そんなこんなで、ミッドカツ王国は今、バレンタインデーに向け、女の子たちはそわそわなのでした。
heppoko:「うーん…
バレンタインデーがよくわからないへっぽこは、ベンチで首をひねっています。
どうやら、バレンタインデーというのは、好きな男の子にチョコレートをあげる日なのだそうです。
heppoko:「うーん…
チョコよりも焼いたゼロピーの方が…とか、ちょっと考えたりもしましたが、ともあれ、へっぽこは街の中の女の子たちのそわそわを、ベンチで眺めています。
と、その時でした。
「どうしました、迷える子羊よ…
と、聞こえた声に、へっぽこは振り返ります。と、そこには天使が…
heppoko:「天使さん!?
「
否!!
Ridgel:「
そう、私は愛のキューピッド!!
heppoko:「…1Dayですか?
Ridgel:「そのようなものかも、知れません。
*2
Ridgel:「まぁ、ともあれ…
バレンタインデーは
明日ですが。
rukino:「おー、そーかそーか。
と、ベンチにやってきたルキノが、リジェルさんを見て言いました。
rukino:「つまり…悩める乙女のためにカカオを集めるべく…
rukino:「
ヨーヨーの大量虐殺に協力してくれるということだね?
Ridgel:「乙女の発言じゃない気が!?
気にしない。
はてさて、バレンタインデーといえば、チョコレートです。
チョコレートを作るには、原材料となる、カカオが必要です。
カカオは、ヨーヨーという、サルのモンスターが落とします。
え?
原材料からチョコ作るなんて、すげぇ手作りっぷりだって?
気にしない。
ともあれ、カカオを手に入れ、アルベルタにいるチョコレート職人に渡すと、チョコレートにしてくれるとのこと。
ベンチの女の子組は、天使(自称)の他、何人かの男の子たちを連れて、いざ、カカオ集めです。
乙女たちがおサルさんを惨殺。
は、都合により割愛させていただきます…
はてさて、そんなわけで、アルベルタ。
一人の職人風の男性が、道行く乙女達に声を掛けています。
rukino:「あの人が作ってくれるのかな?
makie:「ですかねぇ。
MilliaDream:「聞いてみればよいかと。
rukino:「んむ…すみませーん。
「お、お嬢ちゃんも、チョコが欲しいのかい?
気さくな感じで、その職人さんは言いました。
即答。
rukino:「チョコ作ってくれるって話じゃなかったのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
makie:「せっかく、カカオ持ってきたのにー!!
Ridgel:「はて…娘さんはともかく、槇恵さんは誰にあげるんだろう…
makie:「…?
makie:「
自分用。
Ridgel:「
それは天使もびっくりです。
と、そんなやりとりをしていると、くいくいとルキノの背中から伸びているセージの服のわっかを、誰かが引っ張りました。「うぁ、ひっぱるな!?」と、ルキノは振り向きます。
*3
わっかを引っ張っていたのは、職人さんのちょっと奥にいた女性でした。
rukino:「な、なんですか?
「あの…材料をお持ちでしたら、私がチョコレートをお作りしますが…
rukino:「およ?
その女性は言いました。
「彼が売ってるチョコレートも、私が作ったもので…もちろん、彼が売っているチョコレートにあなたの気持ちを込めて、好きな人に差し上げてもいいのですが…
そしてにっこりと笑って、その女の人は言いました。
「
自分で集めた材料の方が、想いが伝わるような気がしますから。
実体は、おサルさん大虐殺ですが。*4
と、ともあれ。
一行は、カカオから、チョコレートを作ってもらいました。
さて、この作ってもらったチョコレートから、プロンテラ城にいるお菓子職人が、手作りチョコレートを作ってくれるそうです。
手作りチョコレートを…
作ってくれるそうです。
気にしない。*5
そんなこんなで、一行はプロンテラ城へ。
いい感じにむかつくしゃべりです。
しかも、よく聞くと、
日本語おかしいしな!!*6
はいはい、火気厳禁。
rukino:「ばかー!!
だっと、ルキノは駆け出しました。
Ridgel:「何が『ばかー!!』なのかはわかりませんが、何やら乙女の心が大ピンチ?
MilliaDream:「きっと、手作りチョコを作ってあげたい人でもいたのかと。
makie:「とりあえず、私は、美味しいチョコができれば、何でもいいです。
はてさて、だっと駆け出したルキノでしたが、向かった先は言わずもがな、ベンチです。
Ridgel:「で…
と、リジェルさんは、ベンチで何やらメモを眺めているルキノに聞きました。
Ridgel:「あなたは何を熱心に読んでいますか?
rukino:「ん?
