studio Odyssey



風に流れた翡翠の髪。




 それは、あるよく晴れた日でした。

 ここはプロンテラの宮前広場の端。
 いつものプロンテラベンチ。

 行き交う冒険者たちを、いつもの調子で、スピットはぼーっと眺めていました。

 ポタアコさんが、叫んでいます。「幻想の町、コモドありまーす!」

「コモド…ってなんだろ…」

 つぶやくスピットの隣では、へっぽこがリンゴジュースを飲みながら、ぽよんぽよん…
「新しい、町です」
 と、壁際のいつもの位置にあおいるか。
「モロクの向こうにある町だよ」
 ウィータが続きます。

「ふーん…」

 興味なさそうにつぶやくスピットの後ろ。
 アピが自分の髪をいじりながら、ぽつりと言いました。

「髪染めできるようになったっていうし…」


「染めようかな?」

「!?」

 ものすごい勢いで、スピットは振り返りました。
 となりでぽよんぽよんしていたへっぽこは、びくりとして、思わず彼の鞄の中に飛び込みました。


風に流れた翡翠の髪。



appi:「緑とか…

uxi-ta:緑はやめなさい。

すでに、その発言がへっぽこです

aoiruka:「専用機…


uxi-ta:「専用機なら、赤!


 通常の3倍ッ!?*1


appi:「今が赤です。私。

spit:「ってことは、染めると1/3になるのか…


 そうなんだ!?


ちょっとかわいい響きです

uxi-ta:「アピさんは、赤だよ〜。
aoiruka:「静電気がひどくなりますよ?

spit:「ひでぇ言われようだ…

 スピットは苦笑するように口を曲げると、立ち上がりながら、帽子をちょいとなおしました。



spit:「で?
appi:「まずは、アルベルタですね。

uxi-ta:「ええっ!? 染めるんだっ!?
aoiruka:「アピさんは、赤だと思うなぁ…


spit:「気にいらなければ、戻す。


 お前の権限かよ!?

spit:「それに、俺も染料って作ってみたいし…
aoiruka:「染めるんですか?
spit:「染めないけど…そういや、髪の毛って、いつの間に染められるようになったんだ?
uxi-ta:「コモドへのルートが出来て、髪染めの職人さんがコモドからの長期バカンスから戻ってきて…

aoiruka:「以下略。



spit:EP2.0からか。


 世界観というものを考えてください。*2


appi:「では、まずはアルベルター!

「おー。

 と、皆が返します。


appi:徒歩で。


 ポタルありません!




アルベルタへは、船です
 そんなわけで、ウィータを残し、スピット、アピ、あおいるかの三人は、イズルードから船の乗り、一路、アルベルタへと向かいます。

appi:「まずはここで、ディトミリンとカルボーディルというアイテムの使い方を、教えてもらうそうです。

 と、アピはメモを見ながら言いました。


spit:「…飲み物じゃなかったんだ?

aoiruka:「飲んだら、死にそう…*3

 さて、一行はアルベルタの宿屋、その二階の一部屋に入りました。と、そこにはひとりの青年の姿。
 アピは手にしていたディトミリンとカルボーディルを彼に見せ、なにやら話しています。

spit:「…いつの間に、こんな奴いたんだ。
 ぽつり。

aoiruka:「昔からいますよ?


spit:「俺の記憶では、いない。


 あんたのアルベルタの記憶は、ベータだろう。*4


ルイツくんと言います

appi:「次は、ゲフェンにいって、科学者さんに合わなければいけないそうです。

spit:「ゲフェ?

 スピットは首を傾げます。
spit:「その、ミリンだかしょうゆだかで、染料作るんじゃないの?

 しょうゆとかマヨネーズとか、言うな。*5

appi:「これで、混合剤と中和剤を作るのです。
aoiruka:「カプラさんにゲフェに飛ばしてもらいますかー?

 アピとあおさんの話を聞きながら、スピットは小首を傾げます。

spit:「混合液なら、転職試験でつくるじゃん。
appi:「あれとは違うのですよ〜。

 てくてく。
 三人はアルベルタ入り口のカプラさんに向かいます。
 と、アルベルタの町を歩いていたプリーストが、「お?」とスピットたちを見つけて声をかけました。

Farmei:「あ、スピさん。
spit:「おー、華ちゃん。ちわっ。

 それは先日プリーストに転職した、華ちゃんでした。
 華ちゃんは開口一番、
Farmei:「デートですか?
aoiruka:「俺は邪魔者だったのか!?
appi:「違いますよ〜。

spit:「そんなわけで、華ちゃんはゲフェポタある?

