spit:「てっめ、ショボ!
luvas:「おぉ!? 先に死んでおいて、何いってんだヴォケ!!
スピットがいつものようにぷらりと冒険に出ると、久しぶりにラバが冒険に出ていたので、二人はバイアラン島の海底ダンジョンへとやって来ていたのでした。
*1
過去形。
spit:「あー、しょうがないよなぁ。ラバ、俺よりレベル低いしー。
luvas:「てめーがちゃんとヒールすりゃぁ、死ねーんだよ!
spit:「一撃が、食らいすぎなんだよ!しかも、かわせてねーし!!
luvas:「半漁なんか無理に決まってんだろ!
そんなこんなで、仕方なく二人はベンチに戻ったのでした。
luvas:「あー、俺ももうちょい、クリティカル
*2が上がれば、強くなるんだがなぁ。
てくてく、ベンチに向かいながら、ラバが言いました。
spit:「オメー、Luk
*3いくつよ?
luvas:「
デフォ。*4
spit:「
死ねよ。
luvas:「いやいや、カードでクリティカルをあげればだな、いけるって。クリアサ。
spit:「お前がTCジュル
*5とコボクリ2個集める頃には、俺はLv99だ。
luvas:「収集品売って、休憩したら、コボ狩りいこーぜ。カード、カード。
spit:「あー、んじゃぁ、俺、収集品売ってくるよ。
ベンチ手前でラバと別れ、スピットは収集商人の元へ。
もっとも、海底ダンジョンにそれほど長くいた訳ではなかったので、たいした金額にはならなかったのでした。
なけなしのお金を持って、ベンチへと戻ります。
と、ベンチにはラバと、金髪のアコライトが座っていました。
spit:「おー、ハルか。ちわ。
hulltours:「ずっと出てるのに、
はじめて名前が出ましたよ。
spit:「気にすんな。
*6
聖職者の彼の名は、ハルトゥール。通称、ハル。
アサシン、シンティスの弟です。
spit:「あれ?ラバ?
ベンチのいつもの位置に座りながら、スピットはハルの隣のラバを見ました。
と、ラバ、腕を組んで座った姿勢のまま、居眠りをしています。
hulltours:「寝ているようですが?
spit:「こいつ、コボ平原に行こうって話してたっつーのに…
スピットはむぅと口を曲げ、
spit:「おい、
ショボラバ。
hulltours:「寝てるのをいいことに!?
spit:「おい、
ショボアサ。
hulltours:「それは、固有名詞だったのですね…
*7
しかし、ラバはおきません。
スピットはにやりと笑うと、
spit:「ハル、ペンねーか?ペン。
hulltours:「はい?ありますけど?
spit:「額に、
肉と書いてやろう。
古いよ!?*8
と、ハルから渡されたペンを取りつつ、ラバの前にスピットは近づきます。そしてその額に今まさに
「肉」と書き込もうとした瞬間、ラバの背中の向こう、スピットの目の前に、しゅんっと人影が現れました。
「あの…っ
spit:「
ギャアアアァァス!?
突然に現れたその姿に、咄嗟、スピットは身を翻し、いつものベンチの位置へ。
spit:「ボクハナニモシテナイヨー。
hulltours:「しようとは、していましたが。
「あ、あの、すみません。
と、突然に現れた彼女は言いました。
「盗み聞きをしていました。
言う彼女の姿は、アサシンのそれでした。
スピットは気づいて、むぅと口を曲げます。
spit:「ハイドか…
*9
こくり、うなずきながら彼女はベンチの隣に座ると、
「実は、ここにずっと隠れて、たびたび、お話を盗み聞きしていました…
ちょっと申し訳なさそうに言いました。
spit:「
ストーカー!?
hulltours:「スピさんがストーカーに狙われるなんて…
hulltours:「
怨恨ですね。
spit:「なんでだよ!?
hulltours:「それはもう、ナンパしたアコさんとかアコさんとかアコさんとか…
spit:「それしかねーのかよ…
「あ、申し遅れました。
彼女は二人に向かって言いました。
Furiae:「私、アサシンの、フリアイと申します。
復讐の三女神!?
やっぱり、
怨恨!?*10
spit:「…
spit:「
ゴメンナサイ。
hulltours:「何故、謝るのですー!?
spit:「いや、なんだかわかんないけど、とりあえず謝っといた方がいいかなぁって…ナレーションもそういう雰囲気だし、タイトルも、そういう雰囲気だし…
心当たりあるのかよ…
Furiae:「ああー、違います。
フリアイさんは言いました。
Furiae:「実は、私、『プロンテラベンチの仲間たち』
*11のファンでして…いつか、お話したいなぁと…
spit:「あ、そーなん?
Furiae:「はい。
Furiae:「ここに、
1ヶ月前くらいから隠れてました。
spit:「
!?
隠れすぎ。
spit:「き、気の長い話だねぇ…
Furiae:「申し訳ありません…
spit:「いや、別にいーんだけど…
Furiae:「あ、それで、今日もいつものように隠れていたら、スピットさんたちが、コボ平原に行くというような話を耳にしましたので…ここは一大決心をして、ご一緒させていただけないかと、姿を見せたのです。
spit:「ほーう。
Furiae:「あの…ご一緒してもよろしいでしょうか…
不安げに聞くフリアイさんに、スピットはむぅと口を曲げ、帽子の位置をただしました。
そして、言いました。
spit:「良かった、
命狙われてなくて。
hulltours:「心当たりがあるのですか?
Furiae:「ですか?
*12
spit:「無論、
ない。
バカだからな。
スピットは帽子に手をかけたまま、ハルに向かって言います。
spit:「んじゃ、行くか!
hulltours:「あとは、オチに向かって、一直線ですね!
spit:「オチかよ!?
そして居眠りのラバをおいて、一行はコボルド平原へとやって来たのでした。
お前かよ。
spit:「何してんだお前はー!?
hulltours:「速い男は、嫌われますか?
Furiae:「なむなむ…
spit:「起こすよー。
と、イグドラシルの葉で、ハルは再び立ち上がりました。
そして自らのヒールで身体の傷を癒すと、
hulltours:「そもそも、私のレベルでは、コボルドは…
Furiae:「あ。
spit:「瞬殺かよ…
hulltours:「横沸きでしたねぇ。
Furiae:「間に合いませんでした…そして、イグ葉、ないです。
spit:「ああ、あるある。
スピットは鞄の中をごそごそと探りながら言いました。
spit:「
常にある。
spit:「
いつもある。
spit:「
まかせとけ。
spit:「
死ぬのはいつもだ。
hulltours:「頼もしいです。
Furiae:「用意周到ですね。
死なない努力と用意はありません。
あっても死ぬけど。*13
Furiae:「す、スピさん…
hulltours:「プロベンツアー=死にツアー。
spit:「フ…
そしてまた、ベンチを囲むメンツが、増えたのでした。