studio Odyssey


禁煙2

message from:Kitahara Hataki

「禁煙したんだ」

 そう言ったのは、つい2時間前。
 煙草嫌いの彼女の為に、決心したらしい。

 一緒に煙草を吸う時間が、
 唯一、彼と共有できる時間だったけれど…

「一本どう?」

 食後のコーヒー。
 煙草を差し出す。

「だから、禁煙してるんだって」
「そっか。じゃ、失礼して」

 煙草に火をつけ、一服。

 『食後の一服が堪らないんだ』
 彼を理解したくて、始めた煙草。

 それが吸えない彼は、
 私の方をジッと見ている。狙い通りに。

「一本どう?」

 受け取る彼に、笑いながら火をつけた。


size:
506KB
author:
Kitahara Hataki