さて、ゲフェンに降り立った一行は、ここからグラストヘイム方面を目指します。
appi:「今日こそは、プティをペットにするのです!
むんっとアピは7つの光ってる石を手に、やる気まんまんです。
spit:「そーいやぁ…
スピットは帽子をなおしながら呟きました。
spit:「いつだかも、プティをペットにしたいとか言って、テイムに行ったことがあったな。
aoiruka:「へー。
appi:「連敗をずっと続けているので、今日こそは!です!!
ぐっと、アピは握りこぶし。
spit:「…ちなみに、何連敗?
appi:「…
appi:「
7連敗ほど…
spit:aoiruka:「
Σ(゜▽ ゜;ノノ
そんなに失敗して、諦めないところがすごいです。
spit:「ま、まぁ、今日は7個もあるわけだし…
aoiruka:「今日こそ、捕まえられますよ。
乾いた笑いを浮かべながら、一行はグラストヘイム城前のマップ、プティマップへとやって来ました。
spit:「テイムするプティは、緑プティだっけ?
appi:「そうです。
プティには、緑と白の二種類がいます。
正確には、緑のプティが、地プティ。
白のプティが空プティといって、全くの別物なのでした。
appi:「こっちではない方です。
spit:「ほいほい。
aoiruka:「では、ちょっとプティを探してきますか。
と、あおさんはプティを探しに…
ここで、少し、時計の針を進めることにします。
appi:「で、では!行ってみたいと思います!
光ってる石を手にしたアピが、あおさんを攻撃するプティに近づきました。
appi:「
ラスト、1回っ。
ごめん、もう
13連敗まで記録更新。
spit:「るーれっと、すたぁとっ!!
aoiruka:「クリックで止めるのです! SUCCESS!が出れば、テイム完了。プティのたまごがゲットできますっ!!
spit:「って、俺らが説明しても、華がないね…
aoiruka:「タキシードでもきましょうか?
appi:「
とおぉぉおおぉぉ!
ぽち。
appi:「
失敗しました…
aoiruka:「なんでだろー。
appi:「なぜでしょう…
spit:「そこまで行くと、ある意味、すげぇな。
ちょぃと帽子を直すと、スピットはにやりと口許を曲げ、言いました。
伝説のテイマー、復活!
実はスピット。ペットのテイミングには、ちょっとばかり自信がありました。
へっぽこを除き、スピットが今までに捕まえたペットは、ルナティック、スモーキー、ペコペコ、ピッキと、すべて一発勝負で捕獲していたのでした。別に何かコツがあるという訳ではないのでしょうが、何故か、スピットはペットを捕まえるのがうまかったのです。
*3
appi:「ほ、ホントですか!?
アピもぱぁっと顔を明るくしました。
appi:「スピさんなら、捕まえられるかも知れません!
aoiruka:「でも、その前に問題が…
spit:「ん?
aoiruka:「
光ってる石がありません。
テイムすると言っても、まずはテイムアイテムがなければ…
spit:「プロンテラに帰還!光ってる石を、手に入れるッ!!
appi:「りょうかいです!
aoiruka:「なんか、ノリノリだー。
びゅんっと、一行は蝶の羽根でプロンテラへと戻ったのでした。
さて。
プロンテラに帰還したところであおさんと別れ、ベンチ前にいたシンを連れ、スピットとアピとシンは、手分けして街の露天を見て回りました。
とりあえず、何はなくとも、光ってる石を手に入れるのです。
しかし、一時期は大流行だったペットですが、今では廃れてしまい、テイムアイテムが露天に並ぶことは本当に希でした。
プロンテラの噴水広場、西門、南門に連なる冒険者たちの露天を回ってみたのですが、光ってる石はおいていません。
shintisu:「オークに行って、ゼノーグ狩った方がはやいんじゃない?
と、シンから電波。
appi:「ですかねぇ。
光ってる石はオークダンジョンにいるモンスター、ゼノーグがドロップするのです。
appi:「スピさん、どうします?
spit:「あ?うん、ちょい待ち。
電波に向かって返して、スピットは眼前の彼女に向かって聞きました。
spit:「と、言うわけで、光ってる石を探してるんだけど、ないです?
Sylphienne:「ありますよ。
ちょいと小首を傾げて、シルさんは言いました。
spit:「
買います。
即答。
即、お財布取り出し。
露天の平均価格である、20K(20,000z)を払い、スピットはシルさんから光ってる石を売ってもらい、ぼそりと彼女に耳打ちしました。
spit:「リジェルさんには、
内緒です。
借金返せよ!先に!!
良心の呵責とか、
そんなものはともかく、再びプティテイムに、一行はプティマップに向かいました。
spit:「さぁ、いくぞ!伝説のテイマーの力、今こそ見せてくれるわ!!
