メガネvsラガン ・第一部 ○プロローグ    モノローグ風に。 加賀「この物語は、フィクションである。一応。だが、ともすれば、君の知らない、日常に潜んだ、ノンフィクションかもしれない!  そう!  この世界は外宇宙からやってきた謎の寄生生命体、『メガネ』と、古来より地球を護る種族、『ラガン』の一族との、血で血を洗う、戦いの日々の中に、今もあるのだ!  時に悲しく…時に激しく…時に甘く…時に切なく…  彼らの戦いの日々は、今日、今このときも、君の知らない場所で…繰り広げられ――!!」    加賀、銃で撃たれる。 加賀「うぼぁぁあああ!? 何か今、何か今、俺様の脳天を!脳天ぉぉおお!?」 トーちん「あー、何をいきなり、トチ狂ったことを言ってんだ、加賀」 加賀「おぉお…トーちん…撃ったね?撃ったね? 親父にも撃たれたことないのに!!」    再び銃声。    どさりと加賀、倒れる。 トーちん「(キザっぽく)悪は滅んだ…」    トーちん、去っていく。 加賀「ま…待て…待つんだ、トーちん」 トーちん「あー?」 加賀「い、言わせてくれ…一言、言わせてくれ…」 トーちん「なんだよ」 加賀「彼らの戦いは、今日も、続いている…そう。(力強く)地球は今、狙われている!!」 トーちん「おまえらにな」    三度銃声。    どさりと加賀、再び倒れる。    去っていくトーちん。 加賀「ああ…トーちん…トーちんの愛が痛いぜ…ふふ…だが、わかっているよ…これもトーちんの照れ隠しだって…」    遠くなっていく、加賀の声。    歩くトーちん。 トーちんの声「あー…なんだか突然変な奴がのたまっていたような気がするが、うん、ごめん。スルーしてくれ。  たぶんそろそろ、フェードアウトして、聞こえてないと思う。うん。あ、あと、SE、外な。外。よろしく」 ○学校への通学路(朝)    朝の通学路を行くトーちん。 トーちんの声「そう、それ。それで。ま、ともあれ、だ。あのキモいのは加賀。認めたくはないが、俺の古くからの知り合いで、まぁ、話すと長くなるわけだが――」    学校のチャイムの音が聞こえてくる。 トーちんの声「…長くなるわけだが、ホームルームが始まる予鈴も聞こえてきたことだし、華麗なる遅刻を信条とする俺は、完璧なる計算に基づいた通学をだな――」    神子 遊人、走ってやってくる。 遊人「あー! やっほー、トーちんー!」 トーちん「おー」    ぼきぼきっと、踏みつけられる加賀。 加賀「ぼぎゅうぉおぁああ!?」 トーちん「おー、いったな。今のは、いったな」 遊人「おっはよー!今日も元気してるー?」 トーちん「何か踏んだぞ、とか、言わないのか?」 遊人「何か踏んだの?」 加賀「おおおごごごお、足が、足がまた…やばい…やばいって、まじで…」 遊人「なに?」 トーちん「いや、今日も男なんだか女なんだか、よくわかんねー感じだな、遊人」 遊人「なにげに軽く毒、吐いてるよね」 トーちん「んなこたぁないよ? 見た目は、ちゃんと女だ。見た目は」 遊人「ひどいなー」 トーちん「んなことより、早くガッコーいかねーと、華麗なる遅刻ができん。さっさと行くぞ」 遊人「そうだねー」    二人、行く。 加賀「おぉおお!? 俺様の足を踏み抜いたのはスルーなのか!?スルーなのか!?お、俺様の足いぃぃぃい!」 遊人「あ」 トーちん「どうした?」 遊人「加賀くんじゃん」 トーちん「おせぇよ!すっげぇおせぇよ!つーか、おまえ、あいつ踏んだし!」 加賀「ふふ…おのれ…神子 遊人…貴様が我ら『メガネ』と敵対する、『ラガン』の末裔だからと、俺様を足蹴にし、あまつさえ、トーちんの心を奪おうとも、俺様のトーちんへの愛はくじけんぞ? んんんっ!?この足の痛みも、トーちんからの愛の試練と考えれば――!」 トーちん「キモいよ」    銃声。 加賀「おぉお撃った!? また撃ったね!親父にも撃たれた――」    再び銃声。 加賀「と、トーちん…」    加賀、再びどさりと倒れる 遊人「うわー、血がすごい出てるよ」 加賀「トーちん…いくらなんでも、そう何発も撃たれれば、死んでしまうと思わないか?」 トーちん「大丈夫、モデルガンだから」 神子「モデルガンにしては、威力がおかしくない?」 トーちん「安心しろ。合法だ」 加賀「俺の魂が、ゴーホームしそうだ」 トーちん「上手いこと言ったつもりか」 加賀「ふ…甘いぞ、トーちん。いや、酸いも甘いも、旨いも不味いも、ヤンキーゴーホームもない」 トーちん「撃ちすぎたか?」 加賀「ふっふっふっふっ…そうだぞ、トーちん。何がそうかはわからないが…こうしてぇぇぇ、俺様とぉぉ、朝のぉぉぉぉ、スィィィィトな会話を楽しんでいる内にィィィィィィ! 貴様は遅刻確定だ!」 トーちん「いや、むしろ俺は遅刻する気満々なんだが」 神子「遅刻マニアだからね、トーちんは」 加賀「うぅぅぅるさいぞ、愚物がぁぁ! 俺はぁ? トーちんと話してるのだあぁぁ!」 神子「いやー!来ないでー! しかも、うるさいうるさいうるさいうるさいー!」    何か折れる音。 加賀「ちょ、ま、ぐ、ぎゃあぁぁぁああああああ!?」    加賀、倒れる。    小鳥のさえずりや自転車の音。    朝の通学路。 遊人「ふーふー…」    学校のチャイムの音。 トーちん「あー、ホームルームの本鈴鳴ってんなー。一限の本鈴と共に、教師のいる教室に悠々と現れ、着席し、静かに二度寝をすることが、俺の遅刻マニア道の神髄なんだがなぁ」 遊人「あ、チャイム鳴ってる!」 トーちん「よし、遊人!」 遊人「へ?」 トーちん「走るぞ!!」    空気の壁を突き破る勢いで走っていくトーちん。 遊人「ちょっと、トーちん!」    遊人、続く。    高速走行する二人。何かを壊しながら駆け抜けていく。 トーちん「いいペースだ。