studio Odyssey



一年目の冒険者たち。




spit:「おーい、へっぽこー。

 あ、ご主人さまが呼んでます。


spit:「冒険にいくぞー。

「いきましょー!

 ボクはご主人さまの道具袋の中に、ぴょいっと飛び込みましたっ。*1


一年目の冒険者たち。


罰ゲームは終わりました
 さて、ボクとご主人さまはいつもの「ベンチ」というところへ行きました。
 すると、そこには玲於奈さんが座っていました。

Leona:「ちわぁ。
spit:「ちっす。

 玲於奈さんは残念そうに、言いました。

Leona:「いい感じだったのにぃ。

spit:「全然よくねぇ。

 どうやらご主人さまは、「ばつゲーム」の話をしているようです。そうそう。ボクも始めはびっくりしたんですよ。*2
 ご主人さまは、「頭に変な剣を指して、黒い眼鏡をかけた白ヒゲ」だと思っていたんですもの。それが、本当は違ったなんて…始め、びっくりして3時間くらいご主人さまを捜して部屋の中をうろうろしちゃいましたよ。

 あ、きくちゃん、ちわぁ。

 ボクは玲於奈さんのペット、ルナティックのきくちゃんにぺこりとお辞儀しました。

Leona:「ルナティック、しゃべるとあんまりかわいくない…
spit:「へっぽこのえさ代が、俺よりたけぇ。

 なんだか、ご主人さまがよくわかんない話をしてボクをにらんでます。んー、よくわかんないから、とりあえず、ご主人さまにじゃれておこう。

spit:「くっつくな!馬鹿者!!
Leona:「へっぽこは、あいかわらずおばかさんだねぇ。

 ん?

「ご主人さま、そんなところでなにしてるの?一緒に冒険しましょー。

spit:「へいへい…


 さて、とりあえずどこに行こうかとご主人さま。
 「まぁ、とりあえず、お城を抜けて、北に出るか」と、ボクに言いました。んー、北になにがあるのかなぁ。

spit:「ルナティック卵を手に入れて売れば、へっぽこのえさ代で枯渇している我が財政も…

 よくわかんないなぁ…

 と、プロンテラ城内を歩いていると、ボクも知ってる、ペコペコに乗った騎士さんがいました。

spit:「お、あおさん、ちわー。
aoiruka:「あ、スピさん。こんにちわ。

 あおいるかさんの近くにいたアコライトの女の子が、ご主人さまに気が付いて言いました。

fu-ka:「あ、スピさん、ちわぁ。
spit:「あれ?風ちゃん。こんちわ。

 どうやらこの風ちゃんというアコライトの子も、ご主人さまのお友達のようです。ボクはあおいるかさんのペット、ポポリンくん(まだ名前はついてないみたい)に、ご挨拶します。

 と、風ちゃんのお友達らしいもうひとりの女の子が、ボクとポポリンくんの前までやってきました。

「かわいー。

 えへ。
「ぽよんぽよん。

プロンテラ城内



「ざくぅっ!




spit:aoiruka:「ナンデスト!?



spit:「逃げるぞ!へっぽこ!!


 えええっ!?
 今の、なにー!?


 とりあえず北に抜けたボクとご主人さま。
 ご主人さまは「ルナティックを狩る」と、始めはルナティックを相手にしていたのですが、10分も経たないうちに、「…あきた」

spit:「もういっこ、北に行こう。

 はいー、ご主人さまー。


プロンテラの2つ北は、アルギオペさまがいます


 ご主人さま?


spit:「おのれ…それは俺が入るために出したんだぞ、クソ芋虫が…*3



 結局、ボクとご主人さまはプロンテラに戻されちゃいました。

spit:「ちっと、ぼーっと体力回復するか…

 てくてく、ご主人さまは西門から外へ出ました。

 まってください、ご主人さまー。

ペットはしゃべります



 ご主人さま、ご機嫌悪いですかー?

appi:「あれ?スピさん、どこにいるのですか?

