studio Odyssey



新しい仲間たち。




spit:「ふんふんふ〜ん。

 と、鼻歌交じりに上機嫌なスピットです。

 いつもの、お気に入りの帽子をちょいと直して、にやり。

spit:「髪も緑に戻したし、さーって、今日も冒険に行くかねっ。*1

 てくてく、スピットはベンチに向かいます。
 と、そのスピットの耳に、アピから電波が届きました。


appi:「スピさん!大変です!!
spit:「なんだ?

appi:「シンくんが、ギルドを抜けてしまったようなのです!!


新しい仲間たち。


spit:「で?




 いつものベンチ。
 スピットは頭をこりこりと掻きながら、電波の向こうのアピに向かって聞きます。

appi:「『で?』と、言われても…
spit:「いや、シンがギルド抜けたって話は、わかったさ。で?

appi:「えーと…えーと…その、理由を聞きに行ったりとか、連れ戻したりとか…
spit:「しない。

appi:「ええっ。

 スピットは電波に鼻などをほじりながら、軽く返します。

spit:「風の噂じゃ、シン、自分のギルド作ったらしいしなぁ。俺ぁ、別に、それ潰してまで戻ってこいとか、そんな事はいわねーし。
appi:「そんな…スピさん、それでいーんですか?
spit:「俺たちゃあ、冒険者。何をするのも、何を考えるのも、それぞれの自由。

 と、軽く言ったスピットの声に、アピが返しました。
 それは、ちょっと、怒っているような物言いでした。

appi:「もーいいです!スピさんは、イタさんの時もそーでしたしね!!



 そして…



spit:「…


やれやれ…


Furiae:「誰がです?
uxi-ta:「痴話げんかみたいなものだから、ほっといてよし。

Furiae:「はぁ。


spit:「なんとも、こまったね…

 ちょぃと帽子を直し、スピットは口許を曲げて見せました。
 と、そこへやって来たのは、アーチャーのゼルクでした。

Zeruk:「こんにちわー。
spit:「お、ゼルクか。久しぶり。

Zeruk:「RO日記的には、ですが。



 そう言うことを言うな。



Furiae:「ところで、あのー…

 と、フリアイさん。
 もじもじと、言いました。

Furiae:「スピさんに、お願いがあるのですが…
spit:「んあ?

Zeruk:「あ、スピ様、スピ様。こちら、どなたです?
spit:「ん?ああ、こちら、フリアイさん。お友達。
Furiae:「はじめまして。
Zeruk:「こちらこそはじめまして。スピ様の従者、ゼルクと申しますー。

spit:「んで、お願いって?

 ちょいと帽子を直しながらのスピットに、フリアイさんは言いました。
 こくりと小さく頷き、意を決したようにです。


Furiae:「ギルド、Ragnaokに、入れて欲しいのです。


uxi-ta:「ああー、なんだ、そんなことか。
 あっさりとウィータは言いました。
uxi-ta:「いいんじゃない?ギルド、人数空いてるし。来る者は拒まず、去る者は追わず、でしょ?スピは。
Furiae:「そうなんですか?
Zeruk:「あ、それなら、俺も入れて欲しいなぁ…なんて…

spit:「…うむ。

 こくりとうなずき、スピットは返しました。

spit:「ゼルクはかまわんが、フリアイさんはダメだ。

 えっと目を丸くしたのは、フリアイさんだけではありませんでした。


uxi-ta:「スピが、女の子を拒否するなんて!?

Zeruk:「男に走るのですか?
spit:「お前、入れてやらねーぞ?
Zeruk:「冗談です!冗談。ええ。何をおっしゃいます、スピ様。

 乾いた笑いで言うゼルクに、スピットは目を細めます。
 そして、ごそごそと鞄の中から、エンブレムを取り出しました。

spit:「ほらよ。
Zeruk:「おおー!?ギルド、Ragnarokのエンブレムだー!?

