studio Odyssey



Ragnarokは強いのか?





「ギルド、Ragnarok?」

 青い空が窓の向こうに見えるその部屋の中、初老の男が、ぽつりとつぶやきました。

「聞かない名だ…」

 窓の向こう、青い空。
 雲は、その部屋にいる者たちの足下より下に見えています。

「Ragnarok?」

 一人の騎士が、その名を繰り返しました。
 大きな円卓の上には、ギルド攻城戦の結果が書かれた紙が広げられ、それを数人の男達が取り囲んでいます。
「レルム3の防衛を手伝った、ギルドだな…このギルドがどうかしたか?」
「いや…」

 騎士は小さく、その円卓に座る初老の男に向かって聞きました。

「ギルドマスターの名は?」
「このギルドが、何か?」
「いや…ちょっと気になる名前だっただけだ…マスターの名は?」
「平均レベル…70前後…たいしたギルドではないが…マスターの名は…」

 男のつぶやいた名に、騎士の男は頬を少しだけ、ゆるませました。

「…あいつか」


Ragnarokは強いのか?


 まぁ…

 ギルド砦の防衛に一役かったというのは本当らしいし、正直、あの子たちがそれほどの力をつけたのかはわからないのだけれど…

再び砦へ

Ridgel:「ギルドダンジョン、初体験!
Furiae:「即死な予感!
Curou:「…防衛には参加しなかったけど、いいのだろうか。

 私は、ギルド、Ragnarokのいつものたまり場という、あのベンチに行き、防衛戦に参加したという騎士とアサシン、そしてそこにいたクルセイダーを連れ、ギルド砦へとやってきました。*1


 はてさて…
 ギルド、Ragnarokの面々の力というのは、どれほどのものか…

 ところで、どうでもいいんだけど、私、なんでノービスなのかしら…

「あのー…」

 私は、騎士、リジェルに言います。

「ギルドダンジョンに挑むのはいいんですけど…」
Ridgel:「なんでしょう?


「プリーストはいないのですか?」


いつものことですが…


Ridgel:仕様です。


Furiae:「ベンチ突貫は、プリがいないなど、いつものことです。



 本気か、この人たち…

「ま、まぁ…クルセさんいますし…」



Curou:「ヒールなんて当然ありませんが?


 本気か!?*2




Ridgel:「あ、一人、追加で来るようです。ゼルクさん、迷っているようで…
Furiae:「じゃ、逝きましょうか。


Ridgel:「待たないんだ、シビアだw



 へ、平気なのか、この人たち…



 そして、砦の地下にある、ギルドダンジョンに私は彼らを連れて入り…



入って、一歩も動いてないですが…



 早っ!?




Ridgel:「さーて、では、ギルドダンジョン、初体け…おおおぉ!?


ロードの差


Ridgel:「何をしてますかー!?


Zeruk:「あり得ない強さ…
Furiae:「即死ですよ…
Curou:「勝てませんって。


サシだ!!

Ridgel:「うおおおぉぉぉ!負けるかー!!


 と、騎士、リジェルは狂気のポーションを飲み、ツーハンドクイッケンを発動。
 マヤパープルの攻撃をかわしながら、斬りつけていきます。

 この騎士は…強い…




ちーん

Ridgel:「いえ、無理です。


Furiae:「リジェルさんが勝てない敵に、我々が勝てるはずもなく…
Zeruk:「ですねー。
Ridgel:「た、探索する暇もなく終わった…





 …強いのか?このギルド。


 がっくり肩を落とし、4人はベンチに戻ります。

Ridgel:「うーむ…
Zeruk:「やはり、プリなしでは、死ねましたね。
Furiae:「当然といえば、同然でしょうが…
Curou:「火力も足りないですしねぇ…

 と、ベンチに戻ると…

rukino:「おか。


Ridgel:火力発見。


ichigo:「おかー、です。


Zeruk:プリ発見。


reira:「何かやってるのですか?