ふ…今日の俺の遅刻は、ひと味違うぜ…」 遊人「っていうか、また巻き込まれて、ボクも遅刻なんだけど?」 トーちん「あるある」 遊人「もういいよ…」 トーちん「そこは『ねーよ』というところだぞ、遊人。いや、そんなことより次の角を曲がれば校門だ。行くぞ!」    カチっというスイッチ音 遊人「加速装置!?」    音速の壁を突破するトーちん。 ○校門(朝)    学校のチャイムの音。 霰「さぁ、来なさい…トーちん。ラガンの末裔…ふふ…今日も、貴方を景気よく叩き潰してあげるわ。思いっきりぶん殴ってやるわよ。私のこのメガネの力で」    トーちんと遊人、校門の向こうから超高速でやってくる。 トーちん「遊人ぉお!あと5分だぁぁ!」 遊人「トーちん、速いよ!待ってよ!」 霰「来たわね。ラガンの末裔。ちょうどいいわ。今日も神子 遊人と一緒なら、今日も二人まとめて、私が叩き潰してあげるわ!」    トーちんと遊人、近づいてくる。 霰「あら? ちょ、聞いてる? 聞きなさいよ、ちょっと!シカトなんてしてるんじゃないわよ!ちょ――!?」 トーちん「よし、このタイミングなら、華麗なる教室への飛び込みを――!!」 霰「って、人の話を聞きなさいよ、あんたはあぁぁっ!!」    霰、トーちんに向かって攻撃。 トーちん「トルチョック!?」 神子「ああ!? トーちん吹っ飛んだ!」    壁につっこむトーちん。    がらがらと崩れる壁。 トーちん「ごふぅ…こ、この頬に走る痛みと、一瞬視界をちらついた、全く似合っていない、リアル熊さんプリントのパンツは…」 霰「ななななななな!何をいってるのよ、貴方は!」    盛大に踏みつけられるトーちん。 トーちん「おごごごご…」 神子「うわ、沈んだ。地面に沈んだ」 霰「よくもよくも、毎日のように、私を無視してくれますわね。私が誰だか、わかっているんですか?」 トーちん「このやろう…」    トーちん、ごばぁっと起きあがる。 霰「あっ」    霰、転ぶ。 トーちん「また来たのか、自己中心的メガネ委員長め!」 霰「委員長じゃないわ! 会長と呼びなさい!」 トーちん「それとその、リアル熊さんパンツはやめろ!全く似合っていない!」 霰「なっ…!」 トーちん「遊人、おまえからも何かいってやれ。見た目だけでも、おまえと同レベル、いや、8割程度にまでは近づくよう――」    霰、立ち上がり、トーちんをビンタ。 遊人「あ」    トーちん、壁に再びつっこむ。 トーちん「音の割に、続くSEが半端ないのは卑怯だぞ…入道雲 霰…」 霰「ふん…教員にも縛られず。生徒会すらも無視し、教育委員会すらも権限が及ばない、この学校最高の独裁機関、独立風紀委員会の会長にして、副会長であり、書記長であり、資材部長であり、情報部長であり、審判執行部長であり、断罪執行部長兼筆頭であるこの私を、からかわないことね」 トーちん「毎回毎回顔をつき合わせる毎にちょっかいかけてきやがって…俺の華麗なる遅刻ライフを邪魔するんじゃねぇ!」 遊人「ちなみに、時間的にはホームルームがそろそろ終わりって感じだね」 霰「というより、そもそも、遅刻とかしようとしてるんじゃないわよ!」 トーちん「何をいう!俺の素敵学生ライフを潤すために、遅刻というのは必要なのだよ!」 霰「捨てろ! んなもんっ!」 トーちん「今、霰は酷いことを言った…」 遊人「今、取り返せない酷いこと、ボクたちにしたよね?」 霰「え、何それ。新手のいじめ?」 トーちん「全く、教員にも縛られず、中略、以下略であるくせに、なんて非道な奴なんだ!否、非道ならいい!だが、これではまったく、外道ではないか!」 神子「そうだよね。酷いよね。遅刻しかけてるから、頑張って学校に入ろうとしてるのに、邪魔してるんだもんね」 霰「な…何よ!何、結束してるの?おかしくない?ねぇ、おかしいでしょ?私の言ってる事の方が、正しくない?ねぇ、全国のお父さんお母さん?そうでしょ?そうよね?」 トーちん「誰に聞いてんた」 霰「え?」 トーちん「ふ…敵を前に、そっぽを向いている、おまえが悪いのだ。おりゃ」    トーちん、遊人の首筋をチョップ。 遊人「ごふ」    遊人の目からビーム。    霰を襲う。 霰「アびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!?」 トーちん「これぞ、ラガンの末裔である、遊人の特殊能力。『首にチョップで、なぜか、目からビーム』!そして追い打ち!すまん、遊人!おまえの死は、無駄にはしない!」    再びチョップ。    ビーム。爆発。 霰「ま…また…この手で…」    霰、どさりと倒れる。    吹き抜ける風。 トーちん「…悪は去る」    歩き出すトーちん。 遊人「ぐ…うぐふぅ…い、いきなり首筋を叩くのは、どうかと思うよ、トーちん…」 トーちん「しょうがないだろう。俺のは、下手したら、ここらが吹っ飛びかねんのだから」 神子「それもそうだけどさー」 トーちん「よしよし、とりあえず倒す奴は倒したし、とっとと教室に行くぞ」 神子「釈然としないなぁ…」    二人、行く。 ○エピローグ トーちんの声「それは、一限目の本鈴が鳴る、ちょっと前。  そう、そのチャイムと共に始まる、俺の華麗なる遅刻アタックから始まる、俺の、とても楽しい学生ライフが、いつものように、今日も始まる――そう、俺は思っていた。  だが悲しいかな。  メガネとラガンの運命(さだめ)は、そこまで甘くはなかったのだ! ○次回予告  次回予告!  授業中に迫り来るメガネの大群! グラウンドから襲い掛かる地中メガネ!  後に”地獄の十日間”と呼ばれるメガネとラガンによる壮絶な戦いの幕開けがついに始まる!  次回! メガネ VS ラガン! ラジオドラマ2nd!  