漏電魔導士のスピット、ショボイコソドロのラヴァス、行きずりの魔導士アブドゥーグの3人は、プロンテラベンチにいました。
今日も今日とて、暇です。
spit:「なんか、おもしろいことないかなー。
ラバが突然言いました。
luvas:「ところで、おまえらどれくらい強くなった?
広大なミドカルドを旅する冒険者はたくさんです。
しかし、すべての冒険者たちが、この世界のすべての場所に行けるわけではありません。スピットたちも同じです。まだ駆け出しの冒険者であるスピットたちは、まだ、行ったことのない場所がたくさんでした。
spit:「ぼつぼつ。
と、スピット。
実は最近、鍛錬をサボリ気味です。
というより、スピットの場合は
早くSP回復のスキルをとらないと*1、いつままでたっても、一人前にはなれない気もします。
luvas:「俺は、だいぶん強くなったね!
luvas:「
今じゃ、お前たちより、全然上だね!
luvas:「だって、ほとんど攻撃くらわねーし、
luvas:「
攻撃早いし、
luvas:「
毒で攻撃できるし、
ダメじゃん。
しかし、スピット…
spit:「なんか、許せない…
luvas:「
オマエらに、見してやりたいくらいだ。
spit:「
きゅぴーん!
luvas:「受けてたとう!
…
luvas:「でも、オークの森とかはナシね。
*2
spit:「っても、僕らのレベルで行けるところなんか、限られてるからなー。
Abd:「ですね。
luvas:「さぁ、どこだ!どこへ行く!!
spit:「…
spit:「
プロ北…
いや、それは…
*3
luvas:「なにか言ったか、スピ?
spit:「いや、何も。
Abd:「試練の森はどうですか?
さすがはアブです。
いいことを言います。
試練の森は、プロンテラの北東に位置します。迷いの森という森を抜けた先にあり、この場所なら中の中レベルのモンスターと戦えます。しかも、ここに生息するモンスターたちはレアアイテムを落とすものが多く、レベルアップのため、レアアイテム獲得のための冒険者たちで、いつもにぎわっている場所なのでした。
*4
マテ。
luvas:「いいね〜♪
spit:「けってい〜。
試練の森が、なぜ、試練の森というか。
その説明をしなければなりません。
アコライトになるためには、試練の森を抜けなければなりません。
実は、アコライトになるためにはここ、プロンテラの大聖堂で神父さんにお話を聞いたあと、この場所にいる修行僧さんに会いに行かなければならないのです。
修行僧さんにあった後、プロンテラ大聖堂に戻ってきて、初めて、初心者冒険者はアコライトになることができるのです。
これが、アコライトの試練です。
しかし、この試練の森は中の中レベルのモンスターが徘徊する場所です。
モンスターたちは穏便なので、自分から攻撃をしなければ襲いかかって来ることはありませんが…実は、試練の森に入る前、迷いの森に、アコライトになるべく進む初心者冒険者の前に立ちはだかる敵がいるのです…
その敵とは、
マンドラゴラ。
植物のモンスター。
自ら動くことはしませんが、一定の距離に近づくと攻撃を仕掛けてきます。
モンスターレベルは中の下。
とは言え、まだ転職もしていない初心者冒険者の方々は、
一瞬で死ねます。
あ、スピットたちが歩き出しました。
彼らの魂胆は、
見え見えです。
スピットたちは迷いの森に入りました。
そういえば、スピットは迷いの森にみんなで来るのは初めてです。
spit:「っても、兄貴がよく来てたから、迷わないけどな。
てくてくとスピットは進んでいきます。
ラバがさっそくと、そのマンドラゴラを発見しました。
luvas:「見てろよ!
Abd:「おお!
spit:「生意気いうだけあって、やるじゃネェか。
あっさりと、ラバはマンドラゴラをやっつけました。
spit:「ならば、僕もその実力を見せつけてやろう!
スピットが続きます。
spit:「
ふ。
luvas:「
(゜□゜;
勝ち誇ったように、スピットは言います。
spit:「そういえば、マンドラゴラには雷魔法がきかないって、魔術魔物大全に書いてあったな。
Abd:「つまり、スピは役に立たないということですね。
そうとも言う。
*5
持ってかれました。
気を取り直して、進みます。
進む道は、アコライトの試練の道と同じです。
そうです。
spit:「いた!
Abd:「いましたね!
luvas:「敵?
spit:Abd:「
ノービス!!
迷いの森にやってくるノービスの目的は決まっています。
ノービスの女の子が道ばたに座っています。
彼女が進もうとする先には、
マンドラゴラが待ち伏せています。
道はそこしかありません。
luvas:「アレがなにか?
spit:Abd:「
決まってます!
スピットはマイトスタッフに持ち替えます。アブもグラディウスを抜きます。
spit:Abd:「
お嬢さん、お助けします!!
そして…
瞬殺。
luvas:「鬼だ…
魔法じゃ、ノーダメージの漏電魔導士のくせにです。
spit:「さて、おじょ…ぬあ!?
spit:「
マテ!
…待ってもらって、何をするつもりでしょうか。
ノービスの女の子は、すたすたといってしまいます。
スピットは追います。
彼は、いったい、何を考えていたのでしょう。
でも、ひとつだけはっきりとしている事があります。
彼女の目的はひとつです。
きっと、この先の試練の森を抜け、アコライトへと転職するのでしょう。
そうです。神に仕える身となるのです。
つまりです。
スピットが
何を考えているのかは知りませんが、きっと、彼が受けたそれは、神の、
罰だったのでしょう。
いや、もしくは彼女が、神に護られていたからかも、しれません。
世界が止まりました。*6
僕の見ていた世界が、ぴたりと停止しました。
僕はひとつ息をついて、スピットモニターの電源を入れ直しました。
モニターがぼやぼやっと、再び光り出します。
スピットが叫んでました。
罰です。
周りには、もうアブもラバもいません。
spit:「あぁぁ…アブぅ…ラバぁ…
マンドラゴラがもしも出たら、スピットの魔法ではダメージを与えられません。
直接攻撃は、マイトスタッフなので、SPを消費してしまいます。
spit:「おいてかないでくれー。
spitも、試練の森の試練です。