studio Odyssey



のっとり!?まったり!?プロンテラベンチ。



Abd:「大変だ!スピ!!

 突然とどいた電波に、スピットは「うな?」と顔を上げました。

spit:「どうした?
Abd:「ベンチに急げ!!

 アブの声が響きました。


Abd:「プロンテラベンチが乗っ取られる!?

spit:「なにっ!?

のっとり!?まったり!?プロンテラベンチ。


 だだっとベンチに走るスピット。
 別に、ベンチはスピットたちの所有物ではありませんが、「のっとり」といわれちゃあ、黙っちゃいられません。のっとりと言うからには、相手はそう。

 スピットたちに喧嘩を売っているに他ならないのです。*1


ベンチのっとり犯発見!
spit:「乗っ取らせませんよー!!

 スピットはベンチに駆け寄るなり、言いました。
 ベンチの前にいたシーフの少年が、すっくと立ち上がりました。


しかしてその実体は!?
spit:シンティスさん!?
shintisu:「ども、おひさしぶり。

 なんと、そこにいたのは以前にプロンテラベンチであった、シンティスさんでした。*2

spit:「シーフになったんですね。
shintisu:「おかげさまで。次は二次職に向かって精進の日々です。
spit:「がんばってくださいねー。

 と、スピットは久しぶりにあったシンさんと笑いながら話しています
 たったかたったか、そのベンチに走ってくる人影があります。

appi:「ベンチ乗っ取りって、ホントですかー!?
Abd:「見たんだって、マジだって!!

spit:「…あ、あいつら、シンさんしらネェや。

shintisu:エサですから。



spit:「…釣られまくり。

 駆け寄ってきたアピとアブが、スピット見つけるなり、言いました。

appi:「のっとり犯は、この人ですかっ!?
Abd:「よし、スピット!俺が凍らせる!!一気にいけ!!
spit:「穏やかじゃないなぁ。

shintisu:「ってゆか、本気でやったら二次職のみなさんに勝てるわけないし。

spit:「まぁ、座れや。


 そしてスピットはかくかくしかじかと、説明しました。


spit:「かくかくしかじか。
Abd:「なるほど、そういうことか!
appi:「いや、本当にかくかくしかじかでわかる分けないです。

shintisu:「えとですね。

 シンさんは言いました。

やっぱりベンチはまったり
shintisu:「僕は、スピさんのファンらしき者です。本当は。
appi:「らしきって。
Abd:「しかも、本当は、ときた。
spit:「なんだ、俺は喜んでいいのか悪いのか?

 シンさんはかまわず続けます。

shintisu:「それでですね、今日は久しぶりにみなさんとお会いしたいなぁと思ったんですけど、なかなかスピさんのギルドのみなさんとお会いする機会も作れないんで、今日は宣戦布告してみたんです。そしたら、プロベンのみなさんもびっくりして、集まってくれるんじゃないかなって…

spit:「なるほど。
Abd:「現にひっかかったし…

 ウィザードふたりはうーむと腕を組みました。

appi:「ってことは。

 ぽんっと手を打って、アピはこにこに、言いました。


appi:PvP大会ですねっ。



spit:shintisu:三 ゜д゜)!!!*3

 PvP。つまり、Player vs Player。
 普段モンスターたちとしか戦えないミドカルドで、唯一、プレイヤー同士が戦える場所があります。それこそが、PvPフィールド。
 最強の冒険者を決めるもよし、内輪もめ解決の手段にしてもよし、とにもかくにも、プレイヤー同士の殺伐とした殺戮フィールドこそ、まさにそれなのです。*4


appi:スピさん対シンさん、プロベン所有権バトル〜。

 アピはたのしそうです。
spit:「ま、マテ。

Abd:「じゃ、他のギルメンも呼んできますか。
shintisu:「そ、そういう話の流れなんですかっ!?


 らしいです。



 ほどなくして、ベンチ前にギルド、Ragnarokの面々があつまりました。

愛と殺戮のPvPバトルに
spit:「で、PvPってどーやるの?

 と、スピット。
 なんだかんだ言っても、乗り気です。

 つか、お祭り大好き。

miyuki:「PvPは各街の宿屋からPvPドアマンに話しかけて行くんだよ。

spit:「ほー。

miyuki:「そうすると、PvP専用の仮想フィールドにとばしてくれるの。ここではプレイヤー同士が普通に戦えて、最強の冒険者を決めることとかが出来るわけね。あぁ、恍惚の殺戮フィールド…*5

appi:「くわしいですねー。
miyuki:「おかぁさんはもっと詳しいです。

spit:「さては、日夜そこで殺戮に…
Abd:「そんなこと言ってると、狙われますよ?