シンに攻撃をするプティに向かい、スピットは光ってる石を使いました。
appi:「るーれっと、すたーとっ!!
spit:「
そこだあぁぁッ!!
spit:「…
spit:「
死ね!プティ!!
杖の先から迸った雷弾に、プティはばーんっとはじき飛ばされました。
shintisu:「失敗か…
appi:「あぅあぅ。
spit:「おのれ!プティ!!
シンと別れ、再び、ベンチ。
はぁとため息のアピに、ぷんぷんと不機嫌なスピットのふたりが座っています。
appi:「スピさんでも、ダメでしたかー。
spit:「くそう、意地でも捕まえてやるぞ、プティ…
appi:「プティは緑ですけど、へっぽこではない緑なのかも知れません。
spit:「生意気な…
スピットは腕を組んで、ふんと鼻を鳴らしました。
アピは仕方がなくて、ちょっと苦笑するようにして、言いました。
appi:「また、光ってる石を手に入れたら、行きましょうね。
spit:「…うむ。
appi:「それでは、今日はもう失礼します。
spit:「ん。
appi:「じゃ、また今度、再チャレンジしましょうね。
そう言って手を振ると、アピは噴水広場の方に向かって歩いていきました。
スピットも帽子に手をかけて軽く会釈をして、その背中を見送りました。
spit:「むぅ。
その背中が、とぼとぼという感じがして、スピットは口を曲げました。
目を伏せ、考えます。
そう言えば、アピがものをほしがるなんてことは、今まであまりなかったような気がします。
しかも、14連敗までして、プティをテイムしようとしていたとは、スピットも知りませんでした。
spit:「むぅぅ…
腕を組んで目を伏せると、スピットはうなりました。
Max:「何を唸ってるの?
と、そこにハンターのマックスが現れました。
spit:「なんだ、マックスか。
Max:「なんだとはなんだ。
spit:「光ってる石とか、持ってない?
Max:「光ってる石はないなぁ。
首をちょいと傾げ、マックスは聞き返してきます。
Max:「プティが欲しいの?スピさん、へっぽこがいるじゃん。
spit:「いや、俺が欲しいんじゃなくて、アピがほしがってるんだよ。
Max:「あー。
ぽんと手を打って、マックスは言いました。
Max:「緑だからか。
spit:「なんだそりゃ。
Max:「あたしは持ってないけど…
と、マックス。
後ろに立っている露天を指さして言いました。
Max:「あの露天で
売ってた。
spit:「
なにょ!?
ばっとスピットはその露天の商品に目を走らせました。
するとそこには…
考えるよりも早く、スピットはそれを買っていました。
Max:「
借金は?
spit:「
踏み倒す。
返せよ!?
Max:「また、無駄遣いする…
spit:「へへんっ。
スピットはちょいと帽子をなおして立ち上がると、言いました。
spit:「プティ捕まえてくりゃ、無駄じゃネェだろ?
お財布の中は、すっからかんです。
ただでさえ、借金を返さなければいけないはずで、お金を極力使わないようにとしているはずのスピットです。
でも、光ってる石を買ってしまいました。
今日はこれだけでもう、40,000zも使ってしまいました。
さすがに、仲間とはいえ、これではリジェルさんに申し訳ないという気持ちも、ちょっと、ありました。
スピットはゲフェン、プティマップにたどり着くと、バックの中からブルージェムストーンとそして、光ってる石を取り出しました。
spit:「…これで失敗したら、洒落にもなんねえな。
帽子をちょいとなおして、にやり。
眼前から、緑プティが迫っています。
spit:「セイフティウォール!!
しゅんっと立ち上った光の柱が、スピットの身体を包みます。
プティの攻撃が、光の壁の前に弾かれ始めました。
spit:「さて…ネタとなるか、逃亡生活の始まりとなるか…
スピットは光ってる石をプティに向けて使いました。
spit:「勝負だ!
へっぽこ緑竜!!
失敗か!?
成功か!?
勝敗の行方は!?
さて。
一夜明けて、ベンチ。
今日もとことこ、アピがベンチにやって来ました。
spit:「よ。
appi:「こんにちわ。
spit:「手を出せ。
appi:「はい?
spit:「いいから、出せ。
appi:「?
