこに、

rukino:「あー、こっちの話こっちの話。

 と、ルキノ。

rukino:「あ、へっぽこ、そのすていぬ、私が引き取るよ。
heppoko:「うぉ、マジですか!? ありがとうございますー。
rukino:「いやいやいや。

 そしてルキノは頭の上にそのすていぬを乗せて、てくてくと街中に消えていったのでした。

heppoko:「あー、これで安心です。すていぬさんも、ご主人さまが見つかって、よかったです。

 へっぽこはにこにこ。






 でも、それで終わりなわけがあるはずもなく!!


いぬも歩けば冒険をする!?


 よ…よしっ。

 と、その子は拳を握りしめて、そのベンチにいた人たちに向かって、声をかけました。

「すみま…


そんな初登場



 いきなり焼くか!?


aoiruka:「クレバース先生、やっちゃってください!!



愛情表現だと思いねぇ



 大歓迎ですね。



suteinu:「ヒデェヨ…

Cleverse:「だって、可愛くないしー。
heriosu:「悪即斬。
aoiruka:「髪型、同じなんですねぇ…*2

suteinu:「あうあう…


 ノービスの女の子は半泣きです。
 とりあえず、このベンチに行ってみなさいと言われて、来てみたものの…

suteinu:「ああぁ…ルキノっち…ここの人たちは、ステキに私を虐めます…


jellicia:「でも、捨てられたままなら、この中の誰かが拾ってたんだけど。




suteinu:「…








suteinu:「初登場の方を紹介ついでに状況説明ですか。








 黙れ、いぬ。*3



suteinu:「そ、そんなわけで…

 ノービスの女の子は言います。

suteinu:「なんだかよくわからないうちに、『すていぬ』と名付けられました。すていぬです。

Cleverse:「説明が、ものすごくよくわからない。
aoiruka:「まぁ、ポリンがアルケミストになるベンチですから。
heriosu:「すていぬが冒険者になるくらいは、わけないですか。


suteinu:「なんだか、すごい勢いで順応していく方々に、びっくりな感じです。



 ともあれ…



さぁ、冒険だ!


 このベンチに来た理由は、他でもありません。


 ふと気がつくと、いつの間にか人間になっていたすていぬ。
 どうしたモノかと考えていると、たまたま通りがかったセージのルキノという女の子が、教えてくれたのです。


「プロンテラのポタ広場ってとこにある、ベンチに行きなさい。話は通しておいてあげるから。
「わ、わかりましたっ。



 で。


まずは、ポリンでレベル上げ!!



suteinu:「よくわかりませんが、倒しまくればいいのですね!

 ぺちぺちと、ポリンだとか、ドラップス、ポポリンという名前のモンスターを、すていぬは叩きます。


jeyad:「で、いぬは何になるの?

 と、J。

suteinu:「はい?

 すていぬは首を傾げます。

jeyad:「いや、だから、ノービスから転職して、何になるのかと…
suteinu:「何がですか?
heriosu:「ノービスを卒業したら、剣士とかアコライトとか、マジシャンとかになって…
suteinu:「そうなのですか?

 よくはわかりませんでしたが、すていぬは言いました。

suteinu:「それになったら、すていぬはご飯をちゃんともらえるようになるのでしょうか?

jeyad:「えーと…
heriosu:「まぁ、アコとかになって、支援をすればもしかしたら…
suteinu:「おお!
jeyad:「ああ…ベンチは確かにアコプリ不足だから、支援がいれば、結構嬉しいかも…
heriosu:「ですねぇ。

suteinu:「おお! ならば、すていぬは決めました!

 むんっと胸を張って、すていぬは言いました。

いぬの恩返し



 進路決定。



自分で言うな


suteinu:「これで、明日からご飯に困りません。



 単純な行動理念。*4



 程なくして、転職可能なJobレベル10になったすていぬ。
 一行はアコライト転職のために、プロンテラ大聖堂へと向かいます。


 どうでもいいですが…



むしろ、ベンチじゃない方が、拾ってくれる人が多いような気もしますが…



 イマイチ、キャラがつかめていないようです。*5





jellicia:「そして、誰にも拾われないというオチ。

suteinu:「な、なんですと!?


 さて、ともあれ、すていぬはアコライト転職のため、マルシス神父に話しかけました。

suteinu:「アコライトになりたいのです。

マルシス神父:「いいでしょう、すていぬ。貴方のアコライト転職申請を受託します。
suteinu:「おお。

マルシス神父:「しかし、貴方は神のしもべになるために、ある修行をしなければなりません…
suteinu:「修行ですか?
マルシス神父:「そうです。貴方は…

こんな所に!?



suteinu:でで。




マルシス神父:「…

jellicia:「なんと!




jellicia:heriosu:誤字神さまの洗礼なのか!?