ラガンの神が降りる時、決戦の火蓋がおろされる―――!  以下! 次号! 加賀「あれ? 俺様の出番少なくないか?」 霰「私、やられ役?」 ・第二部 ○校門    吹き抜ける熱い風。    なぜか西部劇の舞台のような校門。 加賀「ふん。独立風紀委員会の会長ともあろう者が、あのようなビームを食らうとは…情けない…」 霰「加賀…」    霰、立ち上がる。 加賀「俺は、お前を少々買いかぶりすぎていたようだな…」 霰「遊人くんに両足を複雑骨折されて、シャクトリ虫みたいにへこへこはってるあなたに言われたくありません」 加賀「む!? いや、これはな、治そうと思えばちちんぷいぷいだが、この骨折には、トーちんの愛がこもっておるのだ。故に、治したくないから治していないのであって、治そうと思えば、こんなものはちちんぷいぷい…」 霰「あら、そうなの」    霰、加賀の足を踏みつぶす。    ばきばきと折れる加賀の足。 加賀「足ぃぃぃぃ!? 俺の足が折れ、足が折れぇぇぇぇ!?」 霰「私はトーちんを追うわ。このまま、遅刻させてなるものですか!」 加賀「ちょ、ちょっと待て、入道雲!」 霰「苗字で呼ばないでって言ってるでしょ!」    再び加賀の足を踏み抜く霰。 加賀「あぁぁあ!? 愛が!俺とトーちんとの愛がぁ!!いやむしろ、そろそろ俺の足が、タコの足のようにぃ!?」 霰「なに?なにか言いたかったんでしょ?早くしなさい!トーちんが遅刻しちゃうじゃない!」 加賀「いや…ひとつ疑問だ…」 霰「なにか?」 加賀「俺たちは…なぜ、トーちんを遅刻させようとしているのだ?」    三度、加賀の足を踏み抜く霰。 加賀「おぉぉぉ…なぜだ!? これが不条理というものかッ!?」 霰「(憂い)あなたはともかく、私はトーちんを遅刻させようとしているわけじゃないわ…」 加賀「なんだと?」 霰「(思い)そうよ…私は…(強く)トーちんに遅刻させたくないの!あえて言うなら、そう!トーちんが遅刻するくらいなら、彼をサボりに!!」 加賀「(きっぱりと)ちなみに俺様は、トーちんと遊びたいだけだ」 霰「あ、そう」 加賀「待て待て待て!踏み抜くな!そろそろリスナーの皆様も想像できない、緊急事態になっているから!」 霰「そうね、それじゃ、私は行くわ。あなたと関わっている暇はないの」 加賀「待て。お前の目的はわかった。ならば、同じ『メガネ』同士。ここは手を組もうじゃないか」 霰「なんですって?」 加賀「耳を貸せ。(小さく)ごにょごにょほにゃららちーぱっぱ」 霰「何の呪文?」 加賀「内緒話の擬音だ。わかれ、馬鹿者」    加賀を踏み抜く霰。 加賀「おぉぉお…」 霰「まぁ、いいわ。その案、受けましょう。じゃあ、私は先にいくわね」 加賀「ま、待て!!にゅうど…じゃなかった。霰!」 霰「何よ?時間がないのよ? 早くしないと、トーちんが遅刻になっちゃうでしょ?」 加賀「うむ。その前に――てめぇが踏み折りやがった俺様の足を、キレイに完治させてからいけ!」    加賀を踏む抜く霰。    霰、行く。    風が吹き抜けて―― ○校舎    騒がしい校舎。    トーちんと遊人が歩いている。 トーちん「よしよし、このペースなら、完璧だ。俺の計算によれば、まさにその角を曲がり、南棟に入った瞬間に、予鈴が鳴るに違いない!」 遊人「その努力を別の事に使えばいいのに…」    チャイムの音。 トーちん「馬鹿な…」 遊人「あれ?なんで?」 加賀「ふ…甘いな、トーちん…」 トーちん「なぜお前が、ここにいる…確かに、完膚無きまでにたたきのめしたはず…遊人が」 遊人「ボク!?」 加賀「あの程度でやられる俺様ではないぞ、トーちん。そして俺様は…決してお前をここから先には進ませない!決して、遅刻などさせないッ!」 トーちん「貴様!俺を愛しているのなら、道を空けろ!俺に遅刻させろ!」 加賀「愛故に!愛のために!決してさせんぞ、トーちん!!男には、決して引けぬ時があるのだ、トーちん!!」 トーちん「それが今だと言うのか!?」 加賀「そうだ、その通りだ、トーちん!!」 遊人「思うんだけど…加賀君は、トーちんを遅刻させないで、どうさせたいの?遅刻じゃない遅れって、何?」 加賀「うるさいぞ、黙れ。女男」 遊人「な…なんでそういうこと言うのぉ!!」    遊人、目からビーム。    校舎の一部が吹き飛ぶ。 トーちん「やったか?」 遊人「手応えがない!?」 トーちん「ビームなのに、手応えあるのか!?」 遊人「加賀くん、どこに!?」 加賀「お前の攻撃は、すでに読んでいるぞ、神子 遊人。同じ技では、俺様を倒すことなどできん」 トーちん「後ろ!?いつの間に!?」 遊人「め、目からビー…」 加賀「甘いわ、神子 遊人!貴様の目からビームなど、その目をこうして手で覆ってしまえば、打てぬ事など、百も承知!」 遊人「あ!加賀君、ずるい!」 加賀「うるさい口もふさいでくれるわ!」 遊人「むぐぅ!」 トーちん「仲いいな、お前ら」 加賀「そんなことはないぞ、トーちん!むしろこいつは、憎むべき敵!トーちんと俺との間を引き裂こうとする、悪魔!」 遊人「むぅーむぅー」 トーちん「まぁ…俺は行くぞ。遊人、サボりになるなよ。サボりは、遅刻道の道を外れる。気をつけろ」 加賀「待てい!トーちん!こいつをおいて、遅刻するつもりか!」 トーちん「無論だ」 加賀「させんぞ、トーちん。俺はトーちんを、こいつと一緒に、サボりにさせるのだ」 遊人「むぅーむぅー」 加賀「ボクの事にはかまわず遅刻して!だと!! 生意気な! しかも、今話してるのは俺とトーちんだ!貴様の出る幕ではない!!」 トーちん「つーか、わかるのかよ、あの言葉…」 遊人「むーむー!」 加賀「ボクはサボりになっても、トーちんが遅刻になるんならかまわないだと!おのれ、神子 遊人!」 