 ぽいと軽く投げ渡されたエンブレムを受け取って、ゼルクは飛び跳ねんばかりに喜んでいます。
 対照的に、フリアイさんは少しうつむきがちに、呟いていました。

Furiae:「ダ…ダメですか…そうですか…じゃあ、仕方がないですね…
spit:「…うむ。

 腕組みをして、もごもごと口を動かすスピットを見、ウィータが言いました。

uxi-ta:「二人が入りたいって言ってるのに、片方しか入れないなんて、ダメマスターだ!!しかも、シン君が抜けたから、2つ余ってたのに!!
spit:「…うるせぇなぁ。

 眉を寄せ、スピットは苦虫をかみつぶしたような表情のまま続けました。

spit:「今、ギルド拡張するんだから、黙ってろよ…
 帽子を下げて、むにむにと、スピットはギルドマスターだけが使えるギルドスキルを使い、ギルドの加入人数を増やす手続きをしていたのでした。*2

spit:「…これで、あと3人入れるな。
 ふいと顔を上げたスピットが呟きました。
Furiae:「じゃ…

 ぱあっとフリアイさんの顔が明るくなりましたが、スピットは「ちっちっち」と、左手の人差し指を立てて振りながら言います。

spit:「でも、フリアイさんは、まだダメだ。
uxi-ta:「じゃあ、何のために拡張したの。
spit:「フリアイさんを入れるため。
uxi-ta:「自分で何言ってるか、わかってる?
Zeruk:「スピ様、熱でもありますか?

Furiae:「何か、条件でもあるのですか?

spit:「別に。

 スピットは帽子を直しながら、言いました。
 軽く。

spit:「フリアイさん、ギルドもう入ってんじゃん。うちに入るなら、ちゃんとそのギルドのマスターに話を通さなきゃ、うちには入れられない。
Furiae:「あ…

そういえば、前回出てました

 フリアイさんは自分のエンブレムを見て、小さく声を上げました。


 実は、フリアイさん、既にギルドに入っていたのです。


Furiae:「あ、このギルドは、抜けます。
 もちろん、ギルドに加入している人は、自分の意志で簡単に脱退する事も出来ます。*3
 しかし、

spit:「そんなんじゃ、ダメ。

 スピットは言いました。

spit:「俺は、これでもギルドマスターだからな。そのギルドにもマスターがいるだろ。その人にちゃんと脱退の理由を話して、そんでからでなきゃ、うちには入れられない。

Furiae:「…わかりました。
spit:「まぁ、拡張つかっちったし、予約席はあるから、気長に…


Furiae:「マスターと連絡とれました。



spit:はえぇよ!?

Furiae:「いえ、このギルド、身内ギルドなので…



 そして、ほどなくして…
加入要請


spit:「ようこそ、ギルド、Ragnarokへ。

 にやり、スピットは口許を曲げました。


Furiae:「よろしくお願いします。
Zeruk:「同じく、お願いします。*4

uxi-ta:「でも、別に拡張使わなくても、2人なら入れられたんじゃ?
spit:「アピにぶーぶー言われるよりは、拡張した方がマシだ。

uxi-ta:「?

spit:「んで、ゼルクは、なんか用があって、ベンチに来たんじゃないの?
Zeruk:「ああっ、そうだ!忘れてました!!

 ぽんっと手を打って、ゼルクは言いました。


Zeruk:ハンターに転職しようと思って。



spit:「皆の者!フェイヨン、ハンターギルドに集合せよ!!


「了解!

 ギルド電波から、ギルドメンバーたちの声が返ってきました。





意外とみんな暇



spit:「いさ、転職!


 しかし…


 一行はそこで、ハンターギルド職員に、驚愕の事実を知らされたのでした。



「ハンターに転職するためには、転職試験を…



spit:Zeruk:転職試験んっ!?


 そうです。
 冒険者たちが増えすぎた今、すべての二次職ギルドでは、転職の際にその実力を試す、試験をすることになっていたのです。*5

spit:「いつの間に…
Grill:「時代は変わったネ…


 そんなこんなで、軽いマナー関係の質疑応答を終えたゼルクに課せられた使命は「かたい皮9個、木屑、緑ハーブ3個を持ってくること」

狩りに行く


 レッツ収集!


