studio Odyssey


3日目

message from:Kitahara Hataki

 カチッ。

 蓋を開ける。

 ガシュ、
 フリントが削れ、
 芯に染み込んだオイルに着火し、
 ボッ、
 と火がつく。

 何もせず、
 カチッ、
 と蓋を閉じる。

 内部酸素が少なくなり、
 アルコールランプのように火が消える。

 "また禁煙失敗したの?"

 その言葉が頭をよぎる。

 別に依存してるわけじゃない。

 別に口寂しいわけじゃない。

 別に吸いたいわけじゃない。

 ただ…

 いつかからか、ずっとポケットに入っていたこいつ。
 こいつの使い道がなくなるのが少し、

 寂しいだけ。


size:
505KB
author:
Kitahara Hataki