トーちん「あー…もうわかったから。結局、何がしたいんだ、お前は。もう、早くしてくれ。つきあってられん」 加賀「ふ…折れたか、トーちん」 トーちん「あきれたんだ」 加賀「簡単な事だ…トーちんは、俺の質問に答えればいい。その返答如何によっては、神子 遊人共々、ここを通さないでもない」 トーちん「言ってみろ」 加賀「俺と神子 遊人、どっちを選ぶんだ、トーちん」 トーちん「は?」 加賀「簡単な質問だろう! そう!今こそ、何も恥じることなく、言えばいいのだ、トーちん!はっきりと!ここで!俺に!トーちんの愛を!無償の愛をぉぉぉ!」 遊人「むーむー!」 トーちん「うん、今の遊人の台詞は俺にもわかった」 加賀「気持ちで通じ合う仲だと言うことか、トーちん!?おのれぇぇぇぇぇ!」 トーちん「遊人はたぶん、キモいと言ったんだ」 加賀「な…な…なんだとぉぉぉお!」 遊人「むぅむぅ」 加賀「うなずくな!!」 トーちん「というかだな、加賀」 加賀「なんだ?」 トーちん「お前と遊人だったら、迷わず遊人選ぶに決まってんだろ。お前よりも、はるかにかわいいからな。少なくとも、見た目は。中身はともかく!」 加賀「(ショックで)な…なな…う、嘘だ。嘘よー!!」 トーちん「なんで女言葉なんだよ」 加賀「あり得ないわ!嘘よ!嘘に決まっているわ!嘘だといって、トーちん!」 トーちん「いい加減、うざいぞ、加賀」    身構えるトーちん。    目に手をかざすと、そこに力がたまっていき、きーんと大気が振動し始める。 加賀「な…ま、待てトーちん!正気か!?」 トーちん「お前がどかないならば、実力行使だ」 加賀「やめろ!お前の力では、校舎を吹っ飛ばすだけじゃすまんぞ!」 遊人「むぅー!むぅうー!」 トーちん「うるせぇ!とっととどきやがれぇぇえ!」 加賀「ぎゃぁぁあ!」 遊人「きゃぁぁー!」    トーちん、目からビーム。    大爆発。 トーちん「…悪は去る。っとやべ。急がねぇと、マジでサボりになっちまう。おら、行くぞ、遊人」 遊人「死んじゃうよー、マジ死んじゃうよー」 トーちん「むしろ、なんでお前は直撃しても死なないんだ?」 遊人「ラガンだからね」 トーちん「…ほれ、いくぞ」    トーちん、遊人、行く。 ○教室    チャイムの音。    ドアを開けるトーちん。 トーちん「よっしゃぁ!完璧、今日も遅刻だ!これで昼飯がうまい!」 霰「あら、遅かったわね。サボリ確定よ。トーちん」 トーちん「やはりでくさったか貴様ぁ!」    トーちん、遊人をチョップ。    目からビーム。 霰「ひゃわぁぁぁぁぁ!ちょっと!やめなさい!先生に向かってなんてことするの!」 遊人「ボクなんて、打てば響くの便利アイテム扱いだよ…」 トーちん「霰、てめぇ、まったく予想通りの行動をとりやがって!しかも先生だと!ふざけるのも大概にしろ!お前は生徒だろうが!担任のボブはどうしたボブは!!」 霰「ボブ先生は今日から産休をとりました。よって、今日からこのクラスは独立風紀委員会の管轄になりました」 トーちん「まて、ボブは男だ」 霰「さ、最近は殿方も、産休を…」 トーちん「とらねぇよ」 遊人「取るかもよ?」 トーちん「お前はしゃべるな。しかし、百歩譲って、産休だとしても、だ! だからと言って、なんで委員会の管轄になるんだよ!」 霰「私がそう決めたから」 トーちん「横暴な奴め…」 霰「この腕章は伊達じゃない!」 トーちん「この独裁者め!訴えてやる、いや…それじゃ生ぬるい。クーデターだ!クーデター!」 遊人「クーデターって、どうやって?」 トーちん「いや、よくはわからないが、とりあえずそうだな…盗んだバイクで走ってみたり、窓ガラス割ったりしてみるか?」 霰「どこの尾崎よ」 トーちん「とりあえずクーデターだ、クーデター!暴力で解決!たぶんクーデターってそういうモンだろ!」    トーちん、教壇を蹴る。 霰「ちょっと、教卓を蹴らないで!出ちゃうから!」 トーちん「何がだ?蹴ったら、何か出てくるのか?」    トーちん、教壇を蹴る。    どさっと、ボブが転がり出て… トーちん「ほう…」 霰「出てくるな、ボブ!」    霰、ボブを蹴り入れる。 霰「ふぅ…と、いうことで、ボブ先生は産休であたしが代理っ! いいわね!!」 トーちん「まぁ、ボブのことはいい」 遊人「いいんだ!?」 トーちん「比較的どうでもいいしな。それよりも、だ。教師がすでに教室にいて、遅刻だと言うからには、出席は取り終わっているということだな」 霰「そうよ」 トーちん「では、我がクラスメイトたちに聞いてみよう。みんな、出席はもう、取り終わったのか?」 霰「ふん…あなたがドアを開けるよりも早く、すでに取り終わっているわ」 トーちん「嘘をついた者には、このラガン最強の、問答無用無差別調停兵器、遊人キャノン1号携行型が火を噴く」 遊人「勝手に携行重火器扱いだよー!」 トーちん「うむ、皆、だんまりだな。つまり、出席は取られていないと言うことで、皆の者、異論はないな!」 霰「ちょ…なによその恐怖政治!」 トーちん「お前に言われるとは心外だ…」 霰「く…加賀のアホたれ…どうしてもうちょっと時間を稼がなかったのよ…」 トーちん「あん?加賀ならそこの廊下で黒コゲになってるぞ」 霰「あんたを、あと1分でも足止めできていれば…」 トーちん「ほう…そうか、お前ら、実は手を組んでいたということか…だが、加賀ごときじゃ、俺の遅刻は止められないぜ?あんな、脳内妄想炸裂、変た――」    教室のドアが爆発音と共に破られる。 トーちん「な、なんだぁ!? 霰!お前、まだなんかトラップしかけてたのか!?」 霰「し、知らないわよ!私は、あなたをサボりにできればそれでよかったんだから!無関係のクラスメイトまで巻き込む分けないでしょ!