 今明かされる、神々の真実。*6


マルシス神父:「早く行ってきなさい。
suteinu:「ほーい。

 そんなこんなで。



ずるい奴だ…



 カプラサービスでショートカット。




heriosu:「成り立て冒険者とは思えない手際のよさ!
jellicia:「よさ!!
suteinu:「気にしてはいけません!!

 モロクにたどり着いた一行が目指すのは、マチルダシスターの修行している場所です。


…詳しいな


 はい、そこ!


 深く突っ込まない!!


さくっと終了



 なんなく終了。


suteinu:「では、プロに戻りまするー。

問答無用だな、お前ら…




 帰りも当然のように、カプラ。*7




マルシス神父:「おや、ちゃんと修行を終えてきましたね?

 大聖堂に戻ったすていぬに、マルシス神父が言いました。




マルシス神父:やけに早かった気もしますが?



suteinu:「元いぬなので、足が速いのです。



マルシス神父:「…

suteinu:「ともあれ、アコライトになりたいのです!

 すていぬは言いました。

センセー、またキャラがぶれてます



何でも略せばいいと思ってんなよ!!





マルシス神父:


jellicia:「…


マテ




 そう言う問題でもないような…



 こほむ、マルシス神父は小さく咳払いをし、祈りの言葉をつぶやきました。

 すると、ぽっとすていぬの身体が輝いたかと思うと…その姿がアコライトのそれに変わったのでした。

燃えてる燃えてる



 まぁ、当然のように見えませんが。


heriosu:「おめでとー。
suteinu:「ありー。
jellicia:「よーし、いぬのひと。

suteinu:「?

ギ、ギルドー!?



 拉致られるいぬ。


suteinu:「おおぅ!?
jellicia:「今日から、いぬの人も、このPresent For Youギルドの一員だー。


suteinu:「が、がんばりまっす!!
jellicia:「うむー。

 ふと、その二人のやりとりを聞いていたヘリオスが、ぽつりと言いました。

heriosu:「Present For Youって、何かあげるの?

suteinu:「?
jellicia:「告知参照。

suteinu:「?


実は、意外とこのギルドルールは守られていたりする、ステキなギルド


suteinu:≧w≦)b

jellicia:d(≧w≦



heriosu:「どういうギルドだ…


suteinu:「すていぬ的には、ご飯さえもらえれば、誰にもらわれても無問題です。*8











 そしてベンチ。

 すていぬが座って、「誰かくるかなー」と待っていると、いつものベンチのみんながやってきました。

makie:「いぬー!?

suteinu:「くーんくーん。
PURE:「すていぬー!?
makie:「OKOK。よーし、わかった。


makie:今日からキミは、シシマルだ。


何故シシマルなのか!?


 ちなみに、食べ物は矢印。



suteinu:「誰かは存じませんが、初登場らしき、プレさん、ありがとうございます。
PURE:「説明的だなァ…
makie:「ほーれ、シシマル、お食べ。
suteinu:「すていぬはチクワが好きだったりはしません。*9


makie:「いいから、食え。
suteinu:「…ご、ごめんなさい。ぱく。



suteinu:「…





ちなみに、人魚の心臓というアイテム



PURE:「やはり、まずかったのか…

suteinu:「ぇぅぇぅ…






 そんなこんなで、ベンチのみんなが次々とやってきて、すていぬを虐めていきました。
 初めのうちはすていぬもどうしたモノかと思っていたのですが、みんなと遊んでいるうちに、だんだんと楽しくなってきていたのでした。

 そしてやがて…



 プロンテラの街並みを、夕陽が照らし出し始めました。

suteinu:「…

 すていぬはきょろきょろと辺りを見回します。

 近づく夜が来る前に、家路に急ぐ人たちが見えました。
 ただ、それだけが見えました。

 ベンチを取り囲んでいた皆はもう、家路について、いなくなってしまっていたのです。

suteinu:「…

 すていぬはもう一度、くるりと辺りを見回しました。
 でも、すていぬに振り向いてくれる人はいません。

 ぐぅと、お腹が鳴ったような気がしました。

 そういえば、今日は朝から何も食べていません。ポリンを狩ったときに手に入れたアイテムを見てみると、ぴかぴか光る石がありました。かじってみましたが、やはりそれは美味しくありません。

suteinu:「…うぅ。

 すていぬは小さく言って、うつむきました。

 お腹が減りました。
 アコライトになったら、ご飯がもらえると聞いてアコライトになったのに、お腹と背中がくっつきそうです。さっき食べた変なモノも、こんなんだったら残しておけばよかったかもとちょっと思い、手にしたぴかぴか光る石を見ます。

