前回までのあらすじ。
時はトリスタンの悪夢こと、カーニバルイベントの最中。
スピットたちはいつもの倍くらいのスピードで突貫しまくり。
そんな中、プロンテラ城内にアリスというメイド姿の魔物が出るとの噂を聞きつけ、いざ突貫。
ふと、アリスを見たラバが「アリスって、強いの?」なんて言ってしまったから、目的変更。
ショボコソ vs メイド。
が、スピットの悪ノリでせっかく現れたアリスも、ラバとタイマンすることなく、ベンチメンバーに倒されてしまう。
これは困ったぞというところで、華ちゃんが「アリスなら、今、ゲフェンに出てる」とぽつり。
それならばと、一行はワープポータルに飛び乗り、一路ゲフェンへ。
しかし、この時ゲフェンは、グラストヘイムから侵攻する魔物たちによって、混戦を極めていたのだった…*1
spit:「そんなわけで、ゲフェーン!!
luvas:「どんなだよ…
spit:「では、ただいまより、ゲフェン北東、アリスフィールドを目指す!!
「おー!!
一行はずんずんと、ゲフェン北東を目指しました。
いきなり発見。
shintisu:「あのー…
spit:「とりあえず、しばしマテ。
*2
そんなわけで、
luvas:「
行くぜ!!
両手にカタールを持ち、ラバはアリスへと躍りかかりました。
わかっていましたが。
spit:「
予想以上に速かった。
luvas:「あれ?
華ちゃんがリザレクションでラバを起こします。
むくりと起きあがったラバに向かって、スピットはにやにや笑いながら、聞きました。
spit:「さぁ、どう言い訳するね?
アリスはアクティブじゃないです!?*3
luvas:「ちょっとびっくりしたぜ…
ふーうと、額の汗をぬぐうラバに、
Domi:「ラバさん、木陰にアリスがいます!!
ドミさんが言いました。
Domi:「今ならば、不意打ちされません!ゴー!!
luvas:「よっしゃー!!
再びラバはアリスに…
ラバさん、HPが!?
luvas:「うおおぉぉぉぉ!!
ちーん。
spit:「で、次のいいわけは?
luvas:「女性には、
やっぱり本気はだせん。
Sylphienne:「やさしいのですね。
Ridgel:「なんか、格好いいこと言っているような気もしますが…
リジェルさん、
正解。
Ridgel:「さて、では私もアリスと一戦、交えますかな。
と、リジェルさんは剣をすらり。
uxi-ta:「来た!?
spit:uxi-ta:Domi:「
メイド泣かせのリジェル!!
Ridgel:「何故だーッ!?
*4
とかなんとか言っても、そこはリジェルさん。
一行の中でも、最もレベルが高いだけあって、苦戦することなく、アリスを倒します。
Ridgel:「お?
と、リジェルさんが倒したアリスが、靴を落としました。
Domi:「おや?
ひょいと、それをドミさんが拾い上げました。
Domi:「…ガラスの靴だ。
*5
それはアリスが落とすアイテム、ガラスの靴。
きゅぴーんと、スピットの目の色が変わりました。
シンデレラ!?
Domi:「ってもねぇ…
ドミさんはこりこりと頭をかきながら、ガラスの靴を眺めていました。
Domi:「俺はいらないし…あ、じゃあこれはシルさんに差し上げます。
Sylphienne:「あ、いいのですか?
Domi:「どうぞ。
と、ドミさんはシルさんにガラスの靴を手渡しました。
Sylphienne:「では、早速はいてみますね。
いそいそと、シルさんはガラスの靴に履き替えています。
Farmei:「カーニバルが終わったら、消えちゃうけどね。
華ちゃんが、ちょっと笑いながら言っていました。
この、魔物たちの襲撃が収まるまでの間は、ミドカツ王国からすべてのアイテム、お金が支給される事になっています。ただし、それはすべての事が片づいてからで、そして、「元の状態に戻る」ことが保証されているにすぎません。
つまり、お金もアイテムも、元の状態に戻ることを保証するのであって、この期間中に手に入れたアイテムやお金などは、すべて、襲撃が収まったときには、なかったことにされてしまうのでした。
*6
Sylphienne:「シンデレラですかー。
uxi-ta:「ちょっとよかったじゃん。
笑いあう女性陣を見て、ドミさんが言っていました。
Domi:「…平和だ。
Ridgel:「そういえば、世界的には魔物が襲撃を始めて、大わらわなんでしたな。
Domi:「緊迫感が、まったくないですね…
Ridgel:「それが、ペンチメンバーのいいところというか…
luvas:「おら、スピ。オメェもやって見ろよ。
spit:「んだと?いよぅし、俺様の力、見してやるぜ。
スピットは腕まくり。
ずんずんずんっと、近くにいたアリスへと迫ります。
Ridgel:「おや?スピさんがアリスに挑むようですな…
Domi:「どれ、では、観戦に…
速いよ。
spit:「力及ばず…
luvas:「だったせぇな!俺が倒してやるぜ!!
三度目のなんとか!?
二度あることは…
spit:「ざーこざーこ。
luvas:「てめぇも死んでるだろが!!
