spit:「あれ? 俺、出てたのに、もう出番なし?
*3
そんなこんなで、賢者の街、ジュノーです。
つい先日、国境都市アルデバランの北にある国境検問所がひらかれ、冒険者たちはこの、シュバルツバルド共和国の首都、ジュノーに来ることが出来るようになったのでした。
Ridgel:「ジュノーかー、ゆっくり観光したいかなぁ。
と、リジェルさん。
rukino:「あー、そういえば、まだゆっくり観光とかはしてないなー。
Furiae:「ですねー。
Ridgel:「今度ゆっくり…って!
Ridgel:「トーテムポールですかい。
putiLeona:「なんとなく重なってみた。
rukino:「密度、たかー。
makie:「ぉ?
ともあれ、一行はセージへの転職をしてくれるという、セージキャッスルに向かいます。
Ridgel:「でかー!?
一行は、その建物を見上げ、感嘆のため息。
そしてさらに中に入って、壁一面を埋め尽くす本の様に、ぽかーんと口を半開き。
床に描かれた魔法陣が、一定の間隔で光を放ち、セージキャッスル内を照らしています。
でも、その光があっても、はるか向こうの天井は、見ることが出来ません。本棚になった壁面は、その光の届かない天井の向こうにまで続いていて、どれだけの高さがあるのか、想像もつきません。
rukino:「とりあえず、奥の部屋にいくべー。
ずんずんと進み、セージキャッスルの奥まった部屋。
そこには、一人の賢者の姿がありました。
rukino:「ケイロン=グリック学長です。
Ridgel:「
誰?
putiLeona:「
ひげのおじちゃん?
rukino:「学長だから!?
冒険者たちのそんなやりとりにも慣れたものなのか、グリック学長は軽く笑いながら、話しかけたトライスに向かって言いました。
グリック学長:「セージになるには、まず、シュバイチェル魔法アカデミーに行って来なさい。そして、メテウス=シルプという若いセージに申し込みをするように。
makie:「
しばいちゃる?
Ridgel:「しばくのー!?
Trice:「つまり…
rukino:「直感的でない固有名詞は覚えられない。
Furiae:「では、しばきに。
Ridgel:「よーし。
rukino:「なんか違うぞー!?
そんなこんなで、一行はシュバイチェル魔法アカデミーを目指します。
ribbean:「って、魔法アカデミーって、どこだー!?
Ridgel:「迷う僕ら。
なにしろ、皆、そろいもそろって、ジュノーには二、三度、来たことがある程度です。
どこに何があるかなんて、全くわかりません。
そんなわけで、みんなで魔法アカデミーを探して、ジュノーを散策です。
rukino:「びんご!!
makie:「早っ!?
Ridgel:「これはあれですね…
リジェルさんが言いました。
Ridgel:「ルキノも、セージになると。
rukino:「なんだってー!?
そういえば、ルキノは先日、魔法士レベルを極めたので、いつでも転職できます。
なろうと思えば、今すぐにでもセージに転職できます。
魔法アカデミーに受け付けに皆が集まってきました。
トライスさんが入学願書を書いている間、他の皆はルキノも転職するのかという話をしています。
rukino:「転職できませーん。
ribbean:「そなの?
rukino:「何になるかも、決めてないし。
と、よいしょと、ルキノは受け付けの前にあったソファに座りました。
ribbean:「うん、ウィザードになった方が、強いかもしれないしね。
と、リビアン。
Furiae:「様子見ですか。
mimihime:「なるほどー。
putiLeona:「セージ、肩幅広くなるしね。
rukino:「んだねー。
*4
Ridgel:「っていうか…
Ridgel:「
くつろいでるし。
入学願書を書き終わったトライスさんが、「次は筆記試験を受けるそうです」と、「奥の左の部屋へいけと」
rukino:「奥の左ー。
makie:「トイレで筆記試験を受けろと!?
ribbean:「緊張しすぎても問題ない…
違うと思うぞ。*5
気を取り直して、奥の左にある部屋。
rukino:「ここか。
Ridgel:「ちなみに、このお方のお名前は…
rukino:「クレイトス=ベルモさん。
makie:「難しい名前が多すぎだ!?
*6
さて、トライスさんは筆記試験です。
一行は、しばし待ちます。
Trice:「…
Trice:「も、もう一度…
そうです。
セージアカデミーの入学試験は、とても難しいことで知られているのでした。
Ridgel:「どんな問題?
