さて、そんなこんなで、萩帆が商売にいそしんでいた時でした。
「あ、あのー」
と、彼女に声をかけるノービスの冒険者がいました。
syu-ho:「芋は萌えません。にんじんは萌えます。
ノービス:「いや、意味わかんないッス。
そりゃそうだ。
首を傾げる萩帆に、ノービスの彼はいいました。
ノービス:「えーと、萩帆さんですか?
syu-ho:「そーですよ。
萩帆はちょっとびっくりしました。
見ず知らずのノービスさんに名前を知られているなんて、私もずいぶん有名になったなぁと。
ノービス:「
過激派の。
syu-ho:「
( ゜д ゜!!
その名の知しられ方は、かなり
嫌です。
syu-ho:「あぅあぅ。そんなことはないです。だって、今はもー、卵殻帽子もかぶってないし、マスクもしてないし、サングラスもしてないし、赤ポは燃えるから、萌えるにかわったし…
あせあせと萩帆は言います。
前の格好では、プロンテラ騎士団に捕まるので、冒険者申請が出来なかったのは内緒です。
*3
ノービス:「あ、すみません。
ノービスの彼は言いました。
ノービス:「あの、俺、『プロンテラベンチのゆかいな仲間たち』を読んだんで…
syu-ho:「おお、イブたんの本。
萩帆はぱあと顔を明るくしました。
『プロンテラベンチのゆかいな仲間たち』という本は、この、プロンテラベンチから始まった、パーティ、プロンテラベンチの面々の冒険を書きつづった、日記のような冒険記でした。
書いたのはそのプロンテラベンチのパーティメンバーだったひとり、アーチャーのイブリンです。
小数部すられて、プロンテラの宿屋、懇意にしている商人たちの店先に、ちょいと置かせてもらっていたのでした。
*4
ノービス:「冒険者になったら、必ずここにこようと思ってたんです。
ノービスの彼は言いました。
syu-ho:「それはどーもです。じゃ、おやすくしておきますよぉ。
ノービス:「あ…あのー…それで…
ノービスの彼はぽりぽりと頭を掻きながら、言いました。
ノービス:「あの方は…?
萩帆はふむとうなずいて、あごに手を当てました。
syu-ho:「ちょっと電波をとばしてみますね。
ノービス:「はい!
「もーしもーし?」
「…なんだよ」
「今日はお休みの日だよー。冒険、出ないのー?」
「…帽子屋が忙しいんだよ!ったく、新しい決まりのせいで、冒険者たちが装備の買い直ししてっからな」
「あのねぇ、ベンチに、君に会いに来た人がいるよ」
「…はぁ?」
「男の子だけどねぇ」
「じゃあ行かない」
「…装備品、店売り半額セール中」
「ベンチだな、わかった。ちょっと待て」
電波の向こうから、がたがたっという音が聞こえてきます。「おい!お前、どこ行くんだ!!」「やってられっけー!」「って、待て!こんなところで魔法を…」「サンダー・ストー…」
syu-ho:「今、来ます。
萩帆はにこりと笑いました。
うららかな午後の陽光に、彼はベンチでうとうととしていました。
冒険者になるために、朝からプロンテラ王宮の受付に並んで、ちょっと疲れていたのかも知れません。
まどろみの中で、夢とうつつをいったりきたり…あれ?あの帽子の陰は…?
彼はばっと跳ね起きました。
「うあぁぁぁぁあ!?」
彼は思わず叫びました。
って、もうちょっと
歓迎してやれよ。
irurur:「はじめまして。
と、言ったのはスピットの隣にいたアサシン、いるるさんです。
syu-ho:「新鮮な、ゾンビですねぇ。
萩帆が言います。
spit:「冒険者、やめるって話じゃ…?
irurur:「と、思ったんですけど、よく考えてみると、家に戻るには、街をでないといけないことに気づきまして。
syu-ho:「意味ないですねー。
spit:「ま、戻って来てくれたのは嬉しいけど。
と、ベンチの前。スピットたちはいつもの調子で話しています。
spit:「しっかし…
スピットはノービスの彼に向き直って言いました。
spit:「俺にもファンが出来るまでになったかー。
なんて言うスピットを見ながら、ノービスさん。
spit:「
どういう意味だ、しゅーちゃん!
syu-ho:「そのままでーす。
スピットはそれを聞いて、はっきりと言いました。
syu-ho:「SPなくなったとたん、死ぬじゃないですか。
人任せかよ!?
spit:「っと、勝手に話しちゃってたな。
まったくです。
spit:「えーと、お名前は?
聞くスピットに、ノービスさんは返します。
shintisu:「シンティスといいます。シンと呼んでください。
irurur:「シンさんですかー。
syu-ho:「よろしくです。
spit:「シンティスか。いい名前ですね。
shintisu:「ありがとうございますっ!
spit:「で、これは出会うノービスさん、みんなに聞いているんですが…
shintisu:「はいっ。
spit:「シンさんは、転職したら、何になろうと?
