「よっ」
扉を開けて入ってくる。
「最近、肩身狭いよね」
苦笑を返して、
それを返事とする。
「そうそう、ちょっと見てよ」
ポケットから見た事のないケースを取り出す。
「惹かれたから、おもわず買っちゃったよ」
確かに感じのいいケースだ。
"箱"を見えないように入れておくのは、
"らしい"気の使い方。
「聞いた?あっちの部屋は全面禁止だって」
肩身が狭くなってくもんだ。
扉の向こう、予鈴が聞こえる。
「行くか」
そう言って、灰皿に入れて扉を開ける。
煙のない世界への。
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- 512KB
- author:
- Kitahara Hataki