 と、ご主人さまのところに電波が届きました。
 プリーストの、アピさんからです。

spit:「プロンテラの西。渡れない島の見える突端のトコ。
appi:「…うーん、よくわかんないですけど、行ってみます。


 ご主人さまは座って、ぼーっと、その「渡れない島」というのを眺めていました。
 あれ?

 ご主人さま、ちょっとご機嫌よくなりましたか?

この島には渡れません
appi:「ハケーン。

 お。
 アピさんがやってきました。こんにちわー。

spit:「ちわ。
appi:「ちわー。

 アピさんはご主人さまの隣にすわって、ご主人さまが見ているのと同じ、「渡れない島」を見ていいました。

appi:「渡れないですねー。
spit:「財宝でも眠ってればいいのに。
appi:「ですねぇ。

 ボクにはよくわかんないですけど、それがあるといいなぁと、ボクも思いました。
 ご主人さまがなんか、ご機嫌よくなってきたような気がしたので。*4


 それからご主人さまとアピさんは何をするでもなく、そこで話していました。
 ふあぁぁ…お腹もいっぱいだし、眠たくなって来ちゃった…

 むにゅ…






spit:「いくぞ、へっぽこ。

 ん?
 あれ?目を覚ましたら、アピさんがいなくなっちゃいました。
 食べちゃダメですよー、ご主人さまー。


spit:「…いいか、へっぽこ。

 はい?


spit:「もうちょっと考えてナレーションしろ。

 えー。
 なんですかぁー?


 ともかく、ご主人さまとボクは、また「ベンチ」に戻ってきました。

ベンチはいつも誰かいます
spit:「さーて、腹をくくるか。

 ベンチ前にいた華ちゃんとシンくん、そしてあおいるかさんの姿に、ご主人さまは言いました。

Farmei:「スピさん、逝ってらっしゃい。
shintisu:「GH!!
aoiruka:「俺も行くのかなぁ…


Farmei:「ワープポータル!!

 華ちゃんの魔法に、ご主人さまの足下が光りました。

spit:「うし!行くぞ!!へっぽこ!!

 いきましょー!!

突撃!

 さー、騎士のあおいるかさん、アサシンのシンくんとご主人さまとで、グラストヘイムに突撃ですー!





へっぽこもがんばる!
 あっ、ご主人さま!向こうから敵が!!

spit:「わかった。黙ってろ。



 さてさて、またプロンテラに戻されちゃったボクとご主人さま。
 あおいるかさんとシンくんと別れて、今度はご主人さま、「フローラ山でも行くか」と、西門から北を目指します。

フローラ山
spit:「幻想の花で、一攫千金を…

 ご主人さま、お金ないですか?
 じゃ、ボクはデザートの焼きゼロピーをちょっと控えます。そうしたら、ご主人さまのお財布もゼロピーがいっぱいになりますよね?

spit:「いらん。

 ご主人さまー!?



 ご主人さまはまったりと狩りを続けます。

 と、フローラを倒したとき、見たことのないアイテムがぽろり。

spit:「なんじゃ?

 なんでしょうねー?

 ご主人さまはそのアイテムを拾い上げて、ぽつり。

しおれないバラ
spit:「しおれないバラ?

 へー。
 しおれないなんてすごいですねー。魔法の力ですかねぇ。
 どんなアイテムなんですかー?

spit:「…魔法の力でしおれないバラ…永遠の愛を意味する…イラネ。

 ご主人さま、それ、おいしいですかねー?

spit:「…昔、モロクで売ってるのを見たことがあんな。モロクでも行って、確認してみっか…

 おいしいかなぁ。

spit:「非売品なら、あるいわ高値…店売りなら、へっぽこのおやつ…

 さー、モロクに行きましょう、ご主人さまー!




 と、言うわけでボクとご主人さまは砂の町、モロクへとやってきました。
 うぅ、あんまりこんなに暑いところに長くいると、ボク、ドラップスになっちゃいますよ。

spit:「お?