遊人くんじゃあるまいし!」 遊人「なんでボク!? ボクは加賀くんと霰ちゃんにしか、しないもん!!」 トーちん「つーか、クラスメイト全員、ふっとんでったぞ!? 視聴者的には全くわからなかったろうが!」 加賀「ふ…っ」 トーちん「おいおい…冗談きついぜ…」 加賀「(静かに)そういうメタ的な発言はどうかと思うぞ…トーちん」    風をまといながら、加賀がやってくる。 トーちん「ば、馬鹿な…あいつはさっきのアレで、確実に…」 遊人「あの最終宣告を聞いて、まさか…」 霰「最終って…」 遊人「トーちん、加賀君の事、振ったんだよ?」 霰「ば…あなた、本当に!?外道を通り越して、愚かだわ!!」 トーちん「まて、普通だろ!あいつはだって、男で――」 加賀「(力強く)トーちーん!!」    加賀のオーラが爆発する。 トーちん「ま、まじかぁ!?」 遊人「か、加賀君、落ち着いて…!」 加賀「黙れ、女男ッ!」 トーちん「危ない!遊人!」    加賀、目からビーム。 入道雲「きゃう!?」 トーちん「加賀!てめぇ。どういう了見だ!」 霰「危ないって言った割には、かばうわけじゃないんだ」 トーちん「遊人だったからよかったものの…俺に当たったら、俺が痛いんだぞ!」 遊人「トーちんひれつー…しんじらんなーい…」 加賀「ふ…トーちん…いいんだ…僕はもう、わかったよ…わかってしまったんだよ…」 トーちん「な、何がだ?」 加賀「トーちんの心が、もう、僕にはないことを、だよ…」 トーちん「ハナからねぇよ」 加賀「そう…僕は気づいた…そして――」 トーちん「聞く耳ねぇのかよ」 加賀「そして、トーちん、キミの心がもう、ボクにないのなら…そして帰ってこないのなら…トーちん…」 トーちん「な、なんだ?」 加賀「ボクは…あなたを殺して、ワタシも死ぬわぁぁぁぁぁあ!」 トーちん・遊人「な、なんだってぇー!!」 加賀「トーちん、死んで!そして、永遠にあのときのまま、愛し合ったときのまま、ワタシの中で生き続けて!」 トーちん「いつだよ!」 加賀「問答無用!」 トーちん「無用かよ!?」    加賀、目からビーム。 トーちん「ちょま…加賀ぁぁあ!」 霰「ぎゃふん!!」    ビームは霰にあたり、爆発。    霰、どさりと倒れる。 霰「…ナゼ?」 トーちん「落ち着け、加賀!」 加賀「安心して、トーちん」 トーちん「何がだ?」 加賀「驚くほど落ち着いているわ。これから、あなたを殺すと決めたのに…」 トーちん「なッ!?」 加賀「死んで!トーちん!!」 トーちん「よせ、加賀ッ!!」    加賀、目から三度ビーム。 遊人「ウボァ!?」    ビームは遊人にあたり、爆発。    遊人、どさりと倒れる。 遊人「なんでボク?」 トーちん「(息詰まる展開に)ぶは!? くそ…あいつ!マジで俺を殺すってのか!」 遊人「ヒトを盾にして、言う台詞じゃないよぉ…なんでボクが…」 加賀「ふん…これで、邪魔者はいなくなったわ」 トーちん「遊人と霰を先に狙うとは…卑劣なり!加賀!」 霰「あなたに盾にされたような気がするんですけど?」 加賀「さぁ、トーちん。もう逃げ場はないよ。盾もない」 トーちん「くそ…」 加賀「キミの取れる最後の選択肢は、ふたつ…ここでボクに殺されるか…ボクの愛を受け入れるか!!」 トーちん「その二つしかないのか…」 加賀「ない!」 トーちん「ならば…俺も男だ!」 加賀「トーちん…まさか、ボクの愛を…」 トーちん「ああ…俺も男だ…腹を据えよう…」 加賀「トーちん…」 トーちん「だが、断る!」 加賀「ならば死ねい!」    加賀、目からビーム。    大爆発。 ○次回予告  次回予告!  リミットを越え、その力を行使する寄生生命体メガネ!  なんとかして自分への被害を最小限にしようと、次々と道行く学友を盾にして逃げるトーちん!対して、破壊され尽くされる教室、廊下、または校舎!  行き場のない、愛という狂気に心を包まれ、全てとともに無になろうとする加賀が、決意の末に取った行動とは!  次回、メガネvsラガン、第三部! 加賀「俺は…何もいらなかった…そう、トーちん以外は…その愛を受けれないのならば…こんな世界は…」 トーちん「やめろぉぉ!加賀ぁあ!」  「狭き世界の頂きで、愛を求めたメガネ」 遊人「僕って、次回も盾?」 霰「むしろ、サービスサービス」 ・第三部 ○教室    クラスメイトたちは吹き飛び、遊人、霰も倒れている。    対峙するのは、加賀とトーちん。 加賀「キミの取れる最後の選択肢は、ふたつ…ここでボクに殺されるか…ボクの愛を受け入れるか!!」 トーちん「その二つしかないのか…」 加賀「ない!」 トーちん「ならば…俺も男だ!」 加賀「トーちん…まさか、ボクの愛を…」 トーちん「ああ…俺も男だ…腹を据えよう…」 加賀「トーちん…」 トーちん「だが、断る!」 加賀「ならば死ねい!」    加賀、目からビーム。    大爆発。 加賀「…トーちん」    爆発が引いて、風が爆煙を散らす。 加賀「ボクには、わかっているよ…この程度で、ボクの愛を受け止めたトーちんが、やられるはずがないと言うことくらい」 トーちん「さすがだな、加賀…」 遊人「きゅう…」 加賀「一度ならず、二度までもトーちんを護るとは…見上げたものだ、神子 遊人」 霰「明らかにトーちん、盾にしてたでしょ、今。確実に」 トーちん「くっ…加賀…とうとうぶちきれたか…」 霰「しかも、無視だよ」 遊人「さすがの僕も、そろそろピンチだよー」 トーちん「いや、お前なら、あのビームは、あと5発は耐えられる」 遊人「なんで僕ばっかり!」 トーちん「うるせぇ、使命だ。ラガンの使命。俺を護る使命!」 遊人「同じラガンなのに、卑怯だよ!」 トーちん「うっさ! 世界的に見て、死んでしまって損失がでかいのは、お前よりも俺! お前は死ね!