Trice:「アーチャーのスキルなんか判るか!
makie:「まぁ、魔法士ですしねぇ…
Trice:「キーキー。
putiLeona:「しってるー。
makie:「私も、わかりますよ。
Ridgel:「集中力向上とか?
rukino:「それくらいは、私にもわかる…
Trice:「あと、化けエサが売ってない町はどこか、とか。
makie:「わからない…
Ridgel:「マニアックな…
putiLeona:「ふぇい。
rukino:「あるでばらん。
Ridgel:「即答した!?
makie:「すごい…
Trice:「モロクの宝石商人が売ってない宝石は何か、とか…
Ridgel:「るびー?
putiLeona:「るびー売ってる。
rukino:「だいや3からっと。
Ridgel:「真珠も店売りしてないな。
putiLeona:「オパールもないよ。
rukino:「モロクには、ガーネットもなかったと思う。
Trice:「青い色の髪が有名なカプラは?
Ridgel:「ディフォルテ?
Trice:「グラリス?
Ridgel:「グラリスは茶色じゃ…
Trice:「とりあえず、もう一回やってみます…
と、再びトライスさんは試験に望みます。
と、リジェルさん。
Ridgel:「次でトライス合格するかどうか
賭けないか?
makie:「落ちるほうに…
Ridgel:「落ちるほうに…100z
putiLeona:「落ちるに1緑ハブ。
Furiae:「じゃあ、落ちるに1べト液。
Ridgel:「
ダメだ、賭けになりゃしねぇ。
ステキな仲間たち。
*7
Trice:「キーキー!!
rukino:「あ、おちた。
Trice:「マジJobレベル33のINT加重値はいくつ?
putiLeona:「しらなーい。
rukino:「33のjobなら、4。
putiLeona:「ねえねえ、ルキノ。
rukino:「ん?
putiLeona:「そんなに詳しいってことは…
putiLeona:「
ルキノって年増?
rukino:「うわあぁぁ!?
ribbean:「中の人も大変だな…
Furiae:makie:「
中の人などいない!!
くじけず、トライスさんは何度も筆記を受けます。
けれど、何度やっても合格点には届かず…
そんなこんなのうちに、冒険に出てきた初心が合流。
ubu:「苦戦しているようですね…
Trice:「キーキー!
ヒデェヨ…
一行はともあれ、トライスさんの試験終了を待ちます。
数十分後…
やっとこ終了で、次は実技です。
実技は、簡単です。
Trice:「制限時間内に、敵を倒せとのこと。
rukino:「この方は、ヘルメス=トリスさんと言います。
Trice:「では、行って来ます。
と、トライスさんは実技試験へ。
一行はしばし待ちます。
とは言っても、ここは実験室。
putiLeona:「かちゃかちゃ…
Ridgel:「…遅かったか。
putiLeona:「あぅあぅ…
ribbean:「やるとは思ったけど…
rukino:「お。
Ridgel:「動物実験です。
rukino:「しかも小さい…
putiLeona:「薬で小さくされたの。
makie:「Σ(゜д ゜;)
と、しばらくの後、トライスさんが戻ってきました。
Ridgel:「お、どうだった?
Ridgel:「なんじゃそらー!?
rukino:「さすがだ…
Trice:「ウィスパ残ってたけど、なんで合格だったんだろ…
*8
さて、そして最後は論文作成です。
rukino:「論文は、何?
Trice:「論文は、属性研究だそうで…バイオテクノロジーなんとか…
*9
rukino:「
なんとかを探せ。
アカデミーの奥にいるそれっぽい老人博士に話しかけてみました。
Trice:「違うな…
Ridgel:「もっと奥かな?
Trice:「うーん、違うな…
makie:「アカデミーの中ではないんですかね。
Furiae:「と、言うことは、他の施設?
rukino:「バイオテクノロジー研究所って言ってたっけ?
Ridgel:「別施設っぽい、響きですな。
ribbean:「手分けして、探すか。速度増加!!
そんなわけで、再び一行はジュノーに散開します。
とりあえず、何も手がかりがないので、セージキャッスルに行ってみることにしたルキノ他数名。
あてもなく、セージキャッスルを駆け回っていると…
rukino:「うわ…
Ridgel:「これはすごいな…本だらけ…
rukino:「すごー。
putiLeona:「ルキノ、
ダイブして。
Ridgel:「いや、死ぬって。
ribbean:「おーい、探してるのかー?