 どんなわけとか、言うな。


キター!?




 と、にやり。


Farmei:「onBookによると、私の認識は、そうらしいですし。


spit:「がくがくがくがくー!?

appi:「onBook、EP1.5は、onBookページから。
aoiruka:「誰に向かって言ってるんですか…

appi:「読者のみなさんへの、CMです。


 ありがたいけど、そういうこと言うな。*6


 と、近くに座っていたプリさんが、こちらの話を聞いていたのでしょうか。
 ふぃと、看板を掲げました。

ゲフェ行き〜


spit:「ヨロ!

 ぐっと親指を立てた右手を、スピットは突き出しました。

aoiruka:「闇とか、書いてありますけど…
spit:「きにしなーい。



 そんなわけで、一行は、次の目的地。
 ゲフェンへとたどり着きました。
こちら、魔法都市、ゲフェン

appi:「えーと…

 アピはゲフェンの町の中、その科学者というのがいる場所を、町の人に聞いています。*7


Farmei:「でも、なんでゲフェンなんですか?

spit:「染料つくるんだって。

appi:「髪を染めるのです。


Farmei:えー。
aoiruka:「あ、やっぱりみんな同じ反応…


 今、もっとも反感の多いクエスト進行中。*8


 さて、街の人に教えてもらい、一行がやって来たのは、鍛冶屋の二階。
 妙な科学者が、入ってきたスピットたちをぎょろりとした眼で見ました。

appi:「う…
 と、気後れするアピに、
spit:「こいつか。
 スピットは何故か身構えます。

 科学者はにやりと笑うと、言いました。

「ヒヒヒヒ…くんくん…久しぶりに覚えのある肉のにおいがするな。人間、人間か。それも肉のある人間…ヒヒヒ…」

ちょっとヤヴァイ感じです…

spit:「とりあえず、混合液だか中和剤だか、作ってくれ。

「ヒヒヒ…

spit:「話のつうじねぇ、ジジイだ…

 というより、会話になってません。


aoiruka:「あ、スピさん、作るとしても、カルボーディルとか持ってるんですか?

spit:「あるよ。
 ほらと、スピットはそれらをあおさんに見せてみます。

spit:「って訳で、よろしく。


「ヒヒヒ…人間…人間…」

spit:「作ってくれって言ってんだろーが!!



あんたもやること、ヤヴァイです…



appi:「…つくってもらいました。

 そんなわけで、混合液だか、中和剤だかを手にしたアピが笑っています。

spit:「よしよし。じゃあ、俺の分も…

「ヒヒヒ…人間…人間…」

子どもだ!?

Farmei:「なんで、スピさんは作ってもらえないのでしょう…

aoiruka:「運命ですね…


spit:「次はどこだー!!


 同じルートをたどっているアピには出来て、スピットには出来ないのはともかくとして、一行は次の目的地、モロクへと向かいます。*9

spit:「たらい回しクエストめ…
aoiruka:「仕様です。


 マテ。

こちら、モロク


 そして、モロク北東。

 少し大きな宿屋の中に、スピットたちは入っていきます。

appi:「おじましまーす。

 と、その一室にいたターバンを頭に巻いた青年が、スピットたちを認めて言いました。


なにッ!?

 天気が熱い!?


spit:「世界中さがしても、そんな挨拶するやつはいない。



aoiruka:「それが重力語です。*10


spit:「そんなわけで、染料とやらを作ってくれ。
「染料、そう、染料は僕の父が…

spit:「サンダー…


aoiruka:「スピさんは、イベントしてないから!?


 しばらくすると…

「はい、できたよ。

 と、彼はアピに染料を渡しました。

appi:「おー。

染料獲得


spit:「って、本当に緑にする気かよ?
appi:「え? 初めからそういう話の流れだったかと…


spit:「緑は洒落だと思ってた…

 苦笑するように口許を曲げ、スピットは帽子をなおしながら、宿屋を出ました。


 今、もっとも反感の多いクエストが、クライマックス!


スタートに戻る…



spit:振り出しに戻る…

aoiruka:「たらい回しなクエストでしたねぇ…


 このメンツには、特に。


appi:「最後に、プロンテラの婚礼品売り場にいる方に、染めてもらうのです。

spit:「あー、あのジェントル…


aoiruka:「そして、スピさんも、年貢の治め時、と。


外周をてくてく spit:なにが?