Domi:「ならぱ、二人の敵は、この俺が!!
三人寄っても…なむ。
アリスのお掃除精神、
おそるべし!!*7
そんなこんなでアリスと戯れていた(?)スピットの耳に、玲於奈からの電波が届きました。
Leona:「あれ?スピさん、ゲフェンにいるの?
spit:「お、玲於奈か。そーだよ、アリスマップ。
Leona:「今、あたしもそこにいるんだけど…
電波の向こうで、玲於奈が言いました。
Leona:「
DOPにやられた…
spit:「
ナンデスト!?
DOPこと、ドッペルゲンガー。
それはゲフェンダンジョンに住む、ボスモンスター。
スピットたちも一度戦い、なぎ倒された苦い思い出のある、強力な魔物です。
*8
スピットはすぐさま、皆に向かっていいました。
spit:「玲於奈が、DOPにやられた!!
皆が、勢いよく返しました。
Ridgel:「…DOP!!
ぐっと、リジェルさんが剣を握りなおします。
spit:「ああ…
こくりとうなずき、スピットは帽子をぎゅっとなおしました。
spit:「行くぜ!野郎ども!!
「おう!!
それは、冒険者であるがため。
この国を、そしてプロンテラの街を護るため。
その戦いに…
はい、
逝った。
大義名分とか、言ってる暇もナシ。
*9
spit:「やっぱ、つえぇぇ…
Ridgel:「あらたねー!?
Domi:「しかも、かてー!?
Sylphienne:「うわわ。
uxi-ta:「なぎ倒されたー。
eve:「次々とやられていく…
Domi:「死ぬ死ぬ!
luvas:「って、どこに敵がいんの!?
後ろです。*10
次々と、冒険者たちがDOPになぎ倒されていきます。
spit:「おのれー!!
それはまさに、阿鼻叫喚の地獄絵図。
死屍累々です。
魔導士たちの魔法が飛び交い、ブラックスミスのメマーナイトが飛び交います。
が、DOPは次々と冒険者たちをなぎ払い…
スピット達(というより、その場にいた全員)の最後の希望、プリーストの華ちゃんも、DOPになぎ倒されてしまいました。
*11
spit:「てめぇ、DOP!! 絶対倒してやるからな!!
スピットにとっては、魔物たちの首都侵攻阻止とか、そういう大儀はありません。
ただ、同じ敵に二回もやられるのが、悔しいだけです。
しかも、こんなにたくさんの冒険者たちと一緒なのにです。
spit:「…くっそぉぉ。
と、その時でした。
Leona:「あれ?スピさん、DOPあった?
spit:「轢かれた…
Leona:「DOP、まだ生きてる?
spit:「生きてる。蹂躙してる。
Leona:「よし。
spit:「ん?
Leona:「アサさん連れてきた。
spit:「
はい?
Leona:「
レベル90↑。
spit:「よし、
やってヤレ!!*12
Leona:「DOP、たおすぞー!!
電波の向こう、「おー!」という冒険者たちの声が、聞こえたような気がしました。
しばらくして、玲於奈から電波が届きました。
Leona:「勝った…
それは、スピット達、死体の山のみんなからは見えない場所でしたが、スピットは玲於奈からの電波に、皆に向かって言ったのでした。
spit:「勝ったぞー!!
おおぉっ!と、死体の山のみんながわきました。
みんな、DOPに敗れ、倒れてしまった冒険者たちです。
ダメージを与えはしたものの、力及ばず、敵の前に倒れた同じ冒険者たちです。
そして今、その共通の敵を、同じ冒険者たちが倒したのです。
倒れながらも、喜びにわく冒険者たちのところへ、冒険者たちがやって来ます。
そして倒れた冒険者たちを、次々とリザレクションで起こしていきます。
spit:「…ふむ。
スピットもその中で起き上がりました。
スピットは近くに落ちていた帽子をちょいと拾い上げると、それを頭に乗せながら、くるりと辺りを見回しました。
倒れていた冒険者たちが、次々と起きあがっていっています。皆、DOPの強さや、それを倒した冒険者たちの事を口にしています。
spit:「…ふむ。
スピットはアークワンドを握りなおして立ち上がると、皆に聞こえるような声で言いました。
spit:「せっかくだ。DOPに轢かれたみんな、一発、記念写真と行こうか。
唐突な台詞でしたが、反対する人もいませんでした。「お、いいねぇ」とか、「轢かれ記念」とか、「スピがそんなこというなんて珍しい…」とか。
spit:「よーし、並べー!
スピットは適当に皆を並ばせると、
spit:「カウント、いくよー!
と、大声で言いました。
spit:「3、2、1…
やがて、その報は、プロンテラ城に届けられるのでした。
「ゲフェン地方から、入電がありました!」
悪夢の中の、トリスタン三世の元にです。
それは、
「グラストヘイムよりプロンテラに向かい侵攻していた、ドッペルゲンガーを頭とする魔物の一団は、ゲフェン地方の冒険者たちによって、今し方、駆逐されました!」
それは、悪夢からの目覚めを促す、まぶたの向こうのかすかな光となったのでした。
「我らの、勝利です!!」
*13