spit:「あー…まー…
ベンチ前。
スピットは言います。
spit:「詰まるところ、遅刻の理由というのは、そういうわけだ。
uxi-ta:「…思いっきり、
嘘くさい。
aoiruka:「っていうか、たい焼きってなんですか?
Grill:「たいの形をしたおかし。あんこが入ってるやつ。
mayumi:「いや、そんなものがこの世界にあるのか、と。
言ってはいけない質問です。
spit:「あっ!おまえら、信じてないなッ!?
むきー!と腕を振り上げ、スピットは言いました。
heppoko:「ご主人さまの言ってることは、本当ですよー。
spit:「ほら!へっぽこもそう言ってんじゃんか!!
eve:「おいでー、へっぽこ。リンゴジュースあげようねー。
heppoko:「わーい。
eve:「で、へっぽこ。スピの言ってることは、本当かな〜?
heppoko:「
なんの話ですか?
spit:「おのれ…単細胞生物…
*2
ぴくびくと動く眉を片手で押さえながら、スピット。
spit:「まぁ、いい。本人に登場してもらえば、晴れる疑いだ。
そしてスピットはくるりと振り向いて、彼女を呼びました。
spit:「ほら。こっち!
「うぐぅ…
shintisu:「…
Farmei:「…
Max:「どこでナンパしてきたの?
spit:「
マテ。
spit:「んー、とりあえず、自己紹介。説明してやってくれ。
帽子をなおしながら、スピットは言いました。
「えっと、えっと…
女の子はしどろもどろに言います。
「名前は、迦陵頻伽と言います。
spit:「…
uxi-ta:「…
aoiruka:「…
mayumi:「…
shintisu:「…
eve:「…
かりょうびんが。
uxi-ta:「はじめまして〜。
aoiruka:「こんにちわー。
shintisu:「こんちわー。
eve:「
読めなかったんでしょ?
mayumi:「じゃ、さっそく調教〜。
spit:「マテ。
mayumi:「えっえっ!? ぢゃぁぢゃぁ、
飼育?
aoiruka:「飼うのか!?
Farmei:「でも、手伝ってもらえば、30分でノービスなんか卒業できますよ?
eve:「盾のあおいるかさんもいるし。
aoiruka:「俺!?
Grill:「ウチのギルドに入ってしまったのが、運の尽きです。
shintisu:「センセー、がんばー。
*3
Farmei:「アイスソードあたりで、エルダ狩りとかは?
eve:「それならきっとすぐだね。
mayumi:「の、ノビたん…はぁはぁ…
eve:「はぁはぁしないっ!
aoiruka:「仕様です。
Max:「トーキーボックス!
shintisu:「ハァハァって…
mayumi:「ノビたんー!
uxi-ta:「まゆみさん、ストップっ!?
eve:「せめて、陽が落ちてから!
aoiruka:「落ちればいいんだ…
mayumi:「もーまんたい。
Grill:「なにがかは、聞かないでおこう。
karyo:「…
spit:「
そんな目で俺を見るな。
仕方なく、スピットはこほむと咳払いをひとつ。
spit:「
全員整列っ!?
spit:「しかも、
増えてるし、変わってる奴いるし!
irurur:「スピさん、また遅刻?
miyuki:「変わってるのって、誰?
appi:「誰でしょうねー?
Max:「…代わり、あり?
ソコ。
spit:「迦陵ちゃん、こっち。
karyo:「はい。
とことこと、迦陵ちゃんはスピットのとなりに戻ってきました。
spit:「んじゃ、とりあえず、自分の自己紹介の続き。
karyo:「えっと…
迦陵ちゃんが話す後ろ、ポタ広場にいたポタアコさんたちが、なんだなんだと、スピット達の方を見ています。
それもそうです。ずらり壁際に並んだギルド、Ragnarokの面々、これだけ同一ギルドの人間が一カ所に集まるというのは、なかなか街中でみれたものではありません。
*4
karyo:「迦陵頻伽(かりょうびんが)と言います。えっと、このギルドのメンバーだった、カルピンの義妹です。よろしくお願いします。
ぺこり。
spit:「と、言うことだ。
miyuki:「
よろしくお願いされた。
spit:「
お前にはしない。
mayumi:「なんでー!?