ひょいとメモから顔を上げると、ルキノは言いました。
rukino:「えーと…
rukino:「お菓子職人が作っていたという、手作りチョコレートの作り方のメモを…
Ridgel:「ほほーう。そこまでして、手作りチョコをあげたい人がいたのですか?
rukino:「別に…そういうわけじゃないけど…
makie:「で、手作りチョコは、どう作るのです?
聞いた槇恵さんに、ルキノは言いました。「うん」
Ridgel:「ま、まってー!?
MilliaDream:「明日の惨劇が楽しみだなぁ…
Ridgel:「私はいらないぞ!? 昆布だしなん…あー、でもちょっと気になるかも知れない気も…
ルキノは熱心にメモを見ています。
makie:「ふっふっふ…
と、槇恵さんはにやにや。
そして、運命の日は来たのでした!!
「スピさん!!
と、その日、ベンチにやってきたのは…
「(さささっと、胸元から、ちらちら…
まずは男。*7
spit:「わかったわかった。
スピットはそのプリーストさんを見て、目を細めて言いました。
spit:「
カエレ、てりあ。
Teria':「ああああっ、せっかくプリーストのコスプレしたのに、バレてる!?
*8
Ridgel:「コスプレすればいいと言うものでも…
spit:「へっぽこ、あのチョコ食っていいぞ。
heppoko:「わーい。
Teria':「うわー!ルートモンスターが!?
heppoko:「(もぐもぐ
Teria':「こ…これはもう…
Teria':「
へっぽこに告白するしか!!
呪いか何かのたぐい?
heppoko:「そーです、ご主人さま。
と、へっぽこは言いました。
heppoko:「今日は、ばれんたいんでぃなので、アルベルタに行って、みんなのチョコを買ってきたので、配ろうかと思うのです。
spit:「ほう…
Ridgel:「それはあれですか。
spit:Ridgel:「職場の男性陣に同じ課の女の子たちがお金を出し合ってチョコをあげるような感じ?
heppoko:「なんだかとっても妙にリアルで、哀愁漂う発言ですね、ご主人さま。
はてさて、ともあれ、へっぽこはチョコをみんなに配っていきます。
heppoko:「ラバさん、ちょこです。
luvas:「ん?
珍しくベンチにいたラバに、へっぽこはチョコをあげました。
heppoko:「同じへっぽこ同志、仲良くしましょうー。
luvas:「
死ね。
この上ないステキなふられ方。
luvas:「(ぱく
luvas:「
おぇ。
heppoko:「おぇかよ!?
heppoko:「うわあぁぁぁん、ご主人さまー!!
spit:「今のは、ラバが悪い。
luvas:「あーん?なんで俺が、ポリン如き…
luvas:「
こいつ、斬っていいか?
spit:「とりあえず、倉庫があふれるからヤメテクレ。
makie:「純情な感情はからーまわり〜。
チョコ談義で、いつも通りにわいわい楽しいベンチ前。
と、そこへてくてくとやってきたのは、ルキノです。
spit:「おう、ルキノ。久々だなぁ。
rukino:「ん、んー…そ、そう?
ルキノはそわそわ。
Ridgel:「(2828
*9
makie:「(2828
昨日一緒にチョコ作りをしていたメンバーは、にやにやです。
rukino:「えーと…
ルキノはぽりぽりと頬を掻いて、言いました。
rukino:「ちょ…チョコ食う?
rukino:「
初心くん。
Ridgel:「そっちだったのかー!?
makie:「これは驚きの急展開!?
MilliaDream:「そして、ルキノのチョコを、初心くんは!?
ubu:「
ルキノのはいらない。
Ridgel:「うわ!あっさり拒絶!?
makie:「ふられてる!?
rukino:「あ…あぅ…
Teria':「ここで、その心の悲しみにつけこめば…
Ridgel:「優しい言葉で、つけいるのですね。
ubu:「嘘嘘。
初心は軽く笑って言いました。
ubu:「それじゃ、早速、いただきます。
rukino:「くえーくえー。
ルキノから手渡されたチョコを、初心はぱくり。
spit:「ハートに羽だとぅ!?
Ridgel:「これぞ、家族ぐるみのおつきあいというものですか!?
makie:「でも、ハートに羽が出たという事は…
槇恵さんは額の汗をぬぐいます。
rukino:「…ど、どう?
ubu:「(もぐもぐ
MilliaDream:「初心くん、なむ…
Ridgel:「もしかしてあれですか、ルキノさん。
rukino:「ん?
