いつものベンチ。
なにやらスピットが、とぼけた風にして言っています。
ebu:「聞こえませんでしたか?
小首を傾げていうのは、えぶです。
Leona:「スピさんは、耳が遠くなった。
Ahsgrimm:「認めたくない気持ちも、わからんでもない。
aoiruka:「現実なんですけどねー。
spit:「も、もう一度言ってくれないか?
と、スピットはえぶに聞き直します。
えぶはにっこりと笑って、言いました。
spit:「へー。
ebu:「転職します。
spit:「
スンナ。
みんな:「
Σ( ̄□ ̄;*1
spit:「いいか、えぶ。
スピットは帽子を直し、言います。諭すように、です。
spit:「魔法士は、job50まで育てると、たくさんの魔法が使えるようになる。最終的に強いのは、そういう人たちだ。
ebu:「お師さまも、40転職です。
*2
spit:「
俺の話ではない。
Ahsgrimm:「じゃあ、いいんじゃんか?
aoiruka:「抜かれるのが嫌なだけじゃ?
Leona:「マジシャンのままでも、
抜けますけど。
っていうか、
すでに抜かれているという話も?
*3
spit:「はっはーん、わかったぞぉー。
にやりと笑って、スピットはいいます。
spit:「実は、はやく
LoVが撃ちたいだけだな?
誰かと一緒にすんな!?
ebu:「…それもありますが…
Ahsgrimm:「あるんだ!?
Leona:「そ、そうなんだ?
ebu:「実は…
そしてえぶはスピットがびっくりするようなことを言いました。
ebu:「実は、
地属性に行きたいのです。
spit:「ち、ちぞくせい?
ebu:「そうです。
spit:「地属性って、あの?
ebu:「ぼこぼこ、ぐらぐらと。
spit:「…へー。
魔法士の魔法には、いくつかの属性があります。
まずは三大属性と呼ばれる、火、氷、雷の三属性。
そしてそれに念、地と続きます。
えぶは転職し、ウィザードとなって、その、地属性魔導士を目指すというのです。
地魔法は、魔法士時代に覚えられるのはたったひとつ、石化の魔法、ストーンカースだけです。
ほとんどの魔法はウィザードになった後に覚え、その魔法には地属性のボルト魔法と言われる、アーススパイク。範囲魔法、ヘブンズドライブ。敵の動きを遅くする、クァグマイヤがあります。
*4
spit:「…へぇ。
ebu:「だ、だめですか?
Ahsgrimm:「弟子が消えたな…
ぽんっと、グリムはスピットの肩をたたきました。
Leona:「弟子のが強くなってるし。
aoiruka:「まぁ、ソロ戦では、えぶさんの方が全然活躍できますからねー。
spit:「ふ…
スピットは帽子をなおしながら、言いました。
Ahsgrimm:「え!?いいの?
Leona:「意外…
aoiruka:「す、スピさん!どうしました!?
spit:「え、だって…
弟子とか、そういうのは
どうでもいいそうです。*5
Grill:「お?みんな、あつまっとるねー。
と、そこへ焼豚こと、グリル=ポークが姿を現しました。
spit:「よーし、お前も行くか。
と、首根っこをひっつかまれます。
Grill:「なに?なに?どこに?
Ahsgrimm:「ゲフェンに行って、転職だ。
Grill:「誰の?
spit:「そこの。
と、スピットはえぶを指さし。
Grill:「え!? えぶさん、もう転職出来るの!?
Ahsgrimm:「っていうか、オマイはいつまで魔法士やってるつもりだ。
Grill:「最低、
ジョブ48。
spit:ebu:「…
ふ。
Leona:「遠い目してる、遠い目してる。
Grill:「いっそ、限界まで行ってもいいかなぁとか思ってる。
ebu:「
99レベルですか?
Ahsgrimm:「ソッチカヨ!!
*6
spit:「いよぉーし、では、ゲフェンに向かって、しゅっぱーつ!
スピットはぶんっと勢いよくアークワンドを振るいました。
Leona:「徒歩?
Ahsgrimm:「スピにそれ以外の選択肢はない。
一行は、一路、魔法士の町、ゲフェンを目指します。
spit:「こうして、ゲフェンに向かってぞろぞろ歩くのなんか、ひさしぶりだなー。
Ahsgrimm:「スピの転職の時以来か?
Leona:「あ、私はいなかった頃だ。
Grill:「そうか、そうだなー。
ebu:「私もいませんー。
spit:「なつかしいなぁ。
と、スピットはてくてく歩いていきます。
懐かしい道程を、あの日、パーティのみんなと歩いた道を、今日はまた、みんなで歩きます。
spit:「今日は道、間違えないぞー!