 とは言っても、そこはそれ。


 二次職もりだくさんのベンチメンバーです。



 苦戦することなどなく、さくっと収集。

 再びハンターギルドに戻ります。




spit:「なんだ、簡単じゃん、転職試験。
Zeruk:「ですねー。

「では、ハンター転職前に、フェイヨンにいるハンターギルドマスターに挨拶に…」



spit:おつかい系クエストかよ!?

Zeruk:「そ、そんな人には会ったことがない…*6


この人ですよ



 さすが暇人。


Zeruk:「次は、アーチャーギルドのマスターに…


それはこの人です



 詳しすぎ!?


Leona:「ナンパしたアチャさんの転職でも、手伝ったの?
Grill:「なる。

spit:「バカな!?


 挨拶をすませたゼルクは、そのまま最終試験を受けることになりました。
 ついに、実技試験です。






spit:「しかし、なんで試験なんか…」 Furiae:「玲於奈さん、なにしているのです?」



 素直に待ってろよ!?



 ほどなくして、ゼルクが戻ってきました。

Zeruk:「ふー。
spit:「おー、クリアしたかー。
Zeruk:「しました!これで、念願のハンターに…

spit:「あ、その前に、もっかい話して、慧眼もらってこいよ。それがないと試験受かったことにならないから。


Grill:Leona:詳しすぎ!?

 実技試験をクリアしたことを報告し、ゼルクは転職のために必要な証とも言うべきアイテム、慧眼を手に入れました。これで、あとはハンターギルドに行き、転職するだけです。


では、ハンターギルドに戻って、いざ、転職!




Leona:「ワープポータル!!





かなりの勢いで、かっ飛ばしてます!




 速っ!?


spit:「おめでとー。
Furiae:「おめでとうございますー。
Grill:「あめめー。
Leona:「おめー。


 そして、魔法の炸裂は、静かに消えていきました。




ハンター、ゼルク!



spit:「いよーし!それじゃあ…



問答無用ですよ






spit:逝くか!




はい、いつも通りに、グラストヘイムでございます


 当たり前ですよ?


spit:「レッツ、初死体!
Zeruk:「初死体ー!?


 そして一行が向かったのは…


ダークロードって、ボスですよ!?





 グラストヘイムは、カタコンペです。


満々です

Furiae:「あの〜…レベル上げをしてあげようという話では、ないのですか?

spit:「いーや。こうして転職出来たのは、みんなのおかげということで、初死体披露ですよ?
Grill:「儀式だネ。
Leona:「踏むのです。

spit:「そうそう。




spit:新品のバッシュみたいなモンだ。*7



 なんか、違くない!?


Zeruk:「がくがくがく…

Leona:「大丈夫、支援なしなら、ころっと。
Zeruk:「ナシなのー!?
Grill:「まぁ、なに…


お前かよ!?


spit:「支援なしなら、みんなもコロっとー。

Zeruk:「ぎゃあー!レイスがキター!?
spit:「うおぅ!? いきなりこっちくんな!?


あ、あれー!?





 おや?


spit:「ふー、なんだ、突然こっち来たな…おい、ゼルク…

 と、レイスを片づけたスピットは振り返りました。


見えていたさ…






 わざとらしいですよ!?


Leona:「ふみふみ。
Zeruk:「ああっ!踏まれてる!?

spit:「儀式みたいなモンだ。
Grill:「じゃ、儀式も終わったし、帰ろっか。
Leona:「ワープポータルー!!



それも、見えていたさ…


 はい、お約束。



spit:「なんでゼルク転職の回の話で、オチは俺の死にオチなの!?
Zeruk:「さすが、スピ様…
Grill:「オイシイね。*8



*1 この日で、罰ゲーム終了。
*2 ギルドレベルによって得られるスキルポイントにより、ギルドの人数を最大30人まで拡張できる。ギルド拡張は1レベル取ると、2人増える。
*3 自分の意志で抜ける場合は再加入が出来るが、追放だと再加入が出来ない。
*4 ちなみに、フリアイさんの所属していたギルドの人とは、このあと、オークダンジョンで会ったりした。
*5 亀島パッチと共に実装されました。
*6 っていうか、基本的におつかい系クエスト以外は今のところ、Ragnarok Onlineにはない…
*7 スラムダンク!?
*8 仕様です。