studio Odyssey



新しい世界へ!



 スピットはプロンテラベンチにいました。
 仲間を待っていたわけではありません。

 ただ、なんとなーく、その場所に座っていたのでした。

ただ、なんとなく?
 って、ヲイ!

 その子は、誰だ!?

新しい世界へ!


 さて、スピットが女の子と談笑しています。
 にこにこ笑いながらスピットは談笑しています。

 ええ、彼はすでに電波でイブやアピが近くにいないことは確認済みです。

「へぇ」

 と、スピットにかける声がありました。
「この前と違う子だな?」

 どきりとして、スピットは振り返りました。
 隣に座っていた女の子は、あわわわとスピットの影に移動します。移動して、顔を隠すように、帽子をすぽりとかぶりました。

 赤髪の剣士が、よいしょとプロンテラベンチの前に座り込みました。
 隣に、同じ赤髪のマジシャンもよいしょとばかりに座り込みます。

いいわけチック


「何がだ。
spit:「っていうか、オマエ、相変わらず神出鬼没すぎ!

 座り込んだ剣士は、ita-yuです。*2


ita:「通りがかったら、いたから声をかけたんだが。
spit:「よし、先に言っておく。

 ぴしりと、スピットは言います。

spit:「彼女はこの前、ここで俺が帽子を配っていた時に、あげた子だ。決して、噴水前広場とかでナンパしてきたワケではない。*3

赤髪のマジシャン:「イイワケがましい…

spit:「初対面の台詞じゃネェな。赤髪、マジ。
赤髪のマジシャン:「失礼。私は、Grill-Porkといいます。


spit:「…焼豚?

Grill:「初対面の台詞じゃネェな、緑髪、マジ。

 どっちもどっちだ。


ita:「っと、スピ、これからどこか行くの?

 イタが聞きます。

spit:「さー? 今日はパーティのみんなもいないし、別段、何も考えてないけど。
ita:「冒険者らしくないな。

spit:「今日の目的はまゆみ嬢とお話。


 パーティに電波をとばしても、イブ、アピからは返事がないのは確認済みです。

mayumi:「どこか行きますかー?

 まゆみ嬢が言います。
ita:「あー、もうちょっと待って。今、もうひとり…

 と、イタがいいながらくるりと辺りを見回しました。「お」と気づいて、イタは手を振ります。
ita:「こっちだ、こっち。

 と、それに気づいて、これまた赤髪の剣士がベンチに向かって歩いてきます。
Grill:「おう。

 グリが気づいて挨拶します。
赤髪の剣士:「よ。

 赤髪の剣士も軽く返しました。

プロンテラベンチ前
ita:「紹介しておくか。剣士のAruther Streit。
Str:「初めまして。

spit:「こんにちは。
mayumi:「はじめましてー。

spit:「というより、イタの兄貴以外はみんなはじめまして状態だけどな。
mayumi:「それもそうですねー。


 プロンテラベンチ前。
 スピットはたまたま集まったメンツに、にやりと笑います。

spit:「さーて。

ita:「何かたくらんでる顔だ。

出撃!
spit:「即席パーティで、フィールドにでも繰り出すか!*4



 思い立ったら即実行です。
 即席パーティを組み、いざ、スピットたちはフィールドに飛び出します。

ita:「それで、どこに行くんだよ?
spit:「あー?

Grill:「普段、ソロばっかりだから、パーティは新鮮だなー。
Str:「俺もだ。

mayumi:「初パーティ〜。

spit:「よし、目的、決定。

爆弾発言


 リーダー!?


ita:「み、南って、南に行って、何するんだよ。
spit:「知らん。

Grill:「さすがだ。
Str:「ウワサ以上だ。

spit:「…ゴーレム狩りでもしてみるか。

 いいながら、てくてくとスピットは歩いていきます。

 そのスピットの後ろについて行きながら、イタはいいました。

ita:「スピ、知らないと思うから教えてやる。
spit:「なにを?

Grill:「ゴーレム、強くなったんだよ。

spit:「…何っ!?


