いつからか、余裕をなくしていた。
毎日の生活に追われて、忘れていた。
その日、学生時代の仲間が集まるからと、
あの頃の仲間から、連絡があった。
皆、変わって、
あの頃の面影なんてないだろうと、
乗り気じゃ、なかったけれど…
「よう」
「久しぶり」
短い挨拶。
「煙草持ってないか?」
「ああ」
差し出す。と、
「これ、まだ吸ってんの?」
「え?」
「懐かしいな」
当たり前すぎて、忘れていた。
「このメンソールの香り、なんか、懐かしいな」
何も変わっていない事を、忘れていた。
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