Furiae:さらに火力アップ。




Curou:「じゃ、再チャレンジといきましょうか。


 立ち直り、早っ!?



rukino:「いあいあいあ…何を突然…

 赤い髪のセージが言います。

Ridgel:「今、ギルドダンジョンに挑んでいるのです。
Furiae:「攻城戦で防衛できたので、体験させていただけているのです。
rukino:「ほほぅ…



ノリノリ




 決断、早っ!?



 そして、3人増えて、7人になって、再びギルドダンジョンへ。

 まぁ…でも…平均レベル70とかのパーティじゃ、何人増えても、高レベルモンスターばかりのギルドダンジョンでは…



撃破しまくり

rukino:「ずどーん!
reira:「くまうまー!

Ridgel:「ふははは!速度にブレス!!私は、風になるッ!
Furiae:「グロリアがあれば、クリもでるー!!



 なんか、突然強くなった。


 意気揚々と、彼らはギルドダンジョンを歩いていきます。

rukino:「ここには、何がいるんだー?
Ridgel:「強いくまとか、強い蝶とか、強いイノシシとか…

 強いくま=レイブオルマイ。
 強い蝶=クリーミーフィア。
 強いイノシシ=グリンブルスティ。

 まぁ…彼らにとっては、そんな事はどうでもいいようで…


Furiae:「あ、あと、強いPTがいるかもしれませんね。
reira:「あー、ギルドダンジョンは、攻撃出来ちゃうんだっけ…
ichigo:「誤爆に注意しながら進みましょうー。*3
Curou:「砦の人たちに、迷惑かけちゃうしね。
Zeruk:「イノシシ接近!


瞬殺ですよ


Ridgel:滅殺!!


鬼だ…




 何を剥ぐのだろう…*4



rukino:「…くまといのしし、FWに引っかかるのか。倒せそうだなー。

 と、ぽつり、セージの彼女。
 ここにいるモンスターの多くは地属性です。
 よって、彼女の炎魔法は、有効属性なので、かなりのダメージを与えられるよう…

rukino:「ちょっくら、やってみるぜー。
Ridgel:「では、私もくまとタイマンしようかな。

 からって、一人では…




さくさくと…



 勝ってる!?




rukino:「おおおぉぉ…
Ridgel:「どうしました?



rukino:ウマー!?


 ギルドダンジョンのモンスターたちは、軒並み、経験値が多くなっているので、彼女くらいのレベルでは、そのモンスターを一匹倒しただけでも、結構な経験値になるのでしょう。



rukino:「わははー!経験値、いただきだー!!



仕様です





 いや、減ってるし、それ。



rukino:「こ、この柱がッ!柱がッ!!


Ridgel:「何をしていますか、貴方は。
Furiae:「仕様です。

Ridgel:「まぁ、でも経験値おいしいし、死んでも痛くはないですな。
Zeruk:「ですねー。
Curou:「これで、レアが出れば…
Furiae:「それは高望みしすぎかと…

reira:「くま、はっけーん!
Ridgel:「む!くまうまー!!

rukino:「おこしてー。
ichigo:「リザレクショーン!!


 と、彼らが、通路の向こうからやってきたレイブルオマイを倒したときでした。



Curou:「あ…

あ…



rukino:「い?
Zeruk:「う。
Furiae:「え…
ichigo:「を。

固有名詞です


Ridgel:「どうしました?

くまが「あれ」を落とすのです



 ある意味、レア。




 うれしくないけど…









Ridgel:「ふーむ…

 それからしばらくまた彼らは狩りをして、一通りギルドダンジョンを回りきりました。
 今度は一回目と違い、全滅どころか、やられたのも、セージの彼女だけです。


Ridgel:「一通り回りましたし、敵も斬りましたか…
rukino:「ねーねー、なんか、さっき、強いのにやられたんじゃないの?
Furiae:「ああ、マヤパープルですね。
Curou:「あれ、マヤじゃなかった?
Zeruk:「パープルだったと思いますが…

Ridgel:「とりあえず、強い奴ということで…
rukino:「うむ。


さっきは、不意打ちだったんですよ!!



