studio Odyssey



プロベン流五輪の書?




唐突に



 いつものことですが。



 いつものように、てくてくとスピットがベンチに顔をだすと、そこにはいつもの面々がいたわけで。
 だらだらといつものメンツとおしゃべりをしていたわけで…

ついた先は、GH

 呟くスピットの視線の先、プリーストの彼女は笑っていました。


mimihime:「では、ベンチの主であるという、スピさんのお手並み拝見…



spit:「俺はすげぇぞ?


 プロベン流五輪の書、ひとつ。



 何がとか聞くのは、ナンセンス。*1


プロベン流五輪の書?


 みみ姫は、ベンチの前で、ポタ屋さんをしていたのでした。
 そんなわけで、ベンチの前でポタ屋さんをしていると、いつものベンチメンバーのくだらない話が聞こえてくるわけで、自然と、その輪の中に入ってくる人もたくさんなのでした。

 みみ姫も、そんな中のひとり。

 ベンチ前でみんなと話をしているうちに、ふと…



mimihime:「スピさんは、ギルドRagnarokのマスターなのですか?
spit:「ですよ?
mimihime:「すごい名前のギルドですね。
spit:「ですな。


mimihime:「ってことは、そのマスターのスピさんは…





mimihime:とってもお強いのですね?








spit:無論。



mimihime:「ワープポータル!!

Ridgel:「逝ってらっしゃいませ〜。
Max:「−1%確定。
Zeruk:「適度な従者は、傍観の方向で。


 プロベン流五輪の書、ひとつ。



 足下ポタにはキヲツケロ。


 そんな訳で…


とつ、げき!



spit:「逝くぜ!

mimihime:「お手並み拝見。

spit:「いやいや、逝ってどうする…行くぜ!!




spit:「さて、俺様の力を見せつけるべき…敵は…
mimihime:「ドルイドがきましたよ〜。


spit:ム!




ガチ!!

spit:「セイフティウォール!!

 それは、反則。*2


spit:「JTマシンガンー!!

 かなり反則。*3


撃破!


spit:「ふ…




spit:「これが、スピット流、勝利の方程式!!


 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 全力で戦うためには、収支無視。*4




mimihime:「では、その方程式がどこまで通じるか…



mimihime:もっと強い敵がいるところに…




spit:ごめんなさい。


 死ぬしね。


spit:「っていうか、俺の真の力は、パーティ戦でのみ発揮されるのだよ!!

 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 まずい時は話をすりかえろ。



 でも、それは確かにそうなのでした。

 スピットは自分の身を守る魔法は、セイフティウォールという、ブルージェムストーンを消費する、非経済的な魔法しかありません。

 火力はベンチでも一、二位を争う火力を持っているのですが、いかんせん、唱える前に逝く仕様になっているため、前衛や支援のあるパーティでこそ、その力が十分に発揮できるというタイプの魔導士なのでした。





mimihime:ほほうー。




spit:「…





もっかいでーす

Zeruk:「わー。(ぱちぱちー
Ridgel:「グラストヘイムは嫌いです。

Max:「監獄いこー!

mimihime:「ではスピさん、パーティで。


spit:「ふ…





spit:「えーと、−1すると、いくつだ?
Ridgel:「死なない努力をしませんか?


 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 腹はさっさとくくれ。



 そんな訳で、一行はグラストヘイム監獄ダンジョンを目指します。
 監獄ダンジョンには、アンデッド系モンスターが多く住み、沸きもなかなかなので、経験値稼ぎにはもってこいの場所でした。
 そうです。

 経験値稼ぎに、もってこいの場所なのです。

 リジェルさんを筆頭に、ハンターのマックス、ゼルク、そして支援にはみみ姫という…

 ベンチの割にはバランスの取れたパーティでは、さすがのスピットも…



Ridgel:「死なないですねー。
mimihime:「ですねー。



spit:マテ。


 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 スピットが死ぬのは難易度のバロメーター。



 そんなわけで、マックスが言いました。

Max:「じゃ、2Fいく?

Zeruk:「いってみたーい。
spit:「2F?ああ…



spit:変態のいるところか。


Ridgel:インジャスティスと呼べ。


mimihime:「インジャスティス!!

 みみ姫はそれを聞いて、はっとして言いました。



もっかいでーす





Ridgel:インジャスティスと呼んでください。*5



spit:「あんなの、変態だ。
mimihime:「奴隷ですよ。

Ridgel:「たしかにそう見えますが…

Max:「ベンチ的には、変態奴隷?
Zeruk:「それだ!!


 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 敵モンスターの正式名称は知る必要なし。



 変態だの奴隷だの、ともあれ、一行は監獄ダンジョン2Fへ…



spit:「お。
Ridgel:「お。
Max:「おお。

あ





斬れ斬れー!!



Ridgel:「わはははー!
Max:「なけー!
spit:「くっぷくぷー!!


 女王様をしばく一行の図。*6



悪即斬!


 プロベン流五輪の書、ひとつ。




 変態だの奴隷だのとか言っていた奴のボスでも、躊躇無く泣かす。




Ridgel:「ふ…



血のりをぬぐいつつ…





 からと言って、それより下ではないと言い切る。




Max:「…




な、なんだってー!?




spit:「新たな称号ー!?
Ridgel:「Lvアップしたー!?



 プロベン流五輪の書、ひとつ。



 二つ名はいつの間にか増える。




mimihime:「…


 そんなベンチメンバーを見て、みみ姫は、ぽつりといいました。






mimihime:「勉強になった…



spit:Ridgel:なんのー!?



Max:「ああはならないぞ、という…
spit:「マテ。
Ridgel:「ジルタスに真っ先に攻撃した人が、何をおっしゃる。


 プロベン流五輪の書、ひとつ。


 この書はおそらく、役に立たない。*7


*1 五輪の書というのは、正しくは五輪書と書く。宮本武蔵が書いたという、剣術、兵法を記した書。
*2 物理攻撃、完全無効。
*3 JTマシンガン。敵をはじき飛ばす魔法、ユピテルサンダーを連続で放つこと。敵ははじき飛ばされるので、接近して攻撃出来なくなる。セイフティウォールは12回攻撃されると壊れるので、長持ちさせる秘訣。
*4 セイフティウォールはブルージェムストーン(458z)を使う。確実に赤字。
*5 奴隷だの、変態だのと言われるインジャスティスだけれど、それなりに強い。
*6 ジルタス。監獄2Fにいる、中ボス。
*7 役に立つなら、どんな場面でだろうか…