胸に手を当てて考えてみればよいかと。
spit:「ここに、カルピンからの手紙がある。
ぴっと、スピットは手紙を取り出し、皆に見えるようにちょっと上に掲げました。
spit:「今からこれを読み上げるので、みんな、心して聞くよーに。
そしてスピットはそれを読み上げました。
spit:「えー、ギルドのみなさんへ。とうとう、料理の修業に旅立つ日が、明日となりました…
カルピンが料理の修行のために旅立つという話は、皆もすでに聞いていました。
*5
そして、その長い旅は、スピットたちが初めに思っていたよりも、ずっとずっと長い旅だったのでした。「んー、十年かぁ」「いい年になってるなぁ…」「死んでるかもよ?」「…ありそう」「まだ続きがあります。えっと…」
spit:「ギルドの方なんですが、エイルと一緒に、追い出してしまってください。そしてみなさんに、いろいろとご迷惑をかけて申し訳ありませんでしたと、お伝えください。
Grill:「質問。
spit:「ん?
appi:「エイルちゃんも一緒にギルドから外すの?
spit:「俺は、書いてある事を読んでいるんだし、本人の希望がそうならば、そうするし、ギルマスさんは頭の出来がいいので、ちりばめられたヒントですべて理解する力があるのです。
uxi-ta:「意味がわかりません。
spit:「続きがあるので、続けまーす。
*6 えーと、私が消える代わりと言ってはなんですが、代わりに彼女をギルドに入れてやってください。何になるかとかは、まだ決めていないようなので、スピさん、よろしくお願いします。
karyo:「よろしくお願いします。
spit:「よし、そんならな…
appi:「とりあえず、それは置いておいて。続き。
spit:「んーと、あおいるかさん。
aoiruka:「ほい?
spit:「
いつか料理します。
aoiruka:「
(;´Д`)
Grill:「プ。
spit:「グリさん、
同。
Grill:「
ヌアー!?
spit:「それでは、みなさんがよい旅を続けられますように。と。
appi:「よい旅を。
Grill:「カルピンも。
aoiruka:「ですねー。
それぞれに言うギルドメンバーを見回しながら、スピットは手紙をしまいました。
そして迦陵ちゃんの頭をぽんと叩いて、
spit:「って訳で、ウチのギルドに加入するので、みんな、なかよくするように。
言います。
karyo:「よろしくお願いします。
miyuki:「
よろしくお願いされた。
spit:「
俺がされたんだ。
appi:「どっちでも不安だ…
shintisu:「カルピン、なむー…
spit:「っと、じゃ、うちのギルドの面々を一応、紹介しておくか。
と、スピットは壁際に並ぶギルドの面々を見て、言いました。
spit:「奥から、アサシンのシンティス。
shintisu:「よろしくー。
spit:「となりが、ペコの影になってるけど、ハンターのウィータ。
uxi-ta:「おねがいしまーす。
spit:「ペコペコに乗ってるのが、騎士のあおいるかさん。最近、うちのギルドに捕獲された。
aoiruka:「捕獲…
spit:「となり、アサシンのいるる。
irurur:「怠け者ピクミン。
spit:「となり、要注意人物、佐倉家の次女、佐倉 深雪。
miyuki:「のーみそ足りないプリ。
spit:「となり、プリーストの玲於奈。
Leona:「よろしくぅ。
spit:「となり、ギルドメンバーじゃないけど、ベンチ前のお友達、華ちゃん。
Farmei:「華苺(ファーメイ)です。よろしくー。
spit:「となり、プリーストのアピ。
appi:「よろしくお願いします。
spit:「最後が、マジシャンの焼豚こと、グリル=ポーク。
Grill:「ども〜。
spit:「
覚えた?
karyo:「
…
登場人物が多すぎます。
spit:「
あと、アサシンのグリム、騎士のシュト、ウィズのアブにショボアサのラバ。さっきまでいたイブに、その息子と娘の、初心、えぶ。同じくさっきまでいたまゆみ嬢にマックスに、ベンチ前のお友達としては、ハヤテさんやリジェルさん。あと、風ちゃんとか…
人物名鑑?*7
karyo:「えーと…
appi:「さすがに人数多いですし、すぐには覚えられないでしょうけど、一緒にいれば、すぐに覚えられますよ。
苦笑気味に、アピはいいました。
karyo:「だいじょうぶです。
迦陵ちゃんはこくりと頷いて、言いました。
第一印象確定。
誰が?
aoiruka:「俺は普通だ。
Leona:「私は個性的じゃないよ。
irurur:「おれも個性なんてないなー。
Farmei:「私も別に普通カナ?闇ポタくらいだし。
appi:「みんな一般的ですよねー。
その
ギルマスは誰だ。
karyo:「で…
迦陵ちゃんはスピットの方を向きました。
karyo:「あとひとりですね。
spit:「なにが?
ハテナと、スピットは首を傾げました。
aoiruka:「スピさん、自分は?
spit:「おおっ!?