*7
そしてたどり着くのは、魔法都市、ゲフェンです。
街の中心にある巨大な塔。ゲフェンタワーを中心に、山の中の窪地に出来た町、魔法都市ゲフェン。
一行は迷うことなく、その塔の最上階にある、ウィザードギルドを目指します。
と、塔の途中まで登ったところで、えぶが立ち止まりました。
ebu:「あ。
spit:「どうした?
spit:「ああ。
その場所は、アブの突然のプロポーズの場所。
そして突然の結婚式の場所でした。
Ahsgrimm:「課金直前か。
aoiruka:「懐かしいですねー。
Grill:「ずいぶん昔な気がするよ。
Leona:「私、まだみんなを知らない頃だ。
Ahsgrimm:「そういや、アブは?
ふと、グリムが言いました。
Ahsgrimm:「娘の転職だというのに。
spit:「ちょっと、調べてみるか。
と、スピットはむにむにと電波に皆の位置を確認しました。
spit:「お。
Grill:「いた?
spit:「いるるっち、はっけん。かもーん。
Ahsgrimm:「いや、アブなんだけど…
spit:「…アブは…
むにむにと電波にアブを探すスピットですが、アブは見つかりません。
Leona:「冒険に出てないのかな?
Ahsgrimm:「かもな。
aoiruka:「ざんねん。
spit:「くっ。
スピットは帽子をかぶり直し、言いました。
spit:「電気魔導士を、
ナメルナー!
スピットが飛ばすのは、超強力電波。
ミドカルドの大陸の外にまで届く、必殺電波です。
さすがは漏電雷魔導士。
リアルWisとか、ゆうな。
*8
spit:「…捕獲。
Grill:「お。
irurur:「ちわー。
と、ちょうどそこに、いるるが姿を現しました。
irurur:「かけつけましたよー。
Leona:「ばんわー。
spit:「うむ、アブからの伝言を伝える。
スピットは帽子に手をかけて、言いました。
spit:「
『一時間後には冒険に出られる』
ebu:「あうぅぅぅぅ。
spit:「さーて、行くか。
Ahsgrimm:「待ってやらないのかよ!?
spit:「え?
やらないらしいです。
ebu:「お師さま、えぶのわがままを聞いてくださいませ。
spit:「
イヤダ。
aoiruka:「
Σ(´ д `;
ebu:「ふつつかな弟子の、最後の頼みです。パパを待ってもらえませんか?
spit:「なに?
聞こえんな?
すばらしい
結束力だと思います。
spit:「(ぷすぷす…
Ahsgrimm:「ゲフェンダンジョンで、ちょっと時間つぶしするか。
Grill:「だね。
ebu:「ありがとうございますっ。
irurur:「あっ!?まともな武器がない!?
Leona:「ショートカットにリザいれてっと…
spit:「
(ぷすぷす…
spit:「まぁ、なんだ。
スピットは帽子を押さえながら座り込みました。
ずいぶん余裕だな、スピット。
ゲフェンダンジョン。
以前、転職直後にここに訪れた時は、この辺りで倒れ…
aoiruka:「ここで、死にましたねぇ。
spit:「ま、俺も成長したしなー。
安心しました、スピットさん。*9
Grill:「…何しにきたんだ、あんた。
spit:「えー、暇つぶしにきただけだろ。
aoiruka:「…暇つぶしで死ぬんだ…
Ahsgrimm:「仕様です。
Leona:「青ジェムはまだあるから平気。
と、そんなこんなで時間をつぶしていると…
ebu:「あ、パパきましたー。
えぶがパーティリストにアブを見て言いました。
スピットもリストにアブの位置を確認し、
spit:「今、ゲフェDだよ。
Abd:「向かいます。
ebu:「ぱぱー。転職するよー。
Abd:「よしよし、よく頑張ったな。今行くからなー。
spit:「こっちからも、迎えに行くか。
spit:「って…
spit:「
同じところで死ぬなよ…
聞こえんな?*10
そして一行はゲフェンタワー最上階、ウィザードギルドへとたどり着きました。
ebu:「では、行きますっ。
Abd:「がんばれ、えぶー。
spit:「ここに来て、何を頑張れと?
Ahsgrimm:「グリも話すか?