Ridgel:「
それは、手作り?
rukino:「そうだけど?
*10
ubu:「
(もぐもぐ…
ubu:「…あ、あれ?何か、数時間ほど記憶がない気がするんですが…
spit:「キノセイだから、安心しろ。
ステキな破壊力が証明されました。
makie:「ふっふっふ…
にやり、槇恵さんは笑います。
と、そこへちょうど、アサシンのケイゴがやってきました。
keigo:「ちわー。
すっくと立ち上がるやいなや…
差し出すのは、手作りチョコレート!!
keigo:「…
しゅん。
makie:「残念無念…
一人の男は、生き延びた…
Sylphienne:「あ、そうです。リビアンさん。
と、シルさんは思い出したように、隣に座っていたリビアンに向かって言いました。
ribbean:「ん?
Sylphienne:「あのー…せっかくいらしたので、これを…
シルさんの手作りチョコレート。
spit:「うお!? リビアン、貴様!?
MilliaDream:「ひゅーひゅー。
Favnir:「リビさん憎いね〜。この色男。
ribbean:「うるせぇ、外野。
Sylphienne:「おいしいうちに、どうぞです〜。
ribbean:「では、いただきます。
ribbean:「うお。
Sylphienne:「ど、どうですか…
ribbean:「
うめぇ…
Sylphienne:「よかったです〜。がんばって作ったかいがありました。
えへへと、シルさんは照れ笑いです。
それを見て、
makie:「シルさんの手作りチョコになんて、かなうもんかー!!
rukino:「もんかー!!
声を上げたのは、槇恵さん。続いて、ルキノです。
ちなみに、
初心くんはちょうど、帰ったところでした。
spit:「うお、お前、いつの間に帰ってきたんだ。
rukino:「ううぅ…チョコを手作りできるなんて、料理の天才だっ!!
なんだかものすごいことをさらりと言ってのけている気がします。
Sylphienne:「そ…それは…
シルさんは苦笑しました。
Sylphienne:「まぁ、確かにチョコを作るのも大変ですが…ルキノさん、いったい、どのようにして作ったのですか?
rukino:「うぅー…
ルキノは眉を寄せて、ぽつりといいました。
rukino:「まずは…
rukino:makie:「
猿を惨殺して…
Sylphienne:「ざ、惨殺!?
そりゃ、呪いのひとつもかかってそうだ。
rukino:「それで、カカオを集めて…チョコにしたら、そのチョコは…
Sylphienne:「に、煮てはいけません!!
rukino:「ええっ!?
makie:「煮るんじゃないの!?
だから、何故昆布だしなのかと小一時間…
Favnir:「カツオだしでは、NG。
rukino:「ダメなんじゃないの?
Favnir:「そうかー。
Sylphienne:「い、いえ…その前に、すでに違う食べ物です。
rukino:「
えええっ!?
ルキノは目をまん丸にして言いました。
rukino:「だって、槇恵さんがそうするんだって、
言ったんだもん!!
makie:「丑三つ時に、ヤモリとバラとロウソクを…
spit:「焼いて潰して、粉にして、スプーン一杯舐めるのか?
makie:「そう、
そして一言唱えるのです!!
どこのグランゾートですか。*11
makie:「じゅじゅじゅもん〜可愛いあの子にじゅじゅじゅもん〜。
rukino:「ぼくのこーとをすきーなるようにー。
spit:「あー、歌ってろ歌ってろ。
heppoko:「JASRACからクレームが来ますよー。
rukino:「おとなのしらない不思議なこーとーばー。
Ridgel:「ともあれ。
と、天使(自称)が言います。
Ridgel:「バレンタインデーももうすぐ終わろうかと言うところなので、そろそろ天国に帰らなければいけないのですが…
spit:「ん、そーなん?
Ridgel:「結局、私は何をしに来たのでしょうか?
rukino:「惨殺におつきあい?
Ridgel:「
天使の仕事じゃないですね。
たしかにな。
rukino:「あ、そーだ。
と、ルキノ。
rukino:「くえー。
Ridgel:「…
Ridgel:「
エー。
天国に帰る手間は省けそうです。
rukino:「あー、これは私が作った奴じゃないから、平気だよ。
苦笑しながらルキノが差し出すチョコを、
Ridgel:「おや?そうなのですか?では、せっかくですし、いただいておきましょう。
リジェルさんは受け取って、ぱくり。
Ridgel:「ふむ。普通に美味しいチョコですね。ありがとうございます。
rukino:「ふ…
Ridgel:「
なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?
