studio Odyssey



いざ、ツアー!



 今日も今日とて、プロンテラベンチ。

 いつもの仲間たちがすでに集まっています。
 つまるところ。

 スピットはいつも通りに、遅刻です。

遅刻野郎 spit:「どーん!


 偉そうです。
 遅刻なんてなんのその。

 プロンテラベンチに、久々にパーティメンバーが全員そろいました。

 さあ、冒険です。


いざ、ツアー!


 スピットたちは歩き出しました。
 行き先は、ついさっき決めました。

spit:「どこいこうかー?
luvas:「どこでも。
ita:「むなっくたんと…
Abd:「死ねますわ。
eve:「むなっくたん?*1

spit:「よし、わかった!

 まとまらないみんなの意見を、スピットがまとめます。

spit:「イブもいるし、歩いてフェイヨンにいくぞ、ツアー!


ita:「…その先は?
spit:「決まってる。

 決まってます。


spit:突貫。


スピットパーティご一行
 さて、そんなわけでスピット一行は砂漠を進みます。
 行き先はフェイヨン。
 アーチャーになるべく旅立ったイブを捕まえた、あの村です。

 そして、今回は歩いてフェイヨンツアーなので、経験値稼ぎがてら、道行くモンスターに喧嘩売りまくりでスピットたちは進みます。


 イブがぺこぺこのタマゴを割ります。

eve:「中から赤ポ♪


 スピットがご自慢のライトニングボルトでぺこぺこをたたきます。

 が、威力調節をミスって、ぺこぺこに絡まれます。肉弾戦です。それでも、ぺこぺこごときにには負けません。
 でも、
半ギレ
 で、かなりご自慢のLv10をぺこぺこに食らわせてます。

 無駄にオーバーキル。*2

eve:「よーし、オオカミとやってみるかー。

 イブがアルバレストを構えます。
spit:「ちょっとまて、イブ…

 オオカミは中の下の敵です。その強さは、それなりの…イブが矢を放ちました。

3桁かよ!?

spit:;゜л゜)
luvas:「イブ、つよ!

eve:「そう?

 その攻撃力はパーティ唯一の剣士、イタに並びます。


ita:「短期間で、よくぞここまで…
Abd:「これは、負けてられませんね。

 アブは魔法を唱えました。
 目標は、同じくオオカミこと、ウルフです。

アブの魔法




 ひとついえることは…


 スピットたちが修行をさぼりすぎなだけです。*3

ita:「さーて、へびでもたたくかー。
eve:「チャレンジしてみようかなー。

spit:「…イブが遠く感じる。
luvas:「安心しろ。


luvas:「もうあとは突き放されていくだけだ。
Abd:「ふー。コルドボルドを打つより、殴った方が早い。
luvas:「まだ戦ってたんか。

eve:「そういえば、この前ぽぽりんも倒せたよ。


spit:;゜л゜)

 この前、それで死んだのに。

 スピットは言いました。

spit:「イブ、守る必要、ナシ!
eve:「えぇ〜。
ita:「スピよりもね。
spit:「というより、守ってー。
luvas:「だめじゃん。


 一行は進みます。
 砂漠を抜けて、森の中へ。
 いつの間にか、フェイヨンまでのかけっこ大会になってましたが、些細なことです。

 そして程なくして、一行はフェイヨンにつきました。

spit:「では、いざ突貫!

 結局、フェイヨンダンジョンへ挑むスピット一行。
 意気揚々と、フェイヨンの奥のへと進みます。


 フェイヨンダンジョンは、森の中の小さな村、フェイヨンの奥にあります。
 このダンジョンは、昔、このフェイヨンで亡くなられた方を埋葬していた場所に生まれた、と言い伝えられています。
 疫病、飢饉。不幸な死によってもたらされた現世との別れに、生を忘れることが出来ず、さまよう魂と肉体のなれの果て。
 このダンジョンには、そうしたアンデッドが多く徘徊する場所なのです。

 詳しいことは、スピットたちの知ったことじゃあ、ありません。
 スピットはフェイヨンダンジョンを前に、言います。
spit:「では、本日のツアー。

突貫です

 無理。


 一行は、崖にぽっかりと空いた穴の中に飛び込みました。

 フェイヨンダンジョンは、アンデッドが多く徘徊しています。
 そしてアンデッドモンスターは、実は中級冒険者にとっては、格好の相手なのです。特に、アコライト。*4
 聖と不死の対属性を持つ彼、彼女らにとっては、アンデッド絶好の経験値かせぎなのでした。
 つまり、
ita:「く、空気が薄い…
luvas:「身体が重い。

 フェイヨンダンジョンは、いつも大にぎわいなのでした。*5

ita:「2階にちゃっちゃと行こう。1階よりはすいてるよ。
 剣士のイタが先導します。
 スピットたちはそれに続きます。

 スピットははじめてくるフェイヨンダンジョンに、きょろきょろしていました。

ある意味、自動
ああぁ

spit:「ここは地獄が間近だなぁ。*6


 てくてくと歩きます。きょろきょろしながら。
 そんな時でした。

spit:「おおっ!?

