ミドカルド大陸の西。
森の奥に、ぽっかりと小さな盆地があります。
スピットたち一行は、そこにいました。
spit:「なぜだ!?
はぁはぁと肩で息をしながら、スピットは叫びます。
にこにこ笑いながら、アピが言いました。
appi:「スピさんは、やっぱりねらわれるんですね。
spit:「うれしくねぇ。
言って、スピットはアピをにらみました。
剣士のAruthur Streitがよいしょと座り込みながら言います。
spit:「
Σ( ゜◇ ゜;
spit:「
オークに好かれるのなんか、イヤダぁ!!
mayumi:「
お兄ちゃん、らぶ!!
ita:「かなりいやだな…
*1
プロンテラの西。
森の中にぽっかりとあいた盆地。
オークの集落に、スピットたちはいました。
無謀にも…
Str:「しかし…
座り込んだまま、シュトはぽつりとつぶやきます。
Str:「あんたらのパーティは、いつもこんななんかい。
言われて、返したのはアピです。
appi:「まぁ、こんなものです。
周りではスピットが電波をとばしてみんなの位置を確認しています。
珍しいです。
集合時間に集合場所に、スピットが一番最後じゃありません。
それはそうです。
Grill:「今向かってるから、まって。
ita:「お前が遅刻するから、待ってる間に死んだんじゃねぇか。
spit:「俺のせいか!?
当然です。
スピットがここについたのは、
集合時間の1時間後です。
luvas:「こっちも移動中。
突然電波が飛んできました。
久しぶりの、ラバからの電波です。
spit:「生きてたんだ?
luvas:「失敬な!
luvas:「アブから今日の冒険の話を聞いてな。モロクから移動中。
spit:「はやく来いよ。
luvas:「おう。
mayumi:「ショボコソたん!
電波に、はぁはぁしながらまゆみ嬢。
ita:「やめなさい!
luvas:「な、なにもの?
spit:「ああ、会ったことないか。まゆみ嬢。
mayumi:「ああ、あこがれのショボコソー!
spit:ita:「
あこがれるなよ、そんなモン。
*2
luvas:「道がわかんねー!
spit:「知るか!
さて、それからまたーりと1時間後…
spit:「12時集合のはずか…
Str:「今、2時だ。
mayumi:「しょぼーん。
ita:「悪いな、シュトのパーティのみんな、またせて。
Str:「まぁ、パーティというか、元パーティというか、知り合いというかなんというか…
剣士、シュトの周りには金髪のマジシャン、シーフの男女が座って待っています。
そうです。今日はスピットたちパーティだけでなく、剣士シュトの知り合いも方々も含めての冒険だったのでした。
spit:「まったく…
スピットはいいました。
spit:「時間にルーズなパーティメンバーばっかだな!
ita:「リーダーは誰だ?
luvas:「遅刻魔。
Grill:「リダ〜。
Abd:「しかも、遅刻しても態度変わりませんし。
mayumi:「さすがですね。
appi:「ほめてないから。
spit:「ああ、
そうかい。
シュトのつれてきたみんなが、苦笑いをしています。
今ここに、パーティ、Prontera-Benchの面々が、集まったのです。
*3
スピットはくるりと振り向きました。
そして、言いました。
spit:「待たせたな!!
ええ、まったく。
spit:「紹介しよう!
spit:「向かって右から…
spit:「パーティを護るソロナイト、ita-yu。
ita:「他に前衛いないからな。
spit:「必殺技はスティール、ショボイコソドロ、略してショボコソ、luvas。
luvas:「ショボコソいうなー!
spit:「パーティ唯一の癒し系、アコライト、宴会芸多彩、appi。
appi:「宴会芸って…
spit:「撲殺マジから一転、氷結マジシャン。でも魔法は今でも最弱、Abdough。
Abd:「そのうち強くなります。
spit:「赤髪炎マジ、通称焼豚、Grill-Pork。
Gri:「直で訳して言うな。
spit:「出会いはノービス、今では全然ショボくない、まゆみ嬢こと、まゆみ・さくら。
mayumi:「めざせ、ショボコソ!