今ここで死ね、俺のために死ね、ばーか!」 遊人「ば、馬鹿って言った方が馬鹿だよ!ばーか!」 トー「あん? 言うに事欠いて、俺に馬鹿だと、この馬鹿、馬鹿、大ば――!」    加賀、どこからか取り出した銃を、遊人に向けて撃つ。 遊人「…あ」    遊人、当たり、どさりと倒れる。 加賀「ふ…トーちん…酷いな、君は。僕の気持ちを知っていながら、まだそんな(ピー)といちゃつくんだね」 トーちん「ゆう…と?」 加賀「いくらビームには耐えられようと、実弾はそうは耐えられまい」 霰「それって、逆じゃないんだ…」    加賀、ビーム。 霰「なんであたし!? ちょっと、トーちん!」 トーちん「うわ、馬鹿!やめろって!服を掴むな!」    ビームをはじくトーちん。    屈折したビームが別の場所に炸裂する。 トーちん「あぶねぇ…」 霰「ふぅ…」 遊人「はじけるんだ…」 トーちん「死んでなかったのか、遊人」 遊人「大丈夫、モデルガンだから」 トーちん「威力おかしいから」 遊人「一話で、トーちんが大丈夫って言ってたから!」 加賀「これが信頼か…」 トーちん「そう聞こえたんなら、お前の脳は腐ってる」 霰「今更確認する事でもないでしょ」 加賀「やはり…お前たち全員をここで殺さない限り、トーちんの命を奪うことは…不可能なようだな!」 遊人「えー」 霰「っていうか、どうしてあたしが巻き込まれてるわけ? 一応、メガネなんだけど…」 トーちん「俺に聞くな」 加賀「すまない、お前にも死んでもらうぞ、入道雲 霰。トーちん殺して、抱きしめて頬ずりして、一週間くらい一緒にごろごろしてから、オレも死ぬためにぃぃぃぃぃぃぃぃい!」    加賀の目力がたまっていく。 トーちん「んな変態的な事されてたまるか!」 加賀「愛のために、死ねぇ!」    加賀、目からビーム。 トーちん「遊人!盾!!」 神子「はい!」 入道「へっ?」 トーちん・遊人「教員にも縛られず、中略、以下略、委員会会長ばりやぁぁぁぁぁぁぁ!!」 霰「えぇぇええ!?」    ビーム炸裂。 霰「危ないでしょ!当たったら、痛いじゃない!」 トーちん「避けるな!盾!」 霰「避けるわよ!今、あの変態、超本気だったじゃない!」 トーちん「真剣白刃メガネ取りとかあんだろ!?使えよ!」 入道「ないわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 トーちん「ちぃっ、役たたずめ…」 加賀「あの攻撃をかわすとは…さすがは入道雲 霰。伊達にメガネではないな」 遊人「だて眼鏡だったの?」 霰「違う!」 トーちん「くそうが、やるなら、こっちも本気だ!くたばれ変態! アラレボンバァァァ!」 霰「えっ?」 遊人「ドクタースランプ!?」 霰「って…きゃぁぁぁぁぁぁああああ!」    トーちんに投げられる霰。    加賀にクリーンヒットする。 加賀「お、おぅ!?」 トーちん「よし、遊人」 遊人「うん」 トーちん「ドクタースランプはどうかと思う」 遊人「逃げよう」 トーちん「キーンとな」    トーちん、遊人、走っていく。 ○廊下    走るトーちん、遊人。 トーちん「よし、遊人、そこの多目的室に逃げ込んで、教室の動向をうかがうぞ」 遊人「うん」    ドアを開けて、中に入る二人。 トーちん「…ったく、このままじゃ、教室に入れねぇ…遅刻どころか、無断欠席だぜ。オレの皆勤賞、どうしてくれんだ…」 遊人「遅刻したら、皆勤賞じゃないよ?」 トーちん「あん!? 誰のせいだと思ってんだ。この目からビーマーがっ!?」 遊人「私のせい!? ねぇ、私のせいなの!?」 トーちん「しかし…担任がアレだったって事は、学級閉鎖ってことで、お咎めなしかもしれん…クラスメイトも、原因不明の失踪だしな…」 遊人「学級崩壊の間違いじゃ…?」 トーちん「なるほど…じゃあ、先生の忌引きって事で!」 神子「死んでない!…よねぇ?ボブ先生」    教室の窓ガラスが割られる。    加賀がそこから姿を現す。 加賀「はーっはっはっはっはっはっはー!」 トーちん「ここ、3階だぞ!?」 加賀「些細な問題だよ…トーちん」 トーちん「目からビームだしな」 加賀「あえて言おう!何故と問われれば、答えよう!なぜならば俺様は、王だから!」    加賀のテーマ。(そいやそいや) トーちん「何?今回、ミュージカル調?」 遊人「歌うの!?」 加賀「ふ…王を前にして、声も出ないようだな…」 トーちん「いつから王になったんだ。変態メガネ」 加賀「ちっちっち。なった…は正しくないな、マイすうぃ〜と。王とは生まれながらにして、王なのだよ?」 遊人「トーちんに振られて、頭に何か湧いたの?この(ピー)」 加賀「ふっ、何を言ってるんだ。この(ピー)で(ピー)で(ピピー)が!?」 遊人「なっ…なっ…なー!?」 トーちん「おー、赤い赤い」 加賀「あの件に関しては、俺もいきなりだった故、多少驚いてしまったのだが…だが、今考えれば、アレはトーちんなりのメッセージ!!いわば照れ隠し!今風に言えば、ツンデレ!」 トーちん「たぶん、今すっげー風化ネタを言ったな」 遊人「ツンデレ?気候?」 加賀「まぁ、貴様のような奴にはわからんだろうが、俗に言う『あんたの事、好きな訳じゃないんだからね!?』という、逆説的なラヴ・メッセージ!!」 トーちん「いっぺん人生やり直せ」 加賀「あぁ、トーちんの為ならば、何度でも生まれ変わって、何度でもラヴを育もうぅぅぅぅぅ!」 遊人「加賀くん、キャラ変わったね」 トーちん「吹っ切れたのか、打ち所が悪かったのか…」 遊人「前者?」 加賀「にゃぁにうぉおおおう!? 貴様のような『だぁほ!』には解らんだろうが、あの台詞は、実はこういう意味だったのだぁぁぁぁぁあああああ!」 ○加賀・妄想 トーちん「加賀…俺、本当は、おまえのことが好きで好きでたまらないんだ…むしろアレだ…ラヴ?」 加賀「トーちん…」 トーちん「この気持ちは…おまえの形状記憶合金フレームよりも固く、この…薄型プラスチックレンズよりも透明で…ピュアーな、気持ちだよ…」 加賀「あっ、あ〜、レ、レンズに指紋がつくよ、トーちん」 トーちん「ふっ、付けてるんだよ、大樹」 加賀「やめ、やめてくれ…トーちん!」 トーちん「見た目だけ女と言う理由で…お前を選ばなくて、ゴメンな。大樹」 加賀「オレも…あんな(ピー)より、可愛くなくてゴメン…オレがもっと可愛いなら、トーちんを苦しませずに済んだのに」 トーちん「何言ってるんだ、大樹。本当のお前は、あんな(ピー)より百…、いや1億万倍は可愛いよ…」 加賀「そんなっ…信じられないよ…トーちん」 トーちん「なら、信じさせてやるよ…」 加賀「あっ、そ、そこは…」 トーちん「いけない子だ…ここをこんなにして」 加賀「トーちんがやったんじゃないか」 トーちん「こんなに指紋を付けて…オレのこと見えてるか?」 加賀「見えてる、見えてるよ…」 トーちん「なら、いいじゃないか…ぺたぺた」 加賀「あっ、あっ」 トーちん「ぺたぺた」 加賀「あっ、あっ」 トーちん「ぺたぺた」 加賀「あっ、あっ」 トーちん「ぺたぺたぺたりん」 加賀「あ〜〜〜っ」 ○廊下 加賀「と、いうことだ」 遊人「キモ!?」 トーちん「キモ!?」 霰「ホモ!」 加賀「なっ!?」    ドアから現れた霰。    メガネからフラッシュを放つ。 加賀「こ、この力はぁぁぁあ!?」    爆発。 遊人「こ、この効果音は…」 霰「キモ!キモすぎ!むしろホモ!あんたも、何やってんのよ!」 トーちん「メタ的な事をいうとだな、台本があるんだから、仕方がないだろ。文句は原作者に言えよ」 遊人「ちなみに、校正者に言っても困るって言えって、台本に書いてあるからいっとくね」 霰「キモすぎ…というより、加賀!」 加賀「おのれ…入道雲 霰か…」 霰「あんた、時間稼ぎしろとは言ったけど、誰がそんな妄想垂れ流せって言った!? うぅっ…気持ち悪っ…」 加賀「お前こそ…トーちん達の不意をつくんじゃなくて、俺様を攻撃してどうする?」 霰「あんなの聞いて、こっちが不意つかれたわ!?」 トーちん「くっ、そうか…これが話に聞く、メガネお得意の精神攻撃か…」 遊人「加賀くん、恐るべし…」 霰「何あんたたち、しっかりダメージ受けてんの!?」 加賀「ようやく解ったか、神子 遊人。これが我ら、メガネの真の力だ…」 入道「ただの妄想でしょ!」 トーちん「おのれ…メガネ…」 遊人「霰ちゃんもそうなの?」 霰「は?」 遊人「だって、メガネだし」 トーちん「あ、そうなん?」 霰「ばっ…そんな事!」 加賀「そうだぞ」 霰「加賀ぁぁぁぁぁぁあ!」 加賀「そんなことよりも、だ」 霰「今、誤解されたから!すっごく誤解されたから!あんたのせいで!」 加賀「そんなことよりも、入道雲 霰。いや、メガネの力を持つ者よ。王である俺様は、先程から思っていたのだが…」 霰「なによ」 加賀「お前は、どちらの味方なんだ?」 遊人「あ、メガネvsラガンで言えば、ボクたち、敵同士だねー」 トーちん「だな…まぁ、実際戦ってるしな」 加賀「うむ。貴様の行動は、同じメガネとして、非常に不可解だ」 霰「な…敵とか味方とか…あ、あんた達だって、仲いいじゃない!」 遊人「ボクと加賀くん?」 霰「そ、そうよ!なんか、じゃれ合ってるみたいに!」 遊人「うん。だって、あんまり認めたくないけど…」 加賀「うむ、非常に不愉快な事実ではあるが…」 遊人・加賀「幼馴染だからね(な)!」 霰「なにそれ!卑怯じゃない!そんなの!!」 トーちん「認めたくは無いが、事実だ。そして、その事実の上では、いたって普通の人間関係だと思うぞ?」 霰「幼なじみの『あはは〜こいつぅ〜』で、教室吹き飛ばすの!?」 トーちん「うん」 加賀「まぁ」 遊人「悪気はないんだよ?」 霰「あんたら、おかしいから!」 遊人「あー、とかなんとかいって、実は中に入りたいんだー」 トーちん「なんだ、そうなのか?なら、もっと問答無用に攻撃していいんだな?」 霰「なんでよ!」 加賀「それが、トーちんなりの愛の表現だ」 霰「黙れよ、変態」 遊人「あー、加賀くんとトーちんに対する態度が全然違うー。あー、実は、霰ちゃんは、トーちんを狙ってるんだ〜」 トーちん「俺の命か?」 加賀「させんぞ、入道雲 霰ぇぇぇぇぇえ!」 霰「死ねよ」    霰、メガネフラッシュ。 加賀「ウボァアア!?」    吹っ飛ぶ加賀。 遊人「ねぇ、どうなのー?」 トーちん「どうなんだ?場合によっては、俺もお前に対する態度を、改めねばならん」 霰「う…」 遊人「ねぇねぇ」 トーちん「さぁさぁ」 トーちん・遊人「さぁさぁさぁさぁさぁさぁ!」 加賀「どうなのだ、入道雲 霰ぇぇぇぇえ!」    霰、メガネからフラッシュ。 加賀「ウボァァァア!?」 トーちん「おー、今度のはずいぶん派手に飛んだな」 遊人「霰ちゃん、顔、真っ赤だよー」 霰「う、うるさいわね!お黙りなさい! ええ、ええ、そうよ、そうですよ!仲間に入れて欲しいですぅ!この力があって、落ち込んだりもしたけれど、あなた達を見て、ちょっと元気になりましたぁ! 一緒に遊びたいですぅ!っていうか、ぶっちゃけ、嫌いじゃないですぅ!っていうか、気にしてますぅ! ちょっとイジメちゃうのも、気になってる子にちょっかいかける小学生みたいな心理ですぅ!」 トーちん「はっはっは、ちょっとで、ボブ先生を永遠の眠りにつかせるのはどうかと思うぞー」 遊人「死んで…ないよねぇ…ボブ先生」 霰「っていうか、ボブ先生なんてどうでもいいのよ!そうよ、あたしにとっては、メガネだラガンだっていうのも、どうでもいいのよ!」 