ノービス、シンさんはうーんと考えながら言います。
shintisu:「今のところ、シーフになろうかと…
syu-ho:「えー、アコになろうよぉ。
って、
なぜ萩帆が!?
spit:「ってことは、上級職は、アサシンですな。
と、スピットは振り向きます。
spit:「そこにいる。
irurur:「?
shintisu:「ええ。
そしてシンさんは爆弾発言です。
shintisu:「でも、
ラバさんのようなショボにはなりたくない…
ショボコソ=ラバ。
もしくは
定冠詞!?
スピット、萩帆、いるるさんは腹を抱えて笑いました。
スピットはお腹を押さえながらフォローです。
それもどうかと。
syu-ho:「そうです。
spit:「
マテ。
シンさんも、思わず吹き出しました。
spit:「よーし、んだらば!
スピットはすっくと立ち上がります。
spit:「いざ、冒険の旅へ!
ぐっと、スピットは拳を握りしめます。
syu-ho:「あれ?スピさん、冒険者申請したんですか?
spit:「おう、したぞ。
irurur:「あれ?じゃあ、装備品、全部取り上げられませんでした?
spit:「おう。された。
syu-ho:「…じゃ、その帽子以外、何装備してるんですか?
spit:「
…ナイフと、コットンシャツだな。
irurur:syu-ho:「
Σ(  ̄□ ̄ ii
shintisu:「ノービスの僕と一緒だぁ〜。
syu-ho:「っていうか、それは
デフォルト装備だぁー!!*5
irurur:「ま、まぁ。魔導士には関係ないっちゃ、ないですが…
spit:「これでも、イズルード2階くらいなら、死なない自信ありありだぞ。
shintisu:「すげぇ!
syu-ho:「いや、あそこにはアクティブモンスター、でないし。
irurur:「詠唱反応いますけどねぇ。
*6
syu-ho:「おおーっ!
やる気満々なのは、萩帆です。
というより、萩帆のつよーい要望により、一行は砂漠にやってきていたのです。
syu-ho:「卵殻帽子げと!だっ。
spit:「こだわるなよ…そのままなら、それなりにかわいいのに。
syu-ho:「スピさんにかわいく思われなくてもいーです。
spit:「…そうか。
む。としてスピットは言いました。
spit:「無駄に、
LoVでも撃つかなー。
*7
irurur:「うわ、やめてください!
shintisu:「生〜。
spit:「ファンサービスってことで。
syu-ho:「撃ちたいだけだぁ!
びっと身構え、スピットは近くにいたドラップスに狙いを定めます。
shintisu:「おおっ!
spit:「ま、LoVは、また今度で。
そしてスピットは呪文を唱えます。
spit:「ライトニングボルト!! Lv10!!
駆け抜けた雷が、ドラップスに突き刺さります。
そして、一瞬のうちにドラップスは消滅してしまいました。
spit:「うお、さすがに蒸発しちまうか!
spit:「こんなとこでLoV撃っても、敵のがすくないよ。
そんなこんなで、スピットは次々と魔法を披露していきました。
ライトニングボルトLv10から、ソウルストライクLv9。
サンダーストームLv10に、ユピテルサンダー、Lv10。
syu-ho:「って、
雷魔法しかないっ!!
shintisu:「本物だー。
当然です。
漏電雷魔導士ですから。
やがて陽は傾き始め、砂漠に夕暮れが訪れました。
ひゅうと駆け抜けていく風が、昼間の熱気を嘘のようにさらっていきます。ひんやりとした、夜のにおいを乗せた夕暮れの風。
スピットは頭の上の帽子をちょいとあげて、言いました。
spit:「申し訳ない。今、ちょっと店が忙しくて、帽子の残り、ねぇんだ。
shintisu:「あ、いいですよー。
irurur:「シンティスさんは、シーフ目指すんでしたっけ?
syu-ho:「ってことは、モロクだね。
shintisu:「はい。がんばって、一人前のシーフになります。
spit:「まゆみ嬢とか、いるるさんみたくね。
syu-ho:「決して、ラバさんではありません。
irurur:「なんだかなぁ…
shintisu:「はいっ。
ノービスのシンティスさんは、力強く返しました。
そして、砂漠の向こう、モロクへと向かって歩き出します。
shintisu:「また、会いましょうー!
シンティスさんは手を振ります。
syu-ho:「もちろんです!プロンテラに立ち寄りの際は、ぜひー!
irurur:「立派なシーフになってくださいねー!
夕暮れの砂漠の向こうに、手を振って消えていくその姿に、スピットは言いました。
いつもの、出会ってきた冒険者たちみんなに言ってきた、言葉をです。
spit:「よい旅をー!!
ミドカルドの大地は、どこまでもどこまでも、続いていました。