 気がつくと、みんながいません。

spit:「置いてくなー!

 スピットは電波にみんなの位置を確認して、追いかけます。
 と、そのときです。
ita:「あっ!

 イタから、電波が届きました。
ita:「イブがやられた!

 電波にイブを確認すると、フェイヨンまでとばされてしまっているようでした。
spit:「うあ、イブ、迎えに行くか…
 そのときです。

「イブ死亡」

spit:ヌ?

 電波ではなく、スピットの耳に、その声が届きました。
 パーティのみんなの声ではありません。しかし、スピットはその声を知っています。
 あわてて、あたりを見回します。探します。しかし、人が多すぎて…

一人をこの中から探すのです

 電波で、ラバの声が聞こえました。
luvas:「どーした?
spit:「いや、なんでもない…

 返して、先に行ってしまったイタ、ラバ、アブの後を追おうと、スピットが歩き出した時です。
spit:「!?

 その身体が、羽のように軽くなっていることに気づきました。
 間違いありません。
 アコライト魔法、「速度増加」です。
spit:「あいつめ…

 スピットは2階入り口へと向かいます。
 イブを迎えに行く必要はありません。イブはきっと、無傷でたどり着きます。


 程なくして2階入り口にたどり着いたイブが言いました。
eve:「辻アコ*7に助けてもらいながら来たよー。
ita:「よかったじゃん。
spit:「…辻じゃ、ないだろうけど。

 スピットはぼつりと言いましたが、誰の耳にも聞こえてませんでした。

2階入り口。ここも壮絶です


 気を取り直して、2階へと進みます。


2階にて
spit:「イタが、珍しい。
ita:「あのなぁ…


 そのとき、スピットたちの前にゾンビの群れが立ちはだかりました!




第1号
 はやっ!


 しかしここで退くのは、漏電雷魔導士にあらず。


spit:「全財産で赤ポ買ってきたぞ。
 程なくして、全員ふたたび2階入り口。


 買ってきた赤いポーションをみんなに分け与えます。
 と、その間、何故か敵がスピットばかりを、ねらったように攻撃してきます。*8

みんなでたこ殴り


 日頃の行いでしょう。

 みんなでたこ殴りなので、あんまり痛くはないスピットでした。


 さて、再び2階へ突貫。



第2号




 早っ!








 そして今度こそはと、3度目の正直。




以下、略


spit:「わかった。


spit:まだ、無理。


 分かり切っていたことな気もします。


*1 むなっくたん。正しくはムナック。モンスター。何故かキョンシー。強い。そして何故か、グラフィックが女の子キャラ。
 フェイヨンダンジョンなどにいる。
*2 オーバーキル。相手のHPを遥かに越えるダメージを与えて倒すこと。300はオーバーするダメージをスピットなら与えられる。
*3 ちなみにイブは転職から実時間でここまでわずか一週間。一週間もあれば、Lv20にもなれるんですねー。(Kさんも2週間くらいでLv30になっていたような…)
*4 今さら説明するまでもなく、Ragnarok Onlineにおける僧侶キャラ。女の子のアコライトを、アコたんと呼んだりするのは、Ragnarokの世界では常識だ。(ぉ?
*5 フェイヨンダンジョン1階は人が多く、ラグ(タイムラグ)が激しいです。空気が薄いと表現していますが、ようは重いのです。たまにラグで敵にかこまれていても反撃できずに死にます。ラグ死といったりします。
*6 AFK。Away From Keyboardの略。ようはキーボードから離れていますというとこで、ログインはしているけれど不在のこと。抜け殻状態。ご飯を食べている、一服している、お風呂にはいっていると理由はさまざまだが、キャラをほったらかして行くのなんて…と思われがちだが、RagnarokではほっとくとHPもSPも回復するので、結構している人はおおい。あと、商人さんも露天をひらきっぱの時はAFKしていることが多い。
*7 辻アコ。通りすがりに回復魔法のヒールをかけるアコライトの事。その行為を辻ヒール。ちなみに誰かにヒールをかけても経験値になったりはしません。ボランティアです。
 ここでスピットに速度増加(AGIがあがって、移動速度と攻撃速度が上がる)をかけたアコライトと、イブにヒールをかけてくれたアコライトは、おそらく同一人物でしょう。(確認は取れていませんが)
 それが誰かは、内緒です。
*8 すごく謎なのですが、スピットは敵から攻撃されやすいです。みんなと固まって歩いている時も、何故か自分より前にいるイタやラバではなく、敵はスピットをねらって攻撃してきます。
 魔導士って、そういうものなんですか?