 は、ともかく、華ちゃんのポタルに乗り、一行はプロンテラは、婚礼用品売り場を目指します。


spit:「おー、おっさん。髪染めてくれ。

 ばーんとドアを開けて入ってきたスピットに、ジネダインレフルという、舌をかみそうな名前のジェントルマンが返しました。


「私は、服染めしかやってませんが…?」


衝撃の事実

spit:「…服だそうだ。
appi:「あ、あれ?

 アピは口許に苦笑を浮かべながら聞きました。

appi:「か、髪染めは別の人ですか?

「髪染めは、隣のヨボビチさんだね」

appi:「隣です!


spit:「ってゆーか、その人も変な名前。

aoiruka:「ヨボヨボのおばぁちゃん?
Farmei:「ビ○ン白髪染め…


 かなり、マテ。



appi:「と、とりあえず、行ってみましょう。

 冷や汗を見せながら、一行は隣の部屋へ。
 と、そこには…


ヨボビチさん

aoiruka:「うら若き女性でしたね。
Farmei:「名前から来るイメージと、違う人ですね…

spit:「お嬢さん、僕とケッコ…


 マテ。

appi:「では、染めてみますね。

spit:バ、バイブルのカドは凶器ですよ、アピさん…

 うーうーうなるスピットを置いて、アピはヨボビチさんに話しかけました。

appi:「あのー…
「まぁ、お嬢さん。髪を染めてみてはいかがでしょう?もっと綺麗になれますよ!思い切って、イメージチェンジしてみませんか?」

 一息で言い切ったヨボビチさんに、アピは目を丸くしました。

appi:「えーと…その、お願いします。

 と、アピが言うと、

「まあ、勇気をだしましたね〜」

 にっこり笑って、ヨボビチさんは続けました。

「さあ!それでは思い切って変身してみましょう!どのお色がよろしいですか?」

spit:「なんか、はきはきした人だなぁ…
 頭を押さえながらのスピットに、
aoiruka:「元気な人ですねぇ。
 あおさんが続きます。

spit:「っていうか、髪染めくらいで、思い切ってもなにも、あったモンなのか?気に入らなきゃ、戻せばいいだろうに…

Farmei:「スピさんは、乙女心というものが…
aoiruka:「ですね〜。

 目を細める華ちゃん、あおさんの前、アピが緑色の染料を渡しています。

「それでは、緑色に染めますね」
appi:「はいっ!

 と、ヨボビチさんはにっこり笑って、染料を手に、小さく魔法の言葉を唱えました。「ちちんぷいぷい…」


spit:センスねぇ。
Farmei:「しぃっ!
aoiruka:「決定的瞬間ですよっ!?

「乙女よ、きれいになぁれ!」*11

 ぽっと、アピの姿が輝いたかと思った次の瞬間、


髪染め!


appi:「おおー。


 緑色になった自分の髪を、ちょっと見上げるようにして目を丸くしながらアピ。
 そして、とてとてと、スピットの隣へと、歩いてきました。

spit:「お? 思ったり、明るい緑だったな。
appi:「ですね。

緑のあたまが、ふーたつ




spit:「む…

 スピットは目を細め、ちょっと口をとがらせるようにして、

spit:「いーや、聖職者らしからぬ色だな。


スピットより、明るい緑です


aoiruka:「…でも、実はうれしいんだ。
Farmei:「スピさん、口許が笑ってますよ?

spit:「笑ってなど、いない!

 ふんっとそっぽを向き、スピットは頭の上の帽子を、ちょいとなおしました。

appi:「もうちょっと、ちゃんと見てくださいよー。


緑あたまは、へっぽこあたま





aoiruka:「とかいって、本当はうれしいんだ。
Farmei:「まっすぐ見られないんだ。

spit:「うるさい。

 スピットはてくてくと、歩き出しました。


spit:「とりあえず、ベンチ戻るぞー。
appi:「はい。


aoiruka:「あー…
 ちらり、華ちゃんを見て、あおさんは言います。

aoiruka:「俺、今日、これから狩りに行く約束があるんで、失礼しますね。

Farmei:「あー、私も、用事思い出した。





spit:ほーう?


aoiruka:「華苺さん、ポター!
Farmei:「ワープポータルー!!