Sylphienne:「な、何かあるのですか…
rukino:「ジュノーの錬金術の力で作ったチョコだ!!
なんかいろいろやってるな、ジュノー。*12
rukino:「はなぢを出して、倒れたか…
Sylphienne:「る、ルキノさん…今度のチョコは一体何で…
rukino:「アブラカタブラなチョコ。
makie:「表面には精霊文字がびっしりと…
Harusame「それはすでにチョコじゃない。
rukino:「材料は黄ジェム…それを鍋でことこと煮込むのです…
昆布だし好きだろ、お前。
rukino:「そんなわけで、私はそろそろ逃亡します。
と、言うやいなや、ルキノは蝶のはねを使って、しゅんっと姿を消したのでした。
ribbean:「うーん…珍しく、逃亡の意味が正しく使われているような気が…
Sylphienne:「リジェルさん、大丈夫でしょうか…
ぴくぴくしているリジェルさんを見て、シルさんは不安げに言います。
と、そんなリジェルさんを見て、スピットは言いました。
spit:「なぁに…
Ridgel:「当ててみせるさ!!
ばっと跳ね起き、剣を振りかぶり、「今ここで、貴方が死ねば、新しい未来がー!!」斬りかかる騎士に、スピットも立ち上がって応戦です。「やらせはせんよ!!」
appi:「と、いうわけで、スピさん。
spit:「ん?
と、いつの間にやらベンチの後ろにいたアピが言いました。
appi:「遅くなってしまいましたが、どうぞ。
spit:「お。チョコだー!
appi:「今日は、バレンタインデーですから。
と、アピはスピットにチョコを手渡して、ちょっと笑いました。
Ridgel:「はっ!?そうだった!!
Ridgel:「私はそもそも、
このシーンでにやにやするために来たのですよ!?
実話。*13
Ridgel:「よし!
我が人生にいっぺんの悔いなしッ!!
ずいぶんな人生だな。
spit:「えーと…
と、スピットはチョコを手に言います。
spit:「これはあれか、お前らのいる前で、食べなきゃいけないのか?
Ridgel:「無論。
makie:「当然。
ribbean:「当たり前。
Sylphienne:「リビアンさんまで!?
ribbean:「え、だって、シルさんだって、見たいでしょ?
Sylphienne:「はい。
Ridgel:「(2828
makie:「(282828
spit:「…
見守るベンチメンバーに、スピットはちょっと苦笑しました。
appi:「あ、あの…
アピは言います。
appi:「あの…どうぞ、スピさん。食べてください。
spit:「じゃ、じゃあ…いただきます。
あーんと口を開けてスピットは、ぱくり…と…
それは緑ハーブ。
Ridgel:「斬る!!
makie:「ぶりっつびぃぃぃぃぃぃぃぃぃと!!
ribbean:「ホーリーライト!!
spit:「ぎゃぁああぁぁぁ!!
spit:「ちょっとした、お茶目じゃないかぁ…
しかし、なんともまぁ…みんなの居る前で手作りチョコを食べるというのは、こっぱずかしいものです。
でも、食べないことには、周りが許してくれません。
スピットは意を決すると、
spit:「それじゃ、いただきまーす。
と、チョコレートをぱくり。
appi:「お、おいしいですか?スピさん。
spit:「あ、うん。うまいぞ。(もぐもぐ
spit:「ギャラリーが居なければ、もっとよかったが…
Ridgel:「本当は嬉しいくせにー。
ribbean:「ですよね〜。
makie:「(2828
そして、にやにやしながら槇恵さんは言いました。
makie:「
これで、次はホワイトデーですね。
spit:「はい?
luvas:「あ?
Ridgel:「へ?
ribbean:「ん?
makie:「バレンタインデーにチョコをもらって食べたということは…
makie:「
ホワイトデーに3倍返しを承諾したという事!!
makie:「愛はタダではないのです!!
appi:「なるほど。
spit:「しかも、メモしてるー!?
Ridgel:「にやにやしにきただけのつもりが!?
ribbean:「あれ?まさか、シルさん…そんなこと…
Sylphienne:「はい?
ribbean:「ステキな微笑み!?
makie:「ふっふっふ…
にやにやと、槇恵さんは言いました。
makie:「これぞ、乙女たちの戦略!!
appi:「3倍返しなんて、気にしなくていいですよ。スピさん。
Sylphienne:「そうですよ、リビアンさん。
spit:「うおぉぉぉ!?
ribbean:「よーし、スピさん、狩りにいくぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
そして、男たちの哀愁なのです。