リビアンから電波が届きました。
rukino:「探してるよー。
putiLeona:「たぶん…
Ridgel:「はっ!? ジュノー散策じゃないんだった!?
バイオテクノロジー研究所探しです。
rukino:「じゃ、手分けしてさがそ。私、セージキャッスルの中、探してみるよ。
Ridgel:「了解しました。では、私はペコダッシュでかけずり回ってみましょう。
putiLeona:「速度ぞうかー!!
さて、手分けして探し始めて、数分後です。
ルキノはパーティのみんなに聞こえる電波で言いました。
rukino:「…迷った。
と、リビアンから電波。
ribbean:「バイオ研究所、みつけた。
Ridgel:「どこ?
ribbean:「こっち。
ubu:「ルキノ、どこにいるの?
rukino:「えーと…
Ridgel:「
どこにいるんですか、貴方はッ!?
どこをどう通ってきたのか、ルキノにもよくわかりませんでした。
セージキャッスルの地下に続く階段を、「研究所っぽい」と下りていって、ぐるぐると歩いていったところ、こんなところにたどり着いてしまったのでした。
rukino:「…か、帰り方がわかりません。
*10
Ridgel:「がんばれ。
薄暗い部屋の中心では、ごうんごうんという低い音を立てて、魔法陣らしきものが描かれた球体が回転しています。
rukino:「これ…もしかして…
ぽつり、ルキノがつぶやいてそれを見上げたときでした。
暗闇の向こうから、声が聞こえてきました。
「それが魔道生体兵器、『イミル』の心臓ですよ」
はっとして振り向くと、そこにいたのは、セージキャッスルで会った学長、ケイロン=グリックでした。
「こんなところにまで来てしまうとは、困った魔法士さんですね」
「うわ!?私、消されるパターンか!?」
「なにを…」
と、グリック学長は笑いました。
「これに、興味がおありですか?」
そして言います。
「我々、ジュノーの賢者たちが探求する、『本質』を語るかもしれない、これに」
「本質?」
おうむ返しに言ったルキノに、グリック学長は言います。
「次の時代には、イミルの心臓はないのですか?」
「まずい!こいつは今ここで消しておかねばー!!」
「物騒な…」
笑ったままのグリック学長に、ルキノもちょいと肩をすくめて、その『イミルの心臓』を見上げました。
その横顔に向かって、グリック学長は言います。「時計塔については、我々、ジュノーの賢者たちも興味をもって調べていますからね」
「ジュノーと、イミルの心臓の話は、聞いたことがあります」
ルキノは言いました。
「エルメスプレートの山頂、大カルデラの中に『イミルの心臓』の力を主動力源にして浮かぶ三つの島からなる都市、ジュノー」
ルキノの台詞に、グリック学長は唸りました。
ルキノは続けます。
「共和国の中央機関と議事堂、セージキャッスルを持つ、ソロモン島。モンスター博物館、共和国図書館、シュバイチェル魔法アカデミー…すべての叡智が集結した知識の島、スノトラ島。そして中央広場や住宅街のあるミネタ島…あ。バイオテクノロジー研究所って、スノトラ島にあるのか…」
「お詳しいようですね」
グリック学長は小さく言って、彼女の見つめるのと同じ、イミルの心臓を見上げました。
「貴方のお名前は?」
「ルキノと言います」
「ルキノさん…」
グリック学長は言いました。「見たところ、魔法士の道をすでに極めていらっしゃるようですが、賢者の道を進むつもりはありませんか?」
振り向いた彼女に向かって、ケイロン=グリックは言いました。
「その『本質』を見極める者として」
Furiae:「石が必要なら、いくらでも拾いますが?
Trice:「あ、それで属性原石もらったから、属性矢を…
makie:「物があれば、いくらでも作れますが…
Ridgel:「今までの苦労はッ!?
rukino:「うおー、おまたせー。
ジュノーのミネタ島。
そのカプラ前に集まっていた皆のところに駆け寄って、ルキノは言いました。
rukino:「盛大に迷子になってしまった…
ribbean:「なむ。
rukino:「それで、今、どんな感じ?
Ridgel:「なんか、みなさんの盛大なご協力というか…アイテム集めも終わり、論文づくりを残すのみとなりました…
そんなこんなで、一通りのアイテムをそろえて、再びバイオテクノロジー研究所に向かいます。
putiLeona:「ぽち!
rukino:「ばくはつするぞー!?