 と、ふいに声をかけられました。

「ゼロピーは、焼いた方が美味しいです。
「いやマテ。そもそもゼロピーは人間の食い物じゃねぇ。*10

 声に顔を上げると、木製のカートを引いた赤い髪の女の子と、帽子を被った翡翠色の髪の魔導師がそこにいました。

「で。

 と、魔導師は頭の帽子をちょいと直して言います。

「そこは、俺の特等席なわけだが、オメーは何者だ?

suteinu:「…すていぬです。

「…
「ご主人さま!これはご主人さまが見捨てた、すていぬの呪いかも知れません!!
「なんだ、人間になって、復讐でもしに来たってのか?
「ですよ!
「アホか…
「でも、ポリンだって人間になれる時代です!!
「ああ、世も末か…

 魔導師がふぅとため息を吐きました。
 と、それをかき消すように、「ぐぅ」とすていぬのお腹が鳴りました。

suteinu:「あ…

「…スゲー音だな。
「お腹が空いているのですか?

suteinu:「うぅ…

「しょうがねぇ、いぬだな。

 魔導師は軽く舌を打ちました。
 すていぬはしゅんとうつむき、言いました。

suteinu:「拾ってください…

「…俺が?

suteinu:「ぷれれんと、ふぉーゆーです…

「いらん。そしてそれは、プレゼントと読むんだ。覚えておけ。
suteinu:「…うぅ。

 「ったく…」と、魔導師は道具袋の中をあさりました。しかし、お腹を満たすようなものはなかったのでしょう。
 仕方がなく、というように、中から林檎ジュースを取り出すと、ぽいとそれをすていぬに向かって投げました。

「とりあえず飲め。腹の虫を鳴らしたままの奴を、酒場に連れて行く気にゃなれん。

 そして、てくてくと歩き出しました。
suteinu:「…?

 小首を傾げるすていぬに、赤い髪の女の子が言いました。

「さー、いきましょー。
suteinu:「どこへいくのです?
「酒場です。みんなで一緒に、ご飯を食べるのです。
suteinu:「すていぬも、ついていっていいのですか?

 その問いに、魔導師は歩みを止め、けだるそうに振り返りながら言いました。

「つーか、ベンチで餓死されたら、こっちの寝覚めがわりぃ。いいからついてこい。いぬ。

suteinu:「あ、ありがとうございます!

 だっと立ち上がり、すていぬは転がるように走り出しました。
 その後ろ姿を、赤い髪の女の子はにやりと笑いながら、見ていました。

「ふふふ…完璧な作戦です。ルキノっち!

「おい、へっぽこ!行くぞ!!

 魔導師が彼女に向かって言いました。

「あー、今行きます!待ってください、ご主人さまー!!

 だから、その魔導師のつぶやきは、彼女には聞こえなかったのでした。
 聞こえたすていぬだけが、少し、首を傾げたのでした。

「結局、食い扶持を増やされるのか、俺は…

suteinu:「?

「アコライトになったつーから、拾ってやるんだ。その分、冒険の時にゃ、恩返ししやがれよ、いぬ。

 けっと悪態をついて、魔導師は帽子を直しました。








 酒場には、昼間にあったみんなの姿がありました。

 けれど、誰もすていぬを見ると、魔導師に向かって、「あれー?その子どうしたんですかー?」「またナンパですか?」「さすがですね」「アコさん、お名前はー?」と聞いてきます。

 すていぬには、なんだかよくわかりません。
 でも、魔導師がちょいと帽子を直して、

「白々しい奴らめ。

 と、つぶやいたのだけが、聞こえました。


*1 もはや姿を見せない事の方が多いが、へっぽこはもともとはspitのペットのポリン。
*2 ハネっ毛はrukinoと同じ。
*3 この、駄犬が!!
*4 後に資産とまで言われるようになる、すていぬの第一歩。
*5 所詮、犬。
*6 誤字は貴方のそばで見守っています。
*7 世界は狭いな…
*8 新参はリボン、デフォルトは大リボン。偉くなったら、リボンのヘアバンドらしいです。すていぬはこの後、リボン装備で天津を駆け抜けたりして遊ぶのですが、それはまた別の話。
*9 どこのハットリくんですか。
*10 アルファ時代は食べてる人もいましたけど。

**おまけ
さすが、すていぬ

お役に立ちまくり。