 モロクの町をとことこ歩いていたご主人さまが、誰かを見つけました。

spit:「よー、グリム。
Ahsgrimm:「おわ!スピ!?

 おわっ!ってなんですか、グリムさーん。

spit:「フフリ…
 あ、玲於奈さんもいるや。こんにちわー。
Leona:「こんにちわぁ。って、二回目だよ?へっぽこはあいかわらず、おばかさんだねぇ。

 えー、でも玲於奈さん、さっきは青髪で、今は金髪だよー。

Ahsgrimm:「この、細かいところに突っ込む丸いのをなんとかしろ。
spit:「ぷちっとイケ。*5

 ええっ!?

Ahsgrimm:「しかし、スピがモロクに来るなんて珍しいな。
 と、グリムさん。
spit:「ああ、しおれないバラを手に入れたんだけど、これ、たしかモロクの店売りだったよなぁって、確認に。
モロクにて
Leona:「店売りだよ。
spit:「あ、やっぱ?

Ahsgrimm:「いっそ、誰かに永遠を誓ってコイヤ。

spit:「イヤダ。

 きっぱりはっきりいうご主人さまに、玲於奈さんは笑いました。

spit:「だいたい俺は…

 お。
 ご主人さまは頭の上の帽子を、ちょいとなおして、言いました。



spit:「世界の果てを目指す、冒険者だからな。


Ahsgrimm:「誓う相手がいない?
Leona:「うかうかしてると、捨てられますよー。
spit:「誰にだよ!

 ご主人さま、怒ってるんだか笑ってるんだか、ちょっと謎です。


spit:「俺には、永遠なんか、まだないね。

 ご主人さまは言います。

spit:「たとえ、世界の果てにたどり着いたとしたって、俺はその先に進むさ。な、へっぽこ。



 …ん?

ナイス、へっぽこ


Leona:「へっぽこは、あいかわらずおばかだねぇ。



 モロクを後にして、ボクとご主人さまはプロンテラに戻ります。

 途中、砂漠の真ん中で、ご主人さまは立ち止まりました。


spit:「蟻の巣によって、ビタタカードで一攫千金…

 冒険ですねっ、ご主人さまー!

プリオニ


spit:「よし。

 ご主人さまっ!?





 そして、今日もボクとご主人さまは、大冒険をして、プロンテラへと戻ってきました。

 そして、いつもの「ベンチ」です。


spit:「お。

 ご主人さまがちょっとびっくりした風に、目を丸くしました。
 どうしましたか?ご主人さま。

 てくてくと歩いていくご主人さまに、ボクもついていきます。

 あれ?
 ご主人さま、なにか、ちらちら降ってますよ?
 なんだろう、この、ぴんく色のやつ。

 ひらひら。ひらひら。

 ご主人さま?

プロンテラの桜

 わぁ。

 ぴんく色ですよ、ご主人さまっ!



spit:「…そっか。

 ご主人さま?

spit:「もう、一年になるのか。

 なにがですか?ご主人さま。


 それきり、ご主人さまは黙ってしまいました。
 そして、ひらひら、ひらひらと降ってくるぴんく色をぼーっと眺めて、いました。


spit:「…うし。

 と、すっくとご主人さまは立ち上がりました。
 にやりと笑って頭の上の帽子を、ちょいとなおして、言いました。



spit:「全員、集合!

 電波の向こうから、「えー」「何が?」「なにかするんですか?」と、みんなの声が返ってきます。


spit:「花見だ!!






そして、プロンテラベンチ




 今日も、「ベンチ」の前はわいわい、楽しいです。


*1 今回は、へっぽこ視点でお送りします。
*2 詳しくは、「spit VS etc...」
*3 アルギオペ。芋虫ではないような気がするんだが、何故か赤芋虫と呼ばれる。
*4 「渡れない島」はプロンテラの西門を出たところにあります。結構、有名。何かあったら面白いのになぁ。
*5 女の子には秘密がいっぱいということで。