Ridgel:「やめなさい。
*11
Trice:「属性についての講義を受けたら、論文を書くために、鳥の羽毛、獣の皮、木くず、墨汁、空き瓶を…
Ridgel:「また集めるのか!?
ubu:「羽毛?あるよ?
ribbean:「なんでみんなあるんだろう…
rukino:「謎だ…
Trice:「もう、泣くしかない…
mimihime:「空き瓶なら、持ってますね。
rukino:「木くずはそーこにいっぱいあるぞ。
Ridgel:「あとは、墨汁と獣の皮か…墨汁は、伊豆にでも行かないと…
ubu:「あ、両方、
あるよ。
Ridgel:「なんで持ってるんスか!?
ubu:「今、持ってこさせてる。
rukino:「お。
Ridgel:「どなたかは存じませんが、ありがとうございます…
ribbean:「名前でわかる家族構成ですが…
ubu:「妹です。
OF:「はじめまして。
rukino:「はじめまして。
OF:「違うし。
*12
Trice:「よし、これで全部そろった!!
Trice:「さげ!? いや、せめて、カタカナで読もうよ!?
そんなこんなで、トライスさんは論文を書きです。
一行は、しばしまた待ち。
putiLeona:「ん?ルキノ、何を見てるの?
rukino:「んぁ!? これは見ちゃダメだー!?
Ridgel:「ほうほう…
にやり、笑うリジェルさん。ちらり、ぷちを見ると、
putiLeona:「ぴ。
rukino:「うわああぁぁ、盗るなー!?
putiLeona:「ぱす。
Ridgel:「レシーブ。どれどれ。
rukino:「かーえーせーよー!!
Ridgel:「こ…これは…
Ridgel:「
卒業論文のあんちょこ!?
Furiae:makie:「な、なんだってー!?
rukino:「かーえーせーよー!
Ridgel:「トライスは今、こんな論文を作成しているのか…
ribbean:「読もう読もう。
Ridgel:「では…
こほむ、ひとつ咳払いをして、リジェルさんはそれを読み上げました。
「属性魔法は4元素からなり、
1.水、地、火、風に分けられる。
2.地、水、火、風で分けられる。
3.水、風、地、火に分けられる。
それぞれの属性には特徴があり、
1.風属性魔法は水属性に強く、
2.水属性魔法は火属性に強く、
3.火属性魔法は地属性に強く、
地属性魔法は風属性に強い。
1.しかし、弱点も存在するから、
2.属性武器も同様で、
3.種族によって属性もさまざまであるから、
1.自分の能力を把握する必要がある。
2.場所によって属性を変えた方が良い。
3.赤ポーションは苺味という噂だ。
ribbean:「
マテ。
makie:「今なにか、妙な選択肢が…
Ridgel:「書いてあることを読んでいるだけですが…
rukino:「かーえーせーよー。
Furiae:「本物なのでしょうか…
Ridgel:「続けます。
1.一番可愛い娘はプロンテラのエイミーで、
2.赤ポーションはポリンから作ると言うが、
3.魔法の深みは人智を越え、
1.モロクの商人のお嬢さんもかわいい。
2.どうして苺味がするのはわからない。
3.むやみに魔力に頼ると危険だ。
1.私にウサギのヘアバンドを与えたら、
2.それでは白ポーションの味は、
3.適切な魔法の使用と休息は、
1.喜びを与えてくれる。
2.想像しにくい。
3.安全な戦闘を保証してくれる。
1.ウサギのヘアバンドはアコライトに合い、
2.ハラハラする感じが好きで、
3.他の職業とパーティを結び、
1.ナイトにも合うのか本当に知りたい。
2.体力が底を尽きかけても飲めない。
3.それで戦闘に望むことが望ましい。
Ridgel:「…
Ridgel:「
以上ッ!
ribbean:「すげぇ…セージ…
*13
putiLeona:「ルキノ、これ、本物?
rukino:「しらないよー。貰ったんだよー。
Ridgel:「お、トライスも論文を終わらせたようですな。聞いてみるのがはやいでしょう。これこれ、トライス。
Trice:「ん?
Ridgel:「論文作成は、こんな感じ?
Trice:「…
Trice:「
何で知ってるの?
Ridgel:ribbean:「
セージ、すげぇ…
Trice:「なにはともあれ…
一行は再び、セージキャッスルへ。
luvas:「いよー、待ちくたびれたぞ。
eve:「あ、来たね。
Farmei:「みんな勢揃い?