Grill:「決意が揺らぐから、イヤだ。
Leona:「どきどき。
aoiruka:「わくわく。
irurur:「4人目のWizですかー。
ギルド職員に話しかけていたえぶの身体が、ぽっと、輝きました。
Leona:「おめー。
Ahsgrimm:「おめでとー!
aoiruka:「弟子、卒業。
irurur:「そうなんだ。
Grill:「俺だけ、マジ…
Abd:「大きくなったモンだ。
spit:「いっちょまえに、Wizか。
ebu:「カッコだけはです。
いえ。
今あなたはこの瞬間、この場にいるWizの
誰よりも強いです。
spit:「アブ。
Abd:「はい?
spit:「なんでもえぶは、地魔導士になるそうだ。
Abd:「ある意味
決まっていたことでは?
ある意味、
そうかも知れない。
Leona:「じゃ、えぶちゃん転職したし、さくっとレベル上げに、どっか行く?
spit:「ふ…
スピットは帽子をあげて、言いました。
spit:「ならば、決まっておろう!!
はい。
グラストヘイム入り口。
spit:「あのときの、続きだー!
スピットはアークワンドを振るいます。
ebu:「新婚旅行の続き?
Abd:「もち。
Ahsgrimm:「人数、少なすぎだけどなー。
Leona:「竜マップ、抜けられるものなんだー。
irurur:「いってらっさーい。俺は今日は戻りますー。
Grill:「あ、俺も今日は帰るわ。
spit:「あい。さんきゅー。
ebu:「新婚旅行の続きといっても、ママがいません。
Abd:「あぅ!?
aoiruka:「まぁでも、娘とというのもある意味…
Abd:「…
Abd:「それはそれで、
アリですね。
spit:「
誰かコイツを斬ってくれ。
Ahsgrimm:「どこに行こうか?
aoiruka:「前回、行かなかったところがいいですかねー。
そして一行はグラストヘイム、階段ダンジョンへと向かいました。
spit:「よーし、えぶ。がんがん狩るのだ!
ebu:「がんばります!!
Abd:「いけ!盾!!
Ahsgrimm:aoiruka:「
三゜д ゜)!!
Abd:「
凍らせますよ?
spit:「わーい、今回、みーてーるーだーけー。
Leona:「見てるだけだと、死ぬんじゃ?
spit:「今日はノルマもこなしたので、みなさんも大満足です。
ebu:「
みなさんって、誰でしょう?
聞いてはいけない話です。
Ahsgrimm:「ミミックきたー!?
aoiruka:「しかも、二匹!?
Leona:「がんばれー。
ebu:「クァグマイア!!
えぶの魔法に、床がぼこぼこと波打ちました。すると、素早く動いていたはずのミミックがその波にのまれ、のろりのろりと…
Ahsgrimm:「
!?
aoiruka:「かわせる!?
攻撃速度の落ちたミミックの攻撃を、前衛のふたりはかわしていきます。
Abd:「おおっ!!
ebu:「アーススパイク!!
ついで、地属性のボルト魔法、アーススパイク。
ばんっという音と共に大地が隆起し、ミミックを貫きます。
ebu:「うちとったりー。
Abd:「さすがはえぶだっ!
aoiruka:「うむむ、QM、侮りがたし!!
Leona:「回避アップで、十分補助魔法として使えるね。
Ahsgrimm:「攻撃以外は脳のない、どこかの誰かとは
大違いだ!?
spit:「階段Dって、入り組んでて、道がわかんなくなるねぇ。
オイ、
そこのソイツ。
spit:「…?
神さまは見ている。
ebu:「ヘブンズドライブー!!
Ahsgrimm:「おおっ!地の範囲魔法!!
aoiruka:「結構、強いですね。
Abd:「地属性魔法は、あまり属性によって効きやすい、効きにくいがないのです。
ebu:「同じ地属性にだって、ちゃんとダメージ通りますよー。
*11
aoiruka:「へー。
Ahsgrimm:「詠唱後ディレイも短いらしいし、かなり強いな、地魔法。
*12
Leona:「QMは補助魔法として、前衛にもうれしいですしねー。
Abd:「さすがはえぶだ!いいところに目を付けた!!
ebu:「えへへ…
えぶは照れくさそうに笑って、ぽりぽりと頭を掻きました。
ebu:「さー!がんがん狩りましょー!!
aoiruka:「がんがんいきましょー!
Ahsgrimm:「
誰かの範囲魔法と違って、速いし、安定して強いHD!!
Leona:「
誰かとちがって、前衛の支援も出来る、QM〜。
Abd:「そして
誰かと違って、愛すべきキャラクター!
ebu:「えへへ…
spit:「…すみません、起こしてください。
Abd:Ahsgrimm:Leona:aoiruka:「
あ、いたんだっけ?