*4
mayumi:「そして、我らが、リーダー。
ita:「遅刻常習犯。
Gri:「貧弱魔導士。
Abd:「一人でナンパーズの1位、2位を争う男。
luvas:「ノリと勢いだけのパーティリーダー。
spit:「
マテ!
ita:「なんだよ。
spit:「紹介の仕方が、ひどいと思う。
みんな:「
オマエがな。
appi:「わかりました!
appi:「
漏電雷魔導士、spit
あたりです。
Str:「ふたつ名が、デフォルト装備ですか。
そのようです。
spit:「そして、今日はこのパーティと、みなさんで、オークダンジョンに挑みますっ!
*5
spit:「目的は、
エンペリウムの獲得!*6
ita:「無茶な!
appi:「エンペリウムって、なんですかー?
Abd:「ギルドが作れるようになります。
mayumi:「エンベは、めちゃレアです。
luvas:「みんなでやれば、なんとかなるだろ。
Gri:「っていうか、持ってる敵を倒せるのかどうかって話。
spit:「そこはそれ。
スピットはきっぱりはっきり、言いました。
ita:「このメンバーじゃ、きついような…
spit:「いや、任せた。イタ。
ita:「中途半端AGIナイトをなめるな!
*7
spit:「だいじょうぶ。
スピットの言葉に、アピとラバ。
spit:「全然、問題、ナシ!!
*8
見ていたシュトが、スピットの言葉に、ゆっくりと立ち上がりながら言いました。
Str:「あ、お笑いライブ会場は終了ですか?
appi:「終了です。
spit:「マテ。
mayumi:「いざゆかん! お兄ちゃんとはぁはぁ!(はぁと
ita:「やめい!
総勢、12人の冒険者たちが、ダンジョンへと挑みます。
そして…
spit:「なんだ?みんな、どこ行った!?
ita:「南だ、南!早く来い!
luvas:「ふ。
appi:「あああっ!?
Abd:「逝った…
spit:「逝くなーッ!!
mayumi:「おにいちゃぁーん!
ita:「来るなー!!
Abd:「フロスト…ぶっ!?
Gri:「ラバに続いて、アブ、死亡。
mayumi:「ショボコソ・マジー!!
luvas:「言うな。
Abd:「耐えられません〜。
spit:「いた!
appi:「スピットさん、速く!
mayumi:「スピたん、速く!
spit:「漏電モード!! ライトニングボルト、Lv4連打ーッ!!
ita:「ツーハンド、クイッケン!!
mayumi:「世界が止まる〜。
spit:「シュトたちは!?
ita:「入り口まで一緒だったけど!
appi:「乱戦すぎて、わかりません〜。
mayumi:「ああっ、グリたんまでッ!!
Gri:「マジにはきっついで〜。
appi:「お兄ちゃん、キター!!
spit:「アピを護れー!
ita:「誰が!?
mayumi:「どうやって!?
appi:「(がくっ
spit:「死ぬな〜。
通りすがりのプリースト:「リザラックション、一人500ゼニ〜。いかがですか〜?
*9
spit:「3000ゼニー!! そこらに転がってるのと、この先転がるの、この代金で!!
ita:「スピ、金あんの!?
spit:「全財産!
mayumi:「リーダー!
spit:「ってゆーか、アピが死んだら、俺の死が近づく! あとはオマケだ!!
luvas:「オマケだそうだ。
Abd:「役に立ってませんから。
Gri:「リダ〜。
appi:「ふっかーつ! でも、SPあんまりありません!!
spit:ita:mayumi:「意味ねー!!
spit:「壁を背にして戦え! 前線はイタ、まゆみ嬢!
ita:「オートカウンター!
mayumi:「前線はきついです〜。
luvas:「俺も出るぜ!
spit:Abd:Gri:「でるな〜!!
appi:「あ、死んだ…
ita:「速すぎる!
mayumi:「ショボコソー!!
luvas:「俺は、俺のヘブンに行くぜ…
spit:「行ってろ。 アブ、グリ、行くぞ!