 ウワサには聞いていました。
 スピットも、だてにベンチに座ってぼーっとしていたわけではありません。
 理由は諸説ぷんぷんでした。

 人間界と神界、魔界を隔離する魔壁から響いて来る轟音が、少し前からまた強くなっていること。さらに凶暴化する野生動物たち。今までよりも、より頻繁に起こるようになった地震と津波。

 そして、あふれ出るように増えはじめた、魔物たち。

spit:「イミルの爪角か…

 ぽそりと、スピットはつぶやきました。

ita:「平和の気運が崩れはじめてるって、話だ。

Grill:「イミル?
mayumi:「…爪角?

spit:「ま、何にせよ、だ。

 立ち止まり、スピットは言いました。

この先、ゴーレム注意
ita:「だな。


 冒険者たちの間にささやかれる、イミルの爪角の話なんて、スピットの知ったことじゃあありません。
 そういう、世界を変えるような物語の主人公は、伝説の勇者と呼ばれるくらいの人たちに任せ、スピットたち、即席パーティ一行はゴーレムの住む砂漠へと飛び込みます。*5


入っていきなり
ita:「し、死ぬかと思った…

mayumi:「強すぎ…
Str:「あたらねー!
Grill:「反則的じゃん?


 違います。


 自分たちが弱すぎるだけです。


spit:「いや、今のは不意をつかれたからだ!

 剛気です。


 読み間違えると、無謀


spit:「行くぜッ!

犠牲者
spit:「ああっ!
mayumi:「シュトさんが〜。
Str:「い、痛い…

ita:「…今、ごれむじゃなくて、バッタを叩いていたような…


spit:「一瞬の隙が、死を招く!

 いや。

 だから、無理



Grill:「んー。しかし、せっかくのパーティなんだから、なんとか力を合わせて…
 グリはうーんとうなりました。

ita:「非力じゃ、何人集まってもなぁ?
spit:「何故、俺を見る。

mayumi:「3桁のダメージが当てられないですからね。

 苦笑いの三人に、グリはぴーんと思いついた事を言いました。

Grill:「そうだ! この方法なら! いいか…

 グリが、そっと耳打ちしました。


spit:ita:mayumi:それだ!




 四人は構えます。

Grill:「行くぞ!
spit:「おう!
 スピットはアークワンドを掲げます。
ita:「バッシュ、準備OK!
mayumi:「こっちも、OKです。
 イタもまゆみ嬢も武器を構えます。
 グリの眼前には、のっしのっしと歩く、ゴーレム。

 グリはばっと両手を広げました。

Grill:「ナパーム…

 速攻の念力魔法をグリが唱えます。*6  瞬間、ゴーレムがグリの詠唱に反応し、襲いかかって来ました!

Grill:「それっ!

 グリ、ダッシュ!
 動きの遅いゴーレムです。グリのダッシュに、ゴーレムが追いつけるわけもありません!

Grill:「今だ! 叩け!!

たたけー

ita:「うおりゃあー! ばっしゅー!!

mayumi:「ダブル、あたーっく!!



spit:「れべる、てーん!!




勝ち誇り!
spit:「これぞ、必殺、パーティ横殴りアタック!!


Grill:「おおっ! 無傷も可能!
spit:「うむ。



ita:「あ…いや。
mayumi:「…なんか。

spit:「いうな。

 腕を組み、スピットは目を伏せて言いました。

嬢、衝撃のひとこと!



ita:「同感…

spit:言うなーッ!!

漏電雷魔導士!




ita:「ってか、俺だけー!?



 世界が少しずつ変わっていっても、スピットたちは、相も変わらずです。


spit:「…なんか、サンダーストーム、強くなったよーな…*7


*1 今回から、Ragnarok日記もベータ2です!
 特になにも変わりません。(新しく実装された機能とかの話は、またおいおい)
*2 スクリーンショットからわかるように、ベータ2から首振りが出来るようになりました。
 なんか、すげぇんだかすごくねぇんだか。な、機能です。(でも結構お気に入り)
*3 プロンテラの中心街。たくさん人がいて、いつも露天でにぎわっている。
*4 実はスピット、フィールドに出るのはこの時が初めて。(ベータ2の)
*5 ストーリーチックな事を言ってますが、ようは、ベータ2になってモンスターの強さなんかが調整されて、変わったのですね。
 ゴーレムが強くなったほかに、弱くなったモンスターや、魔法の詠唱に反応するモンスターなんかも増えました。上級職も出来たし。
*6 ベータ2で、ネイパームビートは、ナパームビートに修正されました。ネイパームビートの方がすきだったのに…ちなみにゴーレムは念属性なので、念魔法のナパームビートは効きません。あしからず。
*7 ベータ2になって、魔法のグラフィックも少し変わりました。