いつの間にやら集まった他のメンツも含めて、いざ、転職です。
Trice:「いきまー。
トライスさんは書き上げた論文をケイロン=グリック学長に提出しました。
グリック学長:「ふむ…まだ文体が整っていないが…君の論文からは研究に対する熱心さが伝わってくる。よし…卒業だ。
その瞬間、トライスさんの身体が、ぽっと輝きました。
rukino:「おめー。
Ridgel:「おめでとー!
Furiae:「おめでとうございます。
putiLeona:「さげー!
ribbean:「あげー。
一通りのスキル祭りのあと、トライスさんが言いました。
Trice:「いやもう、ホントにみなさまのご協力がなければ、無理って感じでした…
Farmei:「じゃ…
Ridgel:「もー、ここまでご迷惑をおかけしたのですから。
Ridgel:「
盛大に踏んでやってください。
Trice:「いひ!?
eve:「いくよ、初心。
ubu:「OK、かぁさん。
ribbean:「ゲフェだしまーす!
*14
eve:「3つくらいだしてよ、リビさん。
ribbean:「OKOK!!
ribbean:「ワープポータル!!
rukino:「つっこめー!!
立ち上る光の柱に、皆が飛び込んで行きます。
ribbean:「ほらほらほら!いけー!!
魔法陣から立ち上る光に負けるものかと、リビアンは盛大にワープポータルを出しまくります。
ribbean:「ほれ、ルキノもいったいった!
rukino:「あいよー。
ubu:「きりまーす。
光の柱に向かって飛び込もうと、ルキノはジャンプして…
rukino:「あ、そだ。
と、一歩奥に着地して、言いました。
「昔、神と人間、そして魔族による戦争があった」
その声を耳にしたグリック学長は、はっとして彼女を見ました。
彼女は笑う風にして、言います。
「『本質』っていうのは、その本質?」
「…君は、千年の偽りの平和に気づいて──」
「セージってのは、面白そうだ」
彼女は光の中に飛び込みながら、言いました。
「帰ってきたら、魔法アカデミーの入学願書を書こうと思う」
やがて、セージキャッスルに立ち上っていた魔法の光が姿を消します。
そして、静寂が戻ってきます。
しんとした静寂の中、ケイロン=グリックはぽつりと小さく、言いました。
「忘れ去られた過去の過ちを、知る者なのか──」
すべての叡智が集まる街。
シュバルツバルド共和国の都市、ジュノー。
その街が『イミルの心臓』の力で浮く街であると知る冒険者たちは多くいました。
けれど、その、『イミル』の『本質』を知る者は…
目を伏せ、何かを考えるようにケイロン=グリックが息をついたとき、セージキャッスルにまた別の冒険者たちが入ってきました。よく見れば、その先頭を行く魔法士は、手には論文を持っています。
「うん、がんばって論文を書いたようだね」
グリック学長は少し笑って、言います。
この中からきっと、この世界の本質を見つけだす賢者が生まれてくれるだろうと信じて、笑って、言います。
昔、神と人間、そして魔族による戦争があった。
その長きにわたる聖戦の末、壊滅的な打撃を受けた3つの種族は、滅亡を避けるために長い休戦状態へ入るしかなかった。
1000年のいつわりの平和…
この長い平和は、ミドガルド大陸で生活している人類から悲惨な、戦争と、過去に受けた傷を忘れさせてしまっていた。
彼らは過去の過ちを忘れ、己の欲望を満たすために自らの文明を、発展させていった。
そしてある日…
少しずつその平和のバランスが崩れる異常気象がミドガルド大陸の所々で現れ始めた。
人間界と神界、魔界を隔離する魔壁から響いて来る轟音、凶暴化する野生動物、頻繁に起こる地震と津波。
そして、いつの頃からか広まっていった魔物たちの噂。
平和の気運が崩れて行くなか、この世界の平和を支えているというイミルの爪角の噂が少しずつ冒険者たちを中心に広がって行く。
だが、人々はその本質を忘れ、それぞれの利益のため、その正体と富を求めて冒険へと旅出っていった…
ともあれ…
rukino:「うぎゃあああぁぁ!?
ribbean:「いよぅし!!
Trice:「いひ!?
rukino:「ふめないー!!
ribbean:「念入りに踏んでおこう…
Trice:「ふまれたー。
冒険者たちは、今日もとりあえず冒険です。
*15