 そして確実に死。


 一行はプロンテラの宿屋に向かいます。

 深雪嬢の教えてもらったとおり、PvPドアマンの話を聞いて、スピット。

っていうか、みんなで青年ひとりを囲むなっ!
appi:「つまり、ほとんどはわかっていないということですね。


 そうとも言う。

spit:「この手のものは、やってみてわかるモンだ。いくぞ!

 PvPドアマンに、スピットたち一行はPvP待合室へととばしてもらいます。


spit:「これだけ人数いるし、パーティ戦にしようか。パーティって、PvPフィールドでも機能するんでしょ?
miyuki:「あい。パーティは同様に機能します。んでもって、ちゃんとパーティ同志は魔法とかも効きますです。*6

spit:「んじゃ、スピットチームとシンさんチームに分かれよう。プリはふたりだから、分かれるとして…

 スピットはてきぱきと言います。
 お祭りごと大好きは、お祭りごとまとめも大好きです。

 ほどなくして、スピットチーム、シンティスチームのふたつにわかれました。



対峙する、2つのパーティ!
spit:「ふふ、こっちはいないはずのラバもパーティだ!

 訳には立ちませんが。


miyuki:「燃えてきたー!
Nicrm:「こっちには廃アサがいる!
irurur:「って、私、そんなに強くもないですよ。
spit:「ふふふ。たっぷり漏電してくれるわ!

 こちら、スピットチーム。

shintisu:「だ、大丈夫でしょうか…
appi:「スピさん倒したら、こっちの勝ちっ。
Abd:「いや、あんなのは凍結させれば役立たずだ。
ita:「そしてら、いるるさんさえなんとかすれば、おっけー。

 こちら、シンティスチーム。


 パーティバランスが絶妙です。

 堅実バランス型のシンティスチームに対し、一発攻撃型のスピットチーム!


 はたして勝負のゆくえは!?*7

 一行はPvPフィールドとして、プロンテラの衛星都市、イズルードに飛び込みました。


ハイドして消えているいるるさん
spit:「いくぜー!

 と、その時でした。

 ぴしゅっと飛んできた矢が、スピットの帽子を飛ばしました。
 「ぬなっ!?」と、スピットは振り返ります。
 見知らぬハンターが、スピットに向けて、矢をいろうとしていました。

spit:「マヂですか!?
miyuki:「PvPフィールドはフリーですから、わたしたち以外の人もふつーにいますよ?*8
 深雪嬢の声が聞こえましたが、もう遅いです。


spit:それを先にいえー!!

 迫り来る矢を交わす術もなく、スピットはあわれ、イズルードの地に散りました。

irurur:「おのれ、スピさんのかたきー!
 と、いるるさんが突然現れたハンターに肉薄しよう…

ハンター:「アンクルスネア!

irurur:「をわ!?

 それは敵の足止めする、ハンターのトラップです。
irurur:「…う、動けない。ニクさん、助け…
Nicrm:「うーむ、俺もすでにうごけんのだか。
miyuki:「あぅあぅ。

 すでに前衛二人がアンクルスネアの餌食に。
 ハンターさんはゆうゆうと矢をつがえ、プリーストの深雪嬢にその先を向けます。


miyuki:あーめん。

irurur:「Σ(TдT
Nicrm:「俺も念仏唱えて待ってるか。


 第一回PvP大会、戦闘にすらならずに終了。*9



 さて、再びPvP待合室。

miyuki:「アブきゅんいない?」appi:「あれ?お義兄さん?」そしてニクロムの台詞…
spit:「なるほど、だいたいわかったぞ。
 と、スピット。

appi:「なにがですか?
spit:「PvPの戦い方とか。
ita:「それがわかると、何か意味が?
spit:「近接職と違って、マジ、ウィズは戦い方を考えないと勝負にならんのだよ。
shintisu:「そーゆーもんなんですか?
spit:「モンなんです。*10
irurur:「ところで、アブさん、戻ってきてないみたいですけど?

