studio Odyssey


みなみの魚座の彼女

 11月14日。
 18時の帰り道。

「三日月の下、
 ひとつ、輝いている星があるだろ?」

 歩きながら、言う。

「あれは、みなみの魚座のフォーマルハウト。
 たった一個だけれど、
 それで星座を作ってる、
 1.2等星の星なんだ」

 いまいち、
 ロマンチックじゃない、
 話だよな。

 だけど、

「だけど、
 月の輝きに負けないで、
 ああやって輝きを放ち続けてる星って、

 君みたいで、

 好きだよ」

 歩きながら、
 星を見つめながらじゃなきゃ、

 言えやしない。

 そんなくさい台詞はさ。


size:
511KB