 と言っても、マヤパープルもそう簡単にあえる敵ではないですし、1回目は全滅した相手。*5

 この子たち、本気なの…




本当に見つける奴ら



 本気だ。



Ridgel:「ふはははは!
Furiae:「さっきは、よくもー!!

rukino:「こいつか、こいつかー!!
reira:「つよーい!!

集中砲火

rukino:「なんか、おまけがついてるなー。
Ridgel:「うざいわ、イノシシ!!

ichigo:「がんがれー。





 そして、あっというまに…


あっさり殲滅




 殲滅。


 もしかするとこの人たちは、個々ではそれほど強くないけれど、パーティを組むと…

Ridgel:「ふははははは!勝った!!勝ったぞ!!




Ridgel:SP使い果たしたけど。


 強い…のかな?



rukino:「だっしゅつ!!

「おう!!




 そして、出口へ走る彼ら。
 その前に、レイブルオマイが2匹、立ちふさがります。


出口まで、あとちょっとというところに沸く敵


rukino:「なぜ、出口に!
Ridgel:「あやうい…

Furiae:「さあ、脱出しましょう!!




 そして…


レルム城壁の上


 さんさんと午後の陽光が降り注ぐヴァルキリーレルムに、彼らは戻ってきました。


rukino:「ふー。

 と、セージの彼女は軽く息を吐き出しました。


rukino:「とりあえず、レルムのベンチで休憩しようか。
Furiae:「ですね。

Zeruk:「あれ…
ichigo:「どうしました?



Zeruk:たりないような…









Ridgel:置いて行かれる、僕。


そのまま行く


reira:「貴方の事は忘れません…
rukino:「気合いでくりぬけろー。

Ridgel:「こう、颯爽と助けに来てくれたり…

なむ…






 は、しないようです…



reira:「ちなみに、レルム抜けたら、忘れますが…
Zeruk:「さよなら、リジェル!ありがとう、リジェル!!


Ridgel:ひでぇや。

 えぐえぐと嘘泣きする騎士、リジェルの声が聞こえていました。









「どうだ?あいつの、プロベンの仲間たちは?」

 私の頭の中に届く声。「そうね…」
 私は、彼にだけ聞こえる声で返す。

「個々の実力は、それほど高いわけではないけれど、特筆すべきは、仲間たちと組んだときの強さと…」



「それぞれの心の強さといったところかしら」


「へぇ…」

 唸るようにして返した彼に、私はそっと、続けたのでした。

「彼らは、もしかしたら、たどり着くかも知れないわね」
「同じ場所に?」
「その時は、ともすれば…」




「私たちと、戦うことになるかも知れないわね」

「やりたくはねぇ相手だな」

 彼の笑うような声。
 私も軽く笑う。

 来るべき、魔物たちとの決戦。
 その時、その場所で、もしかしたら…


 午後の陽光の差し込むプロンテラ砦、ヴァルキリーレルム。
 私は彼らに気づかれないよう、そっと、姿を消しました。

 青い石を、その呪文の言葉にはじけ飛ばせて。「…ワープポータル!」







Furiae:「あ…
rukino:「ん…?



誰もいらない…

rukino:「リジェさんにあげる。

Ridgel:「いらねー!!



 彼らとまた出会うことを、ちょっとだけ期待しながら。


*1 そんな訳で、今回はギルドダンジョンのお話。ギルドダンジョンは砦を取ったギルドだけが入ることが出来るのですが、前回防衛したレルム3の砦持ちギルド、時の番人達のギルマスさんの計らいによって、ベンチメンバー、ギルドD初体験です。なお、今回は日記的にはストーリーちっくですが、実際は、このノビは時の番人達ギルドとは、関係ないので念のため。
*2 本気と書いて、マジと読む。
*3 ギルドダンジョンはプレイヤー同士で攻撃が出来る。よって、他の砦持ちギルドの人を攻撃してしまうことも可能。まぁ、他の砦との関係が悪くなるだけなので、あまり推奨されない。こんなところでspitが大魔法を打ったら、大ひんしゅくだ。
*4 アリス。
*5 時間沸きだとか。

**今日の小ネタ 気持ちをうけとっ…りたくねぇ…


Furiae:「リジェルさん…受け取ってください…