 PvP待合室で再び待ち合わせをした一行でしたが、アブが戻ってきていません。
 どうしたのかしらと、皆心配顔ですが、

spit:「ほっとけ。

 と、立ち上がりながらスピット。

spit:「第二回戦といこーじゃねぇか。

miyuki:「それもそーだね。
ita:「アブが抜けるたとなると、シンさんチームの戦力が落ちるね。
irurur:「組みなおしますか。
miyuki:「そだね。
Nicrm:「俺はどっちでもいーぞ。
appi:「気にもとめない姿勢がさすがです。みなさん。
shintisu:「いつもこんなですか…

appi:「いつもこんなです。

 アピはにっこり、笑いました。


 さて、パーティを組み直し、再びPvPフィールドへ。
 今回の舞台は森の町、フェイヨンです。

二回戦はフェイヨン!


irurur:「このメンツで勝てるんですかね…
ita:「ハンデとしてはちょうどかな?
spit:「プリ発見次第、撃破だね。

 と、スピットチーム。
 三人です。


 アブが抜けた分のバランスを調整するため、シンティスチームにニクロム、深雪嬢、アピを入れました。
 回復は自力ですが、突破力はギルドRagnarokでの上位三人です。*11

spit:「いくぞ!

 三人は武器を構え、フェイヨン奥の階段を駆け上がりました。
 その奥には、

miyuki:「きたー!?
appi:「キリエエルレイソン!!
Nicrm:「迎え撃つぞ、リーダー!
shintisu:「はいっ!

spit:「つっこめー!

 第二回大会の戦いの火ぶたが、きって落とされました。

spit:「シンティス!!
shintisu:「うあ!スピさんきたっ!?

spit:「ベンチはわたさーん!
appi:「そういえぱ、そんな戦いだったんですね。
miyuki:ワスレテイタ。

shintisu:「負けるもんかー!
 短剣を引き抜き、スピットを迎え撃つ準備は万全。「さぁ、こいっ!」と構えますが、

spit:「近接するか。

 ぴたりとスピットは停止。

shintisu:「なっ!?

spit:「魔導士なめるなっ! ソウルストライク Lv9!!

 五つの精霊が弧を描いてシンティスさんに襲いかかります。
 突破力はパーティ随一のスピットです。その打撃力はナイト、アサシンすらも軽く凌ぎます。しかも、それが五発分。
 当然、一次職のシーフ、シンティスさんは…

shintisu:「ぐは…
miyuki:「ああっ!シンたんっ!

appi:大人げない…
Nicrm:「えげつな…


spit:これが勝負の世界だっ!

 ふっと、スピットは帽子のつばを降ろしてにやり。

miyuki:「よし、わかった。

 はっとするスピットの後ろには、すでに深雪嬢の姿。

miyuki:死ね。

spit:「をわああぁ!?

 ぶんっと、深雪嬢はワークワンドを振り上げ…

spit:「いるるっち!助け…

 振り向けど、いるるさんはニクロムと交戦中。
spit:「イタ…

 は、「きゃーきゃー」言って逃げているアピを追っかけています。よく見ると、アピはこっちに気づいている様子。「にやり」*12

spit:「あぅ…
miyuki:撲殺プリー!
spit:「んなら!負けっかー!!

 負けるな男の子!
 あーんど、女の子!

 世紀の勝負の結果は…

相打ち!!

spit:「後は任せた!いるるっち!イタ!!

irurur:「やられました…
spit:「って、早いよ!!
miyuki:「生き残ってるのは…


 フェイヨン奥の階段、その上と下。

 ナイトの二人が雌雄を決さんと、向き合います。

ita:「勝負だ、ニクロム…
Nicrm:「望むところだ…

shintisu:「世紀の対決!
spit:「がんがれー。
appi:「果たして、勝者は…

ita:「行くぞ!
Nicrm:「おうともさ!

 イタが剣を振るい、階段を駆け下ります。迎え撃つニクロムは、剣を大上段へと構えました。

ita:「ツーハンド・クイッケン!!
 イタの身体がかっと輝き、その敏捷度がぎゅんとあがりました。*13
 対するニクロムもまた、


Nicrm:オートカウンター!!


みんな:三 ゜д ゜)!!!


Nicrm:まちがえたー!!*14

 くいっとイタはニクロムの横に回り込み、

ita:「バッシュ!!*15

Nicrm:「げきちん…

 ばたり。
 最後に立っていたのは、イタでした。

spit:「勝者、スピットチーム!!

 たからかに、スピットが宣言しました。


 その時でした。



「フロストダイバ!!


spit:「なにっ!?



 イタの身体が氷結魔法、フロストダイバに凍結させられました。
 その場に現れたのは…


突如現れた魔導士!それは…


spit:アブ!?

Abd:「ユピテルサンダー!!*16



凍結後の雷魔法は200%

spit:「うぬぬぬ。
miyuki:「この場合、勝者は?


 スピットはくぬぬぬと奥歯をかみしめつつ、言いました。



釈然としないが
Abd:「卑怯者とは、心外な。
 ふんっと胸を張って、アブは言いました。

 みんな、そろって苦笑いです。


spit:「よし、お前の言い分はよっくわかった。

 スピットは言いました。



spit:「てめぇ!決闘だ!!