 しゅんっと立ち上った光の柱の中へ、二人は飛び込んで行きました。

aoiruka:「じゃ!
Farmei:「ガンバッテクダサイ。


spit:何を!?

appi:「いってらっしゃいませ。

 アピは微笑みながら、手を振っていました。







spit:「…ベンチ、いくか。

appi:「そうですね。






 そして…
 いつものように、プロンテラベンチ。

 プロンテラの陽が、傾きはじめていました。

プロンテラベンチ
 ベンチのふたり。
 スピットと、アピです。


spit:「…

 ちらり。スピットは振り向きます。
 アピは緑色になった髪を手で触りながら、「えへへ」とうれしそうに笑っています。

spit:「…緑あたまはへっぽこの証。
appi:「いーですよー。どうせ私もスピさんと一緒で、へっぽこですから。

spit:「…

 そういわれてしまうと、返す言葉もありません。

 そしてまた、会話がなくなって、沈黙。

 夕暮れの風が、プロンテラの街を優しく吹き抜けていました。
 アピはその風の中で、笑っていました。

appi:「そういえば、スピさん?
spit:「んー?

appi:「はじめてあった日も、夕暮れのベンチ前でしたね。

spit:「そーだっけ?

 ちょいと帽子をかぶり直し、スピットは目を伏せました。
appi:「覚えてないですか。
 軽く笑って言うアピに、
spit:「俺はあの時、早く帰ってご飯が食べたかったんだ。
 スピットは口を曲げたまま、返しました。

appi:「おぼえてるじゃないですかー。

spit:「…俺は、記憶力がいいぞ。

 帽子を直し、スピットは目元をちょいと隠して、言いました。本当は口許まで隠してしまいたかったのですが、ちょっと、スピットの帽子では、つばの長さが足りなかったのでした。

spit:「お前は、あんときも俺の真似っこをしたんだ。
appi:「なんかしましたっけ?

spit:「俺は、記憶力がいーぞ。

spit:「あの日も、そーいや、こうしてだらだらしゃべってたなぁ。
appi:「いつもですけどねぇ…
spit:「ま、そっか。

 ふと思い出した懐かしいシーンに、スピットは暮れゆく空を見上げました。「あ、もう、一年も前か…」
 「スピットさん、みてて」と、まだ駆け出しのアコライトだったアピが、笑いながら言ったその台詞が、スピットには昨日のことのように思い出せました。

それは、一年前の話


spit:「一年か…
appi:「長いですね〜。

 オレンジ色の陽光が照らすベンチに、スピットは軽く息を吐き出しました。それはため息でもなく、嘆息でもなく、少し、笑う感じで。

appi:「スピットさん。

 その光の中で、アピが微笑みながらいいました。

spit:「…アピに、スピットさんなんて言われたのは、いつ以来だ?
appi:「私も覚えてません。

appi:「でも、はじめはそうよんでましたよね?
spit:「ん。そう呼んでいた。そして、俺ももっとパーティリーダーとして、敬っていた。
appi:「それはどうか知りませんが…

spit:「なんだよ?
 肩越しに振り向いて、スピットはアピを見ます。
 アピはにっこり笑って、言いました。「もう一回、言っておこうかと思いました」「なにを?」


「わたしも一緒に、冒険させてください」


「はぁ!?」

 答えるスピットに、夕日に照らされたアピは笑っていました。「イメチェンして、緑になったので、しきり直しということで」

「アホか…」

 言って、スピットは帽子をなおしながら、すっと立ち上がりました。

「ま、一緒に冒険してやってもいいが、俺たちの冒険は、ちょっと他とは違うぜ?」
「一日一死は基本ですか?」
「基本だ」
「突貫大好きですか?」
「もちろんだ」
「全滅もおそれない?」
「死んだら、その時だ」
「それなら…」

 アピは笑いました。

「今までの一年と、変わりませんね」

「だな…」

 仕方がなくて、スピットも笑いながら、帽子をちょいとなおしました。

「じゃ、私はくっついてきます」
 すっと、アピも立ち上がりました。
 スピットは笑います。そして、
「つーか、アピはアコライトになったあの日から、俺たちにかかわっちまう運命だったんだろうけどな」
 言いました。

 アピは、ちょっと小首を傾げました。
「スピさんとはじめてあったのは、アコライトになったあと、このベンチでですよ?」
「そーだっけ?」
 笑い、スピットは言いました。