トーちん「根底を覆す発言だ…」 霰「っていうか、あたしたち、高校生なのよ!あたし、女子高生なのよ! ちょっとは甘い青春の一つや二つ、たしなんでみたいじゃない!したっていいじゃない!」 トーちん「はて…甘い要素がどこかにあったか、遊人よ」 遊人「加賀くんの妄想がある意味」 トーちん「それはやめてくれ」 霰「そうですぅ!妄想だってしますぅ! 好きな人と、手をつないで帰るとか、そういう妄想とかしますぅ!誰もいない教室で、ちゅーとかしたいですぅ!」 加賀「それが、トーちんだというのかぁぁぁぁぁぁぁあ!」 トーちん「生きてた!?」 霰「うるさい!」    霰、三度メガネフラッシュ。    加賀、直撃でどさりと倒れる。 霰「もうやめます。やめさせていただきます。今日から私、入道雲 霰は、マイクをおいて、普通の女の子に戻りま〜す」 加賀「う…裏切ったな、入道雲 霰…」 遊人「霰ちゃん…」 霰「遊人くん? あなたも、メガネだラガンだなんて捨てて、普通の女の子として生きましょうよ?」 トーちん「普通…なの…か?」 霰「トーちんはああいうけど、私とあなたなら、きっと仲良しユニットになれるわ。もう、ビームも受けなくてすむのよ? 遅刻も、サボりしないですむわ。エンジョイ学園ライフよ」 遊人「それ、いいなー」 霰「どうしても敵対するというなら、私も仕方がないけれど、悪くない提案のはずよ?」 遊人「んん〜」 霰「どう? 一緒に、女子高生を楽しみましょう!」 遊人「んん〜っ…」    遊人、うなずく。 霰「ありがとう!遊人くん!」 遊人「新ユニット爆誕だね!」 霰「そうね!あえて言うなら…」 遊人「ユニット名は…」 霰・遊人「メガネ&ラガン!」 トーちん「つーか、お前ら、普通に仲いいだろ」 霰「いいわよ!」 遊人「実はね!」 加賀「ふ、ふっふっふっふっふ…はーっはっはっはっは!」 トーちん「いたのか、加賀…」 加賀「王であるこの俺をおいて、なにやら楽しげに話を進め、あまつさえ、この俺様裏切るか、入道雲 霰!」 霰「もう、あなたなんてしりませんー。王とかメガネとかラガンとか、私には関係ありませんー」 加賀「ふん…所詮貴様など、俺様とは違い、委員長+メガネ=萌え、的メガネだったということか…」 霰「な…なんですって!」 加賀「理解できなかったのか? メガネ委員長属性型メガネ」 霰「…もう、勝手にしなさい。私はもう、メガネだラガンだには、関わらないです」 加賀「ふ…仲間にも裏切られ、トーちんには未だ愛が届かない。もう潮時なのかもしれんな…」    メガネを上げまくる加賀。    謎のエネルギーがたまっていく。 トー「あの馬鹿…何をする気なんだ?」 遊人「そろそろ、次のつなぎのために巻いていこうって言うんじゃないの?」 加賀「ふ…そうとも…これで終わりだ、メガネの裏切り者。そして、ラガンの末裔どもよぉぉ!」    加賀、メガネをおでこに! 加賀「おでこにメガネを、デコデコデコリーン♪」 霰「そ、その呪文は!?」 遊人「知ってるの!?」 トーちん「懐かしいなぁ、のんたっく…」 霰「あんた年いくつよ!?…って、そんな事はどうでもいいのよ!」 加賀「はっはっはっはっはー!この呪文はなぁ! 友達がいない王様が、『こんな世界滅んじゃえ!』と言う時に使う、びゅーてぃほーで、わんだほーで、えぇぇぇぇれがんとな呪文だッ!」 霰「ま、まさか、あんたにそれが使えたなんて…ッ」 加賀「言っただろう、我は、王であるとぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!」 トーちん「で、今度はどんな変態技が発動するわけだ?」 加賀「ふふふ…トーちん…一緒に死のう」 トーちん「断る」 加賀「だがぁぁぁぁぁぁ、むしろ俺様が断る! 今から13分後!!この世界に、ビィィィィィィクメガネ様が顕現なされるのだぁぁぁぁぁぁぁ!!」 トーちん「霰、わかりやすく」 霰「簡単に言えば、そうね。空から謎の隕石的な何かが、超高速で落下してくる」 遊人「隕石だね」 トーちん「石ころ大ってオチだな」 霰「いいえ…あえて言うなら…月サイズの」 トーちん「でかっ!」 遊人「っていうか、どこから出てくるの、それ!」 加賀「それとかいうな、神子 遊人!さぁ、出でよ!びぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃく、めぇぇぇがねぇぇぇぇぇさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 トーちん「絶対顔だけだ、ビッグメガネ様!」 遊人「しかも月サイズの!」 霰「なんで楽しそうなのよ!世界滅亡の危機なのよ!」 トーちん「いや…」 遊人「ぶっちゃけ…」 トーちん・遊人「楽しみだし!」 ○次回予告  次回予告!  ついにキレた加賀によって呼び出された、ビッグメガネ様!  その姿は、月サイズの、顔だけの謎物体。  地球に、いやむしろ居所的にトーちんを狙って、落下してくるそれを、果たしてラガンの末裔は阻止することはできるのか!  人類の滅亡をかけた、比較的どうでもいい戦いが、ついに終結する!つーか、勝手にかけられた人類の滅亡にしてみれば、はた迷惑だが!  世界を救う愛を、彼らは見つけ出せるのか。  そして、過去から繰り返されてきた、メガネとラガンの戦いの真実が、ついに明かされる!かもしれない!  次回、メガネvsラガン、最終部! 霰「遊人君!避けて!」 遊人「大丈夫だよ…僕は…ラガンだから」 加賀「すべては、ビッグメガネ様の意志なのだよ、トーちん」 トーちん「俺のこの目が世界を映す限り、貴様らの自由にはさせん!」  「世界を映すもの」 遊人「え?何、次回ってシリアス?」 霰「予告、いつも関係ないじゃない」