Abd:「なにを!?いいでしょう!受けてたちますよ!!


appi:「ああ、今日はPvP大会で一日終わりそうですね。
miyuki:「いーんじゃない?
shintisu:「なんか、僕のせいでしようか?
ita:「いや、いつもこんなんだ。
irurur:「ですね。
Nicrm:「オーケー、つきあうぜっ!



 そしてPvP大会でその日一日は暮れていったのでした。


 プロンテラベンチの面々は、いつもこんなんです。*17


*1 思いこみとか、ゆーな。
*2 シンティス。スピットのファンとして、EP1.5の初回に登場。くわしくは『その名は、spit!』参照。
*3 なぜそうなる!?とかゆーな。妥当な流れだ。(そうか?)
*4 ベータ2だか、製品版からだか忘れましたが、比較的最近に実装された機能。Ragnarokは通常フィールドではプレイヤー同士で戦うことは出来ません。唯一できるのが、このPvPフィールド。
 各街の宿屋から行くことができ、レベル別の戦闘フィールドの他、無制限のフィールドがあり、それぞれにナイトメアモード(やられた時のペナルティあり)とヨーヨーモード(やられたと時のペナルティなし。ちなみにどちらもRagnarokのモンスターの名前)の2つがあります。
*5 恍惚かどうかはともかくとして、レベル無制限はノービスだろうが一次職だろうがなんだろうがが入り乱れての戦闘フィールドです。
 PvPフィールドでのルールは、「やられても泣かない」「不意打ちくらっても泣かない」「仲間と会えなくても泣かない」「仲間とはぐれても泣かない」「転んでも泣かない」の、5泣かないがルール。(嘘)
*6 キリエ、マニピ、その他の補助魔法。
*7 攻撃力に秀でたスピットチーム。漏電魔導士と廃アサのいるるがいるが、シンティスチームには氷結魔法を操るアブがいる。(フロストダイバはPvPでも有効。凍らされたら、前衛職は死を待つのみとなる)突破力がイタのみという意見もあるが、氷結魔法が決まりさえすれば、分はシンティスチーム。
*8 フィールドにいる人は、パーティ以外はすべて敵。言い方は悪いですが、邪魔が入るので、1対1の決闘とか出来ないのがちょっと寂しいところ。
*9 ハンターはPvP最強の職業ともっぱらのウワサ。
*10 魔法のターゲットが、通常ではスナップ(対象の付近にカーソルを持っていくと、勝手に座標を調節してくれる機能)されないというのを、このとき初めて知る。アピに聞いたら、「Shift押しながらでできません?」とのこと。プレイヤーキャラに魔法を使う時はShift押しだったなぁそういえば。
*11 敵に回復されるよりも先に叩きつぶすという、直線型パーティ。というより、回復が必要なキャラはこの中ではスピットしかいませんが。(イタはHP回復があるし、いるるはもともと食らわない)
*12 キリエがあるから、ダメージ受けない。
*13 ツーハンドクイッケン。2HQと略す。一時的に攻撃速度その他、自分の速度を上げるスキル。両手剣を装備したナイトが使える。
*14 オートカウンター。AC。敵の攻撃を受け流し、反撃するナイトのスキル。反撃攻撃は必ずクリティカルヒットする。が、自分の真正面から攻撃してきた敵にしか効果がない。座標がずれると発動しない。つまり、AI(人工知能)の未熟なモンスターには効果があるが、PvPでは意味がない。
 回り込めばいいだけだから。
*15 バッシュ。剣士のスキル。敵に大ダメージを与える攻撃を放つ。いわゆる必殺技。そういえば、剣士とかナイトとか、各職業のスキルについて解説を詳しくしたことがないことに今気づく。
*16 誰か、こいつをヤってくれ…
 フロストダイバ(FD)はすでにご存じのように氷結魔法。凍らされると動けないどころか、雷魔法で200%のダメージを与えられるようになります。
 ユピテルサンダー(JT)はその雷魔法。アブのJTはあまりレベルは高くないですが、この状況ではね…
*17 この後、スピットvsアブの戦いを2回したのですが、1回目はプロンテラで、またも戦闘開始前に他のパーティに撲殺(ってか、プリ2、ナイト、アサシン、ハンター3のパーティなんかに勝てるかっての)され、2回目は再びフェイヨンで、他の人たちも巻き込んで大乱戦となりました。
 スクリーンショットがないのでここで今回は終わりますけど、結果だけ書いておくと、勝者は深雪嬢(スピットチーム)。
 最後まで生き残るプリ!?