「俺は、記憶力はいーぜ?」

「物忘れは激しいですが…」
「忘れた、フリだ」
「そうなんですか?」
「さて、アピ。んじゃ、暇だし、ぷらりとプロンテラでもぶらつくか?」
「そうですね、次の冒険の、お買い物でもしましょうか?」

 夕暮れの街に、スピットは歩き出しました。
 その後ろを、アピがとことこと、追いかけてきます。

「そーいや、あの日も、こんな夕暮れだったなぁ」
「そーですねぇ」

 返すアピの「あの日」と、スピットの言うあの日は、ちょっと、違っていました。

 電波が届きました。「おーい、どこにいんだよ?」「迷子だー」「プロで迷うなよ…」「ったって、冒険者になったからって、プロを冒険したことはねぇんだぞ?」「っていうか、街なんか冒険しない」「あー、いつか街、冒険しような」「で、どこだよ?」「ここは…大聖堂ってゆーのか?僧侶らしき人が、一杯いる」「じゃ、大聖堂だな」「お、ノビがいる。ここ、転職所かな?」「アコ!?」「アコさんいっぱいいるし、そうじゃね?」「女の子?」「うん」「ナンパだ!リーダー!!」「なんでだよ」

あの頃の転職所は、大聖堂奥でした

「ここは、アコライトの転職所ですか?」
 帽子をなおしながら聞く魔法士に、近くにいたアコライトの女の子が答えました。「そうです。今から、そこのノビさんが、転職するようです」
「ふーん…」

 スピットはすっと脇によけ、その赤い髪の女の子を見ました。
 と、女の子が真剣な眼差しで神父さんと話ていたかと思うと、ぽっと、その身体が輝き…

転職


「おめー」
「おめでとー!」
「これから、みんなを癒しまくってくださいっ!」

「おめー。そして…」

「サンダーストーム!」

「マテ!そこのマジ!?」


 その女の子は走り抜けた雷に、目を丸くしていました。
「え…?」

「祝福、兼、こうげき」
「あ…あー…」
「魔法士ギルド流の、全力の祝福だ」
「そ、そうだったんですかっ!?」

 その子は目を丸くして返しましたが、すぐに笑い、そして、笑いながら言いました。


そしてその少女の名は…


「んじゃ、俺はたまり場に待ってる奴らがいるんで、おいとましますわ。がんばってくださいね」
「がんばります!」
「…あ、俺らのパーティ、アコライトいないんで、一緒に冒険できたらいいですね」
「その時は…」


「よろしくお願いしますね」



 大聖堂の鐘の音は、あの日と変わらずに、一日の終わりを告げるようにプロンテラに鳴り響いていました。
 そして吹き抜ける風の中、

 彼女の翡翠のような輝きをした髪が、楽しげに踊っていました。*12


*1 赤い奴か!?
*2 と、言うわけで、EP2.0 Under the Illusionが、今回から始まります。そして一発目は、新実装された町、コモドではなく、髪染めという、ちょっと日記系サイトにはない始まりです。
*3 染料を作るには、簡単なクエストを回らなければいけません。まずは、アルベルタ。
*4 新しく配置されたNPCは、ことごとく知らない。
*5 なぜ、マヨ!?
*6 onBook EP1.5は、ベンチメンバーのすちゃらか冒険記となっております。日記キャラが出まくりますので、みなさんもどうぞ。
*7 何げに、これもフラグ。
*8 きっと、これを見ている人たちもそう思っているだろう。
*9 実は、スピットはアルベルタの段階でディトミリンもカルボーディルも持っていなかったので、フラグが立ってません。意外とシビアだな…
*10 というより、これを書いていて、はじめて気づきました。恐るべし、重力語。(グラビティという会社がRagnarokを作っているのですが、ここの和訳があまりにも…なので、そのような訳を、愛を込めて、重力語と呼ぶのです)
*11 ちなみに、こんな事は言いませんが。
*12 今回のこのエピソードを書く前に、SSを整理していたら見つけました。
 っていうか、アピのノビ姿!?超絶に、貴重品!?
 いや…スピットも忘れていたし、きっと本人も忘れているでしょうが、ふたり、実はこの日記のベータに紹介されているエピソードの前に、あっていたのですね…完全に忘れていました…
 ちなみに、このSSの日付を見ると、6月11日となっています。
 そんなわけで、今回からEP2.0。
 変わらずに、EP2.0も、突貫しますよー!?(そうなんだ…)
 ちなみに、この頃のアピのノビ姿のSSは、これを含めて、3枚しかない…しかも、全部後ろ姿という…