はっと目を丸くして、スピットはぽんっと手を叩きました。
spit:「そうだな、自分の紹介を忘れていた。俺は、パーティ、プロンテラベンチのリーダーにして、ギルド、Ragnarokのマスター…
そして、スピットはちょいと帽子をなおしました。
irurur:「漏電。
mayumi:「だだもれ。
Leona:「へっぽこ。
uxi-ta:「言われた!?
shintisu:「たれながし。
Grill:「ナンパ師。
spit:「
オマエら…
appi:「いずれバレることです。
spit:「スピット。俺の名前は、スピット。
帽子を直し、スピットは言いました。
spit:「ようこそ、ギルド、Ragnarokへ。
Grill:「このギルドは、効率から最も遠いギルドです。
aoiruka:「一日一死にが基本です。
mayumi:「スピたんは、十回くらい死んでるけど。
shintisu:「突貫かけて。
Leona:「そんなスピさんを、いじめ抜くのが活動の目的。
appi:「そんなギルドです。
と、アピはにっこり、笑いました。
spit:「
ヲイ…
karyo:「よ、よろしくお願いします。
迦陵ちゃんは軽く、笑っていました。
Leona:「そんなわけで!
すっくと、玲於奈は立ち上がります。
はっとしたシンティスが立ち上がり、「あぶないっ!」
Leona:「ワープポータル!
しゅんっと立ち上った光の柱の近くにいた迦陵ちゃんを、ぱっと下がらせました。
spit:「ピンポイントに俺の足下なんだが?
Leona:「いってら〜。
結局、
全員集合。
spit:「…えぶになってるし。
ebu:「お師さま、突撃ですー!
miyuki:「そのイキだー!
spit:「深雪嬢だし。
miyuki:「キニスンナー。
spit:「しない。
karyo:「こ、ここは…?
どきどきという表情で、迦陵ちゃんはあたりを見回します。
aoiruka:「グラストヘイムにノービスは違和感だ…
Grill:「インジャネ?
spit:「うーし…
にやりと笑うと、スピットは帽子をきゅっとなおして、言いました。
spit:「
突貫!!
死。
さて、それから、数日の日が流れました。
karyo:「なにしてるんですか!?
ここはイズルード。
剣士ギルドです。
karyo:「じゃ、行ってきます。
aoiruka:「ほい。
spit:「いてら。
迦陵ちゃんはギルド職員に話しかけ、剣士転職の、最後の試練へと向かいました。
spit:「この試練を乗り越えれば、晴れて剣士か。
aoiruka:「ですね。
ついさっきまで、エルダー森で壁をしていたあおいるかさんは、軽く笑いました。
aoiruka:「これで、新しい前衛が…
spit:「うむ…
剣士は、彼女が自ら決めた職でした。
もっとも、スピットとしても新しい前衛が欲しいと思っていましたし、女騎士さんのお友達がほしいなぁとか、別にそういうよこしまな事を考えたりしていたりしたわけではなくもなく。
spit:「うむ。
ぽつり。
spit:「少女には剣がよく似合う。
spit:「将来は両手剣騎士になって、
ペコには乗らせない。
aoiruka:「俺しかいないから、俺が突っ込むべきですか?
spit:「あおさん。
aoiruka:「はい?
spit:「俺は今、重大なことに気づいた。
aoiruka:「なんでしょう?
重大だ。
やがて、試練を抜けた迦陵ちゃんがふたりの前に、戻ってきました。
karyo:「おまたせしました。
spit:「うむっ。
karyo:「では、転職したいと思いますっ。
くるりと振り向き、迦陵ちゃんはギルド職員に話しかけました。
すると、彼女の身体がぽっと弱く輝き…
spit:「おめ〜。
で!
その瞬間、迦陵ちゃんはぴくり、と身をこわばらせました。
karyo:「
殺気!?
spit:「
何っ!?
aoiruka:「
よけた!?
遅れて、青い雷が駆け抜けました。
*8
karyo:「ふぅ…
迦陵ちゃんは軽く額をなでて、言います。
karyo:「何をされるのかと。
spit:「チイイィィ!
くやしぃぃっと、スピットは帽子を押さえながら歯ぎしり。
aoiruka:「将来有望だ…
あおいるかさんはうるうるとしながら、剣士ギルドに差し込む光に向かって両手を組んでいます。
karyo:「さて、と。
その光の中で、迦陵ちゃんは微笑みながら、言いました。
spit:「行きますか。
スピットは帽子をなおします。
aoiruka:「ですね。
歩き出す彼女に、あおいるかさんも続きます。
光の中で、彼女の腰にぶら下がった剣が、弱く輝いていました。