Gri:「三大属性マジ、発動!
Abd:「3つの力で1撃撃破!!
spit:「ライトニングボルト! Lv4!!
Gri:「ファイアーボルト! Lv4!!
Abd:「コールドボルト! Lv3!!
appi:「…撃破できてないし。
spit:Gri:Abd:「キター!?
ita:「アホかぁ!!
spit:「生き残りは、これだけか…
ita:「よく生き残ったほうだ。
乱戦が一段落して、スピットたちはふぅと一息ついて話していました。
spit:「熱烈な歓迎だったな…
ita:「熱烈すぎる…
appi:「…近づいてくる。
spit:「俺もSPあんまりないんだけどな…
appi:「…私、SP、つきました。
spit:「
三 ゜п ゜)!!
spit:ita:mayumi:「護れー!!
剣と魔法が、再びオークダンジョンに炸裂しました。
が…
appi:「あぅぅ。
mayumi:「も、もうだめぽ。
spit:「ああ…
spit:「俺の死が
急速に近づいてきた。
*10
唯一の癒しアコライト、アピが倒れた今、スピットたち…いや、特にスピットは…
spit:「…ほら。
早ッ!?
spit:「イタ…
ita:「なんだ?
spit:「俺は逝くが、オマエは残れ。
ita:「なんで?
spit:「エンペリウムが出るまで、
帰ってくんな。
ita:「その前に死ぬわ!!
mayumi:「ってゆーか、死ねっていってるような…
spit:「
そうとも言うな。
ita:「さっさと成仏しろよ、ゴルァ!!
だめじゃん。
そして、プロンテラベンチ。
「なんか、私、いつもこのパーティとなんかするとき、オークのところいっているような…」
アピが言いました。
「そっかー?」
スピは軽く返します。
「まぁ、いいんじゃねぇか?お兄ちゃん、らぶ!で」
「オークはきらいです」
「たくましすぎて、どうしようですよ」
と、言ったのはまゆみ嬢。てくてくとイタと一緒にプロンテラベンチへ歩いて帰ってきました。
「うわぁぁ、回復アイテム使いすぎたー。大赤字だ!」
イタはそんな事を言って、頭を抱えました。
「そうだ、アピ、ラバ、アブ、グリ、金返せよ!」
思い出したように、スピット。
「なんのですか?」
「リザラックション代!」
「俺は頼んでネーよ?」
「死ね、ラバ!」
「ツケで」
「って、返したことあるか!?」
「グリはそういえば、どこに行ったんだ?」
「…逃げたか」
「あー、いたいた」
と、てくてくベンチに近づいてくる赤髪の剣士の姿がありました。
オークダンジョンに入るなり、別れてしまった、シュトです。
「生きてたか」
「いや、死んだ」
「そういう意味なら、わかってる」
「ところで、シュトさんのお友達のみなさんは?」
「突貫して、しばらくは生きてたんだけどね。もたなかった」
「ラバよりはもったろう」
「うるせー、スピ!」
「金返せっ!」
「払うか!!」
笑いながら、シュトは言いました。
「また、機会があったら一緒しましょうって言ってたよ」
「こちらこそ、と伝えておいてくれ」
「あいよ」
よいしょとシュトもベンチ前に座りながら言います。
「あと、ギルド出来たら、教えてくれって」
「どうしてこっちを見る!」
みんなの視線に、イタが言いました。
「ウィザードになったらな」
スピットは笑ってシュトに返しました。
「さーてと」
そして、のそりと立ち上がります。
「おっと」
イタも続いてたちあがります。みんなもゆっくりと、立ち上がりました。
「今日も一日、おつかれさまっ!」
スピットはプロンテラベンチの前で、パーティのみんなに言いました。
「おつー」
「ちゃんと修行しないと、どんどんおいてかれるなー」
「ショボコソー!」
「言うんじゃねぇ!」
「私も、はやくプリーストになりたい…」
「がんばって」
「では」
スピットは言いました。
やがて、プロンテラベンチの前に静かな夜が訪れます。
でもまた明日は。
きっとプロンテラは明日も快晴です。