ぴっと差し出されたアピのその手に、スピットはひとつの卵をのせました。
appi:「捕まえたんですか!?
spit:「俺はお前、伝説のテイマーのプライドがあんだよ。
そうです。
あの時のルーレットは、あのSuccessで、止まっていたのでした。
spit:「2回目で、ちゃんと成功してやったぜ…ざまぁみろ、プティットめ…
ふんっとスピットは鼻を鳴らしてみましたが、ちょっと、うまくできていませんでした。
spit:「へたっぴだからじゃん?
appi:「あはは。そーかもしれないですねー。
うれしそうに笑いながら、アピは言いました。「私、ちょっと孵化器とペットフード買ってきます」
spit:「いてら。
速度増加を自分にかけて走っていくアピの後ろ姿を見送って、スピットはふぅと息を吐き出しました。
spit:「まー、喜んでるみたいだし…
バックの中のお財布は軽くなってしまいましたが、ま、また貯めればいいやと、スピットは笑うのでした。
Sylphienne:「スピさん、こんにちわ。
spit:「あ、シルさん。
二人、同時に言って、思わず吹き出しました。
と、そこにアピが帰ってきました。
appi:「では、さっそく、ふ化させてみたいと思います!
携帯用孵化器の上に、プティの卵を置き、スイッチを…
spit:「なんか出てきた!
Sylphienne:「プティさんです。
appi:「わーい。
アピは、卵から孵ったその竜の子どもを、ぎゅっと抱きしめて笑っていました。
Ridgel:「
ほーう?
Ridgel:「何か、見慣れない生き物が見えますね?
spit:「あ、いや、これは、そのー…
appi:「スピさんが、捕まえてきてくれたのです。
Ridgel:「
ほっほーう?
spit:「
すらっしゅ しょっく!!
Sylphienne:「いえ、あの、リジェルさん、これにはその、深いお話が…
Ridgel:「いやいや、いいのですよ。借金返済なんて、いくら遅くなっても。いやー、プティですか。そーですか。
spit:「ぐ…
Ridgel:「アピさん、プティ欲しがってましたしねぇ。
appi:「はい。スピさんが捕まえてきてくれたので、もう、うれしくて。
Ridgel:「ほほー、いい話ですねぇ。
Ridgel:「
(ニヤニヤ。
appi:「なんでにやにやするんですかー。
spit:「そ、そうだっ!アピが14連敗もしてるっていうから…
Ridgel:「アピさんのためにということですね?
spit:「むっ!? いや、これは…俺も一回失敗して、テイマーとしてのプライドというかなんというか…
Ridgel:「にくいですね、このこの〜。
Sylphienne:「リ、リジェルさん〜。
Ridgel:「これで、借金がなければ、完璧だったんですけどねー。
spit:「ぐ…
Ridgel:「はっ!これはあれですか!?
リジェルさんははっと気づいたように、言いました。
Ridgel:「つまるところ…
Ridgel:「appiさん「ぱぱー(?)プティットほしいー。
Ridgel:「と、
そういうことですか!?*4
どういうことですか!?
Sylphienne:「(リ、リジェルさん〜。
Ridgel:「見つめ合う、スピットさんとプティット…
Ridgel:「そして、野生のプティットに囲まれ…
何の!?
spit:「結局、死にオチなのかよ!?
Ridgel:「いやー、今回は、死に様をさらすオチでなくてもよいでしょう。
にやにや。
spit:「にやにやすんなッ!
むきーと腕を振り上げてスピットは言いましたが、リジェルさんはにやにやと笑っているだけでした。
アピもシルさんも、笑っています。
生まれたばかりのプティも、赤い目を丸くして、アピの膝の上で、ベンチを囲む面々を、くるくると見回していました。
ぼぅっと、ちっちゃな炎を吐き出して。
spit:「あつッ!?
appi:「ああ、ダメですよー。プティー。
spit:「んにゃろう!上等だ!!やるかテメェ!!
Ridgel:「結局、死にオチになるから、やめておいた方がいいかと思いますが?
今日もベンチは、いつも通りです。
*5
*1 テイムアイテム。光ってる石は、モンスター、プティットのテイムアイテム。これを使うと、モンスターをペットにするルーレットが回る。クリックで、ルーレットがSuccessで止まると、たまごが手に入る仕組み。テイミングについては、「その名はへっぽこ!」参照。
*2 スピットの身体の色がこの色に変わっている時は、エナジーコートという魔法を使っている状態。戦闘態勢みたいなもの。実は、出かけて死んで、回復中で暇だったとも言う。
*3 高レベルモンスターのテイム例がないですが、そもそも、テイムアイテムがないので、テイムしたことがないのです。あー、でも、ムナックとイシスはした。1回だけ。失敗。
*4 CMネタは風化するぞ…(ア○フルかよ)
*5 アピのプティはスピットの捕獲されたことから、プティの中でもどんくさい奴だったのではないかと、もっぱらの噂。ちなみに、スピットはこのプティとSWなしでガチしたら、死ねる。